今日はやけに、御菓子に縁があった一日だった。
朝起きて身支度をしていると、どうにも体に倦怠の色が濃かったので、
冷蔵庫からアルファベットチョコレートを出して、2、3個食べた。
甘い物に倦怠を取り除く成分がある。
なんて事は無いのだろうが、疲労や倦怠を感じている時は、そこはかとなく、
体が甘味を欲している様な気がする。
それは、日中も続いていて、仕事中、飲み物を買いにコンビニへ寄ると、
ついでにシュークリームを買ってしまった。
思い当って、家へ帰ってから本棚を探してみると、目当ての本が見付かった。
内田百?の著作、「御馳走帖」である。
その中に、「シュークリーム」と言う随筆があるのだ。
『私が初めてシュークリームをたべたのは、明治四十年頃の事であらうと思ふ。』
という書き出しなのだが、まず、シュークリームが明治四十年頃から、
既に日本で販売されていたと言う事に吃驚する。
シュークリームには悪いが、昭和の中頃に日本にやって来た、
つまりはショートケーキなどが台頭する日本洋菓子界では、
随分と新参者の御菓子だと思っていた。
それが、随分と古参の洋菓子だったのだ。
百?先生が高校生だった時分、夜、机に向かって勉強していると、
シュークリームが食べたくなって来る事があった。
そんな時は、百?青年を溺愛している祖母に言って、買って来てもらっていたと言うのだ。
暗い町に下駄の音をさせながら祖母が向かう先は、文房具屋。
その時分(百?先生の故郷、岡山で)は、文房具屋でシュークリームが売っていたらしい。
その頃のシュークリームがどんな形をしていたか、文中にその描写は無いので、気になる。
現代とほぼ同じだと想像するが、もしかしたら、違うかもしれない。
私が今、これを書きながら食べているのが、また御菓子なのだが、最中である。
「スバル最中」と言って太田市の銘菓で、その形は自動車。
レガシィと言う、スバルの看板車種の形なのだから、
そのシュークリームだって、丸まったキャベツの様な形かどうかは、分からない。