2259声 若者たち

2014年05月30日

ずいぶん久しぶりに、若者たちに囲まれた。

僕は2004年から中之条町の「伊参スタジオ映画祭」のスタッフをしている。

今日は「中之条ビエンナーレ」というアートイベントの

ディレクターである山重徹夫氏が講師をつとめている

高崎経済大学地域政策学部アーツマネジメント論

の授業に呼んでもらい、映画祭にまつわる話をした。

 

「映画祭はだれのためのもの?」

と切り出し、けれどその答えを学生に伝えたいというよりは、

自分自身で確認したかったのだと思う。

映画にしろ映画祭にしろ、お金のかかるものだ。

関心無関心に差があるし、文化的な効果は目にみえにくい。

それでも映画は作られているし、伊参に限らず、

高崎映画祭、シネマまえばし、邑の映画祭、きりゅう映画祭など

群馬県内各地の映画活動・映画祭はそれぞれの特色を出している。

 

データ的統括的に話すのは僕の役目ではないと思うから、

なるべく物語を伝えたいと思った。たとえば、

1996年に中之条で撮影された『月とキャベツ』という映画は

主演の山崎まさよしさん効果で全国からファンが訪れ、

冬場、初代管理人の山田さんが家出のように家を出てきた

女の子を見つけ、「月とキャベツの場所に来たかった」という

彼女を、警察直行ではなく自分の家に招き入れ話を聞き、

それ以降ずっとはがきのやりとりを続けていたこと。

伊参スタジオが出来るきっかけとなった1996年

小栗康平監督『眠る男』は、モントリオール世界映画祭で

審査員賞を受賞しているが、伊参映画祭の代名詞にもなっている

シナリオ公募・映画製作支援の「シナリオ大賞」という企画で

映画を撮った若手監督が、最新作『燦燦(さんさん)』で

モントリオール世界映画祭に正式出品が決定したこととか。

 

不思議なことに、

映画に関わることをしていると、映画のようなことが起こることがある。

映画を作るだけが、映画との関わり方ではない。

町活性化、監督支援、文化向上・・映画祭の存在意義は数あれど、

「映画をじぶんごとにすることは、楽しいよ」と思う。

 

一番重要な、学生たちに何か伝わったかについては・・自信ないなぁ。

別に映画でなくても全くかまわないので、じぶんごとにできる何かが見つかれば、

あとはグータラしていても、色恋沙汰に翻弄されても、いいんじゃないかと思う。

若者たちは。