日刊鶴のひとこえ

この鶴のひとこえは、「めっかった群馬」に携わる面々が、日刊(を目指す気持ち)で記事を更新致します。担当者は堀澤、岡安、すーさん、坂口、ぬくいです。この5人が月替わりで担当しています。令和6年度は4月(ぬ)5月(岡)6月(す)7月(堀)8月(坂)9月(ぬ)10月(岡)11月(す)12月(堀)1月(坂)2月(ぬ)3月(岡)の順です。

1550声 春嵐

2012年03月31日

今夜はまた、お祝いの席に行く事になっている。
お祝い、などは単なるきっかけとして、
皆があつまる機会ができる事が嬉しい。
いい歳になって来ると、そう言う「機会」がないと、
皆が中々集まりづらいようである。
若い頃のように、「何とは無しに集まって」と言う事が、
どんどん減って来る。

私は掛け値なしに集まると言うのが好きだが、
そうも行かないらしい。
今日は俳句に関する集まりであるが、
皆が皆、俳人と言う訳ではない。
その方がむしろ、気が楽でもある。
俳句の好きな人間が、十数人も集まって飲みながら俳句の話を始めたら。
想像しただけでも、ゾッとする。
はじめの間は麗らかな春の日差し、その内だんだん、春嵐。
大抵は、今日の天気みたいに、そうなるだろう。

【天候】
朝は曇りがちにも穏や、その後、雨風共に強く、春嵐。

1549声 朧月

2012年03月30日

昨日は定例の句会だった。
メンバーのひとりは体調をくずして欠席だったが、
春の風邪と言うのも、なんだかオツな感じがした。

夜なので、春の灯やら春の月あたりを中心に作ろうと思い、
外に出て夜景の見える所まで歩いた。
丘の上からは、榛名山の麓の伊香保の灯が望める。
春の夜風に触れ、濡れた様に瞬いていた。
月は朧の中にあって、光はその中に閉じ込められていた。
形も分からぬほどの朧月は、見ていて飽きなかった。

句会では、自分の朧月の句の一つに人気のものがあった。
並んだ句からは、ほのかに艶っぽく、やわらかな、
春らしい雰囲気が溢れていた。
句会の最中、また終わった後でも皆の笑顔が絶えなかった。
今や遅しとさくらを待つ心が、そうさせているのかもしれない。
そう言えば、お休みした人の俳号も、「さくら」が付いている。

【天候】
終日、穏やかに晴れて、麗らかな一日。

1548声 磯部湯

2012年03月29日

今日、前橋市千代田町にある銭湯が、のれんをおろした。
「磯部湯」と言う、味のある素晴らしい銭湯だった。

前橋市街地の酒場へ出掛ける前などは、
ここでよくひとっ風呂浴びてから出掛けた。
四時頃行くと、常連さんがいて、湯上がり。
テーブルに置いてある飴をなめながら、たまに話した。
話しこんでいると、きまって、女将さんがお茶を入れてくれた。

じっこうの薬湯と、河川の図柄のペンキ絵。
丁度、西日が当たって、光と影が混ざり込んでいる、
あの幽玄な浴室の景色が思い出される。
惜しいと、思う。

【天候】
快晴の一日。

1547声 花を待つ

2012年03月28日

今日、市街地の公園を通ると、何やら屋台が設営されていた。
ここのところ、ニュースでは毎日、西から花の便りは寄せられている。
群馬県でも、いよいよ花見の準備が始まったようである。
橋の下では、数人集まって、花茶屋の普請を急いでいた。
週末辺りには、初花を見つける事ができるだろうか。
それは、俳句を始めてからの事だが。
なぜだか。
なぜだかいつも、さくらの開花を待つ心が、そわそわする。

【天候】
雲多くも終日、快晴。
一時、微弱なるお天気雨。

1546声 花から花へ

2012年03月27日

三寒四温の暖かい方だったらしく、ぽかぽか陽気の一日だった。
桜の蕾も大分膨らんで来た様子。
慌てて、通りかかった梅林で梅の句を作ったりした。

正午の梅林はとても静かだった。
山村暮鳥の「梅」と言う詩が思い出された。
小さな梅林の中へ入り、混雑している枝枝の花と空を、
ぼんやり眺めていた。
梅の花に近づいてみると、蜂が多いことに気が付いた。
花から花へ、羽音も無く渡って行く。
その様を描写して、人に怪しまれる前に梅林から出た。

【天候】
終日、快晴。

1545声 なのはな

2012年03月26日

今日、「あれ」っと気が付いた。
田圃の遥かに、菜の花の一列が揺れていたのである。
思えば、来週あたりが関東の桜の開花時期なので、もう菜の花の時期。
菜の花の鮮やかな黄色と、桜の花の淡いさくら色とのコントラスト。
そんな春ならではの幽玄な景色が、いまから楽しみになって来た。

菜の花で思い出すのは、蕪村。
ではなく、俳句にのめりこんでからもやはり、私にとっては暮鳥である。
純銀もざいくを読んだ時の衝撃は、今尚、深く残っている。

【天候】
終日、快晴。

1544声 春のボート池

2012年03月25日

三月後半としては、寒かった今日。
前橋市の敷島公園で、吟行および句会をして来た。

集合場所のボート池へ着くと、対岸の池の傍でさくらさんが句作していた。
じっと池の面を眺めているので、直ぐに分かった。
「春の水」か「残る鴨」あたりで作っているのだろう。
そう思ったが、池には所狭しとスワンボートが出ていたので、
ぼんやりと楽しげなその春景色を見ていたのかも知れない。

さくらさんから、公園内に散らばっている今日の参加者へ、
吟行しつつ順々に挨拶して行く。
球場の方では野球の試合でも行われているのであろう、
随分と熱の入った応援が、春風に乗って聞こえる。
「春寒し」、といった具合だが日差しには春の暖かさがあった。
ベンチに座って、のんびりと句帖に書き留めて行く。

吟行時間の終わりに、一本散り始めている梅の木があったので、
その白梅の花の下で、一二句作って句帖を閉じた。
句会は近くの喫茶店で行い、「喫茶店」よりは「カフェ」と言った雰囲気だったので、
みな極力小さくなりながらの句会となった。
ボート池の楽しげな様子の句と、広場のシャボン玉の句が人気だった。
日が暮れ始める前に終わり、喫茶店の外へ出ると、風は既に夜の冷気を帯びていた。
肌寒さを感じつつ帰る公園内には、さっきまでの人出が一挙に消えており、
松林には空しく夕日が入り込んでいるばかりだった。

【天候】
終日、快晴。
時折、山から雪雲が流れ込み、日陰ると寒くなってしまうような一日。

1543声 靴を洗う

2012年03月24日

今朝は雨。
私は休日である。

靴を洗おう。
雨だけれどもそう決めた。

日々の生活の中で、中々靴を洗う時間がない。
時間は作ればあるのだが、靴を洗おうとしない。

スニーカーもサンダルも皮靴も、一色単に洗ってしまう。
靴を洗ったので、今日は出掛ける事ができない。

今日は雨なので、それもまたよかろう。

【天候】
午前中雨、その後、徐々に回復。

1542声 雨天悪化

2012年03月23日

今日は雨降りの一日。
雨が降ると、何故だか殊に、花粉症の症状が辛くなる。
それなので、今夜はほとほと、疲労感甚だしい。

雨が降れば、巷の花粉が洗い流され清浄な空気になるので、
一時的に花粉症が楽になりそうなものだと思う。
そうなのかもしれないが、自身の体の方に問題があるらしく、
何とか神経だか、どこかの器官だかの具合がよろしくないのであろう。
内在している花粉が息を吹き返す如くに、そのアレルギー反応が悪化する。
そんな訳なので、金曜の夜も未だ早い時間だが、もう寝ようと思う。

この間、電子辞書を修理に出したら、ほんの少しの修理で、
思いがけず一万二千円もかかってしまった。
それが利いているのかもしれない。

【天候】
終日、雨降りで冬に逆戻り。

1541声 形跡

2012年03月22日

もうすぐ三十路になると言うのに、
このおぼろげな生活はどうしたものかと、悩んでいる。
悩んでいるが、気にはしていない。

先日も、いつものことながら遅刻気味に自宅を飛び出して、
慌ててバスに乗って一息ついた。
先程、乗車口で取った区間券をポケットに入れようとした時に、
「あっ」と、気が付いた。
着ていたジャケットの腹部に、何やら白い石膏のような物が付着している。
付着の具合から見ると、どうやら上から垂れた形跡がある。
爪で一部を削って、凝視し、感触を確かめ、匂いを嗅いでみた。
この、そこはかとなく爽やかな匂いが鍵となって、鑑識の結果が出た。
この物体の正体は、「歯磨き粉」なのである。

揺れる車窓を眺めつつ、おぼろげな記憶を遡ると、
思い当たる節が無いでもない。
数日前、泥酔しつつ朝方帰宅した。
その際に、おそらくこのジャケットを着たまま歯磨きをし、
口からだらだらと泡を垂らしていたのだろう。
多分そうだ、と納得する頃には、バスは終点へと着いて、
その歯磨き粉の服のまま、句会へ参加してしまった。

【天候】
晴れて暖かな一日。

1540声 2012年春分の日の吟行漫筆

2012年03月21日

じゃあ、この場所に一時間後に集合。
そう言う話になって、みな、城址公園の方々へ散らばって行った。
豊かな日差しに、春めいている園内。
春休みの学生たちが、音楽に合わせてダンスを踊っていたり、
乳母車を押してゆく夫婦の足並みは、自然と揃ってゆく。

「さてどこへ」
辺りを見回したが、やはり、直ぐそこのベンチでワインを飲んでいる一団のところへ、
吸い寄せられてしまった。
素竹さんから紙コップになみなみと赤ワインを注いでもらって、
こぼさぬようにお濠の上へ登ってみた。

まだ蕾の膨らんでいぬ桜の下に腰を下ろして、お濠に溜まっている水を眺めていた。
幾時代を経て来たのか、深緑色にくすんだ水は、
そこはかとなくあやしくげな波を立てている。
しかしこれは、まぎれもなく「春の水」。
こんなあやしげな春の水の句もよかろうと思い、ちびりちびりとワインをやりつつ、
囀りの降りしきる中、俳句になるまで眺めていた。

二、三句作ってベンチまで戻ると、またなみなみとワインを注いでくれた。
仄かに赤い顔をしている素竹さんと、周辺に居たさくらさんと一緒に、
城址公園の方へ向かった。
城址公園で作ろうとしたが、その頃には酔いが回って来て、
ろくな句ができぬので、句帖をポケットにしまってぼんやり歩いていた。

【天候】
終日、快晴。

1539声 春分句会

2012年03月20日

少し、ならず酔っ払いつつ書いているので、
簡潔と言う事を念頭に置きつつ、進める。

今日は句会と祝賀会だった。
春めいてきた高崎の城址公園を、ひとしきり吟行した。
桜はまだつぼみも膨らんでいなかったが、
お濠にたゆたう水は、だいぶ温んでいる気配があった。
参加者一同の句を見るに、やはり春の訪れとともに、
心が解けてのびのびと詠んでいるようだった。
自分を含めた酒飲み連中は、紙コップでワインをやりつつ句作。
春よりも、そちらの方が心を解かせたのかもしれない。

その後は、市街で仲間に俳句の賞を頂いた祝賀会を開いて頂いた。
群馬からは、それも同じ俳句の会から三人も入賞者を出したので、
会を開く方はいろいろと大変だったと察する。
有り難い気持ちを噛み締めらなが、帰路に就いた。
帰る頃には、髪をなびかせるほど夜風が強く吹いていたが、
酔い覚ましには丁度良かった。

【天候】
終日、穏やかな春分の日。

1538声 花おそげなる

2012年03月19日

「桜はいつごろかなぁ」
筆を置き、一休みしながら素竹さんと雑談していたら、初花の話になった。
窓の外は雨。
春の雨、と言うにはちと冷たすぎる雨であった。

俳句をやっているもの、のみならず、日本の巷ではそろそろ、
桜の話題が出て来る頃だろう。
店頭に並んでいる旅行雑誌類の表紙では、はや、桜満開である。
しかし、天気予報などを見ていると、今年ほ桜の開花は、例年よりも遅くなるらしい。

桜と言えば勿論、西行法師である。

吉野山桜が枝に雪散りて花おそげなる年にもあるかな

この桜は当然、まだ咲いていない。
開花が遅れたら遅れたで、花を待つ、その心を詠めばよい。
この歌からそう学んだ。

【天候】
終日、風強くもまずまず晴れ。

1537声 墨と筆

2012年03月18日

昨夜の、と言うか今朝がたの深酒から一夜明け。
幸い、二日酔いがそれほどまでに深刻でなかった。
寝不足ではあるが、さっさと用意して出掛けねばならぬ。
耳の奥にまで昨夜の喧騒が残りつつも、車を走させた。

素竹邸へ到着すると、もうさくらさんが達筆な字をすらすら書いていた。
取り合えず、見よう見まねで、素竹さんに刷ってもらった墨に筆をつける。
思えば、墨に筆をつけるのなんて、二十年ぶりくらいではなかろうかと思う。
つまり、小学生時分からまともに筆で文字を書いた事が無い。

さらさら、すらすらと、色紙に句を書いてさくらさんは颯爽と帰って行った。
その横に、自分の句を書かなくてはならない。
正直、下手くそで笑ってしまうくらいの腕なので、
心血を注いで一字一字書く他は手が無い。
人に進呈する物なので、自分にできる事はそれが最善であると、
開き直って酔っ払った蛇のような字を量産して行く。

書き終えて辞する頃には夕闇が迫っていた。
当然ながら素竹さんは、生きている様になめらかに筆で動かせ、
色紙に三句目を書いて、すばやく書き終える。
小休憩から、しばらく俳句の話をしていたので、一日仕事になってしまった。
午前中には弱かった雨足が、だいぶ逞しく成長していた。

【天候】
終日、雨降り。

1536声 やさしい夜風

2012年03月17日

四次会か五次会か。
もはや判然としないが、ともかくも楽しい酒だった。

新郎新婦の覚悟と人柄が、素晴らしい人をたくさん集めた。
その升席に加えさせて頂いて、お祝いの言葉を贈る事が出来たので、
いまとてもうれしい。
春の夜に相応しい、とても良い時間を過ごさせてもらった。

夜の街を歩く。
今宵の風は、ことにやさしく吹いていた。

【天候】
朝のうちは雨、その後降ったり止んだりだが、夕方には回復。

1535声 春夜

2012年03月16日

去年の今頃は、震災の影響がまだ色濃く残っていた。
毎日の計画停電で、真っ暗な家の中に居ても仕様が無いので、
夜は外をほっつき歩いていた記憶がある。

私に住んでいる場所は郊外なので、と言うか一面の田圃なので、
街の灯からは遠い。
それでも、停電になって真の闇が現れたような印象を受けた。
煌々と照る春の満月が、とても綺麗だった。

いまは、停電などもなく、それまでの生活に戻っているが、
外をほっつき歩いて、夜空を見上げる事も無くなってしまった。
そろそろ暖かくなって来たので、春の夜の句を、作っておこうと思う。

【天候】
終日、風強くも晴れ。

1534声 白旗

2012年03月15日

もう、白旗を振っているのに、一向に攻撃の手を緩めてくれない。
なので、私は終日、涙を流していた。
ついでに、鼻水も流して、目を擦り、目薬を差した回数は忘れてしまった。

猛威。
今日の花粉は、まさにそれであった。
花粉のおかげで思考の方も茫々となり、いま振り返っても、
一日の記憶がおぼろである。
それでも、「花粉ごとき」と言う気持ちがあるので、薬は飲んでいない。
飲めば、幾分かこの苦しみから解放されるかもしれない。
しかし、銭湯の熱い湯みたいに、徐々に体を慣らして行けば、
いつしか悠々と過ごせるのではなかろうか。
そう言う望みを持っている。 

花粉症は、一度治れば抗体ができるような類のものではない。
それは分かっているが、まだ治る方法も分かっていないのだから、
そう言う望みが全く無い、とは言い切れない。
まぁ銭湯でも、どうしても熱くて、指一本浸かれない湯もあるのだけれど。

【天候】
終日、晴れて風強し。
花粉大量飛散。

1533声 卒業子

2012年03月14日

昨日、今日は卒業式だった学校が多かったらしい。
卒業式を一次会とすれば、おそらく二次会、三次会なのであろう。
街のカラオケ店やファミレス、お好み焼きのチェーン店の駐車場には、
夥しい数の自転車。
自転車の様相を見るに、カラオケは高校生、お好み焼きは中学生であろう。
現代で言うところの卒業の歌を思い浮かべたが、流行歌に疎いので、
思い浮かんでさえ来なかった。
中学生が皆でお好み焼きと言うのは、なんだかぴったり合っている気がした。

この時期になると、さて、自分の若い頃はどうであったか。
芭蕉の、「さまざまのこと思ひ出す桜かな」ではないが、卒業子たちを見ながら、
ふと思い出に浸っている瞬間がある。
あれはたしか、大学の卒業式だったか、最終的に焼鳥屋でホッピー飲んで終わり。
と言うコースだった記憶がある。

【天候】
終日、麗らか。
夜9時過ぎ、千葉県茨城県で震度5弱の地震。