日刊鶴のひとこえ

この鶴のひとこえは、「めっかった群馬」に携わる面々が、日刊(を目指す気持ち)で記事を更新致します。担当者は堀澤、岡安、すーさん、坂口、ぬくいです。この5人が月替わりで担当しています。令和8年度は4月(坂)5月(ぬ)6月(岡)7月(す)8月(堀)9月(坂)10月(ぬ)11月(岡)12月(す)1月(堀)2月(坂)3月(ぬ)の順です。

2560声 グラン・ブルー

2015年10月12日

「スカイランニング」という競技をご存じだろうか。
標高2,000mを越える山の急斜面を、駆けるように
登り、下る。聞いただけで心臓が痛くなるレースだ。

 

その競技で日本で最も速い男は、群馬県嬬恋村出身。
競技者としてだけではなく、スカイランニングの普及にも
尽力する32歳。名は松本大という。

 

彼がプロデュースする「アサマ2000スカイレース」の
大会映像を撮影する機会があり、
自称スポーツ無縁の僕ではあるが、彼と親しくなった。
この日は、万座の毛無峠にて彼が山を駆ける映像を撮影した。
撮影で向こうも1000%手を抜いてくれているとわかっても
ついて行くだけでゼーゼーハーハーである。

 

極限の自然環境の中で、ただただ自分と戦い先を目指す。
松本選手の見ている世界を想像した時に、
深い深海へ素潜りでひたすら降りていくジャック・マイヨール、
つまりは映画『グラン・ブルー』を思い出した。

 

印象的なシーンがある。
主人公がベットで眠っている。
突然、迫ってくるのだ、海が、天井から。
そこまで精神的に追い詰められて始めて、
彼は彼にしか見られない別次元の世界まで
降りていくことができるのかもしれない、と思った。

 

松本選手は、レース中でなければ気のいい
山好きなあんちゃんである。ただ僕はレースでの本気の彼を
映像以外に見たことがないので、彼もきっと僕らには
見ることのできない別次元の扉を叩いているのだと思う。

 

自称スポーツ無縁の僕ではあるが、夜明けの太陽に照らされ、
熊笹に覆われた雄大な山が渋く光輝く様子には言葉を失った。

 

山はいいなと思った。

 

2559声 ミスター・ノーバディ

2015年10月11日

魚河岸の社長の車の助手席に座り撮影に回った。
レクサスである。
機械科を出ている癖に車に全く興味がない僕でも、
高級車であることはわかる。
走りだしから停車、ドアの開閉までがなめらか。
僕の高級車のイメージは、なめらか、なのである。

 

あの日あの時何かが違えば、
僕はレクサスに乗っていたのだろうか・・・
それはないにしても、
あの日あの時あの子を呼び止めていたら、
今も一緒だったのだろうか・・・

 

ジャコ・ヴァン・ドルマルは、
そんなことをずっと考えている監督。
老いた自分の人生の惨めさを、
近所の金持ちの幼馴染のせいだと恨み
「もしもあの時」の人生を回顧する
『トト・ザ・ヒーロー』は映画ファンの間で
静かに語られる名作だが、
それから18年の歳月のあと、
「もしもあの時」のテーマを進化させ
『ミスター・ノーバディ』という映画を作った。

 

主人公には3人の幼馴染の女の子。
もし、誰と付き合っていたら、人生がどうなっていたか。
時に圧倒的な映像美で、テンポよく映画は進む。
この、「だれと結婚していたら、どうなった」
というのは、実はとてもリアルな事とも思う。
美人だったり金持ちと結婚しても幸せは保障されない。
そして、優しい人気持ちが豊かな人同志が結婚しても、
人間は数学と違い+×+が+とは限らないのだから、
幸せな未来が待っているとは限らない。

 

僕も晩年、人生を振り返る時が来るのだろうか・・・
その頃はきっと、なめらかな車乗っちゃってるよねー。

 

2558声 タンポポ

2015年10月10日

四万と沢渡に分岐する手前にある
「らーめんダイニング庵」の角田さんが、
東吾妻町原町Aコープの中に
「匠家」という2号店をオープンさせた。

 

「匠家」は家系豚骨醤油と鳥白湯の
2枚看板で、本来は濃厚こってりなそれらを
Aコープ客層に合わせにマイルドに仕上げている。
たまの休日には東京へらーめんを食べに行く
らーめん馬鹿一代とも言うべき角田さんなので、
きっと人気店になっていくに違いない。

 

『タンポポ』はとても不思議な映画だ。
らーめん屋を舞台としつつ、ただの繁盛物語ではない。
鬼才というか、多才の人であった伊丹十三監督らしく、
繋がりはよくわからないのだが印象的なシーンが多い。

 

もう死にそうだという妻に「炒飯作れ」と命令し、
瀕死のはずだった妻がむんずと起き鍋を振るシーン。
山崎努と安岡力也が少年漫画のように
拳をぶつけあい、その後ケロッと親友になるシーン。
意味もなく若い男女が(まだ売れてない役所広司!)
生卵をトロンと口移しし、それを繰り返すシーン。

 

生卵のシーンに関しては、学生時、僕が寮にいた際に
一発芸を強要され、同じクラスの神戸(男)と
そのシーンの再現をしたら、その場にいた全ての人が
めちゃくちゃ引きまくったという思ひ出もある。

 

・・・話しがずいぶんおいしくない方に逸れたが、
東吾妻町原町Aコープの中の「匠家」、ご賞味いただきたい。

 

2557声 まわり道

2015年10月09日

仕事で東京へ日帰りすることに。
あまり寝られていなかったのと、
車で東京へは築地以外迷子になるので
高崎から新幹線で向かった。
(築地だけは仕事で何度も行っている)

 

通勤で使っていればそれも日常になるのだろうが、
電車だとそれだけで“旅”という気持ちになる。

 

映画にはロードムービーというジャンルがある。
主人公が旅をする映画のことであり、名作も多い。
その中の金字塔としてヴィム・ベンダースの
『パリ・テキサス』があり、これはもう10年ごとに
見返したい、究極的な男と女の話だと思うのだけど、
彼はそこに行き着くまでにも3つ旅の映画を作っている。

 

その中の一つ、『まわり道』も、夜中の放送で見た。
冴えない顔をした作家らしき男が、もういい年っぽいのに
モラトリアムな空気をまとい、あてのない旅に出る。
感動的なドラマやロマンスもなく、退屈に旅は続く。

 

それでもこの映画を覚えているのは、
突然旅に加わる若きナスターシャ・キンスキーが
はっとする位かわいかったのと、
灰色がかった彼の旅が、なぜだか僕の気持ちに触れたのだ。
その理由は・・・実は未だにわかっていない。

 

もうだいたいの内容も忘れていたのだけれど、
これを書くために検索し下記のワンシーンを見つけた。
やはり理由はよくわからないが・・・良い。
理由はわからないけどいい。そんな映画があってもいい。

 

2556声 阿賀に生きる

2015年10月08日

僕の温泉での楽しみのひとつに、
農作業帰りであろうおじさんたちの
湯船での会話に聞き耳を立てる。
という悪趣味なものがある。

 

「猿のやろうは人を見てるよ。
俺がいればさーっと消えるが
おっかあだと逃げねえんさ」

 

吾妻に住んでいればごく自然に交わされる
そんな会話を、生活に根差したいい言葉だ!
と思ってしまうのは、学生時代に
ドキュメンタリーを専攻した名残かと思う。

 

2年に一度の「山形国際ドキュメンタリー映画祭」
が近づいている。世界各国から有名無名の
ドキュメンタリーのみを集め1週間に渡り開催する、
僕が「日本で一番意義深い」と思う映画祭だ。
2003年にはこの映画祭のスタッフとして山形にも行った。

 

『阿賀に生きる』は、新潟県阿賀野川の農村に、
故・佐藤真監督率いるスタッフが3年にもわたり
そこに生活し、「農村そのもの」を映した作品。
共に生活する中でキャメラに対する違和感も和らぎ、
映るおじいちゃんおばあちゃんは生きた会話を始める。
それを撮ることがいかに難しいかは、やってみるとわかる。

 

国内外、過去から現在に至るまでのドキュメンタリーの
研究家としても知られていた佐藤真監督は、
「ドキュメンタリー映画とは、世界のあり方を批判的に
受けとめようとした映像作品」であると書いた。

 

ぼくらは、現実を、世界を、受け止めているだろうか。

 

2555声 殺人の追憶

2015年10月07日

夜が明ける前、新聞代配をしていると、
なんだかあの藪、嫌だなぁと思ったりする。
ホラー映画は極力見ない主義だけど、
もののけか人か潜んでいそうな藪がある。

 

「お前、映画学校入って
これがつまらないって言ったら駄目だよ」

 

今でも覚えているのだが、調子のいいマサルが
韓国映画『殺人の追憶』を見て「つまらん」
と言った事に対する、平澤の言葉である。
つまりは、この映画には映画を志すものにとって
大事にすべきことが含まれているということだ。
その席にいた僕も同感だった。

 

ポン・ジュノ監督は韓国のわりと若手監督にも関わらず、
僕ら学校の創始者である今村昌平の気配も感じるような
重喜劇的世界観を作ってしまった。
一見そこらにいそうな男前ではない韓国の演技派、
ソン・ガンホがこの映画でも堂堂たる演技を見せる。

 

なんだか嫌だなぁという気配について。
映画の最後、彼は道端の変哲もない排水溝を覗く。
その後に見せる彼の表情が、今も焼き付いて離れない。

 

2554声 転校生 さよならあなた

2015年10月06日

今年も「伊参スタジオ映画祭」が近くなった。
11/14-15、中之条町の山あいで行われる映画祭だ。

 

中之条町にUターンし、犬の散歩をしていて
この映画祭関係の映画の撮影現場に出くわした。
その日の晩には拠点となる伊参スタジオに出向き、
「スタッフやらせてください」と言っていた。
それから11年が経ち、副実行委員長になった。

 

『転校生 さよならあなた』は、2008年に
映画祭で上映した。監督の大林宣彦氏も来場された。
映画祭の醍醐味は、どんな映画を上映するかにある。

 

2007年あたりか、四万温泉を歩いていて
この映画のポスターを見つけた。理由を探ると、
一部のシーンが四万グランドホテルで撮影されていた。
それで東京に観に行ったら、ものすごく良いのだ。
「伊参でやりましょう!」鼻を大きくして提案した。

 

主題歌を歌う寺尾紗穂さんは以前からファンだった。
大林映画への抜擢の理由は、大林監督の娘さんが
寺尾さんが好きだったから、と聞いた。
中之条、寺尾紗穂、好きなものが偶然一致する。
その興奮を、上映という形で大勢と共有できる。
そんな経験をしてしまうと、やめられない。

 

2553声 バックドラフト

2015年10月05日

自称映画好きなので、
タルコフスキーは観とかないとだよね、とか、
成瀬・小津・溝口ももちろん観てますよ、とか、
通ぶりたくなる時期もあったが、
最近でも「Xメンシリーズ」は全て映画館で観ているし、
ぶっちゃけわかりやすい映画は好きである。

 

僕が生まれ育った中之条町には映画館がない。
一昔前には、廣盛酒造そばのそば屋「朝日座」が、
名前そのままに映画館だったとかそんな話はあるが、
小学校の頃に僕が観る映画は、吾妻文化会館で見た
年に一度のドラえもんなどを寄せ集めたアニメか、
テレビで見る「金曜洋画劇場」だった。

 

『バックドラフト』は、中学生の頃に
たしか金曜洋画劇場で見て抜群に面白いと思った映画。
アクション、サスペンス、外れがない頃のデニーロ、
面白い映画に必要なことがだいたい詰まっている。

 

観終わって映画館内がにわかに明るくなり、
それでも席を立てないような打ちのめされる映画も良いが、
何も考えたくない時にビール片手に見るような
わかりやすい映画も良い。

 

2552声 明日を夢見て

2015年10月04日

『ニューシネマパラダイス』が映画の光を描いた映画なら、
同ジュゼッペ・トルナトーレ監督の『明日を夢見て』は映画の影を描いた映画。

 

『明日を夢見て』は確か誰かにWOWWOWを録画してもらい見た。
イタリアの美しくも貧しい田舎を舞台に、映画のオーディションと銘打って
人々をフィルムに収める男の話だ。

 

ところがこの男、全くの詐欺師。
オーディション料をせしめて、映画スターを夢見る人たちを欺く。
男が回すキャメラには、若い女や地元の名士、兵士などが映る。
その中の一人である美しい娘に男は惹かれるのだが、
男の正体は暴かれ、刑期を終えた後には娘は精神を病み、男の事もわからない。

 

『ニューシネマパラダイス』ではラスト、
フィルムで繋がれたキスシーンが並ぶ感動的なシーンがあるが、
この映画では、男が用途もなく撮りためた人々のインタビューフィルムが連なる。
実に切ない。切ないという言葉では補え切れないほど切ない。
同じ監督がこんな光と影を描くのか、と、これを見た20歳前後から、
映画を監督で観るようになった。

 

何の身構えもせずに深夜のTVで見た映画が強く印象に残ることもあるように、
マイナーな映画でも、だからこそ忘れられない映画がある。

 

2551声 ニューシネマパラダイス

2015年10月03日

人生には幾つかの岐路があり、僕が川崎にある「日本映画学校」に入ったのは大きな選択だったと今も思うのだけれど、映画学校と銘打っているだけあってかなりの人数が入れる上映ホールがあり、そこで何本もの映画を観た記憶がある(現在、専門学校だった「日本映画学校」は「日本映画大学」に変わった)

 

わりと入学早々、そのホールで観せられた記憶がある。イタリア映画の金字塔、『ニューシネマパラダイス』を。あまりに有名な映画であるが、その内容を知っている人ならば思うはずだ。なんてベタな!と。

 

映画が娯楽の中心だった時代。シチリア島の小さな映画館を舞台に、少年の成長が描かれる。E・モリコーネの音楽が実に感動的で、ラストシーンは検閲によりカットされていた様々な映画のキスシーンフィルムを1本のフィルムに繋いだ映像を、いい中年にさしかかった主人公が一人映画館で観て涙する、という映画愛に溢れた名ラストシーン。つまりは、「映画ってほんと素晴らしいですね!」ということを言っている映画であるとも言える。

 

それを、これから映画を志そうっていう若者に観せるんだもの。当時僕も思ったね、なんてベタな!と。でもやはり、スクリーンでフィルム(多分)で観たこの映画は、とても感動した。

 

「映画はただの娯楽ではない。人生の縮図だ、断片だ、そのものだ」青くさい僕は、日本映画学校でそんなことを思っていたのかもしれない。そしていい中年にさしかかった今も、若干そんな青くさい事を思っている。

 

2550声 埋もれ木

2015年10月02日

もう10年経つのか。

 

群馬県民なら知らない人はいない(ですよね!)映画『眠る男』監督の小栗康平監督は、寡作の人として知られている。『眠る男』から次の『埋もれ木』までが約9年、そして『埋もれ木』から新作『FOUJITA』までが10年なのである。

 

『FOUJITA』の群馬県内上映を応援している、邑楽町「邑の映画祭」代表でもある加藤さんが、僕が副実行委員長をつとめる「伊参スタジオ映画祭」に挨拶に来てくださった。僕もひといちばい小栗康平監督ファンであると自称しているが、加藤さんの関わり具合はその比ではない。フランスに帰化した画家・藤田嗣治を描いた『FOUJITA』について熱く語っておられた。

 

前作『埋もれ木』は、やけに落ち着いた女子高生が「物語を作ろうよ」と友人に話し、現実の中にファンタジーが介入してくる、という、実に小栗監督らしい類をみない作品だった。小栗監督が描くファンタジーは、少年が魔法学校で成長する物語でもなく、竹を切ったら姫が出てくる物語でもなく、「日常の延長にあるもの」だった。

 

印象的なシーンのひとつとして、駅の近くに大きなトラックが停まっている。そのトラックの側面には、大きなクジラの画が描かれている。そこまでなら、実際にあることのように思う。ただその日は雨が降った後のようで、トラックのそばには大きな水たまりができている。その夜の水たまりに映るのだ、クジラが。それをファンタジーと呼ぶか、ただの現実と呼ぶかはその人の感性次第だと思うが、僕はその描き方がとても好きだった。

 

『FOUJITA』は、東京上映に合わせ、加藤さん等の尽力でユナイテッド・シネマ前橋でも上映されるそうだ。前橋が生んだ小栗康平という才能。ぜひご覧になっていただきたい。

 

2549声 家なき子

2015年10月01日

中之条ビエンナーレは10/12までの開催。

どんなイベントなの?という方は昨日公開された
下記映像をご覧いただきたい。イギリス生まれの
Guy Wigmoreさんによる素晴らしい映像です。

 

 

中之条ビエンナーレはスタッフでもないくせに
今回もポイントポイントで関わっている。
アート作品は、見続けるとアート疲れを起こすので、
抜井さんが言うように、うめまつの焼きそばや、
温泉、麦酒を合間や終わりに挟むのが正しい。
楽しいので、ぜひいらしてください。

 

この10月、忙しくなりそうである。
毎月ぼんやり決めているテーマも思いつかず、
前に一度思いついた僕っぽい投稿、
つまりは日々1本の映画を上げるのはどうかと
思い立った。・・その方が難しくないかい?

 

などと言いつつ始めてみる。
ちなみに、生まれて初めて自分の意思で
お金を出して見た映画は、中学2年の頃、
今はなき前橋の小さな映画館で観た
『劇場版 家なき子』だった。結構恥ずかしい過去。

 

安達祐実の過剰な演技よりはむしろ、
このおじさん(斉藤洋介)アゴ長いなぁ、
ということを思った記憶がある。
映画の内容は、全く覚えていない。

今月は、岡安が担当します。

 

2548声 ビエンナーレと焼きそば

2015年09月30日

平成27年の九月は、いわし雲のいくつか浮かぶ快晴のまま終わった。

明日から十月だが、予報は下り坂。

そして、私から交代し、十月のひと月を担当する筆者は、岡安氏である。

中之条ビエンナーレやらなにやらで、きっと忙しく駆け回っているはず。

忙しい岡安さんを横目に、うめまつの焼きそばでも懐に携え、

あの広大な中之条の野にある作品から作品をめぐりつつ、

ゆったりとビエンナーレを観覧したいものである。

もちろん、麦酒を片手に、疲れたら温泉に。

 

2547声 ぬか喜び

2015年09月29日

漬物が好きだ。
旅先でお土産を選ぶとき、ご当地の漬物に手が伸びる。
寿司屋ではガリ、牛丼屋では紅生姜、カレー屋では福神漬け。
と言った具合で、まず漬物に手が伸びる。
ハンバーガーにピクルス、ホットドッグにザワークラウト。
こう言った組み合わせを考えた人に、敬意を表する。
中でもぬか漬けには、並々ならぬ愛着を抱いている。
味もさることながら、その発酵の力には、
馬齢を重ねるごとに弱ってくる胃腸がずいぶんと助けられた。
ぬか漬愛好者がまず足を踏み入れなければならぬのが、
自分の「ぬか床」を持つことだと思うが、私はと言えば、
長い間、二の足を踏んでいる。
私に育てることができるだろうか、
そして、良いぬか床に育つだろうか。
実際の面倒を思うと、一歩踏み出す勇気も出ぬが、
ぬかと暮らす喜びを考えると、踏ん切りをつけねばとも思う。

2546声 月天心

2015年09月28日

月が近地点に到達したことで、いつもより大きく見えることを、
近頃では「スーパームーン」と言うらしい。
らしい、と言うのも、テレビや新聞の今日は、
福山雅治と吹石一恵の報道で埋め尽くされていたので、
スーパームーンのことはすっかり隠れてしまった。
いま空を見上げると、雲に隠れることもなく、
煌々と満月が天心にある。

2545声 手酌

2015年09月27日

中秋の名月であった。
今年は雲が少し多いけれど、よく見えた。
桜は大勢で酌み交わしながら観たいが、
今日の月は一人で手酌しながら観たい。

2544声 猫の消息

2015年09月26日

コスモスの揺れる季節になったが、実家の猫はいまだ帰り来ず

2543声 剥げる

2015年09月25日

車を一台所有している。
毎日乗るわけではないが、土日や帰省した際などは、
やはり車がないと用が足りない。
不精ゆえ洗車も点検も満足にしていなかった。
先日、車に乗り込もうとした際に発見してしまった。
「パリパリ」と、剥がれている。
塗装が、である。
リア硝子の上部の黒い塗装が固まった糊のように、
パリパリと剥離しているではないか。
家の壁紙は剥がれるし、車の塗装は剥がれるし、
立て続けにいろいろな物が剥がれる。
そう言えば、おでこの上の頭髪も最近めっきり、
薄くなってきたような。