日刊鶴のひとこえ

この鶴のひとこえは、「めっかった群馬」に携わる面々が、日刊(を目指す気持ち)で記事を更新致します。担当者は堀澤、岡安、すーさん、坂口、ぬくいです。この5人が月替わりで担当しています。令和6年度は4月(ぬ)5月(岡)6月(す)7月(堀)8月(坂)9月(ぬ)10月(岡)11月(す)12月(堀)1月(坂)2月(ぬ)3月(岡)の順です。

1759声 十三夜

2012年10月29日

十三夜は二日前だったが、今宵は未だ、月光を清かに感じた。
日中がすっきりとした秋晴れだったので、月が冴えたのである。
外へ出て吟行しようと思い立ったが、夜になり、
風がぐんと冷え込んでいたので止めた。
十五夜からの、季節の移ろいをしみじみと感じ、
月光も、何だかきめ細かになっていた。

【天候】
終日、風少し強くも秋晴れ。

1758声 最初の麦酒最後の麦酒

2012年10月28日

昨晩は中之条と前橋と、二つの場所で杯を酌み交わした。
当然、一晩の合計酒量も増える。

しかし、一晩明けた今日は、左程残っていない。
ちゃんぽんにちゃんぽんを重ねる様な飲み方で、あまり強くない私などは、
ある程度二日酔いは覚悟していたのだが、平気である。

要因の一つとして、滑り出しが良かった。
と言うことを、いま、暇なので検証している。
乾杯の生麦酒は、「モルツ」だった。
私の好きなラガービールの一つである。
そして、モルツの次は、銀河高原ビールの「ペールエール」。
これも、私の好きなエールビールのひとつ。
つまり、この上なく良い滑り出しでの酒席だったのである。

その後はもう、日本酒と得体の知れぬワインと、また麦酒と。
はしご酒の最初に飲む麦酒と、最後に飲む麦酒。
堀澤さん最近、後者に重きを置いているが、私は前者にいくらか分があると思う。

【天候】
終日、降ったり止んだり。

1757声 中之条駅発高崎方面行最終列車

2012年10月27日

夕方の吾妻線である。
寂寞たる晩秋の景が広がる車窓を眺めつつ、中之条駅で下車。
そこから歩いて、中心街にある旧廣盛酒造蔵を目指す。

およそ10分ほどで到着し、早速、作品を見学。
作品、てぇのは、今日から9日間続くものづくり作家16人展。
「秋、酒蔵にて」が開催されているのである。
そのオープニングの宴に、参加してきた。

今回は、「宮澤賢治の銀河鉄道の夜」のテーマに沿って、
作品が製作されている。
開催期間中の酒や料理、そしてこの宴の料理でさえも、
テーマに沿って作られている。

一足先に会場を出て、中之条発高崎方面行きの最終列車に乗り込む。
人も疎らな列車内。
遠くに見える街の灯。
夕景の寂寞たる思いは消えて、
賢二の童話のようなファンタジックなもの見えて来るから、不思議であった。

【天候】
終日、秋晴れ。

1756声 寒さとの格闘

2012年10月26日

種々雑多な要因があり、定例の句会場所である素竹邸へ到着したのが、
締め切り30分前であった。
座にある皆は、もう外を吟行してきた後で、星月夜やら流れ星やら、
話が盛り上がっている。
この会は10句投句なので、単純計算3分で1句。
もう、外へ行って流れ星を待っている余裕は、私には無い。

机の上の煎餅をつまみつつ、作戦を練る。
湯呑の横の半紙には、席題が幾つか書かれている。
それを眺めていて、「夜寒」が目に止まった。
これ、である。
席に居ながら、向こうからやって来てくれる季題。
この寒さの一派、つまり、そぞろ寒、うそ寒、夜寒など。
これを一網打尽にして、10区揃えようと思い立ち、早速、上着を一枚脱ぐ。
もちろん、奴らをおびき寄せる為である。

鼻水を垂らしつつ、どうにか寒さで8句、他2句揃え、投句できた。
この寒さとの格闘の成果が、果たして句に反映されたかどうかはあやしいが、
取り合えず、熱っつぅい風呂に浸かりたくなった。

※「お問い合わせ」に俳句の掲載情報をメール頂きました方々にご連絡です。
  本サイトの「クレインダンス」のコーナーに、掲載しておきましたので、ご確認ください。

【天候】
終日、秋晴れ。

1755声 デジタル俳句

2012年10月25日

「あれ、スマホですか」
などと、時折、驚きながら言われることがある。

先入観、なのであろう。
銭湯や俳句に心魅かれているあたり、
あいつには黒いダイヤル電話がお似合いである。
そう言う「像」が出来上がっていることと思う。

例を上げれば、俳句。
宗匠頭巾をかぶった先生の下、皆、短冊に筆で句をしたためておるイメージを、
まったくこれらの文芸に、縁の無い方は持っているかも知れぬ。
しかし、現代である。
60代、もしくはその上の世代の方でも、
吟行の際、携帯電話やスマートフォンに句をしたためているケースを良く見かける。
そして、それは女性に殊に多い気がする。
若い人になると、ipadなどのタブレット端末を操りつつ、吟行される方もいる。

スマホを持って驚かれている私も、果たして使いこなせているかどうか。
因みに、俳句を書きとめるのは、もっぱら句帖に鉛筆である。

【天候】
終日、秋日和。

1754声 零余子

2012年10月24日

昨夜、「零余子」を生まれて初めて食べた。
蛇足ながら、零余子と書いて「むかご」と読む。
上州出身の俳人に、「長谷川零余子」があるが、
氏の号は「れいよし」と読む。

このむかごとは、山芋の葉のにできる、パチンコ玉くらいの球芽。
俳句の世界では、晩秋の季題の「零余子飯」として広く知られている。

笊に、塩茹でした零余子が盛られて出て来た。
その味わいは、とても山気豊かな滋味があった。
なんだか、懐かしい様な馴染み深い味である。
その味を通して、DNAに眠る自らのルーツに、触れたような気がした。

【天候】
終日、秋日和。

1753声 夕刊奔走記

2012年10月23日

奔走。
と言うほどでもないが、探していた。
新聞の夕刊を、である。

俳句が15句掲載されることになっていたので、
掲載誌を買い求めて見ようと思っていた。
夜、コンビニをはしごしたのだが、売っているのは日刊ばかり。
地方都市、それも郊外のコンビニだからであろうか。
普段、夕刊を読む習慣がないので分からない。

そのまま、あきらめて車へ乗り込むと、
知人より掲載されていた旨の連絡が来たので、どうやら問題なかったらしい。
未だに掲載誌は見ていない。
しかし、文章と違って、俳句の内容なんてものは変わりようがないので、
その連絡を聞けば、別段掲載しに目を通さずとも良いような気持になった。

【天候】
曇りのち雨。

1752声 秋の贅沢

2012年10月22日

帰りがけに、コンビニへ寄って買った。
琥珀エビスを、である。

麒麟の「秋味」も、国内の缶麦酒界における秋の代名詞だが、
これはその発売時期から見て、初秋の感が強い。
この「琥珀エビス」は毎年、今時期、つまり11月にそろそろ手が届こうかと言う、
晩秋に発売される。
限られた店では年中「生」で飲めるのだが、全国的に缶麦酒が出回るのは、
やはり晩秋である。
そして、年明けの慌ただしさとともに、いつしか、店頭から姿を消している。

そう言う「プレミアム」感の濃い麦酒なのだが、そうだからと言って、
マリアージュ式に、小洒落た料理との相性を説く必要はないと思っている。
私は、この琥珀エビスとの相性が良い料理は、何と言ってもコンビニのおでんだと思う。
500円でお釣りがくるくらいに見繕った、コンビ二のおでんと、琥珀エビスを二缶。
しめて1,000円の贅沢。
この上ない、この秋の楽しみが、毎年、私の秋を更に深めてゆく。

【天候】
終日、雲多くも晴れ。

1751声 琥珀の湯

2012年10月21日

久しぶりに、遠方の銭湯へ足を伸ばした。
埼玉県は加須市の「ときわ湯」から、行田市の「中将湯」にはしご湯をした。

今回は車だったので、淡々と目的地を最短距離で巡った。
どちらも、立派なペンキ絵を有する、風格ある伝統銭湯。
特にときわ湯は、おそらく一番湯だったので、気持好かった。
時刻は午後三時半。
天窓から差し込む西日が、湯の上にとろとろと溜まりつつ、
琥珀色に光っている風情などは、ちとオツなものである。

電車で向かっていないので、湯上がりに赤提灯で一杯。
と言う訳にはいかないが、寒い時期はどうも、
はしご湯して帰ると風邪をひいてしまう恐れがあるので、
その楽しみを味わえず、断腸の思いでハンドルを切る。
帰路、熊谷市街を抜ける辺りで、もう喉が疼いてしかたなかったが、
我慢に我慢を重ねて、どうには帰ってこれた。

【天候】
終日、実に秋晴れ。

1750声 たらこたらこ

2012年10月20日

先日、親戚から「たらこ」がしこたま送られて来たので、
朝晩ともなく、たらこを食べている。
当然、今夜もたらこで飲んでいる訳だが、
一杯やるには。たらこはちと塩辛い気がする。
もっとも、本格的な呑兵衛ならば、物足りない位なのであろうが、
私は軟弱なる麦酒党員である。
炊き立てのご飯があったら、などと考えてしまう。

イギリスのロックバンドに、モーターヘッドがある。
フロントマンであるレミーのお気に入りは、コーラのジャックダニエル割り。
1975年のバンド結成以来、シラフでいたことは一度もないと言う、逸話を持つ豪快な人物である。
近年、糖尿病との診断結果を受け、その対処法として彼が実践しているのは、
ジャックダニエルとコーラの、割る比率を変えただけだそうな。

そんな記事を思い出しつつ、かつ、糖尿病や痛風に恐れをなしつつも、
たらこをもう一本オーブントースターに入れ、冷蔵からもう一缶。

【天候】
終日、実に秋晴れ。

1749声 俳句の中

2012年10月19日

ある高校の俳句部での句会が果て、
二次会へ移動するべく、教室の前で待っていた。
さっきまで句会に参加していた中学生が颯爽と、
教室を出て階段を駆け降りて行った。

「彼は野球部とのかけもちなんです」
私の横に居た、この学校の卒業生でもある俳人が教えてくれた。
「野球と俳句なんて、なんだか意外な取り合わせですね」
私がそう言うと、彼はすこし考えてから、
「子規もそうですよね」
と、言った。

確かに、その通りである。
自らを俳句の「中」に置くことによってできる固定観念と言うのは、
おそろしいと感じた。
と同時に、その中から今一度出て、
外側から眺めてみなければなるまいとも、思った。

【天候】
終日、秋晴れ。

1748声 利き店

2012年10月18日

「高崎バル」。
まず簡単に説明すると、「バル」てぇのは、立ちのみ酒場を意味するスペイン語で、
近年、「なんとかバル」式に、全国の街でこの「街バル」行われている。
その一環である「高崎バル」へ行って来た。

5枚つづりのチケットを購入して、スタート。
私はチケットを持っていなかったので、一緒に行った仲間に着いてゆく。
この機会でなければ、まず扉を開けないような店。
私の場合で例えれば、勘定が高くつくそうな店などにも、安心して入れる。
そして、チケット1枚分の料理を食べ終えたら、気がねなく店を移れる。
この2点がとても快適だった。

どんどんはしご酒をして、「利き酒」ならぬ「利き店」が出来る。
好きな店には、3日間の高崎バル開催期間が終わった後にでも、
ゆっくりと行けばよいのである。
こう言うシステムに則る、と言う飲み方も面白いものであった。

【天候】
曇りのち雨。

1747声 せつない温度

2012年10月17日

日中の晴天が一転して、午後から雨になった。
朝、稲刈りの準備をしていた人たちは、大丈夫だったろうか。
農業のプロなので、素人の心配など無用だろう。
そう言えば、稲刈りが終わった田圃が増えてきて、案山子を見なくなった。
あの案山子たちは時期が終わるとどうなるのだろうかと、ふと思った。
専用のケースや袋に収まって、また来年の実りの時期を待つのだろうか。
それとも、所定の場所に打ち捨てられてしまうのだろうか。

あたたかな案山子を抱いて捨てにゆく  内藤 吐天

そんな事を考えているのは、この句が脳裏をよぎったからかもしれない。

【天候】
午前中は秋晴れ、午後は一転して雨。

1746声 下心

2012年10月16日

今日が締め切りの句稿をいま送信し終え、一息ついている。
考えていたことは大抵うまく運ばぬもので、結局、
作り溜めていた句から見繕って数を揃えた。
せめて今月作った句を出したかったのだが、それも致し方あるまい。

これでゆっくり、句が作れる。
この締め切りに間に合わせる為に詠んだ句もあるが、
そう言うのはいま見返すと、下心がちらついていてボツにした。
「夜寒」、などで寝る前に一句作ってみようかしら。
しかし、作るにしてはちと緊張感が足りない。

【天候】
終日、秋晴れ。

1745声 悪魔

2012年10月15日

月曜の朝から、すこしハードな二日酔いである。
まだ日も暮れ切らぬうちから麦酒に始まり、
ふらつく足で高崎駅から終電に乗り込んだ時も、片手に缶麦酒。
麦酒に始まり麦酒に終わり、
日本酒やハードリカーの類は口にしていないのだが、
二日酔いになってしまった。

おそらく、その要因は間に飲んだ、
「デュベル」と言うベルギービールにあるとふんでいる。
「魔性を秘めた麦酒」、と言われるこの麦酒は、見た目はピルスナーに酷似している。
「ストロング・ゴールデンエール」と言うスタイルに分類され、その見た目に反して、
アルコール度数8.5%が織り成す味は、なるほど、ストロング。
ピルスナーのように喉越しを楽しむ、と言う訳にはいかない。
そんなことをしたら、「デュベル」、英語で「デビル」。
そう、悪魔に憑かれてしまう。
昨日から憑いていた私の悪魔に、
今朝から苦しめられ、正午近くなってやっと出て行ってくれた。

【天候】
終日、秋晴れ。

1744声 コスモスの香り

2012年10月14日

午前中、あまりにも爽やかな朝だったので、近所の古墳へ出かけた。
この前方後円墳は秋季になると、鍵穴の形の周りにコスモスが群生する。
ちょっとした見所になっているので、休日などは見物客で賑わう。

子供と散策に来ている夫婦。
小型犬を散歩させている家族。
ベンチで日に当たっている老夫婦。
寝そべりながら、一眼レフカメラを構えているおやっさん。
そして、ぶつぶつ呟きながら俳句を作っている怪しい男。

ここは旧群馬町と言う地域だが、
まさに私の中の群馬町のイメージに合う、穏やかな景色であった。
風が止んで、コスモスの揺れが止んだ時、ふと。
コスモスの香りがした。

【天候】
朝から秋晴れ、午後より曇り。

1743声 紅葉遊山

2012年10月13日

十月中旬の週末。
すっきりと晴れた秋晴れの一日。
とくれば、吾妻線に乗って吾妻渓谷。
はたまた、わたらせ渓谷鉄道に乗って高津戸峡など。
紅葉遊山に行きたい心を掻き立てられる。

しかしながら体調もいまいち芳しくからぬし、
来週が締め切りの俳句も出来ていないし。
そんな調子で何かと理由を付けて、いま、机の前にいる。
俳句などは文章で無いので、作り溜めているものを出せばよいのだが、
多くの人の目が触れる場所には、新鮮なものを出したいと言う気持もある。
逆に、狭い、例えば何か雑誌の企画とか、賞とか、
熟達した俳人の目に触れる場合は、熟成させた句を出したい。

そんな事を考えていて、いつしか日暮て、また、何やらおさまらぬ気持がでてくる。
そして、とぼとぼと酒場に行くのだろう。
今年初の熱燗とおでん、なんてやってみようかしら。

【天候】
終日、秋晴れ。

1742声 赤城おろしの試運転

2012年10月12日

午後になるとごうごうと、風が吹いて来た。
そろそろ、赤城おろしの試運転が始まったようである。
からっ風が吹くと、大気が澄んで
空が綺麗になるのはよいのだが、空気が乾燥していけない。
そしてなにより、今の紅葉時期は良いのだが、冬場は寒くて寒くて。
このからっ風の音を聞くと、何だか無性におでんが食べたくなる。
それも、うらぶれた路地にある紺か縄の暖簾が掛けてあるような店で。

【天候】
終日、秋晴れ。