日刊鶴のひとこえ

この鶴のひとこえは、「めっかった群馬」に携わる面々が、日刊(を目指す気持ち)で記事を更新致します。担当者は堀澤、岡安、すーさん、坂口、ぬくいです。この5人が月替わりで担当しています。令和6年度は4月(ぬ)5月(岡)6月(す)7月(堀)8月(坂)9月(ぬ)10月(岡)11月(す)12月(堀)1月(坂)2月(ぬ)3月(岡)の順です。

1964声 銘柄

2013年08月07日

夕方の電車内に、大柄な白人の男性が乗っていた。
彼の足もとには、ごつごつと物が詰まったスーパーの袋がひとつ。
その中、袋の半透明に透けている、缶麦酒がたくさん見えた。
全て、米国産の銘柄のものだった。
【天候】
終日、炎暑。

1963声 空咳

2013年08月06日

もう二週間くらいになるが、夏風邪がくすぶっている。
大方は治癒しているのだが、どうにも肺の調子が悪く、
空咳がとまらない。
毎晩の麦酒が影響しているのだろうけれど、
体調は良いので、ついつい誘惑に負けてしまう。
こんな体調で地下鉄駅のホームで生ぬるい風など受けていると、
つくづく、思いきり高原の空気が吸いたくなってくる。
【天候】
朝、雨のち晴れ。

1962声 祭櫓

2013年08月05日

昨日は、恒例の桐生八木節祭りを見物しに行った。
例年のごとく堀沢さん、それにS氏、T女史と一緒であった。
麦酒に音頭に酔って、くたくたになりつつも、
なんとかその日のうちに帰ってこれた。
昼間は前橋で立川談修師匠の独演を観てからだったので、
行きは上野を通って高崎線経由。
帰りは小山を通って宇都宮線経由。
新幹線などは使わなかったので、北関東をぐるりと回る、
なんとも移動時間の長い旅路だった。
こんな長時間の移動を苦にさせないのが、桐生での楽しみである。
そのひとつが、もう年々も通っている、ビアガーデン。
古い雑居ビルの屋上のこのビアガーデンからは、桐生市街が一望できる。
なだらかな稜線に落ちてゆく夕日を、麦酒を飲みながらゆったりと眺めるのが、至福なのである。
山裾に夕日が滲みだすころになると、眼下に望む本町通の櫓のそこかしこから、
八木節の音頭が聞こえてくる。
そして、私たちはタオルを首に巻いて席を立つ。
【天候】
終日、快晴。

1961声 夜風

2013年08月04日

住んでいる桜長屋の付近は丁度、高台になっていて、
眺望の開けるあたりまで少し歩けば、市川市街が一望にできる。
昨日は江戸川の花火大会だったので、不精してその高台から見物していた。
遠くに見る花火は、どこかさびしくて、興が乗るようなものでない。
かすかに児の泣き声など夜風にまじっていて、いっそうさびしくなってしまった。
【天候】
終日、雲多くも晴れ。

1960声 西日

2013年08月03日

ほぼ毎日と言っていいほど、ディズニーランドの見える路線に乗っている。
この時期は夏休み期間中と言うこともあって、
ディズニーランド帰りの家族や学生たちと乗り合わすことが多い。
ミッキーマウスのぬいぐるみなど抱いている子供と。
一日の仕事を終えて、ぐったりしているお父さんと。
濃い西日の車内で、どちらも気持ち良さそうに寝ているのである。
【天候】
終日、曇り。

1959声 湖上

2013年08月02日

最寄駅を降りると、遠くに花火の音が聞こえた。
八月に入って、いよいよ花火大会の季節も佳境を迎えているようである。
今年のまだ桜の咲いている時分に、
夏になったら都内のいろいろな花火大会を見物しに行こうと思っていた。
花火の俳句を揃えたいと考えているからである。
こちらのほうでは明日が江戸川花火大会である。
高崎のほうでは、今日が榛名湖、明日が高崎の花火大会である。
湖上から上げる榛名湖は一度観たことがあるが、
水面に映る大花火は壮観であった。
まとまった数の花火俳句連作を作るのは、だいぶ先になってしまいそうだが、
いつか仕上げてみたい。
【天候】
終日、曇天。

1958声 提灯

2013年08月01日

街の火の灯る時分、築地本願寺の盆踊りを見に行った。
かねてより行きたいと思っていたのでなく、
今日、偶然に知ったので足をのばしてみた。

インド様式の印象的な伽藍の前に、
でんと櫓をこしらえて提灯を張り巡らしてある。
提灯の字はやはり土地柄、鮨屋の屋号が多い。
本踊りと言っても、来る時間が早すぎたのか、
祭り太鼓のみで踊りの輪は見られなかった。

夜店で紙コップの麦酒を買って、テーブルに座り、
しばし、太鼓に見入っていた。
夏休み中とあって、少年少女も勇壮に撥をさばいている。
朱色の祭り半纏を着て、祭髪にきりりとねじり鉢巻きをしめた、
妙齢の女衆に目を奪われつつも、音頭を楽しんだ。

麦酒を三杯飲んで、日没前に会場を辞した。
その頃には、仕儀とを終えた勤め人の人たちでごった返し始めていた。
祭りから離れても尚、路地の闇がなにやら騒いでる気がした。

【天候】
朝、小雨のち曇り。

1957声 食事

2013年07月31日

同じメニューを注文する癖がある。
ここ最近は、昼にもりそばを食べている。
注文してから運ばれてくるまでの時間。
箸を割ってから食べ終わるまでの時間。
席を立ってから会計を済ませるまでの時間。
同じ店で同じメニューを食べていると、
食事における各作業の大体の所要時間が分かっているので、
毎日、安心して暖簾がくぐれる。
しかし、毎日おなじもりそばを食べているのだが、
満腹になるときとそうでない時がある。
これは、その日の蕎麦の分量によるのか、
はたまた自分の食欲によるのか。
容易には分からぬ。
【天候】
終日、曇り。

1956声 打水

2013年07月30日

露地のアスファルトの上に、さきほど打ったと思しき水の跡がある。
幾筋もきれいに弧を描いて、ほぼ均等に打たれている。
水の香りを乗せた涼しい風。
揺れている暖簾は、江戸から続くような老舗のものである。
【天候】
終日、曇り。

1955声 滋味

2013年07月29日

ほぼ毎日、満員電車に揺られて東京湾を見ているせいか、
昨日までいた榛名湖のあの静かな湖畔が、
殊にかけがえのないものに思えてくる。
歳を経て、茗荷の苦味や地酒の滋味がわかるように。
最近わかってきた湖と霧の妙味にも、たまらないものがある。
【天候】
朝より強い雨、のち曇り。

1954声 上達

2013年07月28日

七月最終末の榛名湖は夏休みの最初の週末とあって、
遊山客や林間学校の子供たちなどで賑わっていた。
今回の目的であった夕菅も、朝に晩にたっぷりと見ることができた。
特に、朝の花野に咲く夕菅には清澄で瑞々しい美しさを見た。
涼風の吹く湖畔は避暑には最適で、今回は句会の数をこなすことよりも、
のんびりすることに重きをおく合宿となった。
二日目の今日は、伊香保から渋川市内へ下り、
沢に寺に、車で各地を移動しながらの吟行となった。
いつもはこの合宿の期間で一人百句を目指すのだが、
今回は七十句程度と、いくらか余裕があった。
数はこなすが、私自身、俳句の上達など求めていない。
葉擦れの音が木々を抜ける風に乗るように、
感じた自然を五七五の調べに乗せることができたら、うれしい。
と言うのは、ややキザな言い回しだが、実際、俳句を始めた頃から、
小手先だけは上手くなっているが、上達はしていない思いがするのである。
【天候】
雲が多くややむし暑い一日。
激しく夕立のち涼夜。

1953声 湖畔

2013年07月27日

ここ数年、四季には定期的に榛名湖へ俳句を作りに来ているせいか、
どうも湖が好きになってしまった。
湖の風光が好きだが、釣り糸を垂らしたりボートを漕いだり。
ましてや、湖畔でバーベキューなどしたいとも思わない。
湖畔の宿の部屋から、茶でも啜りながら湖を眺めているのが良い。
山の天気は変わりやすく、湖畔でレジャーに興じている人たちは、
しばしばそれに翻弄させられている。
まことに根性が悪いが、悠々とそれを眺めているのがまた、一興なのである。
【天候】
榛名湖は長袖の人もちらほら、曇りのち激しい夕立。

1952声 夕菅

2013年07月26日

恒例となっている俳句の合宿の為、
その前日である今夜、実家に帰る予定である。
いま、桜長屋(私の住み暮らしているところ)を出発する前にこれを書いている。
吟行場所はいつものことながら、榛名湖となっている。
丁度、夕菅の咲く時期。
今年はそれが目当てなので、湖畔に咲くこの幽玄な花をできることならゆったりと観たい。
それが出来るかどうか、危ぶんでいるのは、俳句の合宿なので兎も角、
句を作らねばならないからである。
缶麦酒と言う宿敵の誘惑に、盛夏のこの時期、持ち堪えられるかどうか。
真冬の雪上ですら、着いてすぐ缶麦酒を開けていたというのに。
【天候】
終日、炎天。

1951声 麦麦

2013年07月25日

昼は蕎麦で夜は麦酒。
この頃、この繰り返しでもう何日米を口にしていないことか。
おかげでまんまと夏風邪になり、それが長引いている。
今年の夏風邪は喉にくる様で、もう一週間もガラガラ声である。
明日は、郷里に帰るので、新鮮な空気を吸えばいくらか良くなるだろうか。
いや、それよりも夏の群馬である。
暑さの方にやられてしまわないか、心配になってきた。
【天候】
終日、降ったり止んだり。

1950声 十円

2013年07月24日

昼に立ち食いそばをすすっていた。
込み合っている店内の床を、つつつっとごきぶりが駆けてきて、
はす向かいの机の脚の陰に入った。
一呼吸おいて、中年サラリーマンが同じようにつつつっと、小走りで来た。
そして、机の脇まで来ると、おもむろに腰をかがめた。
なんと、そのごきぶりをつまんで、
左手に持っていた財布の小銭入れに入れてしまった。
何のことはない、私は十円玉とごきぶりを見間違えたのである。
そうとでも思わねば、残りのそばをすすれり得なかった。
【天候】
曇りのち午後から小雨。

1949声 葛飾

2013年07月23日

都内では夕立があった。
その影響で、開催予定であった葛飾花火大会が中止になってしまった。
観に行こうかと思っていたので、残念である。
夕方の駅にいた浴衣姿の人たちは、さぞや残念な思いをしたことであろう。
花火大会中止の報を、私はツイッターで知った。
中止で明日以降に順延はなし。
つまり、今年は無し。
この潔さも、江戸っ子気質と言うものであろうか。
例え中止でも、江戸っ子の心は、もう次に動いている。
今週末には隅田川花火大会、その翌週は江戸川花火大会。
都内では夜空の休む暇がないくらいに、花火が上がるのだから。
【天候】
朝より曇り、夕立あり。

1948声 蓮華

2013年07月22日

すし詰めの満員電車内である。
びびびび、と振動を感じて、ポケットからもぞもぞスマートフォンを取り出した。
確認すると、知人からのメールであった。
そこには、数人の俳人の一句が書かれてあった。
文面を読むと、先日開催された句会のものであるらしい。
その句会は以前から案内をもらっていて、昨年まで私も参加していた句会であった。

前橋市田口町の蓮池での吟行句会。
今年は参加できなかったが、いま、記されている句を読むと、
去年の蓮池に降っていた薄い朝日や風のきらめきまで、ありありと想像できる。
改めて、短詩形の力と言うか、俳句の魔力を感じた。
スマートフォンを胸ポケットにしまって、ゆっくりとまた目を閉じた。
【天候】
終日、雲多くも晴れ。

1947声 一面

2013年07月21日

昨日、選挙の応援演説に総理大臣が来るてぇんで、
秋葉原駅前がごったがえしていた。
総武線に乗り換えるため、駅舎の窓からちろりと覗いただけだが、
夕暮れのネオンに照らし出された人だかりは、一面、若者ばかりだった。
そんなことを思い出しつつ、参議院議員選挙開票日の今宵、
自民党大勝の選挙速報をテレビで見ている。
明日の朝刊の一面がたやすく想像できるので、感慨は特にない。
【天候】
終日、雲多くも快晴。