六合入山の「おんべーや」も中之条町の特徴的な行事である。伝統行事のように見えるが、そうではないらしい。その昔、斜面が多く米が作りにくい六合では、蕎麦や穀物を作っていた。ある時、旅芸人の一座が訪れ、囃し立てたところ、作物が豊かに育ったという。そして旅芸人たちが来なくなった時に、村人自らが七福神に扮し、各家々を回る風習が出来た。ちなみに、おんべ、と呼ばれるのは日本最大級とも言われるどんど焼きのことで、家々を回り酒も振る舞われ、いい感じの意識になって神様となった村人たちは火柱を立てるどんど焼きの回りを回る。当人たちの中には「これは伝統芸能じゃない、飲み会だ」という人もいる。全国的に見ても稀な行事でもあるので、毎年僕以外のカメラマンも7〜8人くらい訪れている。
以上、聞いた話で部分的に間違っているかもしれないが、僕はこの祭りや参加している山本さん達(だいたいの人が山本姓なのだが)のことが好きで、仕事としてでもあるのだけど毎年撮影で参加している。初めて見た時の衝撃はすごかった。同じ町内でも旧中之条町の風土とは全く違う。そして今年ふと、おんべーやでさえもある程度の日常として見ている自分がいて驚いた。慣れ、というものは誰にもあるのかもしれないが、このおんべーやに関しては非日常であり続けてほしいと切に思った。そういうものが、1つ、2つは必要なのだ。

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