日刊鶴のひとこえ

この鶴のひとこえは、「めっかった群馬」に携わる面々が、日刊(を目指す気持ち)で記事を更新致します。担当者は堀澤、岡安、すーさん、坂口、ぬくいです。この5人が月替わりで担当しています。令和6年度は4月(ぬ)5月(岡)6月(す)7月(堀)8月(坂)9月(ぬ)10月(岡)11月(す)12月(堀)1月(坂)2月(ぬ)3月(岡)の順です。

1777声 定食と俳句

2012年11月16日

今日の昼である。
大衆食堂の暖簾をくぐったのが、もう正午を大分過ぎていたので、
とても空腹だった。
その勢いで、日替わり定食のAセットなるメニューを注文してしまった。
内容は、醤油ラーメンとカツ丼のセット。

箸を割って、果敢に食して、食べ過ぎた。
やはり、中年男性の域に入っている自分には量が多すぎた。
それでも、なんとか食べた。
定食にメインの料理が二つあるのは、豪勢だがちと重たい。
五七五に季語を二つ入れて俳句を作ることも、また然り。

【天候】
終日、小春日和の冬晴れ。

1776声 横着の技

2012年11月15日

今日、定規に沿ってカッターで紙を切っていた。
いきなり逸れるが、子供時分から定規のことを「線引き」と呼んできたが、
これは方言なのだろうか。

それはともかく、スーッと上から下へ縦方向にカッターを入れる。
今度は、横方向にカッターを入れねばならない。
大方の人は紙を90度動かし、
また上から下へ縦方向にカッターを入れるだろう。
それが、無理なく安全にカッターを入れる方法であるから。
しかし、私は横着者なので、そのまま定規を横にして、
左から右へ横方向にカッターを入れた。
私のその、左腕の下を右腕がくぐる窮屈な格好を見た通りすがりの人に、
「器用ですねぇ」
と声をかけられた。
そこには、横着のなせる技と言うものがあるのだろうが、
けっして感心できる技ではない。

【天候】
終日、冬日和。

1775声 その秘密

2012年11月14日

不穏な空気が漂っている。
今し方、野田総理大臣が、今月16日に衆議院を解散する意向を表明した。
これによって、急転する政情。
それよりも、12月9日が投票日になるので、慌ただしい年末になりそうだと言う、
不安感の方が強い。

慌ただしい最中にあっても、凛とした冬の日差しに映える冬紅葉には、
はたと足を止めて見入ってしまう美しさがある。
その美しさの秘密に触れることの方が、私にとっては興味深い。

【天候】
終日、冬日和。

1774声 2タカ

2012年11月13日

バングラデシュのお金を、日本で造ることになったそうである。
バングラデシュには現在、8種類の貨幣があって、その中の一つの2タカ。
日本円で2円に相当する、この貨幣を、5億枚製造するとのこと。
その経緯は、造幣局が13日に国際入札において落札したと言うもの。
日本には偽造防止の技術があるので、その力を活かすことが出来るらしい。
確かに、現在の流通している最新の硬貨、特に500円など見ると硬貨側面の溝や、
表面の模様などとても精巧に出来ている。

巷に「電子マネー」が随分と普及してきて、以前よりも硬貨を使う機会も少なくなったが、
こう言う、硬貨製造などの仕事は、日本向きな気がする。
硬貨と言わず紙幣も沢山受注して、技術の力をどんどん輸出すれば面白い。
外国のお金を日本で造るなんて、ちとロマンがあるではないか。

【天候】
晴れのち曇り。

1773声 俳筋

2012年11月12日

最近、ちと鈍っている。
晩秋あたりから、急に夜が冷え込み、
外へ出るのが億劫になってしまった。

アスリートが練習を一日休むと、
その一日を取り返すのに倍以上の日数を要する。
そう言う話を聞いたことがあるが、私の場合はそんなに大袈裟ではない。
「俳句」、の話だからである。

夜の時間。
以前はよく外へ出て、夜風を感じたり、遠くの夜景などを眺めたりして、
散歩がてらに句を作っていた。
近隣から怪しまれることと、寒さが厳しくなってきたこともあり、
すっかり足が遠のいてしまった。

先のアスリートの話ではないが、日毎に脳内筋肉が鈍ってゆく。
と言うような観念に囚われ、なんだか、
俳句を考える力が弱まってしまったように感じている。
そんなことも無いのかも知れぬが、実際、近作は駄句ばかりな気がする。
年内で、すこしそれを取り戻そうかと、決意とまでは行かないが、そう思っている。

【天候】
曇りのち晴れ。

1772声 舞台

2012年11月11日

ミュージカルを観に行った。
歌って踊って、と言うやつである。

圧倒的でなければならぬ。
そして、絶対的なカリスマ性で魅せねばればならぬ。
演者が舞台で演じる、とはそう言うことだと感じた。

【天候】
曇りのち雨。

1771声 見わけ

2012年11月10日

現代は戦国時代らしい。
アイドルの、である。

SKE48、NMB48、HKT48、SDN48。
電化製品の品番ではなくて、全てアイドルユニットの名前である。
AKB48に端を発して誕生し、他にも様々なアイドルグループがしのぎを削っている。

アイドルグループのメンバーの顔と名前が、一致しなくなったら「親父」らしい。
私なども三十路を越して、その法則にしたがって、一致しない。
しかし、一致しないのはまだ序の口だと言うことが、最近分かって来た。
例えば、駅前のファストフード店で、街中のおしゃれなカフェで。
注文を取りに来る店員の女史と、テレビに映っているアイドルとの、見わけが。
どうにもつかぬのである。

【天候】
終日、秋晴れ。

1770声 正月二日

2012年11月09日

立冬を過ぎたので秋晴れ、とは言わないが、
すっきりと澄んだ青空の日が続いている。

毎年、正月二日には「新春わるのり俳句ing」と称して、
都内へ初詣吟行に出掛けている。
そろそろ、その目的地を考えねばならぬ頃である。

そう言う楽しい事を考えつつ、
これから来る怒涛の年末を乗り切ろうと思う。
来年は、しっかりと句会に力を注ごうと考えている。
いつも、大抵二日は二日酔いになっているのだが、
それでも、一日二回くらいは句会をやりたい。
正月二日など、まず店が余り開店していないので、
ファミリーレストラン系統の机でやらざるを得ないのだが、
それもまた、新春の一興である。

【天候】
終日、秋晴れ。

1769声 烏帽子で来

2012年11月08日

全国的に、紅葉が絶好の見頃を迎えている。
道祖神の招きにあってしまった、「奥の細道」の芭蕉ではないが、
紅葉に招かれている様で、落ち着かない心持である。

日中、車で山間部を走行していると、思わず、
息をのむほどの紅葉に出遭うことがある。
夕紅葉などは殊に。

一日時間をとって、ローカル線に揺られて吟行へ行きたい。
そう思っていても、一人吟行と言うのはやや緊張感に欠ける。
やはり、数人で吟行へ行き、手頃なところで句会と言うのが本望である。

しかし、紅葉狩りと言うとなんだか、お茶でも啜りながらと言うイメージだが、
三橋鷹女にこんな句がある。

薄紅葉恋人ならば烏帽子で来  鷹女

本当に烏帽子で恋人が現れたら、それはもうコントである。
王朝時代の物語を踏まえ、そう言う、心構えで、と解すべきだろう。
新鮮な気持ちで、今年の紅葉を楽しみたいものである。

【天候】
終日、秋晴れ

1768声 草食系

2012年11月07日

久しぶりに、行きつけの食堂へ寄って、ラーメンを食べた。
「ラーメン定食」なる定食メニューを、もう何年も食べ続けている。
四季を通して、この見事に同じ味のしょうゆラーメンを啜っている。

美味しい料理は沢山ある。
しかし、安心できる料理は意外と少ない。
スープも麺も、メンマもチャーシューも全てが食べ慣れている。
草食動物は草ばかり食べていて飽きないのかと思うことがあるが、
彼等はあれで案外、草の味の安心感をしみじみと味わっているのかも知れない。

【天候】
終日、秋晴れ。

1767声 青空と紅葉

2012年11月06日

群馬県の山間部から徐々に、紅葉前線が下りてきている。
私の住んでいる高崎市内の公園でも、いままさに、紅葉が見頃を迎えている。

紅葉は街中の銀杏並木や、庭園の楓紅葉も綺麗だけれど、
やはり、人里離れた深山幽谷の紅葉に分があると思う。
人の足では到底到達できそうにも無い崖の上。
一本の楓が、青空に燃え移らんばかりに紅葉している。
そんな景色を眺めていると、
この世にあらゆる芸術が生まれた経緯も、分かるような気がする。
そんな模糊とした気持ちに、心の奥を刺激される。

【天候】
終日、雨模様。

1766声 紅葉の味

2012年11月05日

今、紅葉前線が北から日本列島を南下している。
「紅葉狩り」と言うと、なにやら老境の楽しみと言う感じが濃い。
確かに、「花見」などと違い、若者が連れ立って、
紅葉見物に行く姿などはあまり見かけない。

若い頃は分からなかった茄子の味が、歳を重ねるにつれ、
だんだん分かるようになる。
そんな話を聞くことがあるが、紅葉もそう。
老境にさしかかってから、紅葉の本当の「味」に気がついた。
そんなことをおっしゃっていた人生の先輩もいらした。
老いる、と言うことで新しくなる感覚があるそうな。

【天候】
終日、雲多くも晴れ。

1765声 月と猫

2012年11月04日

ばたばたと人通りのある商店街の商店の軒先で、
丸まっている猫を見かける。
のんきに目を細め、人間世界の動向など、
まったくお構いなしと言った感じである。

そんな猫でも、夕方にはもぞもぞし出し、
日暮には路地から路地へ活動している。
夜になって彼等は、本当の瞳を取り戻す。
月夜の彼等と出遭うと、「はっ」と目を見張るほど、
神秘的な眼の光を宿している。

月光と振り向く猫の眼光と  諒一

【天候】
終日、秋晴れ。

1764声 年末まで

2012年11月03日

何だか、ざわざわかつばたばたした週末の真っ只中にある。
今日は文化の日で秋晴れ。
例年、文化の日は吸い込まれるような青空になっている気がする。
そして、この文化の日を境に、様々な流れに巻き込まれる。
巻き込まれつつ、どうにかこうにか、気付けば大晦日まで辿り付いている。
今年も例外になく、すでに巻き込まれつつも、いつもどおり麦酒は飲んでいる。

【天候】
終日、秋晴れ。

1763声 昭和館

2012年11月02日

11月に入り、風がなんだかぶっきらぼうになって来た。
立冬までもう手の届くところまで来ているので、
山の裏では、からっ風の予行演習でも始まっているのだろう。

昨日、先月一杯で桐生市内にある銭湯の「昭和館」が、
その86年の歴史に幕と閉じたことを知った。
最後に行ったのが、今夏の「八木節祭り」初日であった。
桐生の街から、昭和史の源流が一つ枯れることになる。
「惜しい」とは思うが、「よくぞここまで」と言う思いの方が強い。

【天候】
終日、秋晴れ。

1762声 青い山

2012年11月01日

冬が近くなるにつれ、家の裏手に見える榛名山や赤城山。
その遥かに見える連山が、遠くなった。
風が冷たく澄んできたから、そう感じるのだろう。
実際には遠くなっていないのに、遠く見える。
それだったら、あの山の青さも、何だかあやしい。

【天候】
終日、秋晴れ。

1761声 南瓜のお化け

2012年10月31日

今日は、10月31日水曜日。
先週末には、街に随分と仮装した人たちが出たようである。
と言うことを今週、テレビや新聞報道で知った。
近年、一挙に定着感のあるイベントになった「ハロウィン」。
ここまで来ると、今年あたりも多くの俳句が生まれ、
歳時記に載る日も近いのではないか。
すでに、版の新しい歳時記の「秋」の頁には載っているかも知れぬ。
ともあれ、街中の商店や金融機関や病院、どこへ行っても南瓜のお化けだらけ。
学校などでも「仮装」を通して、このイベントに触れているところもあるらしい。
いまや、一月後のクリスマスと肩を並べる、堂々たる、晩秋のイベントとなった。

ハロウィンの魔女の衣装が干してあり   諒一

【天候】
終日、秋晴れ。

1760声 小さな風

2012年10月30日

毎年、背高泡立草が黄色い花をつけて群生する時期が来ると、悩まされる。
小さな虫に、である。

大きさは2、3mm程度で小さめの天道虫と言った具合。
全体的にこげ茶色をしている。
その虫が、秋日和の日中など、何百匹と家の白壁にはり付いている。
白い物に目が無いらしく、干してある蒲団やらシーツも勿論。
来ている白いシャツにまで、飛び付いて来る。

玄関を開ければ中に数匹。
シャツを取り込めば、ポケットの中に数匹。
家の中のどこかに、相当数入り込むという始末の悪い虫なのである。
背高泡立草の群生と時期同じくして出現するので、
自宅周辺の群生地が奴らの根城だと考えている。
しかし、奴らの天下も短いもので、ここ数日、気温がぐっと冷え込んだので、
一斉にどこかへ退散してしまったようである。
あんな小さなものでも、風の変わり目がちゃんと分かっている。

【天候】
午前中曇り、午後から秋晴れ。