1443声 狸と寒桜

2011年12月14日

もう一週間ほど、冬日和が続いている。
里山では、冬の夕焼けに輝く枯野や、夜の色と混ざった青紫色の山並みが、
とても綺麗である。
朝焼けも、さぞかし綺麗だと思うが、早起きの苦手な私は、それを知り得ない。

今日の事。
夕焼けの中、山道を車で走っていたら、鴉が群れをなして路肩に何か突いていた。
瞬間、ビニール袋の生ゴミでも啄ばんでいるのかと思った。
そのまま近づいて行くと、鴉等が驚き、ささやかに羽ばたいて脇へ避けた。
群れの中心に現れたのは、横たわっている一匹の狸。
大きな尻尾を持つ狸で、全身の毛がまだ柔らかそうだったので、
息絶えてから、まだ時間が経っていないのだと思った。
その躯が見えたと思ったら、また直ぐに鴉等が戻り来て、
黒い羽根で覆い隠してしまった。

バックミラーごしに、遠くなって行く光景を眺めていた。
道は小高い丘になっており、坂道を登って行くと、日だまりに寒桜が咲いていた。
枝に淡く小さく綻んだ花、一輪一輪が、朝日に煌めいていた。

【天候】
明け方雲多くも、その後、終日、冬日和。