814声 踏み止まれ

2010年03月24日

春霖。
冷たい雨が、身にこたえる。
なんとも、爺臭い事を言っているが、いささか体調が芳しくないので、
そう感じる。
今日は、小、中学校の終業式。
だと気付いたのは、昼時に入った、飲食店での事。
郊外に大型駐車場を持つ、その和食レストラン兼和風居酒屋は、大混雑。
その客の大半が、両親と一緒に来ている、制服の少年少女たち。
つい先程、終業式を終えて来たのであろう。
そして、どうも今日は、様々な事がある日に当たったもので、
その店は、今日から昼時間帯のみ、生麦酒中ジョッキが5円なのだと言う。
そう言うキャンペーンが始まるのだと、店員女史がそっけなく教えてくれた。
それを知ってかいまいか、会社の有給であろう終業式帰りのお父さん、
意気揚々と、生ビールを注文している。
それにしても、酒を飲むのに、誂え向きの口実が整っている。
背中を丸めて、うどんを啜っている、私の横。
お盆に載った生麦酒が、行ったり来たり。
あっちの席。
上機嫌なお父さん、それをたしなめるお母さん、我関せずで携帯をいじくる息子。
こっちの席。
車を乗り合わせて来たのであろう、お母さん連中の小宴会。
そっちの席。
私と同じ境遇である、勤め人の職人さん、苦虫顔でカツ丼を食べている。
今日ばかりは、天気が好天でなく、体調が万全でなくて、良かった。
もし、今日が快晴で、自らの体調も万全であったなら、
私は踏み止まる事が出来たであろうか。
踏み止まる事が出来ても、「ぽんっ」と、背中を押す奴がいる。
体勢を崩しながら、慌てて後を振り返る。
見覚えのある、そいつの名前は、誕生日。
そう、今日は私の28回目の誕生日であった。