865声 カモメとえびせん

2010年05月14日

「じゃーねー」
と言ってカモメは飛んで行きました。
私は船の甲板から、小さくなって行くその後ろ姿を見送っていました。
僅かに残ったかっぱえびせんをつまみながら、思いました。
カルビー「かっぱえびせん」の宣伝コピー、「やめられないとまらない」。
と言うのはどうやら、人間のみならず、カモメにも通用するようです。
宮城県松島の遊覧船では、カモメの餌、と言う事で、
このかっぱえびせんを売っています。
私も一つ購入し、甲板へ出て、袋を開けるや否や、目ざといカモメが寄って来ました。
「得たり」と思い、一つえびせんを放り投げました。
しかし、強い潮風にあおられ、えびせんの飛距離が出ません。
逆巻きながら、風に揉まれて宙に浮いていたところを、瞬間、
矢の如く鋭角的に飛行して来たカモメが、嘴で捉えました。
何と言う動体視力と反射神経の持ち主でしょうか。
面白がって私は、何度もえびせんを放り投げました。
その都度、カモメは芸術的に捉えて行きました。
中には、私が投げる前に、指から直に捉えて行く、はしっこい奴も居ます。
このカモメ連中は、まさに「やめられないとまらない」状態に陥っていました。
ひとしきり食べ終えると、連中はそっけなく、空の彼方へ飛び去って行きました。
やはり、海鳥。
物事の潮時を見極めるのが、とても上手です。