685声 菊正宗とカツ丼

2009年11月15日

週末の雨天から一転、本日は穏やかな冬晴れ。
これから第11回ワルノリ俳句ingに出掛けるところだが、
まさに、ハイキング日和の気候である。
行程は、中央前橋駅から大胡駅まで、上信電鉄に乗って行き、
大胡駅から銭湯「東湯」まで歩いて行って湯に入って帰って来る。
と言う、今回は単純明快なものなのだ。
当然私などは、何処かの赤提灯で引っかかるのだがら、
家を出掛ける前に、本日の更新分を書いてしまおうと言う魂胆で書いている。
冬は、一杯ひっかけてからが、眠くなって仕様がない。
昨日もそうだった。
千葉県は市川市の、京成八幡駅。
京成電鉄の上野駅から、快速で4,5駅も行けば着く、東京都に程近い都市。
小岩から江戸川を越えた先。
と言った方が分かりやすいかもしれない。
昨日は其処へ行って来た。
勿論、目当ての場所があっての事。
其処は、駅のすぐ目の前にある、「大黒屋」と言う和食の店。
永井荷風が、最晩年に行きつけだった店で、
亡くなる前日まで食べていたと言う、店なのだ。
その店には、現在「荷風セット」なるメニューがあると言う事で、
早速食べに行って来たと言う次第なのである。
カツ丼に上新香と日本酒一合。
これが、永井荷風御用達である、荷風セットの内容。
店に入り、荷風セットを注文し、カツ丼をつまみに一献。
しばし、耽美的な時が流れる。
ぼんやりと、虚空を見つめていると、女将さんが声を掛けてくれた。
「先生はいつも、この角の席に座って、食べてらしたんですよ」
そう、私は偶然ながら、永井荷風の定位置に腰掛けて居たのである。
菊正宗の熱燗で赤身の差した顔。
ぽわーんとして、「お雪…」などと呟きつつ、店を辞す。
「荷風の散歩道」なるタペストリーが掛かった、界隈の商店街を歩いてから、
駅へと戻った。
商店街の古本屋を覗くと、やはり荷風作品が並べてあり、
断腸亭日乗などが埃を被ったまま、店頭に並んでた。