785声 ホースリールは蛙天国

2010年02月23日

温暖であった。
今日終日、風も穏やかで春の温かさが街を包んだ。
明日も、関東地方の気温は二桁になろうかと言う温かさなので、
早咲きの河津桜も、今週末あたりで散り始めてしまうのではなかろうか。
そして、「河津」は「かわづ」でも、田圃の「蛙」の方も、そろそろ姿を表す頃。
桜も蛙も、どちらも春の季語である。
そう言えば、正月。
暇を持て余し、久しぶりに自家用車でも洗おうと、
庭のホースリールから、ホースを伸ばした。
ぐるぐる巻きになっているホースの先端部を掴み、力一杯、引っ張る。
リールが回転し、リールから解かれたホースが出てくる瞬間、
何やら小さい物体が、2、3跳ね跳び、地面に落ちた。
手を止め、近づいて確認してみると、蛙。
体長3、4cmのヒキガエルである。
冬眠していた為か、その動きはよろよろと敏捷性を欠いており、
体の色も、セメント色をしていて艶が無い。
「こりゃ失敬」
慌てて謝罪をし、蛇口をひねってホースの水を浴びせてやった。
蛙たちは、しばし驚いたような顔をしていたが、真ん丸な目を2、3回瞬きすると、
水道の影、じめついた暗がりへ、ぎこちなく跳ねて行った。
明朝あたり、ホースリールからあいつ等を叩き起こし、
我が俳句創作の餌食にでもしてやろうかしら。