881声 三ツ寺公園まで

2010年05月30日

今にも降り出しそうな、鉛色の雲が空から垂れ下がっている。
遠くの山並みが見えないと、随分と風景も閉塞的だと感じた。
草臥れた自転車を駆って、曇天の町を行く。
麦畑は濃く色づいているが、光が射さないので、その一つ一つが、
鈍く重たそうに揺れている。
気温は低く、自転車で走っていると、手が冷たくなる程度。
三ッ寺公園まで来ると、瓢箪池を縁取るように、釣人が糸を垂れている。
家族連れが多く、釣りに飽きた子供たちが、裏の芝生を走り回っている声が響く。
気温が低く、釣果は期待できなそうであった。
帰り際、何か甘い物が食べてくなったので、洋菓子店でケーキでも買って帰ろう。
と思ったが、あの洋菓子店のショーケースの前で屈み腰になり、
チーズケーキなどを指差している自分を想像して、思い直した。
遠回りして、町では老舗の鄙びた饅頭屋に寄り、饅頭を3つ買った。
家へ着くまでに、走りながら食べ切ってしまった。