779声 低俗であれ

2010年02月17日

この文章の筆者は、近頃、慢性的に胃の痛みを感じているようだ。
毎食後、背中を丸め、眉間にしわ寄せ、下腹部をさすっている姿を、
しばしば見掛ける。
そう言えば、筆者の生活を見るに、「腹から笑う」って事が、年々減っている様である。
勿論、生活の中で頻繁に笑顔を作っているのだが、それがどうやら、
可笑しくて笑っているのではないらしい。
つまりは、社会人の常套手段である、愛想笑いってヤツ、なのだ。
では、筆者が一日の中で、可笑しみを感じて笑う瞬間は、何時なのか。
それは、勤めを終えて帰宅し、風呂上がりの麦酒を飲みながら、
だらしなく表情を弛緩させて、ぼんやりとテレビを見ている時。
それも、大人がしばしば批判の槍玉に上げる、低俗なバラエティ番組だ。
筆者、「くだらない」って事が、好きらしい。
そのテレビを見ている時は、胃の痛みも、一時的に沈静化しているようである。
言っている間に、リモコンを手にとって、チャンネルを変える。
バンクーバーオリンピック。
ほら、フィギュアスケート男子なんて、はらはらしながら熱心に見てるから、
胃の痛みが疼き出す。
また変えて、今度は論客が多数出演している、情報番組。
相撲の横綱の品格。
オリンピック選手の服装の乱れ。
国会で巻き起こる、「政治と金」の問題。
あらら、この筆者、また下腹部をさすりながら、呻いてるよ、まったく。
テレビを消して、徐にいつもの席へ着いて、PCの電源を入れている。
どうやら、今日の「鶴のひとこえ」を更新するようだ。
キーボードを、カチカチカチカチ。
えっと、何々。
テレビよ。
テレビのバラエティ番組よ。
低俗であれ。
もっと可笑しく、もっとくだらなく。
そう、もっと馬鹿で、もっと下品でもよい。
低俗であれ。