795声 桐生人

2010年03月05日

「後は振り返らず、前だけを向いて歩いて行く」
その銭湯の店主は、お猪口の冷酒をさらりと飲み干してから、そう言った。
ここは桐生市の銭湯。
それも、食事のできる銭湯なのである。
毎度、桐生市に来ると感服して帰路につく事が多い。
街中を歩くと、県内でも、独自の文化形成をしている面白い街だと、感じる。
それは、「桐生」と言う土地が育んだ、「桐生人」と言う、
固有種類の人たちの影響ではなかろうか。
と思わせてくれるほど、桐生生まれの桐生育ち、根っからの桐生っ子、
つまりは「桐生人」の人たちが、面白いのである。
「どう面白いのか」
と問われれば、いささか口籠ってしまうが、一口に「活力」が違うのである。
多種多様で突拍子もないイベントをやっていたり、
街のど真ん中で、八木節を三日間も踊り狂ったり。
お節介、と感じられると思いきや、センスが良いので、嫌味な感じがなく、
結果、もてなし上手と言う印象を受ける。
そうなのだ、本町通り周辺の幾つかの施設なんて、抜群にセンスが良いではないか。
それは勿論、銭湯も然り。
そして今宵も感服しながら、帰路についた。
もし、桐生市の何処かの銭湯へ入浴する機会があったなら、きっと読者諸氏も、
私と同じように、感服を禁じ得ないだろう。