日刊鶴のひとこえ

この鶴のひとこえは、「めっかった群馬」に携わる面々が、日刊(を目指す気持ち)で記事を更新致します。担当者は堀澤、岡安、すーさん、坂口、ぬくいです。この5人が月替わりで担当しています。令和8年度は4月(坂)5月(ぬ)6月(岡)7月(す)8月(堀)9月(坂)10月(ぬ)11月(岡)12月(す)1月(堀)2月(坂)3月(ぬ)の順です。

2686声 瓶麦酒の栓

2016年02月15日

どうも、付き合いが苦手である。
親戚などが集まる場でも、早々と冷蔵庫から麦酒を取り出して、
台所の薄暗がりで、がぶがぶ飲むと言った具合である。
今夜が、まさにそれ、であった。
小さな子供等も、当然、近寄って来ず、
なんだか父母ともに台所に蟠踞している男が煙たい様相となる。
しかしながら、どうすればよいかと自問したところで、
いたるところは同じである。
近寄るほど、相手も自分をも傷つけてしまう、
「男はつらいよ」方式になることが目に見えているからである。
そんなことさえ、考えないようにするため、瓶麦酒の栓を抜くのである。

2685声 夕霞

2016年02月14日

昨夜半から引き続き、朝から雨。
しかしながら、春の雨なのであたたかい。
あたたかいのは良いが、いきなりあたたかくなりすぎで、
寝汗をびっちりとかいての起床となり、なんとも心地の悪い寝起き。
そして、一日中の強風。
外へ出ると、砂ぼこりで目が痛いほどである。
近所の神社へ出かけると、鳥たちがしきりに地面を啄んでいた。
さながら狂乱の体で、私などには目もくれず一心不乱に地を突いている。
強風のため、梢から虫やらが落ちているのであろう。
目白なども間近く見られ、参道からは夕霞に突き出たスカイツリーの影が、
くっきりと見えた。

2684声 強東風

2016年02月13日

定例句会のため、原宿へ出かけた。
あたたかな日に、町中が春めく。
原宿はいつ来ても、当然ながら外国人観光客が多いが、
その人たちも、近頃はSUICAで改札はスムースに通過し、
かつ、コンビニや自動販売機でもSUICAをさりげなくかざしている。
その所作、はや日本人をしのぐものがある。

 

ダウンコートを羽織って出かけてしまい、
終始暑く、句作大いにはかどらず。
春一番のような強風が時折吹いており、
その情景でなんとか一句。
子に石鹸玉を吹いてあげている母がいたが、
強風のため、すぐに玉が消失しまう。
何度も何度も吹くが、一つとして、風に乗る玉は無かった。

2683声 消沈

2016年02月12日

好天は続くが、風の冷たい一日。
午前中、句集の収録句を整理したが、
載せられるような句が思ったより無く、
一挙に意気消沈してしまった。
この分だと、300句など到底無理で、
200句程度でも良いかもしれない。
もう、俳句のことなどは放擲して、
小説や随筆の類を貪って一日が暮れた。
一番絞りの地域缶とでも言うのだろうか、
製造工場別のものが美味しく、最近は常用している。
近所の量販店で手に入るのは、取手工場、横浜工場のものである。

2682声 春の池

2016年02月11日

午前中、じゅん菜池緑地へ出かけ独り吟行。
風も無く穏やかな陽気なので、人手は多い。
咲き始めた梅を撮る人、池の鴨を撮る人、
とにかくカメラマンが多かった。
その横で、こそこそと手帳に俳句を取る人。

 

水浴びをしている鴨が日差しに水に、煌いており、
まさに「水温む」と言った感興である。
一日中好天が続き、句も手ごたえのあるものは少ないが、
一応、まとまった数が出来たので、気持ちが落ち着いた。

2681声 早春の窓

2016年02月10日

窓を開けたまま寝ていた。
昨晩ずっと、である。

 

今夜はやけに冷え込むと思いつつ、布団に潜った。
朝になってカーテンを開けると、網戸であった。
隣の中学校がやけに賑やかだと、いつもより早く目を覚ましたが、
網戸なので、通学路や校庭の声が筒抜けだったのである。
外でテントでも張って寝ていたほうが暖かかったのではなかろうか。
よくもまぁ、一晩眠れたものだと自分の鈍感力に呆れた。
そこまで酔ってはいなかったので、単純に窓の締め忘れである。

 

夜、歯を治療に行って歯科医院で緊張したので、
神経が疲れたのであろうか。
性能の良い寝袋さえあれば、意外と二月の寒空の下でも、
眠れるのかも知れぬ。
しかしどうしてか、鼻水がとめどなくたらたらと落ちてくる。

2680声 即席生活

2016年02月09日

昨夜、煎餅を齧ったら「がりっ」と、何か当たった。
異物混入であろうかと、口内の内容物を手のひらに出して確認すると、
小さな金属片があった。
まじまじと眺めてみると、どうやら、歯の詰め物らしい。
詰めていた銀歯が取れてしまったようである。
早速、今日になって最寄り駅近くの、何度か通ったことのある、
歯科医院に電話を入れると「先生は辞めました」と言う。
予約がだいぶ先になるとのことなので、近くの歯科を探すことにした。
最寄り駅付近には歯科医院が沢山あるので、選定には苦労はしない。
それは歯科に限らず、床屋も食堂も沢山有るので、即席で済んでしまう。
土地柄もあろうが、生活がどんどん即席になってゆく。

2679声 150句

2016年02月08日

句集に収録する句を選定せねばならぬのだが、
なかなか進まない。
句集は300句ほどで組もうと考えている。
内、150句は受賞句となるので、選定するのは、
実質150句程度である。
鑑賞に堪えうる句が、150句もあるのだろうか。

2678声 虫

2016年02月07日

部屋の掃除をした。
ひとしきり掃除すべき箇所を清掃した後、
部屋の隅の置いてある消臭材のプラスチックケースを確認した。
内容物の消臭剤が終わっているようで、蓋を開けて見ると、
消臭剤は一つも残っておらず、ハサミムシとゴキブリを、
足して二で割ったような虫が一匹、ひっくり返っていた。

2677声 水仙の風

2016年02月06日

近所では、紅梅がほつほつとほどけ始めた。
こちらでは蝋梅が少なく、今年はまだ蝋梅の花を見ていない。
近所の神社を通ると、参道の脇に水仙が連なって咲いていた。
水仙の傍らに屈むと、清浄な香りがした。

2676声 足枷

2016年02月05日

早春のすっきりとした青空の一日であった。
使用している携帯電話が二年目を迎えたので、
機種を変更しに、営業店へ出かけた。
まだ使える機種を何故、最新のものにしなければならぬか、
自分でも判然としない。
ただ、契約する際に説明された「二年毎に更新」と言う、
システムの流れだけは覚えていたので、
店舗へ行って機種を変更せねばならぬような気になったのである。
「二年間を割賦で支払う」と言う足枷を嵌める代わりに、
月々の料金が安くなる契約である。

 

店舗へ出かけ、言われるがままに手続きをしてきた。
二年前は紙に手書きする場面も多かった気がしたが、
今回は、そのすべてがタッチパネル上で済んだ。
自筆のサインさえ、ゴムのペンで液晶をなぞるだけであった。
二年と言う歳月は、確実に技術を進歩させていた。
自分は何一つとして、進歩していないような気になった。

 

「ありがとうございました」
と笑顔で店舗を送り出される時には、新型の携帯電話のみならず、
自宅のインターネット回線まで契約していた。
そしてもちろん、見えざる二年間の足枷も、
新型でさらに厳ついものが、がっちり嵌められていた。

2675声 雲の奥

2016年02月04日

立春らしい日。
風はつめたく、日差しはあたたかだった。
駅のホームからぼけっと青空を眺めていたら、
もやもやと雲が生まれてきた。
薄くなっていた雲が吹かれて重なったのかも知れぬが、
生まれてくるように見えた。
ポケットの句帳に手を伸ばしたが、
飯田龍太に「いきいきと三月生る雲の奧」の句があることを思い出し、
その手はポケットに置いたままにした。

2674声 のび太

2016年02月03日

本日、節分である。
昔、伊勢崎市にある豊武神社の節分祭りに参加したことがある。
私の役目は余興の手伝い程度でどう言う働きをしたのかおぼろげだが、
人の多さとその賑わいは、しっかりと記憶している。
近隣では類を見ない、盛大な節分祭であった。
社務所で食べた弁当が「のび太」のものであった。
「のび太」と言う名の店の弁当、である。
おかずをつまみに、湯飲みで甘口の酒を飲んだ。
冷えても美味しい、からあげ弁当であった。

2673声 萩の月

2016年02月02日

先ほど、玄関チャイムが鳴ったので出てみると、
見知らぬ青年が立っていた。
このアパートに新しく越してきたと言う。
てきぱきと挨拶を終えた青年から、「つまらないものですが」と、
仙台の銘菓を頂いた。
引越しの挨拶だが、この青年、私の住む部屋の隣の隣なのである。
「向こう三軒両隣」の精神で、気を使うとは、
とても出来た人であると感心してしまった。
そう言う精神が人の心に残っていることさえ、
小さく感動してしまうようになってしまった。

2672声 増進

2016年02月01日

どんよりとした天気で二月が始まった。
月曜日から天候が芳しくないと、いささか気が滅入る
滅入った気分を晴らそうと、コンビニで麦酒を買って帰宅した。
同時にカレーライスも購入した。
先日、「飲んだ際にはカレーが良い」と耳にしたからである。
カレーに含まれるウコンやら何やらの香辛料が、
摂取したアルコールの分解を助けるのだとか。
麦酒を飲んで、カレーを食べて、また麦酒を飲んで。
麦酒とカレーによって食欲が増進され、
飲み足りないような、食べたりないような曖昧な感覚を経て、
結局、飲みすぎて食べ過ぎた。

2671声 不屈

2016年01月31日

日が差してあたたかな一日であった。
春がすぐ隣まで来ていることを、鳥たちがせわしく告げていた。

 

レンタルした映画を観た。
劇場で観れなかった「セッション」である。
「フルメタル・ジャケット」や「ブラック・スワン」の系譜をたどる映画。
との惹句を目にしていたので、観ずにはいられなかった。

 

自分に甘い人間なので、厳しい道へ向かう主人公が好きである。
その行き先がたとえ狂気であっても、主人公が己を貫くストーリはいつも胸をすく。
古くはロッキーのような。
私の好きな映画の主人公たちは、いつもひとつの道を辿る。
その道に、もはや勝ち負けは無い。
あるのは不屈の魂である。

2670声 風の味

2016年01月30日

寒の雨。
こちらでは雨だけで済んだが、北関東は雪になったとのこと。
寒い日が続くからだろうか、近頃買ってくる白菜が美味しい。
郷土に国府と言う土地があり、白菜作りの盛んなこの土地の白菜は、
「国府白菜」と呼ばれている。
肉厚な葉が甘くて美味しい。

干大根の旨味は、吹きつける寒風が作ると聞く。
されば、赤城山の麓で育つ国府白菜のあの甘みは、赤城おろしによるものだろう。
なるほど、群馬の冬野菜には、風の味がする。

2669声 憂鬱な意気込み

2016年01月29日

朝から雪の予報が出ていたが、都内は雪にならずに済んだ。
しかしながら、寒の雨は体に堪える。
句集のあれやこれやは決めねばならぬし、それよりもまず、
句集に載せる句を見繕はねばならない。
乏しい自身の句からひねり出さねばならぬのが、
いささか憂鬱でもある。
果たして、句集一冊のあのまっさらな頁に載せて、
読者の鑑賞に耐えうる句がいくつあるか。
憂鬱な反面、意気込みもある。