この文章の筆者は、近頃、慢性的に胃の痛みを感じているようだ。
毎食後、背中を丸め、眉間にしわ寄せ、下腹部をさすっている姿を、
しばしば見掛ける。
そう言えば、筆者の生活を見るに、「腹から笑う」って事が、年々減っている様である。
勿論、生活の中で頻繁に笑顔を作っているのだが、それがどうやら、
可笑しくて笑っているのではないらしい。
つまりは、社会人の常套手段である、愛想笑いってヤツ、なのだ。
では、筆者が一日の中で、可笑しみを感じて笑う瞬間は、何時なのか。
それは、勤めを終えて帰宅し、風呂上がりの麦酒を飲みながら、
だらしなく表情を弛緩させて、ぼんやりとテレビを見ている時。
それも、大人がしばしば批判の槍玉に上げる、低俗なバラエティ番組だ。
筆者、「くだらない」って事が、好きらしい。
そのテレビを見ている時は、胃の痛みも、一時的に沈静化しているようである。
言っている間に、リモコンを手にとって、チャンネルを変える。
バンクーバーオリンピック。
ほら、フィギュアスケート男子なんて、はらはらしながら熱心に見てるから、
胃の痛みが疼き出す。
また変えて、今度は論客が多数出演している、情報番組。
相撲の横綱の品格。
オリンピック選手の服装の乱れ。
国会で巻き起こる、「政治と金」の問題。
あらら、この筆者、また下腹部をさすりながら、呻いてるよ、まったく。
テレビを消して、徐にいつもの席へ着いて、PCの電源を入れている。
どうやら、今日の「鶴のひとこえ」を更新するようだ。
キーボードを、カチカチカチカチ。
えっと、何々。
テレビよ。
テレビのバラエティ番組よ。
低俗であれ。
もっと可笑しく、もっとくだらなく。
そう、もっと馬鹿で、もっと下品でもよい。
低俗であれ。