やはり、こんなにも違うものなのか。
改めてこう感じた事は、その「味」であった。
最近、夏に入ってから行きつけの食堂へ行くと、店のおばちゃんが、
私の帰り際、必ず胡瓜をくれる。
ビニール袋にどっさり、10本くらいの胡瓜。
近所の畑で朝採れた、自家栽培の新鮮な胡瓜なのである。
しかし、この胡瓜たち、形と色が、どれも見慣れない様相。
スーパーの青果売り場で見るような、細く真っ直ぐ伸びた胡瓜と違って、
太い身をぐにゃりと曲げている。
その色も、店頭に並んでいる、青々としたものでなく、全体的に薄く、
しかもムラがある。
その理由を問うておばちゃん曰く。
「じばいきゅうり」なので、そうなるらしい。
この「地這い」ってのは、文字通り、地面に這わせて栽培する方法。
当然、主流の栽培法ではないのだが、こちらの胡瓜の方が、
見た目悪くとも味が良いのだと、育ての親自ら断言していた。
確かに、齧ってみて感じるのは、普段食べている胡瓜よりも、瑞々しく、
畑の味とでも言おうか、胡瓜特有の青味が濃い気がする。
群馬県に限らず、全国では今、「伝統野菜」を売り出している自治体が多い。
「地産地消」なんて取り組みの一環として、注目を集めている。
私の住んでいる近所にも、「国分にんじん」なんて言う、伝統野菜が栽培されている。
数年前、何かの折に、「入山きゅうり」と言う、
旧六合村の伝統野菜を食べた事があるが、これも、味が濃くて美味しかった。
そして先日、キャンプに訪れた高山村。
キャンプも無事終了し、現地解散となって、独り山道に車を走らせていると、
田圃の畦道に、無人野菜販売所を発見。
ふと、食堂のおばちゃんの胡瓜を思い出し、路肩に停車して、胡瓜を一笊購入した。
「細長い瓜」ではなかろうかと思うほど、太くて厳つい胡瓜なのである。
帰って、塩で揉んでから食べると、これがまた予想通りに美味かった。
もしやと思って、ネット検索してみると、先程の「入山きゅり」と並ぶ、
「高山きゅうり」ってな、群馬が誇る伝統野菜だった。
次は銭湯ではなく野菜。
「群馬伝統野菜大全」
ってのも面白そうだ。
しかし、自らの野菜に懸ける思いから見るに、現実性は薄いと思われるが、
「伝統野菜」
これは面白くなってきそうである。