2299声 屋台

2014年07月09日

やはり多い。 そう感じるのは、都内のすし屋の数である。
ここで言うのは、大型チェーン店の回転するすしではなく、 その土地で暖簾を継いでいるお店である。

統計局の2011年の統計を見ると、人口10万人当たりのすし店数は山梨県が全国一位で、 東京都は三位。
やはり多いことには変わりないのだが、都内のすし屋の業務形態はバラエティに富んでいると感じる。
店舗型でもカウンターだけのお店や、回転レーンが一つだけのうなぎの寝床のような小さなお店。
宅配すしはピザ屋の如く活躍しているし、回転すし兼居酒屋と言うようなお店まで様々。
極めつけは、最近増えてきた立ち食いスタイルのお店である。
もっとも、江戸の時分の庶民が食べるすしは、屋台の立ち食いスタイルが一般的だったらしい。
先祖がえりしているこの傾向に拍車がかかり、都内ですし屋台なんてのも見られる日が来るだろうか。

屋台のすしで思い出すのは、志賀直哉の「小僧の神様」である。
屋台のすし屋のカウンターで、値段を聞いた小僧がそのまま食べずにそのすしを置いて帰ってしまう。
と言うあの冒頭の描写は、やはり「屋台」であるから活きるのだと、とりとめもなくそんなことを。