790声 雨上がりの朝

2010年02月28日

「今、みんなで読んでますよ」
とか、
「よく撮れてるねぇ」
とか、
「いや、ありがとうさんね」
など。
郵送してあった本が、この週末、一斉に届いてくれたようで、
私の元に、数軒の銭湯の方々から、続々と連絡が寄せられている。
「かえって迷惑になるのでは…」
と言う、自らのお節介根性への煩悶が、胸の奥で小さな塊になっていた。
電話口から聞くそれらの声に、その塊が、徐々に氷解してゆく感覚を覚えた。
そして、今度はカメラやメモ帳は置いて、手拭一枚持って再訪しようと、心に決めた。
「こちらこそ、ありがとうございました、では、ごめんください」
電話を切って、ふと、窓の景色に目をやる。
先程まで、驟雨を降らせていた鉛色の雲間から、直線的な朝の陽。