636声 幻のちんちん電車

2009年09月27日

「フウォーン」
と、あれはおそらくSL「奥利根号」の音であろう。
この列車は、高崎駅と水上駅間を行く、臨時列車だと記憶している。
住まいのある旧群馬町で聞こえるので、
新前橋駅から前橋駅あたりを走行中の汽笛と思われる。
車が行き交い、住宅が立ち並んだ現代でも、音は随分と響くものである。
それらが未だ整備されておらず、周囲が田ばかりの、SLが現役で動いていた時代には、
さぞや遠くまで響き渡っていた事だろう。
群馬県内において、明治から昭和時代を生きた人程、
鉄道を身近に感じていたのかも知れない。
逆に言えば現代、若者ほど鉄道離れが進んでいると言う事である。
鉄道離れと言えば、私が「東武伊香保軌道線」の存在を知った時は、衝撃を受けた。
私が住んでいる生活圏に、過去、路面電車が走っていたのである。
この伊香保軌道線は、明治から昭和初期の間、高崎駅と前橋駅前から、
渋川を経由して伊香保までを結んでいた路面電車。
その存在を、全く知らないで生活して来た。
現在、この幻の路面電車がもし残っていれば、
これほど観光資源になる路線は県内に類を見ない。