夜、近所の日帰り温泉へ行った。
行きつけの日帰り温泉なので、風呂場での行動は慣れたものだ。
浴室へ、入ってから出るまで、風呂を楽しむと言うよりは、
流れ作業式に、一連の動作を黙々とこなすと言う感がある。
体を洗ってから、サウナへ入る。
サウナから水風呂へ入り、またサウナ。
幾度かこの往復を繰り返して、露天風呂へ入る。
露天風呂から内湯へ浸かり、最後に体を軽く流して出る。
三度の食事を取る様に、あるいは顔を洗って歯を磨く様に、
生活の一部である風呂場での行動は、自然とその所作に無駄が無くなる。
公衆浴場で、良く見掛ける常連客を見ると、皆一様に、流れ作業式入浴方法である。
その流れ作業の中で、ふと千思万考の機会を得るのが、露天風呂へ浸かっている時。
此処の露天風呂には、温泉から出る天然ガスを利用したかがり火がある。
夜空の下、生き物の如く揺らめく炎を見つめ、滔々と湧き出る湯の音を聞きながら、
湯に浸かる。
物を考えるには打って付けの環境なのである。
しかし、どう言う訳か、揺らめく炎を裸で見つめていると、どうも、太古の人間の心持になる。
太古の人間の心持がどう言うものかは分からないが、
つまりは、本能を刺激される様な心地である。
若干ではあるが、野性的な思考回路になる。
そして風呂上がり、銭湯では無いので、腰に手を当て瓶牛乳とは行かない。
決まってコーラを飲む。
今日も例外無く、自動販売機でコーラを買ったのだが、
押したボタンは普通のコーラであった。
いつもなら、ダイエットコーラだの、ゼロカロリーコーラだの、
カロリーオフの商品に手が伸びるのだが、今日は違った。
これも、かがり火効果の影響だろうと思う。
久しぶりに飲む普通のコーラは、なんだか野性的な味がした。