2316声 竈馬

2014年07月26日

吟行地である群馬県桐生市の山奥に着いたときには、
森の中のあちらこちらにそれと分かるいでたちの人たちが見えた。
今日は群馬県内は最高気温37度を観測する、とてつもない暑さであった。
そのためか、昆虫やら小動物の活動が活発で、隠沼の周辺には、
青蜥蜴やら糸蜻蛉やら玉虫やらナナフシやら、
都会ではあまり見かけない様々な生き物が跋扈していた。
当然、虫など怖がっている人など一人も居らず、やぶ蚊を叩きながら、
みな句作に熱中していた。

日射病、熱中症の人など出ず、句会は無事に済んだ。
参加者の大半がご高齢の方々だったが、むしろ町の若者よりも頑丈である。
私は全然集中できず、句の出来栄えも惨憺たるものだったが、
他の作品から学ぶところが多かった。
薄暗い厠の中で用を足していて、ふと大きな竈馬に足を這われた時には、
流石に背中に寒気が走り抜けた。
いささか取り乱して、慌ててそいつを振り払ったが、
町へ降りて来てみればなんとも笑える光景であった。