日刊鶴のひとこえ

この鶴のひとこえは、「めっかった群馬」に携わる面々が、日刊(を目指す気持ち)で記事を更新致します。担当者は堀澤、岡安、すーさん、坂口、ぬくいです。この5人が月替わりで担当しています。令和6年度は4月(ぬ)5月(岡)6月(す)7月(堀)8月(坂)9月(ぬ)10月(岡)11月(す)12月(堀)1月(坂)2月(ぬ)3月(岡)の順です。

1122声 紙キャップ

2011年01月26日

銭湯へ行く事の楽しみのひとつに、瓶の牛乳を飲む事が、ある。
現在では、日帰り温泉などでも、瓶牛乳の自動販売機があるが、
伝統的な銭湯の脱衣場で飲むてぇのが、また一興なのである。

瓶牛乳を販売している銭湯で、稀に、
珍しいメーカーの牛乳に出遭える事がある。
主に現在の群馬県内は、「メグミルク」と「森永」の二強で、
銭湯瓶牛乳界が席巻されている。
それが、私のおぼろな記憶であるが、
桐生市の「一の湯」に、地元メーカーの「田中牛乳」。
伊勢崎市の「寿美乃湯」に、「メイトー」があった。

そして、茨城県筑西市の「松の湯」に、「栃木乳業」。
埼玉県坂戸市の「越の湯」では、「コーシン牛乳」などなど。
その土地の銭湯で、一風変わった牛乳を飲むのが、楽しい。
私の鈍感な舌では、上手く感じ取れないが、当然味も、それぞれ違う。

それらの瓶牛乳は、キャップが昔ながらの紙製のものが多い。
私は、学校給食が紙パックの牛乳だったので、銭湯で初めて、
紙キャップの瓶牛乳を飲んだ。
一番最初は、その開け方に、いささか戸惑ってしまった。
因みに、大手メーカーの瓶牛乳はポリキャップなので、
「パコッ」と容易に開けられる。

あの紙キャップの瓶牛乳などもそうだが、やはり、
「昭和」を楽しめるから、銭湯は良い。

【天候】
午前中、晴れ。
午後より、風強く、雲多し。

1121声 落語の写生

2011年01月25日

昔の人である。
群馬県佐波郡境町てぇから、現在の伊勢崎市。
落語家、5代目古今亭今輔の出身地が、である。

先日、知人の方が、5代目古今亭今輔の落語CDを借してくれた。
きっかけは、私が上州弁の落語があったら、面白い。
と、書いた事にある。
「じゃあ」
ってんで、それにうってつけの落語が、この5代目古今亭今輔であった。
今回の5代目今輔の聴き所は、主人公が同じ上州出身と言う事で、
十八番としていた、「塩原多助一代記」にある。

「塩原多助一代記戸田の屋敷」。
その枕で、「私が今晩申し上げる上州弁は、100年前の上州弁でございます」
と言っているとおり、
「~べぇ」、「~だんべ」や、「ぶっちゃちゃう」。
など、その噺の中に、生粋の上州弁が散りばめてある。
上州人が聴けば、直ぐに分かる。
そして、「~がんす」、「~なんしょ」や、「~やんすから」。
など、現代の上州では、あまり聞かれなくなった方言も、多数登場する。

「言葉」
と言うのは、その人物のディティールを表現する上で、とても大切だと感じた。
上州弁によって、沼田城下から出て来た多助、「土臭さ」が、よく写生されていた。
「江戸の炭屋の下男」としての、生き様、つまり、その「生」を感じたのである。

いろいろな師匠方の「多助」を聴いたが、上州弁の多助に、
特に深い感慨を覚えた。
5代目古今亭今輔は元より、土着言葉の強い落語にも、
興味が湧いてきた。
ちと、これから、志ん生の多助と聴き比べてみるつもりである。

【天候】
午前中、雲多く、風強し。
午後、穏やかな、晴れ。

1120声 朝陽の水割り

2011年01月24日

先の週末、旧知の友人と久しぶりに杯を酌み交わした。
彼の住んでいる神奈川県と、私の住んでいる群馬県。
その中間距離をとって、埼玉県で待ち合わせた。

その彼と飲めばいつでも梯子酒。
唐突に、七五調になってしまったが、つまりそう言う事であった。
しかし、現在はお互いの年齢を鑑み、低価格な宿泊施設で飲むことにした。

男同士。
と言う、気恥ずかしさから、自然と会話も浅くなる。
その分、酒の酔いは深くなる。
気付けば、私。
どうやら知らぬ間に寝てしまった様で、起床したら、朝になっていた。

畳の上には、転がっている缶麦酒。
机に肘をついて、テレビを見ている男が一人。
白障子から入り込む朝陽に、浮かんでいる。
彼が飲んでいるのは、おそらく、水割り。
つまり、昨夜から途切れることなく、飲んでいたのであろう。

「変わってないな」
と言う部分が見たかった。
それが自分の「動機」、であった事に気が付いた。
彼を駅まで送って、帰路に着いた。
バックミラーに、千鳥足で朝の駅へと消えて行く、彼の姿が映った。
後ろ姿。
ってのは、見ない方が良い、と思った。
なんだか、寂しいから。

【天候】
朝より晴れ。
午後に雲が多くなるが、曇ったまま、天気が崩れはしなかった。

1119声 うどんの、あの味

2011年01月23日

高速道路を利用して、隣県の銭湯へ行き、入浴して、また高速道路で帰ってくる。
と言う、酔狂な試みから始まった週末が、今、終わろうとしている。
毎年恒例である新年会から帰って来て、これを記している。
おそらくこれが、私において、今年最後の新年会となる筈である。
新年会は、どの会もおしなべて陽気なのがよい。

今日の昼間は、「料理工房ほのじ」で、「第1回地粉会議」だった。
群馬県産の地粉である、「農林61号」と「絹の波」の、各種料理での食べ比べ。
その料理の中、やはり小麦粉は、うどんにすると、その違いが良く分かる。
茹でて、麺だけを何もつけずに食べ比べると、その違いが瞭然となる。
色、食感、風味など、「粉」の性質によって、まるで違う。
所謂、「現代風」な味わいを、「絹の波」の方に感じた。
そして、「農林61号」のどこか懐かしさを覚える風味が、
自分の好みだと、判明した。

その「好み」の所以は、子供時分、祖母の家で祖母と一緒に作ったうどんによる。
ハレの日に、祖母はよく、粉からうどんを打った。
うどん生地を、足で踏んで、寝かせて、伸ばして、麺にする。
その作業を祖母と一緒に進行し、自分の作った、うち立てのうどんの、あの味。
今でも、忘れがたい。
ぼそぼそでぼきぼきだったが、やはり、何とも言えない、味わいがあった。

【天候】
終日、快晴。
私見による、群馬県ガソリン平均価格、1リッター135円前後。

1118声 書店から銭湯

2011年01月22日

今日。
前橋市の書店に、『群馬伝統銭湯大全』を納品に行って来た。
こう書くと、「売れてるね」と、捉える読者の方がいるかも知れないが、
実際の売れ行きは、甚だ芳しくない。
しかし、全く売れていない訳でもない。
私自身は、「自費出版、自主流通」と言う事に、殊更、卑屈になってはいない。
だから、ひとまず、順調なのである。

本が置いてある、県内の書店、どこも。
目立つ位置に置いてくれてある。
群馬県の温泉紹介本に紛れて、銭湯の本が置いてある光景は、
自分の本ながら、反笑いを禁じ得ない。

現在、幾つかの県内書店に本を置かせて頂いているが、
よく売れる所、あまり売れない所が、顕著に表れている。
それは、その書店が繁盛しているしていない、と言う統計ではなく、
あくまで、私の本の、統計である。

その書店に訪れる、「年齢層」だと推測しているが、
その地域に伝統銭湯が身近な存在かどうか、かも知れない。
購買年齢層は、随分と高いような気がしている。

さて、もうじき夕方である。
今日もまた、銭湯へ行くつもりである。
最近、埼玉づいていいるので、それを引きづって、
埼玉県の銭湯へ行くつもり。
その地域に、どんな湯があるのか、とても楽しみである。

【天候】
終日、晴れ。
午後より、雲多し。

1117声 大寒の馬鹿晴れ

2011年01月21日

「大寒」
から一日過ぎてしまった。
昨日に、大寒の事を書こうと思っていて、すっかり忘れてしまった。
一度思い出した事を、このまま有耶無耶にするのは、
何だか気持が悪いので、今更ながら、大寒の事を書こうと思う。
しかし、大寒の事を書く。
と言う事は分かってても、はて、大寒の「何を」書こうとしたのかが、
一向に判然としない。

大寒の昨日。
そして、大寒から一日たった今日も、呆れるくらい、晴れていた。
まさに、この句を暗唱してしまうような。

大寒の馬鹿晴れにして山へ鳥   岸田稚魚

寒過ぎる。
そして、空が青すぎる、大寒の日。
澄んだ景色の中、遠くの山へ飛んでゆく鳥が見える。
やけくそ気味に馬鹿晴れした空の下、
その光景を眺めている、作者の呆れ笑いが見えるようである。

現在時刻、午前零時。
我が部屋には、スチームヒーターが付いているが、やはり大寒。
放射冷却。
か、なんか知らんけど、こりゃ寒いね、しかし。

【天候】
終日、快晴。
午後より、風強し。
浅間山、峰に雲を置きつつ、全体雪。
赤城山、山頂部に薄く雪。
榛名山、雪無し。
妙義山、雪無し。

1116声 埼玉浴場名鑑

2011年01月20日

さて、今宵の御供は。
と言っても、酒ではなく、本。
本と言うか、これは冊子、と言った方が正しい。
そして、とても貴重な、現代風に言えば、レアな冊子なのである。

タイトルは、『埼玉県浴場名鑑』。
発行元は、『埼玉県公衆浴場業環境衛生同業組合』。
つまり、埼玉県の浴場組合が、組合員に配布している冊子である。
何故それが、組合員でもない、しかも群馬県在住者の私の手元にあるか。
頂いたのである、埼玉県の銭湯のおやっさんに。

昨年、埼玉県の或る銭湯へ伺った時の事。
番台のおやっさんに、自らの活動を報告したところ、
「じゃあ、これ読む」
ってんで、番台の隅に有った、この浴場名鑑をくれた。
しかも、異なる年代の物を、1冊づつ。

A4判およそ100頁くらいの冊子で、古い方は平成11年度版とある。
以前、大胡の東湯でもおやっさんから、丁度これと同じような冊子で、
群馬県版を見せてもらった事がある。
やはり埼玉県は、群馬県に比べ、銭湯の数が桁違いに多い。
中でも、一番多いのが川口市で、何と1市に34軒も有している。
人口の数と、工業地域である事が要因と推察するが、
平成23年の群馬県全体の銭湯数28軒を上回っている。

現在はと言うと、21軒にまで減少している。
およそ12年で、13軒の減少。
つまり、1年に1軒のペースで、減っているのであるが、
全国平均で見て、割と緩やかだと感じてしまう。
他の自治体の減少数が、あまりに急なので。

頁後半部分は、浴場業界の業社広告になっていて、
銭湯に出入りする、様々な業社の広告が掲載されている。
その数がとても多い。
たしか、群馬版の広告頁は余り印象に残っていないので、
埼玉県の銭湯業界の活況が伺える。

平成11年度版を読了したら、もう1つの平成19年度版を読んで、
寝るつもりである。

【天候】
終日、穏やかな冬晴れ。
大寒。に準じて、とても寒い。

1115声 枇杷で捜索

2011年01月19日

「いちいち、苺」
いや、何とは無しに、1115声と言う文字を見ていて。

先日、郊外の住宅街を通った折、或るお宅で一本の木を認めた。
冬ざれの庭、立ち並ぶ裸木の中で、その一本だけが、
白く可憐な花を咲かせていた。
俳句的なインスピレーションを受け、直ぐにペンをとったのだが、
はて、花の名前が一向に分からぬ。
そのままペンを置き、後ろ髪をひかれつつ、通り過ぎた。

直ぐに書店へ行き、文芸コーナーで見繕って、一冊購入して来た。
「俳句の花図鑑」監修 複本一郎(尚美堂出版)を、である。
「季語になる折々の花、山野草、木に咲く花460種」
と言うサブタイトルにあるように、
四季の花が写真入りで紹介されているので、
とても分かり易い。

早速、「冬」の項を引いてみると、見付かった。
どうやら、あの庭木の花は、「枇杷の花」で間違いないようである。
「枇杷」と言うと、夏の季語で、初夏に実っている印象が強い。
しかし、その花は冬季に咲いているようだ。
日本への渡来は奈良時代から平安時代、と書いてあるから、
やはり、枇杷の花に、俳味を感じる訳である。

付随してある、例句の一つが、

職業の分らぬ家や枇杷の花  正岡子規

やはり子規は、絶妙である。
さて、私が思い付いた句は、どんなであったかが、一向に思いだせぬ。

【天候】
終日、穏やかな快晴。
満月。朝晩、良く冷える。

1114声 薬局の難攻

2011年01月18日

近頃の群馬県内平野部は、快晴続きの穏やかな日が多い。
上毛三山はもとより、周辺の山並みがやけにくっきりと見える。
空気が、乾燥している証拠であろう。

かさこそかさこそ。
かさこそかさと、掻いていた。
体を、である。

私は元来、乾燥肌なのだが、それでいて、風呂好きと、きている。
そう言う人間は、冬どうなるかと言うと、カサカサの人間になる。
なので、この時期は、体のあちらこちらが、痒い。
最近は、痒みの方が、ことに勢力を拡大し、盛大に痒み出している。
ここらで奴らの鎮静化を図らねばと思い立ち、
今日、ドラッグストアへ寄って来た。

「痒み」
と言えば、やはり、「ムヒ」。
その名が一番に浮かんだので、店内でムヒを探していると、
背後に忍び寄っていた、薬剤師。

「お客様、なにをお探しでしょうか」
と、きやがった。
「はい、ちと、体が痒いので、ムヒを、と思いまして」
「こちらがムヒになります」
「どのあたりを、刺されになりました」
てぇから。
「いや、虫刺されでなく、乾燥です」
と答えた瞬間、瞬時に薬剤師の眉間が曇って。
「お客様、ムヒは虫刺されの、痒み止めになります」
と言う指摘を受けて、私、一寸、慌てふためいて。
「そうですか、じゃあ、オロナイン軟膏を」
「お客様、オロナイン軟膏は、ひび、しもやけ、あかぎれ、
それに、きず、です」
わわわ、と、完全にとり乱してしまって。
「じゃあ、正露丸を」
てぇんで、もう訳が分からない。

結局、「メンソレータムAD」ってのを、買って来た。
気付けば、何故か、オロナイン軟膏も、一本買っていた。
とても、安かったから。

【天候】
終日、穏やかな快晴。

1113声 若手ブーム

2011年01月17日

今日、「第144回芥川賞・直木賞」、平成22年度下半期の受賞者が発表された。
と言う報道を、この群馬の片隅からなぞっているのも、どうかと思う。
しかし、この内容で書くと決めてしまったので、今日の所は書かねばならぬ。
今回は、第130回以来、7年ぶりの「ダブル受賞」であり、
マスコミ報道の苛烈が予想される。

てぇのは、今回の場合。
芥川賞は、朝吹真理子さんの『きことわ』と、西村賢太さんの『苦役列車』。
直木賞に木内昇さんの、『漂砂のうたう』と、道尾秀介さんの『月と蟹』。
130回の時の場合。
芥川賞は、金原ひとみさんの『蛇にピアス』と、綿矢りささんの『蹴りたい背中』。
直木賞に、江國香織さんの『号泣する準備はできていた』と、
京極夏彦さんの『後巷説百物語』。

130回は、2004年の事である。
強く印象に残っていのは、受賞者の年齢。
二人とも、当時の私よりも、年若だった。
大学在学中、19歳での受賞となった綿矢さんに、金原さんは20歳での受賞。
マスコミ報道は苛烈し、インターネットでも、多くの情報が飛び交っていた。
平たく言えば、ブームを巻き起こした。

その後の、彼女らの活躍は、文芸誌などを立ち読みする程度の私でも、
知っている程。
鑑みるに、今回。
『きことわ』の、朝吹真理子さんは、26歳。
年若である。
と言う事だけで、注目されるのは、どの分野でもよくないとは思う。
よくないとは思うが、その輝きは、そこにあるべき、輝きなのである。
まさに、あの時のブームを彷彿とさせる。
状況は違えど、暫く、今回の4氏の名前を、頻繁に目にすることになるだろう。
さて、どれから読もうか。

【天候】
終日、快晴。
高崎市では、時折、風花が舞う。
県内銭湯湯銭、平均360円程度。
都市部日帰り温泉湯銭、平均600円程度。

1112声 水のこと

2011年01月16日

日曜日の「三山春秋」は、特に面白い。
などと思いつつ、新聞に目を通しつつ、珈琲を一杯。
麗らかな陽が射しこんでいる、静かな朝。
これで、二日酔いの頭痛さえ無かったら。

上毛新聞紙面。
幸せ願い「おんべえや」〝七福神〟各戸を巡る。
と、題する記事が載っている。
「おんべえや」とは、中之条町入山の引沼地区で行われている、
「七福神まわり」の行事である。
無病息災や五穀豊穣を願って、どんど焼きと七福神の格好をした住民が、
朝から各戸を巡って行く。
この七福神、「めでたいな、めでたいな」巡って行くらしい。
大黒天役が、「まんだわら」と叫んで、福俵をぶん投げ、住民に福を授ける。
と言う、今書いていても、心がほっこりとする内容である。

乾いている現代にこそ、伝統行事の「水」がなければ、
住んでいる人たちだって枯れてしまう。
私の住んでいる近所でも、一昔前より、
どんど焼きなどの伝統行事を見掛けなくなった。
因果関係は無いと思うが、最近、タイガーマスク運動の報道を目にする度、
この「水」の事を考えている。

【天候】
午前中、快晴。
午後より雲多し。

1111声 偶然とおでん

2011年01月16日

ぞろ目の回。
しかし、スロットマシーンでもないので、何も出ない。
これは必然であるので、スロットマシーンのようなスリルも、さしては無い。
それとは逆に、偶然が重なるスリリングな日、と言うのがある。
それが、昨日であった。

昨夜、自身の俳句を見て頂いている先生の所へ、俳句を届けに行った。
そこに、偶然、先生の友人でもある、俳句の大先輩の方がいらっしゃっていた。
「先生、句です」
てぇと、
「じゃあ、一寸、見るか」
てんで、
その場で、二人選評が始まってしまった。
これは、ありがたいことであるが、私にとっては、中々、スリリングである。

所謂、中央の俳壇。
新進気鋭の若手俳人から、昭和史に大きな句業を残している、大家の俳人。
眩いばかりの話が、おでん屋の湯気の向こうにあった。
眩いけれど、今の私にとっては、生活で触れる四季の季題の方が眩い。

おでん酒その後はやはり梯子酒

高崎駅前で、ふと気付けば、夜空。
天気予報では、夜半から雪。
と言う事であったが、降り出す気配は無い。
時計を見る。
時刻はもう、日曜日になって数時間。

【天候】
終日、快晴。
遠くの山並みを見ると、怪しげな雪雲。
今まさに、町へ繰り出すところ。

1110声 寒の入り袖手でニュース傍観す

2011年01月14日

「管第二次改造内閣が今日発足」
ってんで、その全17閣僚の顔触れが、各マスコミで報道されている。
お歴々の顔を前に、市井の一町人として、この場において何か、
書くべき内容を考えていた。
考えていたのだが、やはり、無い袖は振れないようである。
漱石の句に、

冬来たり袖手して書を傍観す

てぇのがある。
私の場合は、そこまで粋な排味はないけれども、
そんな趣で、テレビニュースを傍観している。
因みに、四字熟語に、「袖手傍観(しゅうしゅぼうかん)」、
と言うのがあったけな。

【天候】
終日、穏やかな快晴。

1109声 ハレの思ひ出

2011年01月13日

明日は早いもので、もう小正月である。
里山では、田圃の真中に作られた、大きな左義長を見かける。

と言っても、現代の若い世代には、馴染みの薄い催事であろう。
私は、小正月と言えば成人式と連想する世代だが、現在の成人式は、
ハッピーマンデー制度によって、1月第2月曜日になった。

更に古い世代の方々は、小豆粥を連想されるかも知れない。
成人式や、小豆粥は、ハレの日の物であるが、成人式の日が動いてからは、
小正月の「ハレ」もいささか弱まった気がする。

左義長ってのは、群馬県内で言うところの、
「どんど焼き」や「道祖神まつり」である。
そう言う呼称の地域が、多い。
私の郷土も、「どんど焼き」であった。

何故、達磨を燃やすのか、何故、繭玉を焼いて食べるのか。
そもそも、この行事は一体何なのか。
そんな疑問を焼きつくす如く、燃え盛る炎が魅力的であった事を覚えている。
今、生き物の如き炎が、あの早朝の冬空に映える幻想的な光景と、
温かさを、瞼の裏に思い出している。
田圃の畦道に、近所の大人たちが、差し入れにくれた、
サイダーの箱が置いてあった。
そこからをサイダーを一缶持って、何度も振ってから、
何食わぬ顔して友達にあげた。
そいつが、缶蓋を「プシュッ」と、空けた瞬間。
それは見事な、まるで、生き物の如き炭酸の爆発。

【天候】
終日、快晴。
午後より、風強く、寒し。

1108声 田圃道と新幹線

2011年01月12日

今夜の、帰宅途中である。
車に乗って、信号待ちをしていたら、前方の闇に光を見た。
瞬間にして、光は列になり、速さとなった。

新幹線、である。
高崎駅へ向かう途中の、上越新幹線。
過ぎ去る車体には、ぼんやりと灯っている車窓が見えた。
車内、乗客の姿は、見えない。
ぜんぜんいない、気がする。
速いから、見えないだけかもしれないが。
なんだか、郷愁。

その昔、平日の早朝。
高崎駅から新幹線へ、乗って東京まで出掛けた事があった。
丁度、通勤ラッシュで、乗客の大半は、背広を来た勤め人の方々。
その中、Tシャツにジーンズの私。
あの時の車内販売の珈琲の、薫りは、格別であった。
そんな事を、高崎市郊外の田圃道の中で、
新幹線を眺めつつ、思い出した。
信号が、青になった。

【天候】
終日、快晴。
冬型の気圧配置が強まり、厳冬である。

1107声 ふたごおそろし

2011年01月11日

また、11時である。
勿論夜の、だが、確か机のパソコンに向かい始めた時刻は、
9時半頃だった。
すると、1時間半も、あれこれと、ぐだぐだ思考錯誤していた訳である。
おかげで、すっかり足の指の先から、寒さが染み込んしまった。
そいつが悪さして、先程から鼻水を引っ切り無しに流させている。

正月を終えたら、いささか、太った。
普段自宅では体重計に載らないので、微妙な体重の差が分からない。
しかし、たまに、銭湯や日帰り温泉などへ出掛けた時、
脱衣場に置いてある体重計に乗ってみる事が、ある。
そうすると、思わぬ体重の増加に気付かされる事が、しばしばあり、
自戒する事が多い。
体重の減少、と言うのには、最近ことに御目に掛からない。

平均、63、4kgなのだが、先日は65、6kgになっていた。
そして、ここ4、5日は暴飲暴食が続いているし、
ご飯も過剰摂取気味であるので、記録を更新しているかもしれない。
ご飯の過剰摂取には理由がある。

先日の新年会で会った、知り合いの方に、卵を1パック頂いた。
その卵が、「ふたごたまご」てぇ代物で、見た目からして高級そうなのである。
量販店で見掛ける、ポコペコのプラケースとは、一線を画している。
割ってみると、その名の通り、黄身が二つ入っていて、「双子」になっている。
その卵が、濃厚で、舌触りがよく、とても美味い。
ので、もっぱら、卵かけご飯にして食べている。
それによって、ご飯が進み過ぎてしまう。
と言う、状況なのである。
しかしあれは、双子だから、カロリーも通常の卵の、倍近くになるのだろうか。
そうだとしたら、あなおそろしや。

【天候】
午前中、薄曇っていたが、過ぐ晴れる。
それ以降は、快晴。

1106声 酔いは楽しき

2011年01月10日

昨夜は、良い酒。
につき、ちと飲み過ぎてしまった。

酒席に居て、杯を進める。
問題はその進め方で、話す事が無くて、黙々と杯ばかり重ねて行く。
と言う状況と、楽しく話している内に、気付けば杯を重ねている。
と言う状況とでは、断然に、後者の方が心地好く酔える。

初市の活況響く、前橋市街地の路地。
その一角の一軒の酔処。
楽しい事を話して、楽しくなっている。
時の男連中と言うのは、子供の如き、である。
午前零時の霞み行く酔眼。
その先にある光景に、そんな印象を受けた。
そして、自分も。

【天候】
終日、穏やかな快晴。
前橋市で初雪。

1105声 落語と風呂

2011年01月09日

シリーズ風呂第1弾「落語と風呂」。
って事で、「前橋荻窪温泉あいのやまの湯」へ行って来た。

「やまたけ寄席」の月例演芸会で、今回の出演は、春風亭一之輔さん。
昨年、様々な芸術賞を受賞された、気鋭の若手落語家。
個人的には、昨年開催された、「第2回若手落語家選手権in前橋」の優勝者。
としての印象が強い。
「天狗裁き」の良さ、に驚愕した印象が、今も鮮烈に残っている。

当日の演目は、「悋気の独楽」と「蒟蒻問答」。
特に、「蒟蒻問答」が聴けたのは、運が良かった。
運が良かった、と言えば、ふらりと日帰り温泉へ来て、これだけの落語が聴ける。
と言う状況自体が、とても運の良い事だと感じた。

この、やまやけ寄席の様な取り組みがあるからこそ、
落語は大衆芸能としての枝を、伸ばして行ける。
寄席落語の面白さの真髄を、改めて感じ、大いに笑った。

私は、今回のあいのやまの湯へは初めて入ったのだが、
その、設備と活況に、恐れ入った。
「湯」を中心とした、ひとつのテーマパークであった。
伝統的な銭湯ばかり入っていたので、余計、目新しかったのかも知れない。

知りあいでもある、ヨココンデの岩渕さんが、
風呂場で三助をやっていらっしゃった。
現在の群馬県内において、おそらく、唯一の三助活動であろう。
色々な人に出会え、その人たちから、色々な力をもらえた、一日であった。

【天候】
終日、快晴。
午後より、風強し。