日刊鶴のひとこえ

この鶴のひとこえは、「めっかった群馬」に携わる面々が、日刊(を目指す気持ち)で記事を更新致します。担当者は堀澤、岡安、すーさん、坂口、ぬくいです。この5人が月替わりで担当しています。令和8年度は4月(坂)5月(ぬ)6月(岡)7月(す)8月(堀)9月(坂)10月(ぬ)11月(岡)12月(す)1月(堀)2月(坂)3月(ぬ)の順です。

2693声 軒下

2016年02月22日

巷でインフルエンザが猛威を振るっており、
周りはばたばたと、A型だのC型だので倒れている。
予防接種など、勿論打っていないので、少し喉の痛い今日など、
インフルエンザの発症に怯え暮らしている。
しかも今日は、午後から冷たい雨になり、体にこたえる。
帰路の道で、商店街の軒下の暗闇で雨宿りをしている猫を見かけた。
寝ているのか起きているのか、そこはかと、具合が悪そうであった。

2692声 興味の発見

2016年02月21日

午後からやや風強くも、薄日差す一日だった。
散り始めている梅を見ると、桜を待つこころがはやる。
半年ほど、同人誌の月評を担当することになった。
小声でしか言えぬことだが、他の俳人(現在活躍中のと言うべきか)
の作品にあまり興味が無い。
それよりも大正・昭和期の俳人の作に、大きな魅力感じる。
月評を通して、興味を発見するのもいいかも知れない。

2691声 梅一輪

2016年02月20日

句会のため八千代市へ出かけた。
生憎の雨だったが、車で郊外まで送ってもらい、
川べりや野原など二時間ばかり吟行した。
春寒し、とはまさに、雨に濡れた手足が強烈に悴んでしまった。
自身の句は散々だったが、暖かな料理や酒にありつけたことが、
救いであった。
句会主が用意していた地酒が「梅一輪」なる銘であった。
なるほど、俳人は、暮らしの中の季の移ろいに敏感である。

2690声 火蓋

2016年02月19日

一挙に、来た。
花粉症が、である。

 

春めいて気温が上がった今日は、花粉の飛散が甚だしい。
二月半ばだが、これからおよそ二月は、
常時目をこすり花をすすることになると思うと、気が滅入る。

 

こんな状態だと、酒の味も一段と落ちる。
麦酒のあの爽快な香りを楽しめないのは、つらい。
耳鼻科に行けば済む話しかも知れぬが、
自然治癒させてみたいと言う、いささか馬鹿げた望みもある。
ともあれ、花粉との闘いの火蓋が切られた。

2689声 弛緩

2016年02月18日

梅が咲いている。
とは言えど、今朝などまだ強く霜が降りるほど、寒さが厳しい。
寒い時は、気が張っている。
逆に、暖かな時は、気が弛緩する。
みずみずしい春の夜の、あの家の中の温度と外気温が、
ほぼ一緒ではなかろうかと言う、
壁の内外もなく宵闇の繋がっているような感じ。
そう言う晩の心の弛緩は、とても心地よい。
あと半月もすれば、そう言う晩になるであろうと思う。
待ち遠しい。

2688声 船の灯

2016年02月17日

わたわたと過ぎて、気付けば夜であった。
月夜、車窓から外を眺めていたら、
ぼんやりと桜色を放つ木を川べりに見つけた。
河津桜であろうと思う。
二月半ばだが、もう五部咲きほどであった。
川面には、屋形船の灯がたゆたっていた。

2687声 店の奥

2016年02月16日

昨夜は八丁堀にて、いささかの痛飲。
痛飲ならば、いささかとは矛盾するようだが、
実際、気が張っているときは、酒量が過ぎても平静を保てるものである。
逆に、自宅の炬燵で一杯などと言うときは、
二つ目の缶麦酒に手を伸ばすころに、もう酔いが回っている。
昨夜は雨であった。
近頃の新しい飲み屋、特に都心部は、
自然採光のためか全面硝子張りの店舗が多い。
それが、外の世界を意識するため、平静を保つことに一役買っているのかも知れない。
たしかに、店内も衛生的だし、間違ってもそう言う明るい店に、
酔いつぶれて突っ伏している親父など居ない。
無論わたしは、窓一つない鰻の寝床のような、
店の奥が(間接照明などで無く)薄暗い飲み屋も好きである。
そう言う店の奥には、深夜、大抵、酔いつぶれて突っ伏している親父がいたりする。
とても、落ち着くのだろうな。

2686声 瓶麦酒の栓

2016年02月15日

どうも、付き合いが苦手である。
親戚などが集まる場でも、早々と冷蔵庫から麦酒を取り出して、
台所の薄暗がりで、がぶがぶ飲むと言った具合である。
今夜が、まさにそれ、であった。
小さな子供等も、当然、近寄って来ず、
なんだか父母ともに台所に蟠踞している男が煙たい様相となる。
しかしながら、どうすればよいかと自問したところで、
いたるところは同じである。
近寄るほど、相手も自分をも傷つけてしまう、
「男はつらいよ」方式になることが目に見えているからである。
そんなことさえ、考えないようにするため、瓶麦酒の栓を抜くのである。

2685声 夕霞

2016年02月14日

昨夜半から引き続き、朝から雨。
しかしながら、春の雨なのであたたかい。
あたたかいのは良いが、いきなりあたたかくなりすぎで、
寝汗をびっちりとかいての起床となり、なんとも心地の悪い寝起き。
そして、一日中の強風。
外へ出ると、砂ぼこりで目が痛いほどである。
近所の神社へ出かけると、鳥たちがしきりに地面を啄んでいた。
さながら狂乱の体で、私などには目もくれず一心不乱に地を突いている。
強風のため、梢から虫やらが落ちているのであろう。
目白なども間近く見られ、参道からは夕霞に突き出たスカイツリーの影が、
くっきりと見えた。

2684声 強東風

2016年02月13日

定例句会のため、原宿へ出かけた。
あたたかな日に、町中が春めく。
原宿はいつ来ても、当然ながら外国人観光客が多いが、
その人たちも、近頃はSUICAで改札はスムースに通過し、
かつ、コンビニや自動販売機でもSUICAをさりげなくかざしている。
その所作、はや日本人をしのぐものがある。

 

ダウンコートを羽織って出かけてしまい、
終始暑く、句作大いにはかどらず。
春一番のような強風が時折吹いており、
その情景でなんとか一句。
子に石鹸玉を吹いてあげている母がいたが、
強風のため、すぐに玉が消失しまう。
何度も何度も吹くが、一つとして、風に乗る玉は無かった。

2683声 消沈

2016年02月12日

好天は続くが、風の冷たい一日。
午前中、句集の収録句を整理したが、
載せられるような句が思ったより無く、
一挙に意気消沈してしまった。
この分だと、300句など到底無理で、
200句程度でも良いかもしれない。
もう、俳句のことなどは放擲して、
小説や随筆の類を貪って一日が暮れた。
一番絞りの地域缶とでも言うのだろうか、
製造工場別のものが美味しく、最近は常用している。
近所の量販店で手に入るのは、取手工場、横浜工場のものである。

2682声 春の池

2016年02月11日

午前中、じゅん菜池緑地へ出かけ独り吟行。
風も無く穏やかな陽気なので、人手は多い。
咲き始めた梅を撮る人、池の鴨を撮る人、
とにかくカメラマンが多かった。
その横で、こそこそと手帳に俳句を取る人。

 

水浴びをしている鴨が日差しに水に、煌いており、
まさに「水温む」と言った感興である。
一日中好天が続き、句も手ごたえのあるものは少ないが、
一応、まとまった数が出来たので、気持ちが落ち着いた。

2681声 早春の窓

2016年02月10日

窓を開けたまま寝ていた。
昨晩ずっと、である。

 

今夜はやけに冷え込むと思いつつ、布団に潜った。
朝になってカーテンを開けると、網戸であった。
隣の中学校がやけに賑やかだと、いつもより早く目を覚ましたが、
網戸なので、通学路や校庭の声が筒抜けだったのである。
外でテントでも張って寝ていたほうが暖かかったのではなかろうか。
よくもまぁ、一晩眠れたものだと自分の鈍感力に呆れた。
そこまで酔ってはいなかったので、単純に窓の締め忘れである。

 

夜、歯を治療に行って歯科医院で緊張したので、
神経が疲れたのであろうか。
性能の良い寝袋さえあれば、意外と二月の寒空の下でも、
眠れるのかも知れぬ。
しかしどうしてか、鼻水がとめどなくたらたらと落ちてくる。

2680声 即席生活

2016年02月09日

昨夜、煎餅を齧ったら「がりっ」と、何か当たった。
異物混入であろうかと、口内の内容物を手のひらに出して確認すると、
小さな金属片があった。
まじまじと眺めてみると、どうやら、歯の詰め物らしい。
詰めていた銀歯が取れてしまったようである。
早速、今日になって最寄り駅近くの、何度か通ったことのある、
歯科医院に電話を入れると「先生は辞めました」と言う。
予約がだいぶ先になるとのことなので、近くの歯科を探すことにした。
最寄り駅付近には歯科医院が沢山あるので、選定には苦労はしない。
それは歯科に限らず、床屋も食堂も沢山有るので、即席で済んでしまう。
土地柄もあろうが、生活がどんどん即席になってゆく。

2679声 150句

2016年02月08日

句集に収録する句を選定せねばならぬのだが、
なかなか進まない。
句集は300句ほどで組もうと考えている。
内、150句は受賞句となるので、選定するのは、
実質150句程度である。
鑑賞に堪えうる句が、150句もあるのだろうか。

2678声 虫

2016年02月07日

部屋の掃除をした。
ひとしきり掃除すべき箇所を清掃した後、
部屋の隅の置いてある消臭材のプラスチックケースを確認した。
内容物の消臭剤が終わっているようで、蓋を開けて見ると、
消臭剤は一つも残っておらず、ハサミムシとゴキブリを、
足して二で割ったような虫が一匹、ひっくり返っていた。

2677声 水仙の風

2016年02月06日

近所では、紅梅がほつほつとほどけ始めた。
こちらでは蝋梅が少なく、今年はまだ蝋梅の花を見ていない。
近所の神社を通ると、参道の脇に水仙が連なって咲いていた。
水仙の傍らに屈むと、清浄な香りがした。

2676声 足枷

2016年02月05日

早春のすっきりとした青空の一日であった。
使用している携帯電話が二年目を迎えたので、
機種を変更しに、営業店へ出かけた。
まだ使える機種を何故、最新のものにしなければならぬか、
自分でも判然としない。
ただ、契約する際に説明された「二年毎に更新」と言う、
システムの流れだけは覚えていたので、
店舗へ行って機種を変更せねばならぬような気になったのである。
「二年間を割賦で支払う」と言う足枷を嵌める代わりに、
月々の料金が安くなる契約である。

 

店舗へ出かけ、言われるがままに手続きをしてきた。
二年前は紙に手書きする場面も多かった気がしたが、
今回は、そのすべてがタッチパネル上で済んだ。
自筆のサインさえ、ゴムのペンで液晶をなぞるだけであった。
二年と言う歳月は、確実に技術を進歩させていた。
自分は何一つとして、進歩していないような気になった。

 

「ありがとうございました」
と笑顔で店舗を送り出される時には、新型の携帯電話のみならず、
自宅のインターネット回線まで契約していた。
そしてもちろん、見えざる二年間の足枷も、
新型でさらに厳ついものが、がっちり嵌められていた。