日刊鶴のひとこえ

この鶴のひとこえは、「めっかった群馬」に携わる面々が、日刊(を目指す気持ち)で記事を更新致します。担当者は堀澤、岡安、すーさん、坂口、ぬくいです。この5人が月替わりで担当しています。令和6年度は4月(ぬ)5月(岡)6月(す)7月(堀)8月(坂)9月(ぬ)10月(岡)11月(す)12月(堀)1月(坂)2月(ぬ)3月(岡)の順です。

1573声 冷たいワイン 前編

2012年04月23日

週末からことに冷え込んでいて、月曜日の今、
部屋にいるのだが、セーターを着ている。
それほど寒いと、飲んでいる麦酒の味もなんだか精彩が欠けており、
後味が悪い。

後味の悪さで思い出したのだが、確か一月位前。
四月からの新生活を機に、故郷の高崎市を離れ、
東京で暮らすと言う男の友人と、ちょっとした送別を兼ねて飲んだ。
友人の趣向で、イタリアンレストランなる店に行った。
そうは言っても、郊外の小さなパスタ店と言った風の店舗で、
敷居はそれほど高くない。
店内の雰囲気も良いのだが、よれよれのシャツと破れ掛かったジーンズ。
と言う自分の格好が、何だかその雰囲気から浮いている様に感じた。

まず麦酒を注文したのだが、ピルスナーグラスでもない何だかやけに細長く、
小賢しい印象のグラスでやってきた。
一口で飲みほし、直ぐさま、いささか観念しつつ手頃なワインボトルを注文した。
ワインが運ばれて来て、その店員に先程の小賢しいグラスは下げてもらったのだが、
この女店員がグラスよりも更に小賢しい印象であった。
鼻が高く整ったその顔立ちには、日本人放れした美しさがあるのだが、
その瞳の奥には、ぶっきらぼうな冷たさが感じられる。
ここがこう、と言う目立った行動ではなく、その所作ひとつひとつから滲み出る。
と言った風の、何だか侮蔑の色合いを持った印象である。

何だか、くどくどと長くなってしまったので、続きはまた明日に。

【天候】
終日、小雨。

1572声 千本桜

2012年04月22日

赤城南面千本桜を観に行って来た。
朝から小雨模様の曇天で、花冷えしているせいか、
道路は割と空いていた。
それでも、桜並木のある公園へ車を停める際には、長い車列を免れなかった。

千本桜と形容される桜並木の横は、芝桜やトイレなどがある公園になっていて、
ブルーシートを出して、花見をしている人もちらほらいた。
土地柄、車でしか交通手段が無い事と、この花冷えの天気によって、
いささか寂しい人出に見えた。

桜並木の下には、びっしりと屋台と人がひしめいていて、活気があった。
うどんやもつ煮など、あたたかいものが特に売れており、かき氷の屋台には、
店主さえいなかった。
アスファルトの中の桜よりも、山の土に生きる桜の方が、
なんだか気持好さそうに咲いているように見えた。

【天候】
朝は曇り、午後より小雨。

1571声 花冷え

2012年04月21日

花冷え。
よりも、いささか深刻な寒さに包まれていた。
東北の方は、やっと桜が開花し始めたとの報道を目にしたので、
今年は長く桜を楽しめるかもしれない。

群馬県でも山間部ではこれから、いよいよ山桜のはなやぎ。
赤城山の千本桜は、この週末で満開になっているらしい。
いつも、風の噂にその美しさを聞いている。
そう言えば、赤城山と榛名山。
その両方の麓に住んでいるのに、満開の千本桜を見た事が無い。
明日あたり、行ってみようか。
渋滞による大混雑を思うと、いつも足が遠のいてしまうが、
心は花に引き寄せられてしまう。
そのせめぎ合いと、明日の朝、花の魔法にかけられているか、どうか。

【天候】
終日、曇天。

1570声 春の夜風

2012年04月20日

夜。
少し時間があったので、近所を散歩した。
どんよりと朧の中に月があって、
雨こそ降っていないが、風が濡れていた。
田圃の真っ暗闇を歩いてゆくと、
次第に、次第に、肺が潤ってくる感覚。

【天候】
終日、薄曇り。

1569声 金の髪

2012年04月19日

今日の昼過ぎ。
高崎市街地から国道17号線と交差する、十字路の信号で停車していた。
その先には烏川を渡る「君が代橋」が架かっており、
向こうに見える観音山まで眺望が開けている。

自転車を二人乗りしながら、女子高生が交差点を渡った。
まだ昼の時間なので、授業をサボって遊びに行くのかと、
赤信号からぼんやりと彼女たちに目を移した。
何だか楽しそうに、笑いながらふらふらと自転車を漕いで行く。
荷台に乗っている娘の髪の毛は、ロングの金髪であった。
ゆるゆると風にそよいで光っている様に、「風光る」と言う、
まさにそんな印象を受けた。

気付くと、信号は青になっていて、
前の車との車間距離が随分と空いてしまった。
急いで発進。
振り向けば、彼女たちはもう橋の中腹を渡っていて、
どんどん小さくなっていった。

【天候】
終日、快晴。

1568声 新しい生活

2012年04月18日

新しい服を買って、それを着て、出掛けてみようと思う。
春なので、そうしようと思う。
それだって、新しい生活のひとつだから。
そうしようと思う。

【天候】
終日、春うらら

1567声 朝の雪柳

2012年04月17日

巷の桜はおおかた散ってしまったが、
庭では雪柳が満開を迎えている。
軽やかにそよいでいる雪柳の姿は、とても清々しい。
起床して、一日の楽しみはまず、窓のさえずりからはじまる。
カーテンと窓を開け、部屋に目一杯、風を入れる。
庭に、朝日の中に雪柳がゆれている。

【天候】
日中、晴れ。
夕方から曇り。

1566声 花の宴の小句会

2012年04月16日

境町での句会が終わってから、
この日は地元の方に音頭とって頂いて、宴席を設けて頂いた。
先日発表された賞に、私を含めた三人が入ったので、そのお祝いである。
私に関しては、年齢差が五十もある先生がたもいらっしゃるので、
この機会に名前を憶えて頂けるいい機会だと思った。

注いで注がれて、宴もたけなわになった頃。
誰かがぽろりと、「じゃあ、三句くらいでやるか」と始まった。
「やる」と言うのは、もちろん句会のことで、三句出しでひと句会やろうと言う事である。
短冊や用紙は、昼間に句会をやっているので、もちろん持っている。
特に席題など無く、十分くらいで三句出して、ちゃっちゃと進めて行く。
一番働いているのが、私とさくらさんと言う、祝われる人間であることは、みな忘れているが、
私に関しては遥かに一番下っ端なのでしょうがない。

「これ誰の句、いないの、誰、誰」
なんて場面もあり、素竹さんは半分寝ながらも鋭い選句をし、一先ず無事に終了。
ふらふらと、境町から帰って来た。
帰路の途中でも、女性陣の元気には恐れ入った。
女性がほろ酔いで元気な様子は、いかにも、春の宵にふさわしい光景であった。

【天候】
終日、うす曇り。

1565声 花吹雪句会

2012年04月15日

飲んで帰った日は、(何を書くかわからんので)流石に更新を控えている。
昨日もそうで、それを一日たった夜、つまり今、書いている。

昨日は吟行と句会と宴席と言う、予定が盛り沢山な日だった。
予定が盛り沢山なのだが、非常にゆったりとした一日を過した。
それには、参加者がみなご高齢だった事が大きく起因しているのだろう。

いつもの事ながら、句歴何十年と言う先輩方にまじっての句会。
すきっと晴れた朝。
新前橋駅から伊勢崎駅、そこから東武鉄道へ乗り換えて、境町駅へ。
境町の駅から太田市の東照宮へ、地元俳人の方々に送迎してもらった。
境内は、花吹雪の真っ盛りで、何だか浮世離れした景色であった。
到着して、五分も経たぬ間に、えりさんがバッグからワインのボトルを取り出して、
紙コップに注いで配りはじめる。
当然の事のような顔をして、一部の人たちが(私もそうだが)ぺろりと飲み干す。
この時点で、朝の十時前。

昼ごろ公民館へ移動して句会。
この日の特選は、やはり花吹雪を詠んだ句だった。
お昼の時にタッパーに入れた、自家製の漬物を配っていたおばちゃんの、
どこからこんな叙情的な句が生まれるのか。
不思議に思ったが、その「不思議」が、とてもうれしい。
その不思議が好きだから、この場で俳句をやっているのかも知れない。
などと、特選の方に拍手を送りつつ考えていた。

【天候】
終日、快晴。

1564声 水面の花明り

2012年04月14日

「えい」
っと勢い良く起床してはみたものの、寒い。
おまけに外は、雨脚が強い。
みるみる熱が冷めて、午前中は部屋でぐずぐずしていた。
それでも、力を振り絞って靴の紐を結び、ボタンを押した。
「バッ」
っとジャンプ傘が開いて、ようやく、花見に出掛けた。

バスへ乗って遠くまで。
と言う計画は白紙にして、車で近所の公園へ向かった。
これが正解だったようで、人気の無い雨の公園内には、
浮世である事を忘れさせてくれるような、幽玄な桜があった。
湖に映る、花明り。
雨が散らした花弁が敷き詰められた、遊歩道。
ぽつりぽつりと句を作りながら歩いたが、花冷えもきつく、
小一時間で引きあげてきた。
そして、夜半には懲りずに酒場へ。

【天候】
終日、雨。

1563声 花人

2012年04月13日

やっと咲いたと思ったら、今日は早くも桜が散り始めていた。
「花吹雪」
とまでは行かないが、一二片の花びらを風が奪い合っていた。
今日見た桜で、特に目を魅かれたのは城址公園の桜であった。
こう書いても、ごく狭い範囲の人にしか伝わらない。

城址公園はその名の通り、高崎城の址を整備した公園である。
石垣と門、乾櫓などが残されており、
お濠の周りにはぐるりと桜が植えられている。
苔むした石垣の上から、大きく散る桜は壮観。
幾時代を経て来たのか、あのお濠の暗い水に映る、
幻想的な夜桜も捨てがたい。

しかし、もって後二日位だと思っているので、
向こう二日は句帖片手に花人となり、街を徘徊するつもりである。

【天候】
午前中は風強くも晴れ。
その後、下り坂で夜から雨。

1562声 雨の花見句会

2012年04月12日

昨夜の話。
前橋公園での夜桜吟行を終え、参加者の方が取っておいてくれた、
市街地の店へ移動し、句会。
飲食店での句会は、いつものことながら、周りのお客さんたちの視線が痛い。
しかし、句を短冊に一心不乱になって書いている集団。
と言うのはやはり、異様な光景だと思う。

小さな声で句を披講して行き、無事に終了。
自分は公園での吟行時間も少なかったので、
句帖にストックしてある句を随分出した。
先生の選に幾つか入っていたので、一先ずは安堵したが、
皆の選にはあまり入っていなかった。
やはり、あの時間の夜桜に触れている時間が短かったので、
実感のある句が少なかったと、反省した。

句会が終わったら、もう次の花見の話が始まった。
俳人(歌人もそうであろうが)の花見と言うのは、
もはや「行」のようなものになっていると感じた。

【天候】
終日、風強くも快晴。

1561声 雨の花見茶屋

2012年04月11日

「ひとつ、夜桜で」
と言う訳で、前橋公園へ吟行に出掛けた。
桜は咲き満ちていたが、雨ふりだったので人出はまばらだった。
花見茶屋も空いていたし、雨の方がゆったりしっとりと花見ができて良かった。

私は遅れて到着したので、他の参加者たちはみな既に赤い顔をしていた。
生ビールとおでんで一杯やりつつ、急いで句を作って行く。
茶屋の室内には、ストーヴがたかれており、響き渡る昭和歌謡が、
いっそう花見茶屋らしくさせていた。
雨の桜も良いが、そんな雰囲気も好きなので、
その空気感を俳句詰め込んで、店を辞した。

【天候】
終日、雨降り。

1560声 春の高揚感

2012年04月10日

満開とまでは行かぬが、群馬県平野部でも、
咲いていない桜が無いくらいに蕾が綻んできた。
霞んでいる里山に、ぼんやりと浮かぶようにしてあるさくら色。
そんな光景を見ていると、そこはかとなく、胸の奥が騒いでくる。
なんだか、回り道して帰りたくなるような。
徐々にわきでてくる、ほど良い、春の高揚感。

【天候】
終日、花曇りながら暖かな日。

1559声 入学の日

2012年04月09日

全国的に、今日が入学式。
と言う学校が多かったみたいで、近所でも、朝。
フォーマルな装いの両親に手をひかれ、
フォーマルな装いをさせられている新一年生が、しぶしぶ歩いて行く姿を見かけた。
群馬県の桜はまだ満開と言う訳には行かないが、都内の方では今が満開。
全国的に麗らかな日で、よかった。

   どの子にも涼しく風の吹く日かな    飯田龍太

夏の句だけれども、初夏のような濃い日差しが降り注いでいた今日。
入学式へ向かう、まだ頼りない子供たちを見ていて、この句が浮かんできた。
子の親になった事の無い私は、この句を本当に味わえているのかなとも思った。
子供たちの傍らには、自分とほぼ同世代くらいの親たちもいるようだった。

【天候】
終日、晴れて汗ばむ気温。

1558声 花の魔法

2012年04月08日

弓を射る如くに、近所で鶯の声が飛び交っている。
鶯が鳴いて、桜が咲いて、いよいよ春もたけなわになってきた。
昼のあたたかさに釣られ、うかうかと花見に出掛けると、
夕方になってからの花冷えにやられてしまう。
そう言う事を、もう幾度も経験していて、時には体調も崩してしまう。
それでも、いつの時代も人が春服で花見に出掛けたくなるのは、
やはり花の魔法なのであろう。

【天候】
終日、風強くも暖かな一日。

1557声 はなのじき

2012年04月07日

桜の季節到来で、巷はなんだかそわそわしている。
去年の今時期は、このそわそわの中で、鼻の骨を折っていた。
それは、前橋の桜が散ってすこし経った頃。
折れた鼻を元に戻す為、手術入院した頃は、ゴールデンウィークの手間だった。
病室から眺める街は、桜の時期のにぎわいとは少し違った、
若葉萌え初めるにぎわいが感じられた事を憶えている。
まさに、「風光る」と言う印象を受けた。
さて、今年も「はな」の時期が来て、どうなることやら。

【天候】
終日、風強くも快晴。

1556声 桜前線到来

2012年04月06日

昨日の暖かさで、首都圏の方はもう桜が八分咲と聞く。
明日の土日から、いよいよ本当の花見シーズンが到来する。

となると、群馬でも来週末辺りが、満開だろう。
今年は、いささかおそろしいくらいに花見句会の予定が入っている。
花見句会と言うのは、酒が付きものなので、
一歩間違うと収集の付かぬ事態になる懸念がある。

満開の桜を見て、そしてまた、句会で満開の桜の句を読んで、
まさに花づくしで、めでたいのだが疲れる。
それにゆったりと浸かれるくらいでなくては、風流には遠いのだろう。
さて、忘年会シーズンについで、無事に乗り切れるか不安な一月である。
ひとまず、桜の佳句が生まれる願って、乾杯。

【天候】
風吹いて寒い一日。
季節が一月戻ってしまった感が、ある。