日刊鶴のひとこえ

この鶴のひとこえは、「めっかった群馬」に携わる面々が、日刊(を目指す気持ち)で記事を更新致します。担当者は堀澤、岡安、すーさん、坂口、ぬくいです。この5人が月替わりで担当しています。令和8年度は4月(坂)5月(ぬ)6月(岡)7月(す)8月(堀)9月(坂)10月(ぬ)11月(岡)12月(す)1月(堀)2月(坂)3月(ぬ)の順です。

2587声 映画

2015年11月08日

好きな映画を持ち寄り紹介するという会があった。特に映画好きでなくても、思い入れのある映画ぐらいは誰にもある。好きな映画を語る人の顔って、ホントに楽しそうである。自分は、パトリスルコント監督のコメディー「大喝采」にした。人生の悲哀を笑いで包んだ傑作である。

2586声 醬

2015年11月07日

マラソンの練習の後、日がな1日、烏川で酒を飲んだり釣りをしたりと過ごした。釣果は小魚が3匹である。釣った小魚を病的に洗い、藻塩で漬けたが。。正直苦手である。部屋にあると落ち着かない。ザブンが新規オープンしたら、引き取っていただこうと思ふ。

2585声 セッション

2015年11月06日

ふらっと寄ったcocoizumiでキダーとベースとガボンのセッション。何の予定もないけど、盛り上がってきた金曜日。レキシのキラキラ武士とかやってくれるんだもん。

2584声 マラソン

2015年11月05日

12月の初めに、堀澤さんを中心とする吞んべぇ仲間と、なぜか5時間耐久のマラソンに出場する。普段ほとんど運動しない中年が真冬のマラソンなんて、狂気の沙汰である。ただ、自分は棚に置き、いつもの吞んべぇがどんな走りをするのか楽しみではある。

2583声 花燃ゆ

2015年11月04日

花燃ゆがいよいよ群馬編である。大河ドラマ館のある昭和庁舎も、にわかに来場者が増え、連日、大型バスがひっきりなしである。今までさんざん文句を言っていた両親も、毎週楽しみにしている。前回はお重から焼きまんじゅうが出てきたり、おっきりこみも登場した。

2582声 歯石

2015年11月03日

1年ぶりぐらいに歯石を取りに歯医者へ。歯の裏側にどん引きするぐらい茶色になっていた。喫煙はじめて1年半ぐらいか。歯磨きの指導を受け、念入りに歯磨き続行中である。年を取っても自分の歯でご飯たべたいものである。

2581声 通勤路

2015年11月02日

ここでもたびたび登場する、利根川遊歩道沿い、お気に入りの通勤路。前橋で主要なロケをした映画「そして父になる」で登場していたらしい。季節はいつだったのか。この通勤路で詠んだ都々逸を。 桜散り落ち紫陽花しおれ朔太郎の碑蝉時雨

2580声 ザブン

2015年11月01日

堀澤さんがやっているザブンが、事情あってMOTOKONYAにて営業を始めた。MOTOKONYAでの営業は1年半ぶりぐらいかな。裸電球の素朴な灯り、コンクリートの土間。あの場所は良いなぁ。料理も同じなのに味が違う。なんか染みるんですよね。タップも一つで、四万温泉のエールのみ。選択できないのが、また良い。

2579声 ハロルドとモード

2015年10月31日

普段より忙しめな10月に、
1日1本思いついた映画について書く。
しかも、やると決めたら2~3行では収まらない。
もう全然、ひとこえ、ではない。

 

そんなことをしていたら、10月が終わっても
書き切れなかった。書けなかった日を後で
埋めることはあっても、僕以外の書き手の皆さん
月末にはきちっと書き終えバトンを渡していたので、
申し訳ない気持ちであります。

 

その代わり、地元映画祭に長年関わっていながら
以前とは全然映画と距離をとってしまった僕に、
再度映画の良さを実感させてくれる一か月となった。
僕が挙げた映画の中からひとつでもひっかかるものが
あれば、ぜひとも観ていただきたい。

 

工業学校にいたとき、英語の先生が突然、
今日は映画を見せます、と言い出した。
そして僕ら学生が観せられたのが『ハロルドとモード』
だった。

 

自殺願望のある少年と、破天荒な老婆の恋物語。
多くの学生はぽかーんと観ていたと思うけど、
よくわわからずも僕の心の何かには触れた。
エンディングで流れるキャットスティーブンスの歌が
物悲しくて小粋で、今に至るまで脳裏に焼き付いている。

 

今思えば、あの英語の先生にとってこの映画は、
忘れられない映画だったのだと思う。それを大胆にも
授業で学生に見せたことを、僕は素晴らしいと思う。

 

これからも映画を観続けたい。作ることも・・
11月からは、すーさんにバトンタッチです。よろしくです。

 

2578声 里見八犬伝

2015年10月30日

真田幸村が幼少期を過ごしたとされる東吾妻町岩櫃山。
来年の大河ドラマ「真田丸」の放送人気にも便乗すべく、
東吾妻町がにわかに活気づいている。

 

昨年より、「忍び」をテーマに色々な催しを集めた
「岩櫃城 忍びの乱」というイベントが始まった。
地元町民スタッフを主体に行政の協力もあり、
僕も一応副実行委員長の肩書きをいただいている。

 

高さ10m以上はあろうかという大樹に登ったり、
綱渡りをしたりという「忍者修行わあるど」のほか、
真田市からは信州真田鉄砲隊による火縄銃の演武、
東吾妻町特産の岩島麻の加工体験など、色々をやる。

 

「忍び」とは関係ないけど、今年初めて東京からの有名店
3店も含む「岩櫃ラーメンの陣」なるラーメンイベント
も行った。僕は主に出店担当なので、1日2食たべた。

 

受付をしていると、以前みなかみ町で「さるしょうの乱」
という、これまた北毛の色々を集めた複合イベントをした際の

スタッフの一人、辻田さんが奥さんと来てくれた。
「乱」と聞いて来ずにはいられなかったらしい(笑)
普段は尾瀬などで子どもたちに自然体験をさせる
「あるきんぐクラブ」の仕事をする、爽やかお兄さんだ。

 

その時ふと思ったのは、
忍びの乱も個性豊かな地元の皆や、県外から参加している
殺陣集団、和楽器グループなど様々な人が関わっているけど、
その気になれば辻田さん等経由で北毛と繋がる可能性もある。
そして乱とは関係ないけど、今日もこの会場から近い
中之条の酒蔵では手工芸等のメンバーによる「秋、酒蔵にて」
という催しが行われている。つまりは、
「個性的な人と人とが繋がるのは面白い」ということだった。

 

それは、半ひきこもりのような十代後半にはわからなかった。
大人になるにつれ、社会に出るにつれ、その面白さにはまった。

 

僕は無個性な平々凡々人ではあるが、周りはほんと濃い人ばかり。

イメージとしては、Xメンや里見八犬伝である。
人と関わることは、やっかいな事も多いけど、得るものも多い。

 

2577声 EUREKA

2015年10月29日

先に書いたぐんまちゃん家での審査会のあと
近くの飲み屋で懇親会となった。
第一線で活躍する映画関係者と、町民主体の映画祭スタッフ、
その垣根をこえて交流ができるのも、映画祭の魅力。

 

面白い話が多々あったが、どんな話の流れだったか、
小説家の横山秀夫さんと脚本家の龍居由佳里さんとが
「犯罪を描く時に、無意識での犯行は書かない」
という話しをしていた。とても興味深かった。

 

人を殺したのは太陽のせい。
ぼんやりと嫌になって人を差しました。
「加害者の闇」で片づけられてしまう事件も多い昨今。
物語を紡ぐ小説家や脚本家は、それが人に影響を及ぼす以上、
犯罪に至るまでを書く責任がある、
というような話しだった。それがされない話が多いと。

 

その話でまず浮かんだのがガス・ヴァン・サント監督の
『エレファント』。コロンバイン高校の銃乱射事件をベースに
少年たちが強行におよぶ1日が淡々と描かれる。
コンピューターで虚無的に戦争ゲームをするシーンなどはあるが
「少年たちはなぜそれをしたのか?」は特に描かれない。
それが作家性であり、ありと思っていたが、横山さんらの話を
小耳に聞き、間違っていると言ってもいい気がしてきた。

 

一方、忘れらない映画に青山真治監督の『ユリイカ』がある。
バスジャック事件の生き残りである幼い兄妹と、バス運転手が
疑似家族となり、あてのないバスの旅に出るという物語だ。

 

バスジャック犯のそれまでは描かれない。
得体の知れない闇として、前触れなくふりかかる闇として、
冒頭、事件は描かれる。使われる尺(時間)も短い。
その後、事件により社会と隔離された兄妹とバス運転手との旅は
ちょっと長すぎるんじゃないの、というほど淡々長々と描かれる。
「生きろとはいわん、死なんでくれ」というセリフが表すように、
そこに道徳的、劇的な飾りはない。ただ共有する時間がある。
でもそれは、彼らにとっても映画にとっても、必要な時間だと気づく。

 

理不尽な犯行による闇は、その意味を問い返しても答えがないので
癒えることがない。その闇に対抗する手段は、格言ではなく、
愛情にもとづく行為を繰り返すこと、日々を過ごすこと。

この映画はそれを描いていた。つまり、

『ユリイカ』とは、言語化できない時間、戦いを描いた映画だった。

 

この映画を観たのは二十歳過ぎ。それから10年以上経って、
ある懇親会での話しをもとに、違った見方でその映画を思い出す。
そんな偶然があるからこそ、映画ってやつは観ておいた方がいい。

 

2576声 燦燦

2015年10月28日

11/14-15の開催となる伊参スタジオ映画祭。
そのメイン企画となる「シナリオ大賞」の審査会のため、
銀座・ぐんまちゃん家に行った。

 

全国から映画シナリオを募集し、短編中編の大賞作品を
映画化させるこの企画も13年目。来月の映画祭での上映作品
を含めればすでに24人の映画監督を輩出するまでになった。
僕は今年、映画祭の副実行委員長になったことで、
最終審査にも初めて同席させてもらった。

 

最終審査は、
篠原哲雄監督(『月とキャベツ』『起終点駅 ターミナル』)
松岡周作プロデューサー(『眠る男』『時をかける少女』)
豊島圭介監督(『花宵道中』『海のふた)
坂井昌三先生(シナリオセンター講師)
龍居由佳里さん(脚本家「星の金貨」『ストロベリーナイト』)
横山秀夫さん(小説家「クライマーズハイ」「64」)
といった錚々たるメンツによって行われる。

 

今日も、5時間以上にわたる熱い議論が交わされた。
最終審査に残ったシナリオを各審査員は熟読し、
作品に込められた意図や、映像化にあたっての実現性を探る。
審査員によっておす作品もおす理由もそれぞれなので、
時にどう収拾するのかもわからなくなったが、無事選考を終えた。

 

過去シナリオ大賞で大賞を獲得し『星屑夜曲』という中編を
撮影した外山文治監督は、その後商業映画デビューも果たした。
その『燦燦』という作品は、モントリオール世界映画祭にも
出品され、伊参スタジオ映画祭でも上映。とても良い映画だった。

 

審査会では、若手監督たちの映画の作りづらさの話もされた。
お客の見込みがたつ人気漫画や小説の映画化が続く日本映画界。
オリジナル脚本で商業映画を成立させるのは、至難の業ともいえる。
けれども、外山監督はじめ多くの映画監督たちは、
いつの日かの映画化をめざし、今日も自らの物語を紡いでいる。

 

シナリオ大賞の結果発表は11/15。大賞に選ばれた2作品は、
来年の映画祭までに中之条町を中心に撮影・映画化される。
「映画が生まれる瞬間」を見に、ぜひともご来場いただきたい。

 

2575声 愛のむきだし

2015年10月27日

国道を走っていると、「男のDVD」なる看板を見かける。
言ってしまえばアダルドショップだ。
先日ある店に「麻美ゆまサイン会」というポスターをみかけた。
北斗晶のがん宣言がTVを賑わせたが、
AV女優として人気を博し、深夜番組「恋してマスカッツ」で
アイドル的人気も得て、数年前にがんによる闘病の様子を
公表した麻美ゆまさん。wikiったらなんと高崎出身!

 

・・めっかった群馬はHな話ないですからね、
みなさん話しについて来てますか?

 

AV女優と差別する時代は、ある程度過ぎたと思う。
僕がバイトしていた町田のTUTAYAでは、他にないこととして、
蒼井そらや紋舞らんといった人気女優のサイン会があった。
レンタル担当の僕は仕事だから仕方なく・・仕方なく、
その準備やアテンドをしたものだった。鼻の下のばして。
女性ファンも多く、サイン会は終始和やかだった。

 

日本映画においては、Hなものと映画との関係は切り離せない。
『Shall we ダンス?』の周防監督や、『おくりびと』の滝田監督、
僕が好きな『CURE』や『トウキョウソナタ』の黒沢清監督も、
アダルトなシーンを含むピンク映画出身の監督だ。

 

変態そうな映画だから・・と避けてしまうのは惜しい映画として
問題作を連発している園子温監督の『愛のむきだし』がある。
厳格なクリスチャンの家に生まれた盗撮マニアの少年と、
チンピラどもにパンチラかまわずとび蹴りをかます少女との
237分にもおよぶ常軌を逸した愛の物語。

 

もう真面目とか変態とか愛とか信仰とかごっちゃになって
観終わった後はただただ放心。そんな体験も映画ならでは。

 

ちなみに、麻美ゆまさんの両親は日本最古のフィリピンパブ
「ドリーム」の経営者だったらしい。高崎にあったのかな。
高崎は今後、麻美ゆまさんおしで行くしかないね!

 

2574声 ロスト・チルドレン

2015年10月26日

中之条町に「山里テーマパーク部会」という団体がある。
主に町内ボランティアからなるその会は、畑に入って
つかまえたバッタの数を競い合う「イナゴンピック」や
野外の石窯で地産の野菜を乗せたピザを焼く体験など、
町内や町場のこどもに山里の良さを伝える活動をしている。

 

そんな山里テーマパークの秋のイベントが、
ハロウィンカボチャをつかったランタン作りワークショップ。
今年もtsumujiには、オレンジのカボチャをくりぬいて
目や口を掘って、思い思いの顔になったカボチャのランタンが
ずらーっと並び点灯された。この光景を見るたびに僕は、
「もうすぐ寒くなるな」と独り言をつぶやいている。

 

僕らがこどもだったころはハロウィンなんて知らなかったけど、
ここ数年は行事好きな日本人にマッチしたのか、広まったよね。
高崎あたりでも、仮装をした大人が集まってワーッとやったり。
それらはいわゆる「キモかわいい(気持ち悪い+かわいい)」
の範囲で楽しむものだと思うが、キモかわいいに悪夢を追い炊き
すると、『ロスト・チルドレン』が出来上がる。

 

そこに『ハリーポッター』のような清々しい気持ち悪さはなく、
ウド鈴木のような怪力男や、小人症の俳優なども入り混じり、
小学生が見たらトラウマになるかもしれないインパクトを残す。
けれど、怪力男と共に旅する少女の可憐さや、醜悪の先にある美、
他の映画にはない哀愁や世界観を持っていて、僕はとても好きだ。

 

この映画のパッケージには「夢の中まであなたを守りたい」
というコピーが書いてあった。この映画の芯を得ていると思った。
映画の仕事は、制作や役者以外に、配給や広報など多岐に渡る。
こんな言葉を思いつく人はすごいなぁ、と思った記憶がある。

 

2573声 ダンサー・イン・ザ・ダーク

2015年10月25日

ラジオで、ゴリラの研究家が言っていた。
ゴリラの挨拶は顔をものすごく近づけるのだと。
一方の人間は、適度な距離を保つ。
それは、無意識に白目の動きを見ているのだと。
白目の動きで、ホントか嘘か、真意を探るのだと。
つまりは、人間は無意識に微細な動きを感知している。

 

中之条町出身で身体表現(ダンス)をしている
masumi saitoさんがいる。イギリスを拠点としつつも
現在は一時中之条町に帰ってきていて、
今日は大泉町にて「さはりとあはひ」という
琵琶奏者・西原鶴真さんらとのコラボイベントに出演した。
masumiさんは中之条ビエンナーレでもパフォーマンスをし、
僕はそれを見られなかったので、大泉はぜひにと観に行った。

 

伝統と格式をベースに、絹の弦をノイジーにこする
西原さんの三味線も良かったが、数年ぶりに間近で見る
masumiさんのパフォーマンスにグッと惹きつけられた。
古民家のような狭い会場を時に大胆に駆けまわり、
時に手で顔を覆うなど、微細な動きで音とシンクロする。
そこに意味や物語を見いだすのは難しいが、
意味や物語を越えて、生身だからこそ伝わる多くがある。

 

アイルランドのカリスマ歌手、ビョークが
視力を失う母親を演じ、次から次へと苦難が起きる
『ダンサー・イン・ザ・ダーク』という映画がある。
目で周囲を認知できない彼女は、仕事も解雇され、
人との距離感も掴めず、その人の善意がホントか嘘かも
読み取ることができない。
ミュージカルというと、お姫様が恋焦がれて
愛のよろこびを急に歌で歌っちゃうイメージがあるが、
この映画の要所要所でミュージカル要素が入るのは、
普段くらやみで生きる母親が唯一、空想の世界では
歌を歌い駆けまわり、自由になれることを意味する。

 

問題作を未だ発表し続けるラース・フォン・トリアー監督の
強い作家性あってこそだが、この映画ではやはりビョークの
唯一無二の存在感が際立っている。アイルランドの民族音楽を
ベースに最先端の音楽を取り入れ、母性や人生を“厚み”
とした、彼女ならではの存在感が、この映画でも生きている。

 

「さはりとあはひ」。終わってふっと憑依が解けたような
普段のmasumiさんと雑談をしていた。パフォーマンスを観て
いたお花の先生らしき人が彼女に話しかけた。

「とても良かったわよ。ビョークみたいだった」

 

身体表現の世界で生きていくことは棘の道かもしれないが、
彼女には観客の視覚をとらえ無意識をノックする才能がある。
人生の歩みと共に厚みが増すであろう彼女の未来に期待したい。

 

2572声 ザ・コミットメンツ

2015年10月24日

夏の暑さは去り、冬の寒さはまだちょっと先。
過ごしやすい季節である。
中之条ビエンナーレが終わり、だいぶ落ち着いた
tsumujiでは、「風まかせライブ」と称した
群馬に縁のある4人の女性による青空ライブが
行われていた。

 

音楽に纏わる映画は星の数ほどある。
その中には伊参スタジオ映画祭で生まれ、
ぴあフィルムフェスティバルで観客賞を獲った
平野朝美監督『震動』のように、
「バンドやろうぜ!」という青春映画も多い。

 

『震動』もめっちゃ好きだけど、
アラン・パーカー監督『ザ・コミットメンツ』
は僕にとって「青春」の2文字を思い出させる。
イギリスの片田舎を舞台に、ブラックミュージック
であるソウルを、白人の若者たちが志す話しだ。
バンドの成長物語、というパターンが多いなか、
この映画ではバッサバッサとオーディションを
繰り返し、互いに悪態のオンパレード。
プロデューサー的役回りの青年が主役というのも
面白い。そして、劇中の音楽がめっちゃ熱い。
・・ただ、これだけの映画なら僕にとっては
そんな映画もあったね、という1本だったと思う。

 

僕が初めてデートらしきことをした女の子がいて、
当時の僕は映画くらいしか話題がふれなくて、
好きな映画は?と聞いたら、
「アラン・パーカーが好き。コミットメンツとか」
と返ってきた。映画は好きだったが知らなかった。
だから急いでツタヤで借りてきて観た。

 

その子とは結局、その1回のデートで終わった。
この映画について話す機会もなかったのだけれど、
「始めてデートした娘は、アラン・パーカーが好きだった」
というのはなんだか文学的でもあり、全く冴えないけど、
僕に「青春」の2文字を思い出させるのだ。

 

2571声 十二人の怒れる男

2015年10月23日

桐生まちなかテレビというものがある。
桐生市本町六丁目商店街の活性化のために、
まちかどに街頭テレビを設置、
独自の番組を作り、街頭テレビとネットとで
配信するという仕組みだ。

 

桐生はわりと遠く感じるのだけど、
このまちなかテレビのスタジオには何度か行った。
今夜は、昨年僕が制作したミニドラマ
「忍びの風 山を駆ける」を上映していただいた。
それに関係する「岩櫃城忍びの乱」という
イベントの告知もかねて、スタジオに伺ったのだ。

 

知る人ぞ知る群馬のお笑いコンビ「アンペア―」
をはじめ、このスタジオには地元中心に
若者たちが集まっている。
彼らは「わいわいむーびー部」などというものを作り、
六丁目商店街を舞台に短編映画を自分らで制作、今夜も
近くの喫茶店を舞台とした室内劇の短編映画を上映した。

 

気の合う仲間で集まって、
できる範囲で映画を作り、上映する。
わりと遠く感じる場所なのに僕がわざわざ足を運ぶのは、
そんな彼らの雰囲気が好きだからだったりもする。

 

室内劇の短編を観ていて思い出したのが
『十二人の怒れる男』と『十二人の優しい日本人』。
映画の主は予算ではない。それを作ろうという心意気なのだ。

 

2570声 海のふた

2015年10月22日

11/14-15の「第15回伊参スタジオ映画祭」
の上映作品がサイトにアップされている。
http://isama-cinema.jp/isama2015/main2015.html

 

おすすめは?と聞かれれば「全部」と答えるが、
14日に上映の豊島圭介監督『海のふた』は、
個人的に好きな作品。だって海の話だもん。
群馬県人には憧れだよね!(どんな押し方だ)

 

原作はよしもとばななさん。
東京からUターンしてきた女性が、
海辺にかき氷屋を開く話。
顔にやけどをおった少女も加わり、
美しい海辺を背景に、ばななワールドともいうべき
緩やかな再生が描かれる。

 

この作品は、映画祭スタッフで東京へ行った際に
新宿の映画館で観た。ビールを飲みながら観た。
豊島監督は、伊参映画祭にてシナリオ大賞という
シナリオコンペの審査員を務めていただいており、
その縁で行ったのだけれど、
それを抜きにしても作品が良かった。

 

今年観た映画で、あまり自分に入ってこない
ものがあり、なぜかと考えてみたら、
主人公が好きになれなかった。
いい人でも美人である必要もないが、
あまり惹かれない人が主の作品は入りずらい。
その点、この映画の冒頭、菊池亜希子さん演じる
主人公が自転車をこぎながら
「私が本当に誇れるのは、いくら食べても
かき氷が嫌いにならなかったことなんだなぁ」
と言っている姿をみて、すぐに好きになった。
海が感じられる伊参のスクリーンでぜひ観てほしい。

 

余談だけど、よしもとばななさんといえば沼田。
洋菓子店の「樫の木」には、彼女がエッセイか何かで
「樫の木のバームクーヘンは、世界一おいしいです」
と書いたバームクーヘンがある。その文句が書かれた
紙をしたたかにケーキに沿えているあたりも微笑ましい
のだけど、実際においしい。ご賞味あれ。