日刊鶴のひとこえ

この鶴のひとこえは、「めっかった群馬」に携わる面々が、日刊(を目指す気持ち)で記事を更新致します。担当者は堀澤、岡安、すーさん、坂口、ぬくいです。この5人が月替わりで担当しています。令和8年度は4月(坂)5月(ぬ)6月(岡)7月(す)8月(堀)9月(坂)10月(ぬ)11月(岡)12月(す)1月(堀)2月(坂)3月(ぬ)の順です。

2551声 ニューシネマパラダイス

2015年10月03日

人生には幾つかの岐路があり、僕が川崎にある「日本映画学校」に入ったのは大きな選択だったと今も思うのだけれど、映画学校と銘打っているだけあってかなりの人数が入れる上映ホールがあり、そこで何本もの映画を観た記憶がある(現在、専門学校だった「日本映画学校」は「日本映画大学」に変わった)

 

わりと入学早々、そのホールで観せられた記憶がある。イタリア映画の金字塔、『ニューシネマパラダイス』を。あまりに有名な映画であるが、その内容を知っている人ならば思うはずだ。なんてベタな!と。

 

映画が娯楽の中心だった時代。シチリア島の小さな映画館を舞台に、少年の成長が描かれる。E・モリコーネの音楽が実に感動的で、ラストシーンは検閲によりカットされていた様々な映画のキスシーンフィルムを1本のフィルムに繋いだ映像を、いい中年にさしかかった主人公が一人映画館で観て涙する、という映画愛に溢れた名ラストシーン。つまりは、「映画ってほんと素晴らしいですね!」ということを言っている映画であるとも言える。

 

それを、これから映画を志そうっていう若者に観せるんだもの。当時僕も思ったね、なんてベタな!と。でもやはり、スクリーンでフィルム(多分)で観たこの映画は、とても感動した。

 

「映画はただの娯楽ではない。人生の縮図だ、断片だ、そのものだ」青くさい僕は、日本映画学校でそんなことを思っていたのかもしれない。そしていい中年にさしかかった今も、若干そんな青くさい事を思っている。

 

2550声 埋もれ木

2015年10月02日

もう10年経つのか。

 

群馬県民なら知らない人はいない(ですよね!)映画『眠る男』監督の小栗康平監督は、寡作の人として知られている。『眠る男』から次の『埋もれ木』までが約9年、そして『埋もれ木』から新作『FOUJITA』までが10年なのである。

 

『FOUJITA』の群馬県内上映を応援している、邑楽町「邑の映画祭」代表でもある加藤さんが、僕が副実行委員長をつとめる「伊参スタジオ映画祭」に挨拶に来てくださった。僕もひといちばい小栗康平監督ファンであると自称しているが、加藤さんの関わり具合はその比ではない。フランスに帰化した画家・藤田嗣治を描いた『FOUJITA』について熱く語っておられた。

 

前作『埋もれ木』は、やけに落ち着いた女子高生が「物語を作ろうよ」と友人に話し、現実の中にファンタジーが介入してくる、という、実に小栗監督らしい類をみない作品だった。小栗監督が描くファンタジーは、少年が魔法学校で成長する物語でもなく、竹を切ったら姫が出てくる物語でもなく、「日常の延長にあるもの」だった。

 

印象的なシーンのひとつとして、駅の近くに大きなトラックが停まっている。そのトラックの側面には、大きなクジラの画が描かれている。そこまでなら、実際にあることのように思う。ただその日は雨が降った後のようで、トラックのそばには大きな水たまりができている。その夜の水たまりに映るのだ、クジラが。それをファンタジーと呼ぶか、ただの現実と呼ぶかはその人の感性次第だと思うが、僕はその描き方がとても好きだった。

 

『FOUJITA』は、東京上映に合わせ、加藤さん等の尽力でユナイテッド・シネマ前橋でも上映されるそうだ。前橋が生んだ小栗康平という才能。ぜひご覧になっていただきたい。

 

2549声 家なき子

2015年10月01日

中之条ビエンナーレは10/12までの開催。

どんなイベントなの?という方は昨日公開された
下記映像をご覧いただきたい。イギリス生まれの
Guy Wigmoreさんによる素晴らしい映像です。

 

 

中之条ビエンナーレはスタッフでもないくせに
今回もポイントポイントで関わっている。
アート作品は、見続けるとアート疲れを起こすので、
抜井さんが言うように、うめまつの焼きそばや、
温泉、麦酒を合間や終わりに挟むのが正しい。
楽しいので、ぜひいらしてください。

 

この10月、忙しくなりそうである。
毎月ぼんやり決めているテーマも思いつかず、
前に一度思いついた僕っぽい投稿、
つまりは日々1本の映画を上げるのはどうかと
思い立った。・・その方が難しくないかい?

 

などと言いつつ始めてみる。
ちなみに、生まれて初めて自分の意思で
お金を出して見た映画は、中学2年の頃、
今はなき前橋の小さな映画館で観た
『劇場版 家なき子』だった。結構恥ずかしい過去。

 

安達祐実の過剰な演技よりはむしろ、
このおじさん(斉藤洋介)アゴ長いなぁ、
ということを思った記憶がある。
映画の内容は、全く覚えていない。

今月は、岡安が担当します。

 

2548声 ビエンナーレと焼きそば

2015年09月30日

平成27年の九月は、いわし雲のいくつか浮かぶ快晴のまま終わった。

明日から十月だが、予報は下り坂。

そして、私から交代し、十月のひと月を担当する筆者は、岡安氏である。

中之条ビエンナーレやらなにやらで、きっと忙しく駆け回っているはず。

忙しい岡安さんを横目に、うめまつの焼きそばでも懐に携え、

あの広大な中之条の野にある作品から作品をめぐりつつ、

ゆったりとビエンナーレを観覧したいものである。

もちろん、麦酒を片手に、疲れたら温泉に。

 

2547声 ぬか喜び

2015年09月29日

漬物が好きだ。
旅先でお土産を選ぶとき、ご当地の漬物に手が伸びる。
寿司屋ではガリ、牛丼屋では紅生姜、カレー屋では福神漬け。
と言った具合で、まず漬物に手が伸びる。
ハンバーガーにピクルス、ホットドッグにザワークラウト。
こう言った組み合わせを考えた人に、敬意を表する。
中でもぬか漬けには、並々ならぬ愛着を抱いている。
味もさることながら、その発酵の力には、
馬齢を重ねるごとに弱ってくる胃腸がずいぶんと助けられた。
ぬか漬愛好者がまず足を踏み入れなければならぬのが、
自分の「ぬか床」を持つことだと思うが、私はと言えば、
長い間、二の足を踏んでいる。
私に育てることができるだろうか、
そして、良いぬか床に育つだろうか。
実際の面倒を思うと、一歩踏み出す勇気も出ぬが、
ぬかと暮らす喜びを考えると、踏ん切りをつけねばとも思う。

2546声 月天心

2015年09月28日

月が近地点に到達したことで、いつもより大きく見えることを、
近頃では「スーパームーン」と言うらしい。
らしい、と言うのも、テレビや新聞の今日は、
福山雅治と吹石一恵の報道で埋め尽くされていたので、
スーパームーンのことはすっかり隠れてしまった。
いま空を見上げると、雲に隠れることもなく、
煌々と満月が天心にある。

2545声 手酌

2015年09月27日

中秋の名月であった。
今年は雲が少し多いけれど、よく見えた。
桜は大勢で酌み交わしながら観たいが、
今日の月は一人で手酌しながら観たい。

2544声 猫の消息

2015年09月26日

コスモスの揺れる季節になったが、実家の猫はいまだ帰り来ず

2543声 剥げる

2015年09月25日

車を一台所有している。
毎日乗るわけではないが、土日や帰省した際などは、
やはり車がないと用が足りない。
不精ゆえ洗車も点検も満足にしていなかった。
先日、車に乗り込もうとした際に発見してしまった。
「パリパリ」と、剥がれている。
塗装が、である。
リア硝子の上部の黒い塗装が固まった糊のように、
パリパリと剥離しているではないか。
家の壁紙は剥がれるし、車の塗装は剥がれるし、
立て続けにいろいろな物が剥がれる。
そう言えば、おでこの上の頭髪も最近めっきり、
薄くなってきたような。

2542声 発露

2015年09月24日

学校で学生に俳句を教えている先生と話す機会があった。
宿題で俳句作りを課すと、生徒は十中八九、
ネットで対象物の画像を検索し、作ってくるのだと言う。
これは何も子供たちだけでなく、大人だって見たことのないものや、
見に行けない環境にある場合は、そうやって作るだろう。
それは一向に構わぬと思うし、一方で理にかなっているとも思う。
ただ、こと自分に置き換えてみると、それが句の発露としては、
やはり弱い気がする。
実際に触れる命とそうでない命とでは。

2541声 薄紅葉

2015年09月23日

千葉部会と言う句会のため、成田山新勝寺へ出かけた。

当日は役目があり、慌しくすごしたためか、俳句はさっぱりできなかった。

本堂の裏手の森にはまだ蝉も多く残っており、日差しの中を汗を拭きつつ歩いた。

参道の老杉の脇に毒々しくも綺麗なきのこなど生えており、

公園の水面に映る薄紅葉には息を呑む美しさがあった。

明るいうちから飲んで、黄昏時に帰ってきた。

2540声 日の匂い

2015年09月22日

秋晴の一日であった。
市川市の家へ戻ると、僅かながら秋が深まっているように感じた。
桜並木からの木洩れ日の匂いが、そう思わせるのかもしれない。

2539声 風の大きさ

2015年09月21日

長野に出てみた。

長野に出て、群馬に戻ろうと言う旅の計画である。

上野村から峠を越えて、佐久に出た。

見渡す限り、輝く稲、青空の向こうに山の影。

風が大きく吹いているような場所はすがすがしい。

 

2538声 猟犬

2015年09月20日

宿の外に犬がいる。

もちろん飼い犬だが、時折の遠吠えが夜半の山間にこだます。

宿主に聞くと、猟には出ていないが、猟犬の血をひく犬とのこと。

最近、母親になったらしく7匹の子犬を抱いて、陽だまりで寝いてる。

2537声 ほどよく停止

2015年09月19日

森林の中へ行って頭を冷やそうと思い、
上野村へ出かけた。
薄っすら紅葉がはじまっている山並みは、
村内に響く沢音と相まって、とても清涼感があった。
「喧騒を忘れる」
と言うのも、いまや安い謳い文句の感があるが、
森林の中にいると思考がほどよく停止する。

2536声 夜の酔い朝の酔い

2015年09月18日

休日の朝を二日酔いで迎える憂鬱を、
前日の夜の酔いの中では、忘れてしまっている。
思い出したとしても、忘れるためにまた注いでしまう。

2535声 駅構内

2015年09月17日

広島からの帰途に着く。
今も昔も変わらず、修学旅行生の多い街である。
制服で一列に整列している学生たちを、珍しそうに外国人観光客の方たちが、
眺めたり、時折、カメラのレンズを向けていた。
概ね四時間の新幹線往復は、中一日挟んでいるとは言え、疲れる。
東京駅に着いたのは夜も深い時間だったが、週末に大型連休を控えているせいか、
駅構内などには、はや帰省客の姿も多く見られた。
地方出身者であるが東京駅を筆頭に山手線内の駅に帰ってくると、安心する。
列車や構内の掲示に「高崎」などの文字が見えるからだろうか。

2534声 熱気

2015年09月16日

出張にて広島入り。
生憎の雨で当初予定していた行動範囲も大幅に狭まってしまった。
ひとまず、駅から徒歩圏内の店の暖簾をくぐり、広島焼きを注文した。
目の前の鉄板では、焦げるソースの香りとキャベツの焼ける熱気。
後ろの席では、瓶麦酒片手にカープの戦績を語る、おやっさんの熱気。
麦酒二杯飲んで店を出ると、風がぐっと冷え込んでいた。