浅間酒造の大きな販売所のそば、通り過ぎて北軽井沢方面に向かうために右に折れると、観光客は立ち寄らないであろう(失礼)どさんこの店がある。どさんこ、とは別に北海道の食べ物が食べられる店ではなくて、群馬県の人には(?)馴染み深い、おおぎやや幸楽苑が出来るずっと前からあるらーめんのチェーン店である。いや、僕もそれほどたくさんのどさんこを食べ歩いているわけではないが、各店ごとに味も仕入れも違う気がするし、チェーン店というよりはもっとゆるい何かなのかもしれない(謎)。
1度立ち寄って、あまりパッとしない店構え(失礼)そのままに、近くで働くガテン系の方たちが腹を満たすための地域店という感想であった。先日、通り過ぎる際に旗に「肉絲(ルースー)焼きそば」なる文字を見つけ、通り過ぎた後にわざわざ停車し、Uターンして店に入った。わざわざ旗で示すからには自信作であろうことと、僕は前橋市文京町の喜久屋食堂の「ルースー飯」が好きなので、そういったものがかかった焼きそばがその時の胃袋にジャストフィットする気がしたのだ。
店内には疲れた感じの地元のおじさんが一人、ラーメンをすすっている。古びた店内はむしろ心地よい。そうして運ばれてきた肉絲焼きそばは、たっぷりめな餡に豚肉はそれほど入っていない、それはまあそんなものかなと思ったが、焼きそば自体が固焼きそばであった。あぁ、固焼きそばか。油でカリッカリに揚げた、食べる時にパキパキして口内に刺さる固焼きそばか。思ってたんと違う。僕の胃袋が求めていたのは、細切りの豚肉がソフト麺の一般的な焼きそばと渾然一体となったものであった。固焼きそばか。
店は何も悪くない。むしろ、肉絲焼きそばと聞いて餡かけ、固焼き、と連想できる大人の方が多いのかもしれない。そして僕も思ってたんと違うからと言って店のおじさんに何か言ったり箸が止まることはない男である。ポキポキと音を立てながら肉絲焼きそばを食べ進める。途中、酢をたっぷりかけて。これはこれで腹を満たすために適した食事であった。
帰り際、軽トラが2台止まり、ニッカポッカを履いて頭にタオルを巻いた漢たちがドカドカと入店してきた。思った通り、この店は、必要とされる店である。