日刊鶴のひとこえ

この鶴のひとこえは、「めっかった群馬」に携わる面々が、日刊(を目指す気持ち)で記事を更新致します。担当者は堀澤、岡安、すーさん、坂口、ぬくいです。この5人が月替わりで担当しています。令和6年度は4月(ぬ)5月(岡)6月(す)7月(堀)8月(坂)9月(ぬ)10月(岡)11月(す)12月(堀)1月(坂)2月(ぬ)3月(岡)の順です。

1808声 漂泊の思ひ

2012年12月18日

地方都市へ行き、寂れた商店街の片隅にある赤提灯の暖簾をくぐる。
二三軒はしごして、ビジネスホテルにでも泊まって翌日にはまた別の都市へ。
そんな一人旅への欲求が、時折、顔を出す。

初めて泊まりがけの一人旅をしたのは、確か中学生の時だった。
高校生の夏休みには、青春十八切符を握りしめ、
暇があれば一人でふらふらと、列車を乗り継いでいた。
そんなことを聞いた、当時の大人に、「自立願望の顕在化の云々」とか何とか。
俄か精神科医のような分析をされたことがあった。

その時、「そんなことじゃない」と、思った事を覚えている。
同時に、芸の無い分析だとも思った。
上手くは説明できないが、芭蕉で言うところの
「そぞろ神の物につきて心をくるはせ、道祖神のまねきにあひて取もの手につかず」
と言った具合であろう。
やはり、芭蕉は芸達者である。

【天候】
終日、北風強くも冬晴れ。

1807声 歳晩句会

2012年12月17日

昨日、都内にある高校の俳句部の句会に参加してきた。
三四ヶ月ぶりだったので、久しぶりの参加であったが、
特に、中学生たちの容姿が少し大人に成長していたことに驚いた。
中高一貫校なので、一番下の部員は中学一年生なのである。

昼過ぎから日没までみっちりと句会し、
二次会は大人たちで軽く忘年会となった。
大人たちと言っても、およそ半分は大学に籍を置く学生たちである。
随分と若いが、俳句のセンスにはこちらが脱帽してしまう。
西日暮里駅周辺は、居酒屋の並ぶこじんまりとした横丁がひとつある。
俳句をやっていなかったら、出会わなかった横丁だと、ふと思った。
高崎の郊外へと帰らねばならぬ身なので三次会は辞して、山手線へ乗車した。

缶麦酒を一缶買って、高崎線の車内へ乗り込むと、ガラガラだった。
なんだか急に心細くなって、バッグからノートを取り出して、
先程の句会でとった俳句を、ひとつひとつ読み返していた。

【天候】
曇りのち一時小雨。

1806声 ささくれ

2012年12月16日

昨日は中華料理店の片隅の席で、
今日は静かな書店の本棚の前で、遭遇した。
喧嘩、にである。

歳晩と言う時節柄、心の余裕が無くなってしまったのであろうか。
中華料理店では親子と思しき夫婦同士が、書店では老夫婦が、
声を押し殺しながらも口論していた。

そう言う場所に居合わすのが嫌なので、中華料理店の場合は、
麻婆豆腐を飲むように食べてそそくさと店を辞してしまった。
外へ出ると、先程の店内の陰鬱な空気が心から一掃され、
冬晴れの凛とした空気が心地好かった。
なんだか、ふんわりした猫でも抱いて、
心のささくれをなめしたいような気もした。

【天候】
終日、冬晴れ。

1805声 手切れ金

2012年12月15日

H氏の名店を探し当てる嗅覚には、恐れ入っている。
「名店」と言っても、このサイトの「名店のしきたり」に出てくるような、
「味のある店」と言う範疇の店である。
そんな名店を、常日頃開拓しているH氏が言っていた事がある。
「初めて入った店で失敗したら、そのお会計は手切れ金だと思うことにしている」

【天候」】
終日、小春日。

1804声 エールの魅力

2012年12月14日

「良い店ないか」
と言われて、真っ先に思い浮かぶのは「麦酒の美味い店」である。
先日もそんな調子で、高崎駅から程近いビアパブに行くことになった。

この店には何度も来ているが、いつも思うのが、女性の一人客が多い、と言う事である。
これが首都圏ならば特筆すべき事柄でもないが、地方都市の駅前なので、余計にそう思う。
この日も、L字カウンターの真ん中あたりで、三十がらみの眼鏡女史が一人で、
ギネスのグラスを傾けていらした。

私は小一時間ほどでその店を辞した。
眼鏡女史はギネスからペールエールをおかわりし、
携帯電話など見る様子も無く、一人の時間を味わっていたようである。

これが所謂「生中」、つまり日本の一般的なピルスナービールならば、
ゆったり飲んでもいられないであろう。
やはり、泡持ちが良くコクのある、エールビールならでは。
つまり、「エールの魅力」である。
エールビールに魅せられた女性の雰囲気は、これまた、魅力がある。

【天候】
終日、冬晴れ。

1803声 ハイブリットキッチン

2012年12月13日

高崎市界隈。
それに限った事でもないと思うが、最近、
其処此処に台湾料理店が増えている。

昼時、わりと賑わっている新手の店に、入ってみた。
作業着を着ている男性が多い店内。
その理由は、メニューの頁を開くとすぐに明らかになった。
安くて量が多いのである。
メインはランチの定食で、ご飯、炒め物、揚げ物にラーメンまでついて、
700円でお釣りがくる。

「台湾ラーメンの酢鳥定食」。
正確にそう言う名前かはおぼろげだが、そう言う定食を注文した。
台湾ラーメンは日本風に、酢鳥は中華風に、
ひっくるめると日本人向けにアレンジされているのだと感じた。
料理てぇのも、文化が混ざってハイブリットなものになると、
面白い発見が沢山ある。
【天候】
終日、冬晴れ。

1802声 ひとすじの風

2012年12月12日

シネマテーク高崎で開催された、「志ねま寄席」へ出掛けた。
立川談志追善公演と言うことで、立川志らく師匠の「黄金餅」を一席。
そして、映画を一本と、たっぷり「堪能」と言うのも追善公演なのでおかしいが、
それでもやっぱり、師匠と弟子の「芸」を堪能してきた。
良い落語、良い芝居、良い映画や良い音楽、そして良い俳句でも。
体感した当初に吹き荒れているその感動が、少し時間を置くと、
自然と気持の中で自然と整理される。
整理されて、気持が静まってから、「すーっ」と吹くひとすじの涼風が、
「心に残る」感動なのだと、思っている。
【天候】
終日、冬晴れ。

1801声 踊りの輪

2012年12月11日

俳句や短歌などの短詩形は、他の文芸に比べ、
結社や会の活動が活発である。
そう言う踊りの「輪」からするすると真ん中に抜けだして、
センターで踊ってしまうような。
宣伝をするのではなく、自らが広告塔になってしまうような。
そう言う作家が出てきたら、面白いのに。

【天候】
終日、いささか風強くも冬晴れ。

1800声 第1800声記念特別企画「鶴の手拭い恩返し」PartⅢ

2012年12月10日

この日刊「鶴のひとこえ」。
本日でめでたく、第1800声の節目を迎えました。
クレインダンスより、読者の方へ景品の手拭いをもって恩返しさせて頂きます。
手拭い一本あれば、道すがらに見つけた銭湯でひとっ風呂。
なんて楽しみもありますからね。

選りすぐった手拭いを、抽選で2名様に、
一品づつプレゼントさせて頂きます。
現世かつ公平な抽選をもって、当選を決定させて頂きます。
それでは、下記を参照したうえのご応募、お待ちしております。
そして、これからもひとつよろしくおねがいします。

■応募方法
送付先の「郵便番号」・「住所」・「氏名」を明記の上、
Topページにある【お問い合わせ】よりご応募下さい。

■応募締切
平成24年12月16日(日)

■当選発表
厳正な抽選のうえ、当選者には景品の発送をもってかえさせて頂きます。

■アンケート
日刊「鶴のひとこえ」に対して、ご意見ご感想をご記入下さい。
※後日掲載させて頂く場合がございます。(無くても可)

※お一人様、メール一通のご応募とさせて頂きます。
応募に際し、頂いた個人情報は、当企画の目的にそった景品送付等にのみ利用し、
他目的には利用しません。

【天候】
終日、冬晴れ。

1799声 日毎に尖る

2012年12月09日

今年は辰年なので、石橋辰之助の句集でも購入しようか。
などと今年の正月に考えついてから、四季が巡り、
もう年末になってしまった。

桑枯れて日毎に尖る妙義かな  辰之助

まさに、そんな季節である。
そう言えば、妙義山の麓。
群馬県で言えば安中市松井田辺りを通るが、桑畑と言うのを見なくなった。
安中市以外でも、そう。
辰之助が詠んだ昭和の初頭時分は、随分と養蚕が盛んだったので、
あの辺りは一面の桑畑が広がっていたのであろう。
その想像を喚起させるだけでも、値打ちのある句だと思う。

【天候】
終日、晴れ。

1798声 くすり

2012年12月08日

随分と久しぶりである。
こんな、重たい二日酔いは。

飲んだ総量は左程でもないが、
あまり好きではない銘柄の麦酒を飲んでいたせいか、大分酔った。
そして、飲む前には必ず二日酔いに聞く薬を服用するようにしていたが、
昨夜はそれを飲まなかった。
そのせいもあって、なんだかアルコールの耐性が落ちた気がする。
こうなると、「あの薬さえ飲んでいたら」、「また薬を飲まねば」、と思うようになる。
良く考えてみると、単なる二日酔いの薬だが、おそろしい。
しかし、この週末にでも、きっとまた服用することなる。

【天候】
終日、冬晴れ。

1797声 師走の地震

2012年12月07日

今日の夕方である。
東北から関東にかけて、震度5弱の揺れが観測された。
宮城県の沿岸一帯には津波警報も発令され、一時、巷は騒然としていた。
テレビでは、地震の状況を伝える緊迫したニュース番組の合間に、
年末の選挙に向け、各政党のコマーシャルがしきりに流れていた。

【天候】
終日、冬日和。

1796声 あの一杯

2012年12月06日

正月の予定を考えていると、この師走の喧騒も忘れて、心が安らぐ。
一日中、テレビを観ながら寝ているもよし。
朝から缶麦酒を空けたって、左程、罪悪感は無い。

正月に出掛けた際、まだ午前中だったが麦酒を飲もうと思い立った。
当然、街中には暖簾のかかっている店が少なく、
やむを得ず、ファミリーレストランに入って、中ジョッキを注文した。
その一杯が、思いがけず、とても美味しかった思い出がある。
正月の雰囲気がそうさせたのだろうが、
フライドポテトをつまみながら飲んだあの一杯は、ほんとうに美味しかった。
酒は、落ち着いて飲むものだと、つくづく感じた。

【天候】
終日、晴れで北風強し。

1795声 猫の尻尾

2012年12月05日

昼に、公園のベンチに座ってパンを食べていた。
麗らかな冬日の注ぐ小春日和だったので、寒さは左程気にならなかった。
カレーパンが妙に、冬の空気との相性が良かった。
パンを齧っていると、遠くの芝生に白と寅柄のブチの猫が、
のったり歩いて行くのが見えた。
「ぽこん」と短い尻尾をしていた。
子供時分は、ああ言う尻尾の短い猫はみな、
子猫の時分にドアに挟まってしまって伸びないのだと思っていた。

【天候】
終日、晴天。

1794声 一緒に歩く

2012年12月04日

修理した。
靴を、である。

日々履いている革靴のひとつが、大分草臥れてきた。
その状態は靴底の減り。
特に踵などは、ゴムの部分はおろか、「芯」まで削れてしまっている。
その靴を今日、ショッピングセンターの中に入っている専門店へ持って行った。

新しい靴を買っても良いのだが、「ためしに修理とはどんなものか」、と思ったのである。
削れている踵の部分にゴムを張り直し、さらに補強の為に靴底全体に一枚ゴムを張る。
作業時間は二時間程度で、しめて五千円にお釣りが少々。
新しい靴に足を通す瞬間もうれしいが、履きなれた靴が再生し、
また一緒に歩けるのもうれしい。
「良い買い物をした」
と言うことで、自分の心の中に異存はなかった。

【天候】
終日、冬晴れ。

1793声 曇りなき麦酒

2012年12月03日

昨日は、東京ドームで開催中の「スーパーオクトーバーフェスト」に行って来た。
「オクトーバーフェスト」はドイツのビール祭り。
近年、その小型版の祭りが、都内や横浜など各地で開催されている。

飲んで食って唄う。
ともかくこれに尽きる祭りだった。
会場に入場し、隣の堀澤氏は早くもパンフレットに何やら書き込んでいる。
目ぼしい銘柄を、片っ端から回る。
ドイツ麦酒の「生」は、どれをとってもやはり、クリアな味わいで、うまい。
曇りがない、と言うか、国内クラフトビールに比べ、圧倒的に雑味がない。

因みに、一杯平均千五百円也。
懐具合も考慮し、その後は堀澤氏が目を付けていたと言う、
浦和駅前のビアパブへはしご酒。
この店がまた、関東圏屈指の優良パブだったので大いに満足できた。
十杯を越えてからはカウントすることを止めてしまったが、
ともかくも、この日は麦酒のみをとことん楽しんだ一日となった。
やはり、麦酒が良い。

【天候】
終日、曇り。時折、小雨。

1792声 全力睡眠

2012年12月02日

思いっきり、寝てみた。
つまり、起床の時間を定めず、寝れるだけ寝ようと試みたである。

夜十時に就寝して、朝十時に起床。
正確には、十時に床に着いたのだが、眠りに入るまで三十分が経過している。
それを差し引き、睡眠時間はおよそ、十一時間三十分。
いつものごとく、夢は一切見なかった。

二十代の時分はもっと寝れたが、寝過ぎたことによる頭痛なども、しばしばあった。
現在は、寝過ぎて頭が痛くなることなど、滅多にない。
若者は頭痛でもないと、何時間でも寝続けてしまうからだろう。
いまでは、二日酔いの頭痛の方がおそろしい。

【天候】
終日、冬晴れ。

1791声 師走の夏

2012年12月01日

締め切りはまだ当分先なのだが、
体を休めようと思い、俳句の観賞文に取り掛かっていた。
掲載時期はおそらく、来年の初夏。
今日から師走に突入と言う時に、夏の俳句を観賞している。
季節感があるのだか無いのだか。

【天候】
終日、風強くも晴れ。