日刊鶴のひとこえ

この鶴のひとこえは、「めっかった群馬」に携わる面々が、日刊(を目指す気持ち)で記事を更新致します。担当者は堀澤、岡安、すーさん、坂口、ぬくいです。この5人が月替わりで担当しています。令和6年度は4月(ぬ)5月(岡)6月(す)7月(堀)8月(坂)9月(ぬ)10月(岡)11月(す)12月(堀)1月(坂)2月(ぬ)3月(岡)の順です。

1661声 夏休み

2012年07月20日

連日の猛暑から一転して、涼しい。
否、もう肌寒いと言えるくらいの気温になってしまった。
今日は終業式らしく、昼過ぎ、
大きな荷物を抱えてながら下校してゆく小学生たちを見た。

明日から夏休み、と来れば。
もう全速力で帰り、玄関にランドセルを放り投げて遊びに行く。
そう言う六年間だったが、いま、そんな光景は見ない。
勿論、下校中の彼等は元気そうなのだが、そこはかとなく、
表情に陰りがあるような気がした。
それはこの曇天のせいだけではあるまい。

朝顔を育てたり、カブト虫を獲ったり、宿題に追われたり。
陰っている暇は無いのである。

【天候】
終日、曇天。
夜半に雨。

1660声 かぶと虫

2012年07月19日

夕涼みにと、裏の田圃へ足を向けた。
今日は随分と夜風が涼やかなので、連日続いている熱帯夜も、
今宵は打ち止めになるだろうと感じた。

足元に吹き来る涼風。
かさこそかさこそ、草々が乾いた音を立てる。
少しばかり集中すると、俳句が一つ二つ出来たが、
「晩夏」の句ばかりできて困った。

それならばそれとして、解釈すればよいのだが、
本当の晩夏ではない、つまり、まやかされた感覚に頼った句なので、
安易には残せない。

そう言えば昨日、今年初のかぶと虫を見た。
メスであったが、丸々と太って、動き方にも活力が漲っていた。
壁にはりついていたところを見ていたら、ぺぺぺっと飛んで行った。
お尻が重たそうで、飛ぶのは不得意なのであろう。
「カツン」と硝子戸に当たって、落下してしまった。
上手いもので、落ちる途中、壁に爪を噛ませて地面に落ちずに済んだ。
じりじりと降り注ぐ日差しを吸うように、白壁に一点、黒く輝いていた。
まだ、夏は始まったばかりである。

【天候】
終日、晴れ。
日没後、暑さ大分ゆるむ。

1659声 正露丸と麦酒

2012年07月18日

思えば、最近極端に米を口にしなくなってしまった。
連日の猛暑がその原因であるが、どうしても、
素麺やら蕎麦やら、「さらさら」と喉越しのよい食べ物を欲してしまう。

そして、夕食頃に麦酒など飲み出すと、もういけない。
そう言う生活をしていると、腹をこわすことは免れがたく、
こっちの方も連日、「さらさら」と言う状況である。

学生時分。
私の友人に、酒好き、それも私に輪をかけたような麦酒好き人間がいた。
麦酒好き人間の大半が負う宿痾がある。
それは特に夏場。
深夜までごくごくがぶがぶ麦酒を飲み、
翌朝も喉が渇いて、ごくごくがぶがぶ水分を摂取する。
そうなるともう、腹の虫が黙っているわきゃあない。
普段は空腹の合図くらいしか声を上げない、寡黙なる腹の虫も、
堪忍袋の緒が切れたのであろう、怒声を発する。
それを、トイレの中にうずくまってなす術もなく、ひたすら聞かねばならぬ。

この宿痾からできることなら逃れたいと思うのが、人の情。
この友人は夏場に酒を飲む場合には決まって、バッグから取り出す。
正露丸の瓶を、である。
つまりは、これから逃れる為に先手を打っておこうと言う考え。
学生で使える金もたかが知れているので、それは糖衣Aではなく、
昔ながらのあの御馴染の匂いのする、丸剤のものであった。
これを彼、4,5粒掌に出すと、麦酒で一気に流しこむ。
用法も容量もへったくれもあったものではない。
しかし、しばらく飲んでいたのでそれなりに効き目があったのかも知れぬ。
夏場の安酒場で麦酒を飲む時に、今でも、
そこはかとなく正露丸の匂いのするような心持になる。

【天候】
猛暑日、激しい夕立があり一時的に雹も降る。

1658声 絵画展の伏線

2012年07月17日

昨日、美術館で催された絵画展に、颯爽とした和服の御仁を見た。
と言う話を書いたが、この話には伏線があるので、簡単に書いておこうと思う。
「簡単に」、と言うのは、丁度本日、梅雨が明けてもう殺人的な暑さ
(ここ群馬県は全国最高気温を観測している)で頭もぼんやりして、
なにやらくどくど書いても、一向に要領を得ない恐れがある為である。

昨日書いたような類の美術展を観に行って、ちょっと困る。
また、実際困ったのが、所謂マダム然としたおばちゃんである。
会場内でそのおばちゃんたちの漏れ聞こえて来るとは、控え目な形容で、
もうあたりに撒き散らすような、会話の声が聞こえて来る。
内容を聞くに、少なからず芸術に対しての教養がおありなのだと思う。
飛び交う横文字の画家の名前など、無知な私などには到底、分からぬ。
しかし、もっとも辟易したのはその煩わしさではなく、内容。
はなから日本的な空気や文化を軽侮していて、
盲目的に西洋的な空気や文化を奉っていることであった。
そんな折だからこそ、凛と和服を着こなして涼しげに絵画を鑑賞していた御仁に、
目が止まったのかも知れない。

その時もいまも、取り立てて、申し上げたい気持はない。
しかし、その絵画展を見に来る当日、あのおばちゃんたちの朝の食卓に、
味噌汁、納豆、糠漬けなどが並んでいたら、心中穏やかならぬ思いがする。

【天候】
梅雨明けて、炎天。

1657声 絵画見物

2012年07月16日

ビールを飲んだついでに上野。
寄席に行くつもりだったが、番組表と時期的な混雑状況を考慮して、外した。
不忍池をぐるりと回って、東京都美術館で「マウリッツハイス美術展」を観る。
目玉はフェルメールの「真珠の耳飾の少女」で、当然の如く長蛇の列。

この絵が競売にかけられた当時、2ギルダー30セント(およそ1万円)で落札された。
と言う逸話をパンフレットで読んで、驚いた。
汚れていたこと保存状態が悪かったことが、大きな要因らしい。
いまでは、150億円はくだらないと言われている。

会場内で、噺家さんとおぼしき和服姿の御仁を見た。
今晩の寄席の高座で、この絵の噺を枕でふっている姿など思った。

【天候】
終日、炎天。

1656声 ラガー麦酒

2012年07月15日

都内で麦酒を飲む。
場所は「キリンシティ」と御馴染のチェーンだが、
群馬県に住み暮らす私にとっては是非一度訪れてみたかった店である。

ラガーからはじめて、数種類飲み比べてゆく。
注文から提供までおよそ四分かけてじっくり注ぐ。
と言うことを厳格に守っているおかげで、成程、ふんわりかつなめらかな泡である。

色々の中、「ブラウマイスター」が美味かった。
ラガーよりも値段が30円高いが、その価値は十分と思った。

【天候】
終日、雲は切れないが炎天。

1655声 群馬支部句会

2012年07月14日

また、「日刊」のこのコンテンツに穴を開けてしまったので、
その穴埋めを今からして行くことになる。
海の日を一日置いた連休だったので、都合、三日分。
まず、その初日分。
と言っても、「日刊」ではあるけれど、
「日乗」の事を書いている訳ではないので、内容はおぼろげなものである。
ともかくも、初日。

桐生市にある「自然観察の森」での吟行句会に参加する為、朝から車を駆る。
高崎市にある自宅からは、高速道路を使っても小一時間はかかる。
どうにか午前中に到着した。
森の中へ分け入って、隠沼など眺めながらおよそ二時間ほど句作。
その後、二時間ほど句会。
どうにも句の出来が悪く、初めて参加した時の方が成績が良かったと言う塩梅で、
少なからずショックを受けた。
これを機に、地に足をつけ、なんなら地べたにどっかりと腰を下ろすつもりで、
俳句を向き合わねばならぬと感じた。

【天候】
終日、降ったり止んだり。

1654声 風になる

2012年07月13日

明日からは月曜日に祝日である海の日を置いた、三連休である。
この「海の日」はようやく祝日として馴染んで来た感があるが、
昭和生まれの者にとっては、新しい祝日なので、ピンとこない節があった。
特に、私なぞは海なし県の「群馬」出身なので、なおさらかも知れない。
しかし、海があろうがなかろうが、祝日は祝日なので、
別段気にする事もなく喜んだ。

いま、部屋のテレビでは、金曜ロードショーで「となりのトトロ」が放映されている。
サツキとメイが、トトロにつかまって空を飛ぶシーン。
夜空を飛びながら、その感動をサツキが言葉にする。
「私たち風になってる」
いい表現だと思う。

【天候】
小雨交じりの曇天。

1653声 悪筆

2012年07月12日

句会などへ行くと、他人の文具に目が行くことが、しばしばある。
それは殊に筆記具に多く、やはり、
自分の悪筆への劣等感が起因しているのだろうと思う。
つまり、「ペンが悪いから字が下手なのだ」と言う、
言い訳じみたことから派生した筆記具への興味である。

定期的に参加している句会の一つを見ると、
上手な字を書く人は万年筆を使っている。
そうか、とばかりに万年筆を持つようにしたが、字はおろか、
中々、身につかない。

身につかない、と言うのは、気に入った万年筆や、
ちょっとしたボールペンなど持ち歩くようにしていた時期もあるのだが、
これを直ぐになくしてしまう。
それは、十中八九酔っ払っている時なのだが、春先。
花見句会など多かった時期は、ひどかった。
「すみません、どこそこの席にペンの忘れものは…」
などと、翌日に昨晩訪れた酒場に、電話をかけることもしばしばあった。

そんなことがあったので、いまでは、紛失した場合、
別段探さなくても困らないくらいのペンを使っている。
しかし、他人が万年筆ですらりすらりと書いている姿を見ると、
なんだか、書いている句までよく見えてきて、これは相応のペンを買はねば。
その思いがみるみる増幅し、書店などの文具売り場に足が伸びてしまう。

【天候】
曇りのち雨。

1652声 水着の娘

2012年07月11日

山深き川に水着の娘かな  諒一

のっけから、引用が自身の句でまことに芸がない。
昨年だか一昨年だか、ともかく、この句は実景である。
場所は群馬県上野村の川辺。

丁度、梅雨明け後、夏休みの初めあたりだったように記憶している。
村内の人か、村外から遊びに来ている人かまでは分からぬ。
もし村外の人ならば、上野村まで来て川遊びをしよう。
てぇんだから、相当、群馬県「通」である。

実際の景は、こうである。
川原の浅瀬で、二組の若いお母さんが子供と一緒に水遊びをしていた。
水遊び、と言ってもズボンをまくりあげて、と言うのではなく、
プールや海などのように、水着を着て、浮輪まで持っていた。
黒いパレオ付きのビキニだったように記憶、と言うか、中枢に焼き付いている。
いや、自ら焼きつけたのかもしれない。

「娘かな」としたのは、どちらも二十代前半から中盤あたりに見えた。
自分から見れば「娘」の範疇だと思うが、
この句は「熟女かな」ではいささか別の雰囲気が漂ってくるので、
どうしても娘でなければならなかった。
そして、今年もそんな意外な光景に出合えぬものかと、ひそかに願っている。

【天候】
終日、曇ったり晴れたりで、暑し。

1651声 こない酔い

2012年07月10日

まったくもって蒸し暑い一日だった。
そんな最中、軽作業をしたので全身汗みずくになってしまった。
帰宅後に早速、なによりもなによりもまず、缶麦酒。
グラスに注いで喉を潤した。

うまい。
うまいが、おかしい。
空腹時にごくごく麦酒など飲めば、打ち響くようにあのふんわりとした酔いが、
五臓六腑の奥から湧き上がってくる。
それが、目下、こないのである。

汗を大量にかいたせいなのだろうか。
麦酒は「本物の」麦酒である。
妙にすっきりとした頭でもう一缶取り出し、グラスに注ぎつつ考えていた。
火事場の馬鹿力ではないが、水分が欠乏していることによって、
肝臓がいつもよりもアセトアルデヒド脱水素酵素を駆使し、
アルコールを代謝させているのであろうか。
しかし、である。

いま、「アセトアルデヒド…」とキーボードを打つ際に、
手元がおぼつかず何度も間違えている。
なんのことはない、気付かぬ間に、いつものように酔っていたらしい。

【天候】
曇ったり晴れたりで、とても蒸し暑い一日。
県内軒並み30℃超。

1650声 朝顔と鬼灯

2012年07月09日

浅草の浅草寺では、今日明日の両日、恒例の「ほおずき市」が開催されているような。
先週は同じ台東区の入谷鬼子母神で、「入谷朝顔市」が開催されていて、
夏も本番になるところである。
これらは江戸から続く下町夏の風物詩であるが、この場ではやはり、浴衣。
それも注染で染めた朝顔柄の涼しげなやつなどさらりと着て、帯には団扇を差し片手に、
露店でもとめた朝顔やら鬼灯やらを持って、歩いて行く姿なんぞは、
江戸でも現代でも変わらず、オツな風情がある。

それが、隣の葛飾区の水元公園。
あの帝釈天に程近い、綺麗な公園の一部から、
他の地域より高い放射線量が測定されたらしい。
それを受けて9日の今日。
東京都によって、土壌表面をけずり取る除染作業が行われた。
と言うニュースと共に、テレビの映像には、作業服姿の人たちが映っていた。
何をか言わんや、である。

【天候】
終日、晴れたり曇ったり。

1649声 清かなる四万

2012年07月08日

四万温泉へ入った時には土砂降り。
これから温泉街を吟行すると言うのに、運が悪い。
などと思いつつ、吉澤さんをはじめ作家の方々に挨拶を済ませ、
雨宿りを兼ねて入った食堂を出る頃には、すっかり雨は上がっていた。
そんな調子で、温泉郷俳句ing、無事に句会まで済ませて帰って来た。

帰って来たのは、高崎ではなく中之条にある宿で、
それからいつものように、気の合うメンバーで酒場へ足を向けた。
ひとしきり飲み、適度にはしご酒。
宿まで戻っても飲み、翌朝。
作家さんはまた、四万温泉へわたしは高崎へ戻って来た。

雨降りでも四万温泉はとても清々しい。
温泉街の中央を流れる清流、四万川からの川風もそう。
手付かずの自然と、新鮮な温泉もそう。
この梅雨の時期でも、そう清々しいのである。

【天候】
終日、曇天。

1648声 湿った朝の風

2012年07月07日

現在、早朝である。
昨晩寝たのが遅かったのに、もう、起きている。
いや、起きてしまっている。
どう言う訳か、年齢のせいなのだろうか。

ともあれ、四万温泉に行く用事があるので、遅刻しなくて済みそうである。
自宅から現地へ向かうとなると、伊香保温泉を通り越して行くルートが最短となる。
温泉地を通り越して温泉地へ向かう。
なんだか贅沢な気分もするが、それほど温泉が身近と言うことなのだろう。

梅雨の曇天ではあるが、ほどよく湿った朝の風が心地好い。
早めに向かって、四万川の清流を眺めつつ、コーヒーなど飲んでゆっくり句作したい。
七夕竹など飾ってあれば、それもまた一興なのだが、どうであろうか。
参加して下さる方にとっても、きっと、そのほうが句を作りやすいはずである。
いやいや。
そのためには、こんなことを書いている場合でなくて、
一刻も早く用意をせねばならないのである。

【天候】
朝より曇天。

1647声 文月の六日

2012年07月06日

現在時刻は午前零時五分前。
しとしと降っているので、この分だと明日の七夕もまた、
例年のように曇りであろう。

今年の七夕は、「温泉郷クラフトフェア2012」の一環で、
四万温泉へ行って句会をすることになっている。
参加者が一人もいないと言う状況は、なんとか免れたので安心して行ける。
句会も楽しみだが、旧知の人たち、そしてなにより四万の温泉が楽しみである。

文月や六日も常の夜には似ず 芭蕉

そんな気分に浸ってもいる。

【天候】
終日、降ったり止んだり。

1646声 かまどうまの屋敷

2012年07月05日

夕立が去った後なのだが、とても蒸し暑い。
この気候の為か、最近頻繁にムカデを見かける。
歳時記を開けば、夏の項に「百足虫(ムカデ)」とあるので、丁度今時期。
彼らの活動が活発になるのかも知れない。

そうなるとムカデのことが気になり、本棚から図鑑を引っ張り出して来て調べよう。
そうは思うが、それが行動に移せない。
図鑑の頁一面に、ムカデの写真と共に図解されている文章を、
読む気にならないからである。
いま、思い返しただけでもいささか背筋が寒くなる思いがする。

最近見かけたムカデは、ごく小さい個体だったので、それほどおぞましい印象は無かった。
体長、3、4cmと言った具合で、チマチマ足を動かし行く姿には、なんだか愛嬌さえあった。
自宅裏のブロック塀と、風呂場で見かけた。
風呂場では他にゲジゲジも見かけている。

それで思い出したが、堀澤氏が昔借りていた四万温泉の家に初めて伺った晩、である。
季節は晩夏だったか初秋だったか、ともかく暑い晩であった。
着いてまず、玄関代わりの軒先で、小さな虫が出迎えてくれた。
良く見ると、竈馬、平仮名で書くと、「かまどうま」と言うコオロギに似た虫。
座敷に上がって、まず手を洗いに炊事場へ行くと、水道のシンクにかまどうま。
手を洗って、さて麦酒を取り出そうとすると、冷蔵庫の脇にかまどうま。
座敷で飲んでいると、テーブルの下にかまどうま。
兎も角、あちらこちらに、かまどうまかまどうまかまどうま。
昆虫が苦手な人ならば、どうにかなってしまうであろう。

はじめの間は、かまどうまを見かけると「ぎょっ」としたが、
かまどうまを踏まないように厠へ行ったり来たりしている間に、気にならなくなった。
そのまま、隣の畳で寝てしまって、翌朝。
居間でも炊事場でも玄関でも、かまどうまたちの姿を見ることは無かった。

【天候】
朝より曇りがちなる晴れ。
夜半に雨あり。

1645声 ひやしそうめん

2012年07月04日

ぐったりするほど、暑い。
まだ梅雨明け宣言も出ていないのだが、
それももう目前と言う具合の空模様である。

あまりに暑いものだから、夕食に今年初となる素麺を茹でた。
あっさりしていて非常に喉越しが良い。
あまりに喉越しが良いので、つるつるつるつると、箸が進む。
小気味良く進み過ぎて、止め時が分からなくなる。
腹八分なのか満腹なのか、素麺の舌触りがあまりに軽いので、
胃から脳への伝達がうまくいかないのかしら。

小耳にはさんだのだが、栃木県の藤岡地区では、近年。
「藤岡冷汁」と言う郷土料理を、町おこしの一環で売り出していのだそうな。
冷汁と言えば味噌ベースの「汁」に、胡瓜や大葉や生姜など旬の食材が、
ふんだんに入っている料理である。
素麺自体、あまり提供している店が少なそうなので、是非食べてみたいと感じた。
夏場の飲んだ後の締めは、ラーメンでなくこの冷汁など、ちょいと粋ではないか。

【天候】
晴れて暑し。

1644声 風の匂い

2012年07月03日

帰宅して、午後七時を過ぎた頃であろうか。
ぽつりぽつりと雨が降り出した、すぐ本降りになり音を立てて降り始めた。
雨音の幽かなる隙間に、祭囃子が聞こえた。
もうそんな時期である。

今週末には前橋市の中心市街地で、七夕祭りがある。
私が学生時分の頃、丁度中間テストの終わる時期で、
夜には前橋の街中に繰り出す生徒が多かった。
それを危ぶんだ先生方が、毎年朝礼で生徒に口酸っぱく注意していた。

そうは言っても、高校生である。
夏休みの前哨戦とばかりに、心弾ませながら、七夕飾りの商店街を練り歩いた。

市中は物のにほいや夏の月 (凡兆)

あの頃の商店街を吹く生温い夜風には、掲句のような「匂い」があったように思う。
その点に於いて、風の通らぬ大型ショッピングセンターなどは、
少し趣向に乏しい気がする。
しかし、現代の学生諸氏のみならず私たちにとっては、商店街でなく、
風の通らぬ方での買い物に、どうも馴染んでしまっているようである。

【天候】
朝より曇り、のち降ったり止んだり。