日刊鶴のひとこえ

この鶴のひとこえは、「めっかった群馬」に携わる面々が、日刊(を目指す気持ち)で記事を更新致します。担当者は堀澤、岡安、すーさん、坂口、ぬくいです。この5人が月替わりで担当しています。令和6年度は4月(ぬ)5月(岡)6月(す)7月(堀)8月(坂)9月(ぬ)10月(岡)11月(す)12月(堀)1月(坂)2月(ぬ)3月(岡)の順です。

40声 そんな事はまさか

2008年02月09日

今、ふと考えている事。
それは、「貼り紙式伝言システム」の事なのだ。

いつもの癖で、大袈裟な表現だけれど、お店の入り口なんかに紙が貼ってあって、
「5日まで休みます」とか、「本日臨時休業」と言った類の連絡伝達手段である。
田舎の方に行くと、家の玄関に「裏の畑にいます」なんて言う、心穏かな貼り紙も見られる。

察しの良い方は、そろそろ気付いているだろう。

はい、あっそう、やっぱダメ、そうかダメかぁ、そうか。
えっ、コレかい。
手にナニ持ってんのかって。
いやぁ、ねっ、これは、そのぉ、貼り紙。
そう、書いてあるのは、そのぉ、「明日は臨時休業に致します」。

それを、ココに貼るのかって。
まさかまさか、そんな事はまさか、ねぇ…。

39声 便所の格言

2008年02月08日

居酒屋における「便所の格言集」の分布について、私達は今一度話し合わなければならないのではないか。

居酒屋なんかで便所で見たことがあるでしょう、壁に貼ってある格言集を。
「生きてゆくということは、だれかと手をつなぐこと、
つないだ手のぬくもりを忘れないように」
これは、今さっき居酒屋の便所で出遭った格言だけれど。

一度は目にした事が在るはずであろう、酔っ払いに訴えかける「便所の格言」。
その「相田みつお率」の高さは全国的なモノなのであろうか。
是非、調査すべきだと感じている。

38声 容器判別が困難

2008年02月07日

えぇ、そうなんです。
風呂場で頭を洗っておりましてね、シャンプーのポンプを押したんです。
手のひらのシャンプー液を頭につけてゴシゴシやったトコロ、どうも泡立ちが悪い。
一ポンプじゃ少なかったと思いまして、今度は二ポンプシャンプー液を出してゴシゴシ。
やっぱり泡立たないんですねぇ。
それじゃあって事で、シャンプーとリンスの詰め間違えだろうと思いまして、リンス液を出してつけてゴシゴシ。
まーた泡立たない。
弱っちまって、シャンプーを一ポンプ、リンスを一ポンプ手のひらに出して比べて見て、
両手でゴシゴシやってみたんです。
両方リンスでした。

いつもより余計サラサラな髪になったトコロで、歯を磨いたんです。
歯磨き粉をいつもの歯ブラシにつけてゴシゴシ。
「ペッ!」っとなっちまいましたね。
だって、物凄く苦い。
なんてヤローだこの歯磨き粉はと思って、歯磨き粉を手にとって見たんです。
そしたら、「洗顔フォーム」だって。

37声 スイーツ日和

2008年02月06日

バレンタイン商戦と相まって、雑誌やTVなどでは、「スイーツ特集!」なんて企画は目にしない日は無い程。

少しマニアックな話になって行くが、地ビールの業界にもちょっとしたスイーツ旋風が巻き起こっている。
去年のジャパンビアフェスティバルで、来場者アンケートで第1位に輝いたのが「スイーツビール」。
この、ジャパンビアフェスティバルっちゅうのは、言わば日本における地ビールの祭典と言ったイベント。
そこで人気だったのが、神奈川県の「サンクトガーレン」と言うブルワリーの「スイートバニラスタウト」。

当然今年は売り切れ必死。
と言うかもう売り切れで買えないだろう。

この「サンクトガーレン」が以前販売した、
バレンタイン限定のスイーツビール「インペリアルチョコレートスタウト」。
2万本が1日半で完売と言う、業界稀に見るホームラン。

地域密着・小規模醸造な地ビールメーカーが、創意工夫して頑張ってるビールと言うのは、
それぞれのキャラクターがあって非常に面白い。

バレンタインデーにはチョコビール。
つまみはやっぱり、チョコ唐揚げにチョコおでん。
そして、しめはもちろんチョコラーメン。
なんて言う日も近いかもしれない。

36声 クロスカウンターコロッケ

2008年02月05日

唐突にコロッケの話をひとつ。

以前、「じんころ」もとい「神コロ」と伊勢崎市で出くわし、小規模なカルチャーショックを受けた。
『私の周りにいる伊勢崎市民氏からは、「えっ高崎なのにじんころ知らないんですか」と驚かれてしまった。』
と、この「鶴のひとこえ」の22声、23声にも書いたのだが、高崎市民の私はまったくその存在を知らなかったのである。
まさに、不意の一撃を食らってしまった。

しかし今日は、軽やかに崩れた体制を立て直して、鮮やかなクロスカウンターパンチをご覧に入れよう。
突然上から目線になってしまったが、まぁ良いのだ。

私は油断していた。
まさかこんなに平べったく、こんなにモッチモチで、こんなにソースが染み込んでいるモノがコロッケだったなんて。
しかし、一口食べてみるとなんとも懐かしいおやつ風味で、つまみとしてもなかなかイケる。
しかも、伊勢崎市民土着度合いが以上に高い。
つまり、いっさきの人みーんな知ってる。
全くの無知だった私は、ワンツーからの右ストレートをモロにお見舞いされてしまったと言う訳だ。

然らば、私も高崎市民の端くれ。
このままマットに這いつくばってしまう訳にはいかない。
「神コロ」を鼻先三寸でかわして、渾身の力でブチ込むのは、もちろん「オランダコロッケ」である。
高崎市は大橋町に在る「平井精肉店」で2000年から販売されている、人気の名物コロッケ。
「えっ伊勢崎なのにオランダコロッケ知らないんですか」

35声 本命恵方

2008年02月04日

節分も終わって、スーパーやコンビニで売られていた恵方巻も、今日からただの太巻き寿司に戻る事だろう。
近年特に、コンビニで大々的に販売されている恵方巻を目にする。

う〜、今日は風邪による発熱朦朧頭で、白目を剥きながらヨロヨロと書いている。
現在状況、起用転結で言う「起」の部分を書き進めている所だが、今日は一気に「結」の部分にワープだ。
それ!

そこでこの節分の日の恵方巻、もうバレンタインデーのチョコレートとくっ付けてやってしまってはどうか。
「はい、バレンタインデーのチョコレート♪」
も良いけれども、今度からは、
「はい、節分の日の恵方巻♪」
なんてのはどうか。

義理恵方と本命恵方なんてのがあって、中身の具材である桜でんぶでハート型なんて作ったりして。
「あっ、オレのは義理だからかんぴょうしか入ってねぇや」
なんて悲しい状況も在る。

またこんな事を言っていると、「日本の伝統行事に対する冒涜だ!」なんて言われそうだ。
しかし実際、本命恵方なんて意外と洒落てると思うけどなぁ。

34声 鬼は内ブーム到来

2008年02月03日

今日は節分。
子供らと一緒に豆まきをした人も多いはず。
お父さんは当然、鬼役だろう。

私も昨日、グループホームと言う施設で鬼役を演じてきた。
おじいちゃんおばあちゃんに、「ピシッ」「ピシッ」っと豆をぶつけられるのだが、
ピーナッツを使っている策士も居てなかなか良いタタカイになった。

豆まきが終わった後は、一緒に連れて行って下さった「芝居屋らいぶヨロコンデ」代表、岩淵さんのライブ。
そのライブの演目の中に紙芝居があったのだけれど、これがちょっと面白い紙芝居で、「鬼は内福は内」と言う。

ざっと内容を追うと、お腹が空いて里へ下りて行く鬼、しかし運悪くその日は節分で、
村人達に豆をぶつけられて追い出される破目に。
お腹が空いていきり立った鬼は、馬と牛と鳥をかっぱらって棲家へ逃げ帰ってしまうのである。
怒った村人は鬼の棲家まで大勢で押しかけ、その鬼をタコ殴りにする。
村人達も帰り、痛手を受けて横たわっている鬼の耳に聞こえて来たのは、「鬼はー内福はー内」。
恐る恐る声の聞こえる民家へ行って見ると、家の中には追い出された鬼達が、
手当てを受けたり、にぎりめしを食ったり、コックリコックリ寝たりしているではないか。
もちろんその鬼も、家の者に手厚くもてなしてもらった。
翌日、鬼等は昨日のお礼に、その力を活かして畑を作ってあげたのだ。
出来た畑によって、その民家は村一番の長者どんになったとさ。
っちゅう具合。

そして、群馬県藤岡市鬼石地区では節分の時には今でも、「鬼は内福は内」と言うそうな。
「鬼は内ブーム」到来の予感を、この文章の作者は感じたんだと。
めでたしめでたし。

33声 人は生きる故に表現者である

2008年02月02日

歌を歌う事、絵を書く事。
もっと言うと、しゃべる事や体を動かす事。
こうやって文章を書いてる事も、これ全て表現である。
自分の気持ちや考えを、他人が感じ取れるような形にして表す事。

人間であると言う事は表現者であると言う事だ。
その表現方法が、ある人は歌を歌う事だったり絵を描く事だったりするだけで、
手段は変われど、心中に変わりは無い。

しかし、他人が感じ取る形は、必ずしも表現者の意図する形ではない。
そこで人は、考え、悩む。
まぁ、それが簡単に分かりゃー誰も苦労はしない。
つまりは生きると言う事自体、一つの表現なのである。

世の中には、それをうまくやってる人達がいる。
そんな人達を見ると、自分もなんだか糸口を掴んだ様な気になる。

32声 I My February

2008年02月01日

今日から2月突入。
日数が少ない2月。
今年はうるう年で、暦日が一日増えても29日しかない。
日数が少ない事で、果たして損をしたのか得をしたのか。
どうも損をしたような気がする。
しかし、損して得を取ったような気もする。

この様に、なんだか曖昧な気持ちになってしまう2月。
それはともかくとして、今月中にえっーと、アレをほらっ、ナニして、
部分的にザッとソレをまぁ、なんとなくピシッとさせるような感じで。
ねっ、まぁ大体分かるよね?
と、曖昧表現過多なのも2月のせいである。
これではいけない。
こんな時は、ほらっ。
えーっと、アレをナニしとかないと。

31声 ギョーザにマケルナ

2008年01月31日

たまには時事問題。
日本列島冷凍ギョーザパニックらしい。
ここ群馬県でも4件の健康被害が報告され、現在、メタミドホスについて検査中との事。

「食の安全」が叫ばれている昨今。
この問題に直面した、我々一人一人が…。
なんて論客ぶりたいのだが、生憎、私の溝が無いツルツル脳みそでは論じる事もままならない。

外食産業や食品関係の方々は、自主回収やら販売自粛やらで大打撃を受けている。
しかし、価格と質で中国産にかわる代替を探し出すのは至難の業だろうな。
頑張ってほしい限りである。
特に、誤って対象冷凍食品を口にしてしまって、体調を崩してしまわれた方々。

と、私は青島ビールを飲みつつエールを送る。

30声 弾丸告知 〜インターネット路傍の一角から〜

2008年01月30日

はい!
さぁさぁ、寄ってらっしゃい見てらっしゃい。
ここに取り出したるは、何の変哲の無いラジオ。
ね!皆さんの家にも一つぐらいはあるでしょう。
車にも付いてる。
なに!無い?無くても有るの!

さぁさぁお立会い!
さぁ、このラジオ。
明日1月31日の午後1時30分。
周波数をFM77.3Mzに合わせて見て。
そこのおやっさん!
そうやってじーっと見てるだけじゃなくて、ちゃんと聴くいとくれよ。
なんたって、このサイトでもお馴染み、「和のカルチャースクール ほのじ」代表の堀沢宏之さんが出るって話。

どう!驚いた?
そこで口をポカンと空けて見てるお姉ちゃん!
随分と疑り深い目。
しかしこの出演、正真正銘の生放送での出演ときたら、もう聴くしかない。

そこのおっかさん!
ね、ちゃんと聞いてた?
夕飯のオカズなんて、もうこの際どうだってイイ。
さぁ、これで最後のお願い!

明日の午後1時30分から、FM77.3Mzの「ラヂオななみ」の番組に、ほのじの堀沢さんが生出演。
知ってると思うけど、この「鶴のひとこえ」を私の前に書いてた人ね。
ここで注意!
この「ラヂオななみ」。
群馬県佐波郡玉村町と、その周辺地域をエリアとするコミュニティ放送局。
あんまりこのエリアから離れるってぇと、受信しづらい。

まぁ明日、午後の予定は玉村周辺経由ってな寸法でひとつ!

29声 大人がスキップする状況

2008年01月29日

スキップを暫くしていない。
もっとも、大人がピョンピョンとスキップしている姿はあまり見た事が無い。
たまーに、夜の街で見るぐらいだ。
女性がピョンピョンと跳ねていて、ヒールの着地地点を踏み外して「グキッ」なんて姿。
十中八九が酔っ払い。

しかし、大人がスキップする状況と言うのもなんだか異様である。
例えばこうだ。

黄昏迫る森の中、薄暗い山を独りトボトボと歩いている。
すると突然、前方に見える冬木立の間から絣の着物を着た女性がスキップしながら現れた。

これじゃあダメだ。
色気もへったくれもあったモンじゃない。
むしろスキップ効果で不気味度倍増だ。

黄昏迫る森の中、薄暗い山を独りトボトボと歩いている。
すると突然、前方に見える冬木立の間から絣の着物を着た女性がヨロヨロと倒れこむ様に現れた。

これこれ。
こうでなくちゃ。

私は直ぐに、スキップしながら駆け寄った。

イカンイカン、言ってる自分がスキップしてしまった。
大人ななのに。

28声 よいじゃねーやい

2008年01月28日

ようやく今日も自宅に戻り、PCの前に座って凝った肩をさらに凝らす様な作業をしている。
しかし、疲労もピークの脱力人間には、こった文章など書ける余裕もなく、
只々こったな有様を披露することになっちまった。

つがれすぎてぇ、とーほくなまりになっちなったでがんす。
んだどもぉ、かんべんしてけろ。

よし、気を持ち直して、書くぞ。
と、思ったのだがやはり駄目だ。

今日は別にいっぺぇいごいたんじゃねーんだけど、
体がおーかおーごとでなっから書くのがよいじゃねーやい。

上州弁なってきてっから、はあ、今日はよすべぇ。

27声 浸酔の果てに心酔

2008年01月27日

枕元には、空いたビール瓶がひいふうみい…。

只今、自宅上映作品である日曜洋画劇場・特別企画「男はつらいよ 寅次郎恋やつれ」を観終えコレを書いている。
なぜか若干ニヤケながら書いている。
いや、なぜかなんて回りくどい事は無い。
つまりは、酔っているのである。
ビールに浸酔そして映画に心酔。

えーっと、ビールもう一本残ってたっけなぁ…。

26声 冷めた珈琲と冷たい珈琲

2008年01月26日

年々、市街地から映画館が消えている。
その最大の要因として挙げられるのは、郊外に乱立するシネマコンプレックス人気である。
シネコンと呼ばれこの複合映画館、その多くは大型ショッピングモール内の一テナントとして営業されている。
充実した設備と広々綺麗な館内。
全席指定席の券売システムなので、座席にあぶれる事無く観賞できる。
これに、ショッピングがてら映画鑑賞が出来るとあらば人気の出ない筈が無い。

その上映システムは、基本的に一スクリーンでの上映は一作品で完全入替制。
もちろん市街地の「ナントカ座」みたいな、商店街内にあるチビ映画館の、
動員数不振作品の2・3本立て抱き合わせ上映や、
一度入場すれば複数の作品を連続して観賞できる、気が済むまで観賞制とは一線を画す。

思えば確かに、この気が済むまで観賞制と言うのは観客回転効率が悪い。
座席も指定されていないので、人気作品などは決まって立ち見が出る。
それはまさに、市井の人々の映画熱を象徴している様で、
その頃の映画館には、回転効率やら上映環境やらを度返しにした、娯楽を求める人達の混沌とした温度があった。
実際に、あの重たい扉を開けて薄暗い講堂に入ると、そこに蠢く人達から生まれる「モワッ」とした熱気を感じた。

そして、キレイサッパリとしたシネコンからその温度は感じられないのである。
下手ながらに例えてみると、アイス珈琲は冷やされる事によりホット珈琲の持つ豊かな薫りは失ったが、
それと引き換えに、爽やかな涼を得た事に似ている。
真の珈琲好きは、珈琲はホットである事を実と考えるかもしれない。
しかし、注いだ時はホットでも、一旦冷めてしまった珈琲ほど後味の悪いものは無い。
冷めた珈琲と冷たい珈琲。
どちらを取るかと問われれば、それはもちろん…。

25声 いつの間にやら古女房

2008年01月25日

もう完全に逆転してしまった。
気付いてみれば、ここ何年かでTVを見る時間とPCを見る時間が逆転してしまったのだ。

私の部屋では、「アイワ製14インチ型ブラウン管テレビデオ」を使っている。
もう、私の所に来てから10年程経っている古女房である。
つい先程、ふと思い立ち、昔録画したVHSを観ようとビデオテープをテレビ本体へ入れると、
何やら不気味な機械音をキリキリを立てて受け付けてくれない。
何度やっても駄目である。
これは弱ったと思い、
「お願いだからさ、そうへそを曲げないでおくれよ」
と、猫なで声でお願いしても効果なし。
「ムスッ」とした態度を断固として変えようとしない。
遂には私も頭にきて、「パチン」と右スピーカーにビンタ一発。
「この分からず屋め!ずっとそうしてなさい」
埃のたまったモニターを真っ直ぐ見ながら言い放ってやった。

私は「プイッ」と踵を返して、反対側にあるPCの電源を入れた。
PCは嫌な顔一つせずに「ササッ」とOSを起動させ、
「DVDを観賞します?インターネットにします?それとも…」
とやさしく私を迎えてくれた。
「そうだなぁ…」と、私が答えようとした瞬間、背中に刺さるような殺気が伝わった。
恐る恐る振り返ると、
仁王立ちしている古女房のブラウン管モニターに、私達の姿が映っていたのだった。

24声 挨拶無垢

2008年01月24日

私が保育園の敷地を通ると、向こうから4.5歳位の女の子が駆け寄ってきた。
近くまで来ると、真っ赤なほっぺを揺らしながら、大きな声で「こんにちわ」と元気に挨拶してくれた。
私は少し身体を屈めて、ゆっくりと丸い声で「こんにちわ」と返事をしてあげる。
すると女の子は少しふわっとはにかんで、可愛らしいつむじ風となって行ってしまった。

膝を伸ばしてその後ろ姿を見ながら、
「私はいつの頃から、あんな風に気持ちの良い挨拶が出来なくなってしまったんだろう」
とぼんやりと考える。
無意識に小さなため息を一つついた事に気付き、鼻を一回啜ってからまた歩き出したのだった。

23声 幻の「じんころ」 後編

2008年01月23日

一口食べてみると、コロッケなのに中面のポテト部分はモチモチ食感。
断面を覗くと、ポテトに青海苔が練り込んである。
ジャガイモをすり潰して、青海苔やら何やら混ぜてから揚げるのか、その製法に疑問が残る。
そして味付けはやはり、全体的ソース潜らせ型らしい。
その風貌や佇まいが醸し出すアヤシイ雰囲気や風味が、何処となく駄菓子を連想させた。
幼少時分より駄菓子などで培われた私の粗野な味覚は、
その様な懐古的な味わいを感じていたのだった。

とまぁ、味の感想ぐらいでついつい大袈裟な表現になってしまった。
己の野暮ったさには、書いていてつくづく閉口してしまう。

その製法に代表される様に、謎が多い分あまり断定的な事は言えないが、
この「じんころ」が伊勢崎市民土着食物である事は間違いない。
私の周りにいる伊勢崎市民氏からは、「えっ高崎なのにじんころ知らないんですか」と驚かれてしまった。
ここは断言するが、知っているわきゃーないよ。
鼻水を垂らした小僧から、杖を突いたお年寄りまで、
伊勢崎中心市街地人はみんな「じんころ」もとい「神コロ」を知っているらしい。
たしかに、おやつとしても酒のつまみとしてもイケそうだ。
現に、私が呑んでいるオンザロックの焼酎とも相性が良い。

「懐かしくなる味」と言うのは、この様ないつまでも変わらぬ手作りの味の食物なのだろう。
とりわけ「おふくろの味」なんて言われている食物である。
それらは、作り手の手から魂の成分が染み込み、食事で摂取する事により、
食べた人の血の中に魂の成分が溶け込むのだろう。
血液に流れるその成分こそが、度々味を懐かしがるのである。
と、私は信じて疑わない。

今、ここまで書き進めてきて思ったのだが、
この「神コロ」現在は伊勢崎市のどこに売っているのか聞きそびれてしまったなぁ。