日刊鶴のひとこえ

この鶴のひとこえは、「めっかった群馬」に携わる面々が、日刊(を目指す気持ち)で記事を更新致します。担当者は堀澤、岡安、すーさん、坂口、ぬくいです。この5人が月替わりで担当しています。令和6年度は4月(ぬ)5月(岡)6月(す)7月(堀)8月(坂)9月(ぬ)10月(岡)11月(す)12月(堀)1月(坂)2月(ぬ)3月(岡)の順です。

5064声 維持

2022年03月21日

所属誌の座談会のため、中野区へ。東京の西方面にはあまりなじみがなく、新宿より西の都内が久しぶりな気がした。連休中、高速道路などは混んでいたらしいが、都内の鉄道網は空いていて、今日も混雑はなかったように感じた。座談会は無事に済んだのだが、ギクシャクとした私のつたない話が申し訳なかった。改めて自分がもう中年であり、残されている時間もある程度見えてきたと、いう思いをひしひしと感じた。帰宅して緊張をほぐすため、という口実で空けた麦酒をいささか飲みすぎた。目標に向かって進みたい気持ちと明日止めてもいいという気持ちが二つある。そうでなければ、緊張感を維持できない。

5063声 小さな希望

2022年03月20日

曇りのち夜半より雨。昨日に引き続き寒さの戻った春の一日。三連休の中日というのに仕事をしていた。都内では開花していたとの報道を見た。たしかに、今日歩いていて、遠目にほころんでいるであろう桜が見えた。寄って見ることはしなかった。なんだか、もっとドラマチックな状況で「初花」に出会いたい、などと中年のおっさんが書くのも恥ずかしいのだが、そんな印象を持っているので、都内の桜は素通りしてきた。明日も所属している同人誌の企画で、遠内に出かける用事がある。明日こそは、初花と劇的な出会いがあるだろうか。そんな小さな希望も春らしい。

5062声 知ると見る

2022年03月19日

曇りのち夕方から本降りそして春雷。昨年刊行した句集が地元の俳句大賞に選ばれたので、その記事が載った機関紙が届いていた。今回は大賞というものに二作品選ばれ、その中の一つが私の句集でもう一つが大先輩の句集であった。作者は昭和十五年生まれ、句歴もおよそ五十年という円熟の域に達した俳人である。むかし、俳句初学のころなので、私が二十代後半に差し掛かろうかという時分のいま時期に句会があった。吟行はもちろん時節柄、桜であった。午前中にひとしきり作って、午後から句会というお決まりの流れ。参加者はお花見気分で紙コップのお酒など片手に、のんびりやっていた。私はというと、一人で硬くなり、頑なに酒なども口にせず、黙々と集中して句を作って句会に出した。結果は惨敗で、帰りの車に酔っぱらった俳句の先生や先輩連中を乗せて運転しつつ、たいそうほぞをかんだ。酔い覚ましに寄った喫茶店で、「なぜ私の句が共感を得ないのか」率直に俳句の先生に聞いた。私の句は悪くないのに、みな酔っぱらってしまって、正常な判断ができていないのかとさえ思っていた。その時に言われたのが、「桜は一年に一度咲く、お前が見たのは二十数回、でも今日の参加者は六十数回、七十数回、もっと観てきた人たち」と、いうような内容だった。つまりは、経験と修練のなせる技が私にはなかったのだ。それからは、作って作って作りまくって、花吹雪のように捨ててという繰り返し。百聞は一見に如かずというけれど、やはり「知る」だけでなく「見る」ことは大切である。浅学非才な身ゆえ、そして中年になったいま、確かにそう思う。そして、円熟の域に達した俳人の句に接すると、そう確信する。

5061声 綿毛

2022年03月18日

曇りのち雨。三月の週末というのはどこも卒業式らしく、卒業生と思しき制服の若者を町でよく見かける。今日も春休みらしきのグループとすれ違った。高校生だろうか。たのしそうでふとさびしげで、たんぽぽの綿毛のようで。

5060声 揺れ止まざる

2022年03月17日

晴れていたが夜半に通り雨。昨夜はほとほと肝を冷やした。福島県沖を震源とする最大震度6強が観測され、こちらは震度四くらいだったろうか。積んである文庫本の塔が崩れたくらいだったが、東北地方では新幹線が脱線したり、あちこちで被害があった。都内近辺は何事もなく平穏な一日であったが、神経が走っているのか、ちょっとした揺れにも十一年前の記憶が蘇る。十一年経っても、あの日あの時間から、心のどこかはまだ揺れ止んでいないのではなかろうか、とさえおもう。

5059声 残響

2022年03月16日

内科やら歯医者やらをめぐり、花粉症の薬などをどっさり仕入れて帰宅。歯を削る音がまだ耳の奥で残響している。夕方に連絡があり、今年の冬に某市で行う公開句会で講師をすることになった。二回目なので勝手はわかっており、楽しみである。そのころにはコロナも終息し、こういったイベントが気兼ねなく行えるようになっていることを祈る。前回は、当日の朝に近隣の山で吟行してから句会に行ったのでヘトヘトだったが、今回もそのつもりである。もっとも、私は講師としていくので、投句できないのが残念ではあるが。

5058声 錬磨

2022年03月15日

雨のち晴れで暖かを通り越して蒸し暑い一日。帰宅後、ネット句会の投句やら選句やらをして、夜半はZoomにて俳句関係の会議。それはそれとして、ともかく自作を錬磨することを考える。

5057声 残心

2022年03月14日

晴れて春塵の舞う一日。そして大阪行の疲れの抜けきらぬ一日。唯一の心残りは、先月にオープンした大阪中之島美術館を観られなかったことだ。これはまた次回の楽しみとしよう。長谷川櫂著『俳句と人間』(岩波新書)を読了。俳人としての腹のくくり方に感服。

5056声 豚まんと麦酒

2022年03月13日

晴れて夜から下り坂。疲労というのはどうしてこうも蓄積するのか。翌日になって疲れが出てくる。しかも毎晩麦酒で逃がしていた疲れがも一緒に。食べきれぬほど、551の豚まんを買ってきたので、昨夜も豚まんと麦酒、今晩も豚まんと麦酒。豚まんと麦酒、もうおなかいっぱい。頭が回っておりませぬ。

5055声 蝶と風船

2022年03月12日

引き続き晴れて暖か。大阪からの帰る道すがら、浜松町での句会に出た。吟行は芝公園に足をのばして、彼岸桜や山茱萸などみていたところ、目の前を蝶が横切った。「初蝶」である。季語には何かと「初」が付くものが多いが、その中でも「初蝶」はけっこう好きな季語なのである。ぱっと一句できて、書き留めた。もちろん、私にとって今年の「初蝶」はこれで終わり。今年の初蝶との出会いとしては、かなり良い状況でだったのではなかろうか。大阪での疲労が濃く、久しぶりの新幹線にも疲れ、足取りが重かったのだが、この初蝶に救われた。何かのイベントなのか風船が何十個と浮かんでおり、東京タワーの先の空へ消えていった。

5054声 泉喪失

2022年03月11日

晴れて暖か。出張で大阪である。こんな時期にも関わらず新幹線は結構混んでいた。所要駅には修学旅行であろう詰襟の学生や、卒業旅行であろうか若者の一団などがおり、わさわさとしていた。大阪の地を踏むのは何年ぶりか、正確には思い出せないほど、空いた。エスカレーター乗ると「あっ右か」など、小さな驚きの中で関西圏の感覚を完全に失っていることに気づいた。用事を済ませて、ホテルへ帰る道すがら、改装され小ざっぱりとした大阪駅の内部に、これまた小さく驚くとともに構内の「泉の広場」には泉がなく周辺の立ち飲み屋もなく、ずいぶんきれいになってしまって、とても寂しい思いであった。

5053声 梅の香り

2022年03月10日

花粉症の症状が徐々にピークになりつつあり、目鼻がもう自分についているとは思えないほど、馬鹿になっている。蔓延防止も延長となり、もろもろ三月の予定にも変更が生じ、いささかバタつく。都内の巷では梅が盛りを過ぎて散り始めている。梅の香りも、この馬鹿になった鼻ではもはや…。

5052声 持続不可能だからこそ

2022年03月09日

寒さも緩み春めいた一日。帰宅すると俳誌がポストに入っていた。国内津々浦々に結社があり俳誌がある。俳句という文芸の裾野の広さを感じるが、やはり近年の高齢化は否めない。新陳代謝しないと存続が危うい結社がほとんどであろう。「持続可能な」というのが、社会的なひとつのテーマになっているが、俳句の結社の大半はもっともかけ離れた存在であろう。しかし、持続不可能な存在が醸し出す美に惹かれてしまうのは、私のやっかいな性分である。

5051声 春の艶

2022年03月08日

朝から雨。気温は一桁で寒の戻りとなったが、風物にはやはり春雨らしい艶やかさがあった。いろいろと差し迫っているものがあり、年度末というのは、やはり嫌だ。

5050声 突っ込む首

2022年03月07日

春寒くも快晴の一日。以前からそっち側には首を突っ込みたくない、と思っていることがあった。見て見ぬふりをしていたら、向こう側から首根っこをつかまれて、引きずり込まれる。ということになってしまった。

5049声 悪魔の麦酒

2022年03月06日

昨日はちょっとした祝事があり、ちょっとした贅沢をした。夜には、ちょっとしてはいるが、いちおう祝事だからと、秘蔵してあった麦酒を冷蔵庫の底から掻き出して、栓を開けた。一番の主役はデュベルのトリプルホップである。アルコール度数が9.5%あるとは思えぬほど、軽く香り良くそして苦く。飲みつつ、アマゾンプライムで黒澤明監督の『まあだだよ』を観る。以前にも観ているので、二回目か三回目か。作中で「摩阿陀会」という宴会があるのだが、浴びるように麦酒を飲みかつ歌いというような宴会風景に、恐れおののく。つられてテレビの前に麦酒瓶を並べてしまい、結局飲みすぎてしまった。何年経っても治らぬ、酔眼朦朧状態で寝る寸前にチャルメラを作って食べるこの癖はどうしたものか。

5048声 令和四年の春一番

2022年03月05日

今日、関東地方で春一番が吹いたと発表された。確かに、天気は良かったが、午後からは風の強い一日だった。高崎に住んでいたことろは、朝、洗面台の脇の窓を開けると榛名山が見えた。山影への白雲のかかり具合で、概ね午後から風が吹くかどうかわかったが、今はそうもいかないが、上州ほどの烈風は少ないので、その必要もないのかもしれない。久々の風で花粉の飛散量が爆発的に増えたようで、かなり苦しい。

5047声 サクラサクラ

2022年03月04日

曇りがちで、春寒な一日。半年間で受けた句集紹介の頁があったのだが、期間中に一回分しか書かずに期間を終えた。コロナの状況もあるのだろうが、刊行する句集が思うような予定で進んでいなかったのであろうか。または私が何かやらかした可能性も。小さな俳句大会の募集句の選を進め、しこたま買ってあるサッポロの缶麦酒であるサクラビールを数本空けた。もうすぐ桜の時期である。