日刊鶴のひとこえ

この鶴のひとこえは、「めっかった群馬」に携わる面々が、日刊(を目指す気持ち)で記事を更新致します。担当者は堀澤、岡安、すーさん、坂口、ぬくいです。この5人が月替わりで担当しています。令和6年度は4月(ぬ)5月(岡)6月(す)7月(堀)8月(坂)9月(ぬ)10月(岡)11月(す)12月(堀)1月(坂)2月(ぬ)3月(岡)の順です。

5286声 コメ初体験

2024年02月20日

今日は初めて米を使ったビールを仕込んだ。使ったのは酒米15kg。それに対して麦芽は30kg。先月パンを使ったビールを仕込んだときにスムーズだったから今回も期待していたがそうはいかなかった。15kgの米は研ぐだけで難題。その後おかゆにするのも焦がさずに仕上げるのが難しかった。粘性が強いため常に焦げやすく、いちいち詰まる。いつもより糖化時間を長めにとって切り抜けた。初期比重は1.084。今までで最も高い。アルコール度9%くらいまでいくかもしれない。

5285声 20年来

2024年02月19日

古くからの友人が来店。小さかった娘はもう成人していて、最近の写真を見せてもらうが面影を見つけるのが難しいほどだった。「一緒に旅行に行ったの覚えてる?」と聞かれ、そういえば京都に旅したのを思い出した。20年前になるのだそう。今の生活はよくは知らないが、大変な思いもした人たちだけにせめてこれからは穏やかな暮らしを願っている。

5284声 追い越される

2024年02月18日

ビールの仕込み。最近は倉林くんに手伝ってもらうことも多くなり助かっている。ビールも料理も新しいレシピに慣れていくまでの時間が必要だが、後ろから、以前のようには多くの仕事がこなせなくなる時間が追いついてきて、あっさりと追い越されることも増えた。これから増々追い越されてゆくのだろう。がんばれ。

5283声 開店前のノルマ

2024年02月17日

午前中はビールの連絡整理、午後は夜の営業へ向けて仕込み。仕込みは食材の数以上にある。1日の営業でどのくらいのノルマを越えれば開店に辿り着けるのか数えてみた。1.ズワイガニ/2.もずく/3.デコポン/4.長芋/5.加減酢/6.マナガツオ/7.芽キャベツ/8.干柿/9.香茸ソース/10.マカジキ/11.塩麹/12.あん肝/13.大根/14.浅葱/15.金柑/16.醤油麹/17.マハタ/18.ふぐ白子/19.菜の花/20.山ごぼう/21.つぶ貝/22.一本しめじ/23.山うど/24.ふきのとう味噌/25.マグロ/26.サワラ/27.サバ/28.コハダ/29.イワシ/30.赤貝/31.ヤリイカ/32.ウニ/33.アナゴ/34.わさび/35.煮切り醤油/36.煮ツメ/37.卵焼き/38.シャリ。このくらいはある。ウニは盛るだけ。その他は手数の必要なもの。同じ状態は続かず刻々変わるから目は離せなくなる。

5282声 隙間のない一日

2024年02月16日

5:30に起きて市場へ行って帰ってきてそのまま仕込み。途中で椅子に座る時はこれからやることの整理の時間。営業が始まるまでに6時間は仕込みをする。これは手を動かしている時間。その時間の中に買い出しや食事、連絡のやり取りは入らない。仕込みが多い日はなるべくビールやその他のメールを見ないようにしている。頭の中がごちゃ混ぜになるから。隙間のない一日を今日も無事終えることができた。

5281声 糖減らし宣言

2024年02月15日

昨日豆を浸した珈琲ビールを105本瓶詰めする。なるべく一度利用した瓶を再利用していこうと思い一昨日から瓶の洗浄をしているが、これが思いの外手間取る。慣れるまで仕方がない。それにしても今日は頭が重い。昨日コンビニで甘いものをいくつも買い込み、ほぼ全て食べてしまった。こういうことをやってはいけない歳である。そろそろ懲りろ。また今日から糖減らしをやる。糖断ちではなく糖減らしというところが甘い。

5280声 ヒットの予感

2024年02月14日

珈琲ビールの仕込み。ビールに豆を浸して5分毎に味を確かめる。最初は珈琲豆の香りと仄かな旨みがビールに移行する時間が15分ほど続く。20分を過ぎたあたりで香り以外の豆の要素が一気に出てくる。珈琲とビールのそれぞれが持つたくさんの味、要素のせめぎ合い。どこで止めるか迷う。今回は22分で漬け込みを止めた。珈琲の香りがしっかりする甘やかなピルスナーができそう。ヒットの予感。

5279声 解像度

2024年02月13日

キウイのビールの瓶詰め。皮ごと煮込んだので渋みも出ている。ドライホップをしてもよかったかもしれない。マンゴーやパイナップルに似た香りのモトゥエカが合いそう。方を始めてから、目の前の食材をどうやったら最もおいしく食べられるかを考えるようにしているのだが、そうすると自然と味覚が意識的になり、足りない味やいらない味が思いつく。例えば蟹に柑橘を合わせるときは文旦より日向夏の方が調和するとか、蟹でもセコと大きくなったズワイでは加減酢の割合も違う。何事も、意識を向け続けることで解像度は増す。

5278声 最後まで闘え

2024年02月12日

シンキチの店番の日。ばっちゃんがおめでたとなり今年から体制が変わったため、祝日はシンキチに立っている。久しぶりにお目にかかるお客様が何人かいて感慨深い。みんな歳をとったんだね。人間にはいろんな生き方があって、いろんな生き方をできる基盤、条件がある程度揃っているのが現代の日本だとも思うけれど、かといって実際にいろんな生き方をできるのかと言われればそれは決して簡単ではない。むしろいろんな生き方をできる条件がある程度ある時代に生きているがゆえの不幸、みたいなものもある。いろんなことをしてきたからそう思う。いろんな生き方をしていいんだよ、なんて軽々しく言えないと思うようになった。本人はいろんなことをしてきた端くれとして最後まで生きるつもりだけれども。生き方はいろいろあっていい、なんてうっかりでもしっかりでも思ってしまうのは業が深い証である。同じにおいがする人が自然とお客様にも多くなる。最後まで闘え、と自分には言えても、他人には言えない。

5277声 コロナ感染

2024年02月11日

コロナに感染したときの話。1/14㈰午前中から仕込み。調子良く動けると思っていたら昼前から身体が重くなる。体調の落差が大きかったことを覚えている。夜の営業終了時には立っているのも辛くなった。いったんよくなり3日後に発熱。しかし熱はすぐに下がったためその週は仕事をしていた。最初に具合が悪くなってから1週間たって、再び発熱。なにかおかしい。そうしてやっと病院ヘ。コロナ陽性。ここからさらに1週間寝込むことになる。思い返しても長かった。微熱のまま食欲も沸かず、やることはただ咳を我慢することばかり。コロナが蔓延して4年経って、ようやくコロナは現実だったと身に沁みた時間を過ごした。寝床と椅子を行き来しながら、これはいろんなことを諦める練習かもしれないと、ぼんやりした頭のまま、考えごとをしない訓練を始める。1週間続けたら考えごとをしないコツも掴んでしまった。不幸中の幸いはもう1つ。お酒を飲まない時間を経験できた。飲まないとこんな風に穏やかで嫌な夢も見ないのかと、それは少し嬉しいような悲しいような複雑な経験だった。酒を飲んだ夜は、日中は考えもしない過去の人間関係がうまくいかなかった人ばかりが夢に出てくる。それが飲まないと、出てこない。飲んで辛い記憶を思い出すのか、飲まずに穏やかな自分を感じるのか、酒は孫悟空の頭の輪っかみたいだと改めて感じた。2月も1/3を過ぎて、徐々に声を出しても咳が出ない時間が増えてきた。ところが最近どうも、鼻水が出る。コロナの次は花粉か。

5276声 一日予定表アプリ

2024年02月10日

料理を考えたりビールの瓶詰めをしたり原価の計算をしたり。一日の予定をアプリに書き込むようにしていて、30分くらいの単位でやったことを入力している。確認したら昨年の3/21から始めたようだ。始めた理由は、方の営業開始時間が日々変わるためそこから逆算して一日を過ごさないと営業直前に慌てることがあったから。これを始めてから落ち着いて仕事に取り組めるようになった。今日のようにやることの種類が多い場合や、考えることがやることという場合も、書き込みをすることで達成具合が確認できる。ただただこれからをじっくり考える、なんていうのは1円にもならず面倒なことなんだけれど、考えておかないと結局何をしてきたのかよくわからなくなる。今日は午後二時半の時点で五時間働いた。できればあと三時間は頑張りたい。この入力を続けてきて、仕事に対して粘り強くなれた気もしている。

5275声 生まれた土地

2024年02月09日

朝4時に目が覚めてしまいビールの仕込み。その後市場へ行って仕入れをする。鮪とあん肝がよかったので購入した。高価な買物である。量もあるのでなるべく早く使いたい。12日のシンキチの店番のときに太巻きを作ろうと思う。夜は伊勢崎からのお客様。住まいはうちの実家に近いらしく、小学校も中学校も一緒と判明した。おまけに水泳部で部活まで一緒。年齢がもう少し近ければ同じ時期に通っていましたね、と会話も弾む。それにしても伊勢崎から来てくださる方が多い。高崎に比べると鮨屋の数は伊勢崎が多いと感じていたが、鮨好きが多いということか。生まれた土地との縁が広がって嬉しい。

5274声 ヴォトピーベッツ

2024年02月08日

ビールの仕込み。今日は柚子ビールである。酸の強い副原料をホップと同時煮沸するとタンパク質が固まらず濁るので、最近は別釜で煮込んでいる。このほうがビールの透明度が増して副原料のキャラクターも出やすい。柚子をいつもの倍量使った。さてどう仕上がるか。夕方からやきとり清水へ。久しぶりにヴォトピーベッツを飲んだがヴォトピーベッツはいつどこで飲んでも渋苦く枯れていて、やはり今日もヴォトピーベッツだった。杯が進まないところへハツを塩で出され驚いた。枯れた味に急に生命が宿ったのだ。焼き鳥の底力恐るべし。焼き鳥にヴォトピーベッツはよしもとの劇場に小三治が上がるようなもの。わかって出している清水くんはセンスがいい。

5273声 嬉しい偶然

2024年02月07日

瓶ビールのラベルの打ち合わせ。シンキチの名刺を作ってもらった伊勢崎の中澤さんに頼もうと高崎まで来ていただいた。会うのは8年振りくらい。中澤さん物静かな雰囲気のまま以前と変わらない。日置桜の瓶のラベルを持参されたのでそれはどうしたのかと尋ねるとご本人がデザインしたとのこと。びっくり仰天そんなことがあるのか。日置桜はうちのメインの日本酒である。彼女は日本酒のラベルデザインを専門にしているわけでもなく、ましてや日本に何千とある酒蔵の中のまさか鳥取の山の中の極めて変わった酒蔵のラベルのデザインをしていたとは。嬉しい偶然に、一瞬世の中が明るく見えた気がした。

5272声 どんどん溶ける

2024年02月06日

ポタポタと雪解け水が屋根から落ちる。時々ドサッと、衝撃すら感じる大きな音もしてくる。昨日の静寂が嘘のように今日は騒がしい。雪はそこそこ、10cm位は積もったが気温がそこまで下がらなかったため溶けるのも早い。この分だと凍る前に溶けそうだ。今日は朝から瓶ビールのネット販売の打合せをして、その後も終日事務作業の予定。珈琲ビール用の珈琲を飲みにいくのが楽しみ。

5271声 雪の予報

2024年02月05日

夜中に何度か救急車のサイレンの音が聞こえた。急な冷え込みもこういう時体調に関係しているのかもしれない。コロナの感染も増えているらしい。朝から鉛色の空と冷たい空気。今日は昼から雪の予報である。普段より静かな若松町で夜の予約の準備を進める。あまり積もらないことを願いたい。

5270声 回復傾向

2024年02月04日

朝起きて風呂へ。最近は前橋IC近くの天神の湯によく行く。ぬる湯に浸かって深呼吸を繰り返す。咳が出ないか喉の具合の確認である。早い時間は咳が出なくなってきた。戻って魚の整理、ビールのチェックをして洗濯。洗濯物を居間に干すと湿度が上がる。喉が楽になるのがわかる。今日は午後から出かける予定。徐々に動けるようになってきた。回復傾向である。

5269声 影響された人

2024年02月03日

美原先生が伊勢崎からご来店。昨年の8月以来である。美原先生にはかなり影響を受けていると思う。伊勢崎の駅前に住んでいた頃、美原先生の診療所が隣だった。昼しか働いていなかった私は夜はただ酒を飲んでいるだけで、そうすると美原先生がワインとチーズを持って時々やってきて、「おぅ、飲むぞ」と言ってひとしきり二人で飲んだ。味談義。人生談義。私の料理を褒めたことなど一度もなく常に辛口。そんな先生が方に来ると褒めたりする。嬉しくもあり少し寂しくもあり。これからも元気でいてほしい。