972声 子供と夏の虫 前編

2010年08月29日

今日、祖父母と話していると、話の分岐から、カブト虫の話になった。
この話は、祖父母と私の会話において、分岐しやすい話題の一つで、
学生時分から何度となく話している。
幼い頃の私は、カブト虫やクワガタ虫が好きだった。
と言う、孫の思い出話なのだが、祖父母はこの話が好きなのだ。
会話中に出て来る、カブト虫やクワガタ虫の呼称。
それが特徴的で面白い。
先ず、カブト虫は、雄が「カブト」で雌が「マグソ」。
次にクワガタ虫だが、ミヤマクワガタは「へータイ」。
それ以外は全部、「クワガタ」と呼んでいる。
これは、方言による地域変名なのだろうが、カブト虫やクワガタ虫は、
地方によって様々な呼称が付いているので、面白い。
私の住んでいる地域で変わった呼称と言えば、ノコギリクワガタ。
その小型なものは、(それが大きくなるのかは分からないが)
角(大あごの事)が湾曲しておらず、直線的になっている。
それを、「バリカン」と呼んでいた。
他にも、クワガタの雌は総称して「ブーチン」だった。
よって、ノコギリクワガタの雌ならば、「ノコのブーチン」となり、
ヒラタクワガタの雌ならば、当然、「ヒラタのブーチン」となる。
後は、カブトムシの雌には、「ブタ」と言う、
いささか申し訳ない呼称が付いていた。
人気のカブトムシの雄は、時々、全体が赤身がかっているものがいた。
コイツは、「赤カブ」と称され、より一層、子供たちの間で珍重されていた。
そして、赤身がかったものは、ノコギリクワガタにもいて、これも同様であった。
異常に蒸し暑い今宵は、橙色に輝く半月。
カブト虫は樹液を吸い、私は道草を食う。
紆余ならまだしも曲折、しつつまた明日。