日刊鶴のひとこえ

この鶴のひとこえは、「めっかった群馬」に携わる面々が、日刊(を目指す気持ち)で記事を更新致します。担当者は堀澤、岡安、すーさん、坂口、ぬくいです。この5人が月替わりで担当しています。令和6年度は4月(ぬ)5月(岡)6月(す)7月(堀)8月(坂)9月(ぬ)10月(岡)11月(す)12月(堀)1月(坂)2月(ぬ)3月(岡)の順です。

1633声 七夕の願い

2012年06月22日

来月の七夕。
即ち、七月七日には梅雨は明けていないだろうが、
晴れてほしいと願っている。
いわんや、台風などは絶対に来てほしくない。
群馬県が誇る奥座敷「四万温泉」で、俳句の句会をする予定なのである。

今月の三十日から十七日間に亘って開催される、
「温泉郷クラフトシアター2012」の一環として、この句会をする。
台風は来て欲しくないが、俳句をやる人には来て欲しい。
そのために、この宣伝文を書いている。
今回は句会の定員があり、十名なのであるが、それがあやしいと考えている。
地方、それも山間部でまったくの無名未知の俳句会に十名、である。
そして、当日のこのこ登場するのはこの若輩者。
とくれば、「あやしい」どころか「あやうい」状況ではないか。

しかし、私自身は万が一句会が反故になっても(最低三名いないと句会が成り立たぬからである)、
四万温泉へ行き、七夕の日の自然を存分に詠んでこようと、いまから楽しみにしている。
さりとて、肝心の「温泉郷クラフトシアター2012」に貢献できないことは、悲しい。
なので、やはり定員十名で句会をやってこそ、本当にこの日を楽しめるのだと思う。
そうとくれば、宣伝宣伝。

【温泉郷俳句ing】
内容:温泉街を散策し思い思いに句を詠み、その後茶事会場で句会を行います。
日時:7月7日(土) 13時30~ (茶事会場には15時以降に入室)
※集合場所は温泉協会前です。
会場:まるみや別邸
定員:10名
料金:500円(筆記具、お茶代含む)
申し込み:四万温泉協会(Tel:0279-64-2321)で予約

【天候】
終日、晴れたり曇ったり。

1632声 夏至の夜涼

2012年06月21日

今夜も蒸して、また寝苦しい夜になる。
そう思っていたのだが、いつの間にか涼しい夜風が窓に来ていた。
そっと耳を澄ましてみると、幽かに聞こえた。
雨の音。
ひと雨来て、一挙に気温が下がったのである。

部屋に夜涼を運ぶ風を感じながら、降るような蛙の声を聞いている。
この声のために、降り始めた雨に気付かなかった。
鬱々とした梅雨の天候の中、こう言う雨はうれしい。
思えば、今日は夏至であった。

【天候】
朝より曇天。
夜半に小雨。

1631声 修道院麦酒

2012年06月20日

「まいった」
今日、何度この言葉を発したことか分からぬ。
ともかく、まいってしまった。
暑さに、である。

台風一過ですっきりと青空。
などと、背伸びしていた朝も束の間。
気温はぐんぐん上がり、高崎市では午前中に33℃を観測した。
夏の暑さに比べれば、などと数字だけ見ればそう思うが、
体感はそう簡単にはいかない。

まだ体が暑さに慣れておらず、みるみる体力を消耗して、
朝からずしりと倦怠感。
昼には食欲不振で、夜には。
つまりいま、思考停止状態に陥ろうとしている。

夏場の食欲不振の時は、やはり麦酒が良い。
これは飲んだくれとしての見解とあなどるなかれ、
とても理にかなっているのである。
中世の頃、ドイツの土地土地の修道院では、地麦酒が醸造されていた。
これを断食の期間中は、ガブガブ飲む。
つまり、パンを食べられないかわりに、同じ原料から作った麦酒を飲んで、
栄養を補給していたのである。
その伝で、夏場で食欲がない時は、無理して栄養のあるものを食べずとも、
麦酒をのんでいれば大丈夫。
おそらく。
当時の修道士たちも、意外と断食の時期を楽しみにしていたりして。

【天候】
終日、晴れて真夏日。

1630声 今日はこれぐらいに

2012年06月19日

甘く見ていた。
だからと言って、結局、何も対策などとらなかっただろうから、後悔はない。
後悔よりも、いま、なす術がないのである。
この安普請な我が家を、吹き飛ばさんばかりの台風に対して。

例年ならば、七月初旬ごろに台風が日本列島に直撃し、
大きな爪痕を残しつつ、梅雨前線をそっくり持ってゆく。
次の日には梅雨雨宣言と共に、めくるめく猛暑日のはじまり。
そういう算段をしていたが、今年はちと早い。
現在はまだ、六月の半頃を過ぎたところである。

歳時記で言うと、台風は夏の季題だが、このおそろしい状況下で、
とても句を作ろうと言う心持にはなれない。
ボコボコにやられた後にすました顔をして、「今日はこれぐらいにしといたるわ」。
と言う、池乃めだかの十八番のギャグではないが、台風が去った後に、
すました顔をして台風の句でも作ろうと思う。
その為に、いま、台風にやられておいてあげるのだ。

【天候】
朝より小雨。
夕方より雨風共に強まり、夜半には暴風雨。

1629声 蛙の夜

2012年06月18日

梅雨の晴れ間も今日まで。
明日からはまた四五日、梅雨の天気の予報である。
あの湿度の高い不快感とよりも、いっそのこと、
炎天の夏日になってもらいたい気がする。
銭湯の熱い湯で、さっと汗を流してから夕風の涼を感じる、あのオツな楽しみ。
あれはやはり、梅雨の「夏」ではなく、梅雨明けの「夏」のものである。

田植えが済んでから、いまはもう蛙がうるさいくらいに鳴いている。
夕涼みに夜の畦道をあるくと、田一枚から浴びるような蛙の声。
部屋の窓辺で聞くのと、田の畦道で聞くのとは、また蛙の声も違って聞こえる。
その中に、いろいろな種類の蛙の声がある。
ひとつひとつ声は違うが、その全てに、濁点がついている。

【天候】
終日、晴れたり曇ったりで蒸し暑し。

1628声 夏の水沢

2012年06月17日

久方ぶりの梅雨晴間。
などと浮かれていたのも、朝の間。
だんだん日差しが濃くなり、日輪が南中高度に差し掛かる時分には、
もう猛暑に手が届こうかと言う夏日。

「これじゃあ…」
てぇんで、涼を求めて車を走らせた。
場所は伊香保温泉手前の、水沢観音。
そこはやはり日曜日。
駐車場には大型の観光バスがしめて八台。
当然、線香の煙棚引く境内は、わらわらと観光客で賑わっている。

それでも、瑞々しい青葉の下。
古池で泳ぐ錦鯉など眺めていると、
自然と俳句のひとつでもひねりたくなってくる。
だけれども、こう言う観光地然とした雰囲気はどうも。
緊張の仕方が違うようで難しい。
帰路では焼きとうもろこし屋台など出ていて、
もうすっかり夏になっていた。

【天候】
梅雨晴間で夏日。

1627声 こころの夏

2012年06月16日

朝から雨。
梅雨寒の一日である。
丁度、秋から冬へ入る、例えば十月第一週の頃の空気と良く似ている。
空気感こそ似ているが、大地が内包している「気」が違う。
花や鳥、そして人のこころが。
夏を待っている、夏になろうとしている、はや夏になっている。
とでも言おうか。
ともかく、寝過ぎて頭が痛い。

【天候】
終日、小雨。

1626声 蛍の明滅

2012年06月15日

グラスにピルスナー麦酒を半分、黒麦酒を半分。
所謂、「ハーフアンドハーフ」にして、最近の晩酌を楽しんでいる。
飲みやすいので、進む。
進んでも、あまりいいことがない。
椅子に座って、酔眼朦朧としつつ虚空を眺めていると、昨夜のあの。
あの蛍のか細い光の明滅が、思い出される。
兎も角もいま、よく冷えた麦酒が飲みたい。

【天候】
終日、梅雨曇り。

1625声 蛍火

2012年06月14日

急遽、ほたる句会に参加する事になった。
「蛍」なので当然、日没からの数時間。
待ち合わせ場所のラーメン屋へ到着すると、空のジョッキを前に、
すでに俳句の先生は赤い顔をしていた。

吟行場所は、前橋市の田口町にある「ホタルの里」。
ここ数年、毎年この場所に訪れて俳句を作っているが、
今年はどう言う訳か、蛍の数が多い。
気温がそれほど高くないせいか、その光はとても弱々しかった。

ゆるやかな人波の中で、闇にゆらめく蛍火を眺める。
目の前の光景。
どんなに適当な言葉を探しても、
あの幽玄な蛍火の美しさを上手く表現し得なかった。
蛍の声が光ならば、ずいぶんとまぁ、おしゃべりな。

【天候】
終日、梅雨曇り。

1624声 金属片

2012年06月13日

「ガリッ」
口腔内に突然違和感が走ったので、驚いて口の動きを止めた。
噛んでいたガムをびろーんと取り出し、眼を凝らしてみると、あった。
ガムにくっついている、小さな金属片。
歯に詰めていた金属が、取れてしまったのである。

丁度、かかりつけの歯医者のカードを持っていたので、夕方。
一番遅い時間に予約を滑り込ませて、診察を受けて来た。
その治療、と言うか施術はごく簡単な方法だった。
取れた金属片を元の場所へ、薬を付けてもう一度くっつける。
丁度、セメダインでプラモデルの部品をくっつけるように。

終わって、待合室で会計を待っていると、時間帯のせいであろうが、
女子高校生が三人もいた。
この歯科医院は自分の通っていた高校の近くなので、
自分も学校帰りに寄った思い出がある。
良く見れば、女子高生の一人は、自分の通っていた高校の制服を着ている。
あれからおよそ十五年の時を経て、歯の詰め物が取れて診察に来ている自分が、
ひどく情けなく思えて来た。
高校時分の私が、カランコロンとドアを開けて入ってきそうな妄想に捉われていると、
受付から少し無愛想に私の名前を呼ぶ声が聞こえた。

【天候】
終日、曇天で涼しい。

1623声 紫陽花の月日

2012年06月12日

群馬県平野部では、紫陽花が綺麗に咲き始めた。
紫陽花にまつわる話で思い浮かぶのは、シーボルトである。
シーボルトは紫陽花の学名を、「Hydrangea otaksa」と名づけ、帰国後に紹介した。
この「otaksa(オタクサ)」は、シーボルトが妻とした日本女性「楠本滝」の、
「お滝さん」の呼び名であると言われている。

シーボルトは1823年。
ドイツ人ではなくオランダ人と偽ってさ鎖国下の日本へやって来た。
長崎にあった出島のオランダ商館の専属医師になり、出島の外に蘭学を教える鳴滝塾を開いた。
塾生のひとりであり、塾頭を務めていたのが、後に蘭学者になった高野長英である。
後に蛮社の獄で捕らえられ、江戸伝馬町の牢屋敷に収監されるも、脱獄し諸国を転々と逃亡した。
幕府に追われる身となった長英を、一時的にかくまった場所のひとつとしていま尚残されているのが、
中之条町六合赤岩地区の養蚕農家「湯本家住宅」である。
その部屋は現在、「長英の間」と呼ばれている。

なんだか、歴史コラムのようになってしまった。
紫陽花のあの色合いには、彼方の月日を思わせる効果があるようである。
逃亡中の長英も、道中で紫陽花を眺めつつ、師であるシーボルトのことを思っていたのであろうか。
そして、明日も雨になるだろうか。

【天候】
朝より曇り、夕方から雨。

1622声 歯ぬかり

2012年06月11日

梅雨なのでどうしようもないが、空には厚い雲が垂れこめ、
湿度の高い不快な日が続いている。

朝食のトーストにバターを塗ったら、
トーストがやけにふにゃふにゃになってしまうし。
昼食に買ったとんかつ弁当のどんかつの衣が、
これまたやけに湿っぽくなっているし。
おまけに、夕食に食べたうどんが、
にちゃりにちゃりと歯ぬかりして喉ごしが悪かった。

そして、この文章にもキレが無く、今日はあらゆることが、
一貫して梅雨曇めいていた。
こんな季節だからこそ、明日は喉越しのよい蕎麦でも、
さらりとたぐろうかと思う。

【天候】
終日、雨こそ降らねど梅雨曇。

1621声 木の清涼

2012年06月10日

昨日梅雨入りし、例年通り、しとしとじめじめした不快指数の高い日となった。
群馬県庁で開催されているクラフト展を観に行き、本屋に寄り道してからは、
自転車を停め、公園のベンチに腰掛けて、俳句を作っていた。
「句作に情熱を注ぎつつ」、と書きたいところだが、何の事は無い、
二日酔いなのであった。

二日酔いにこの梅雨時の不快感は意外に体に堪え、
倦怠感が甚だしかった。
夕方になってから遠くで蛙が鳴き始めたので、急いで家路についた。
おかげで、本降りの雨からは免れた。
梅雨のじめじめした最中にも、木工品と言うのは清涼感があって、
とてもよいと感じた。
やはり、伝統工芸品とは理にかなっており、その底力を感じた。

【天候】
降ったり止んだり梅雨の天気。

1620声 ふにふに感

2012年06月09日

昨夜、である。
夕涼みに出掛けようと、夕闇の中で自転車に跨った。
ハンドルに手を掛けた瞬間、「ぬぎゅっ」と言う、得体の知れぬ触感。
反射的にハンドルから手を離すと、ぽてっと地面に落ちた小さな物体。
薄闇の中で目を凝らすと、その物体。
ひょこり、ひょこりと水道の流し台の裏へ逃げてゆくではないか。

「蛙」
その物体の正体が、である。
逃げてゆく後ろ姿を眺めつつ、擬態の上手さに舌を巻いた。
つまり、ハンドルの黒色との保護色になるように、
自らの体色を灰色にしていたので、そこに夕闇も相まって気付かなかった。
にしても、わざわざハンドルの上で休まなくても良いのに、と思うが、
私と自転車都合は、あの蛙に関係しない。
手にはまだ、あの「ぬぎゅっ」とした、蛙のふにふに感が残っている。

【天候】
梅雨入りで、終日雨。

1619声 ふんわり

2012年06月08日

群馬県の館林市では本日、気温30℃を超えたそうな。
関東地方は明日にも入梅しそうな気配漂うこの頃、
はや今年の盛夏は例年になく暑い予感がする。

風呂上がりに麦酒を切らしていたので、
冷蔵庫の片隅に転がっていた焼酎瓶を開けた。
水割りにして飲むが、如何せん、喉が渇いているものだから、
ごくごく飲んでしまった。
それでいま、いささか軽い頭痛を感じている。
血中のアルコール濃度が一気に上がった為であろう。
麦酒の、あのふんわりとした酔いが恋しい気分である。

【天候】
終日、雲多くも晴れて暑い。

1618声 蛍火

2012年06月07日

梅雨入り前の蒸し暑い夜。
そんな夜に思うのは、あの、蛍である。

風の無い蒸し暑い夜の、午後八時ごろから二時間程度。
概ねその時間帯が、蛍狩りに行った際、一番良く鑑賞できる。
それを知ったのは数年前、前橋市田口町にある「ホタルの里」へ、
蛍狩りに行ったからである。
俳句を作るようになってからは、もうすこし触手を伸ばして、
周辺ほ里山へ蛍狩りに出掛けるようになった。

「蛍」も「桜」同様、短歌や俳句などに親しみのある人には、人気の風物である。
先日、大宮へ句会に行った際、二次会の席で蛍の話になった。
そろそろ蛍の時期であるが、どこで観るか、と言う。
都内周辺でも、まだ鑑賞できる場所があるとか。
しかし、その数は大分まばらであり、また、光も弱いと聞いたことがある。
やはり、深い闇を抱く森の湧水に力強く飛ぶ蛍こそ、「狩る」値打ちがあると思う。
その席ではそんな意見こそ述べなかったが、杯の日本酒を舐めつつ、
瞼の裏に群馬の蛍火が思い出された。

【天候】
終日、晴れて蒸し暑し。

1617声 入口と出口

2012年06月06日

雨が上がったのは夕方になってからで、
夜空には千切れ雲の間から星がのぞいていた。
空気が澄んでいて、煌めく街の灯を抱いた薄闇の山並みの景色には、
そこはかとなく、夏の終わりの雰囲気が漂っていた。
しかし現在は、今週末にも梅雨入りしようかと言う初夏。
夏の入口と出口は、意外と近い場所にあるのかもしれない。

【天候】
朝より雨のち徐々に回復。

1616声 千々にちぎれて

2012年06月05日

まず、麦酒。
そして、枝豆に冷奴。
次に、冷やしトマトに茄子の浅漬け。
から、最近である。
焼き物揚げ物に、なかなか移行する事が出来ない。

元来、胃腸は強くない方だが、三十路に入って更にそれが顕著になった気がする。
そんな人間は、冷えた麦酒をガブ飲みせねばよいものを、
こればかりはどうしても止められぬ。

転じて、先月開業した東京スカイツリーである。
スカイツリーの麓(と言うのもおかしいが)、に「ソラマチ」と言う商業施設がある。
そこに入っている店舗のひとつに、「世界のビール博物館」と言うのお店がある。

「ビールパラダイス」
との異名をとる、大型のビアレストランで、ドイツ、ベルギー、イギリス、アメリカ、チェコ共和国。
と言うメッカの生ビールをはじめ、郷土料理を取り揃えた、ビールフリーク垂涎の店なのである。
日本初輸入の樽生ビールも数多くあり、この店の情報を目にした瞬間から、
私の心はもう千々にちぎれてしまってどうしようもない。
まだ麦酒がガブガブ飲める間に、一度でいいから入店し、心おきなく飲んでみたい。
そんなことを思いつつ、アサヒスーパードライのスカイツリー開業記念デザインの缶を。

【天候】
終日、曇りがちなる晴れ。