ビジネスホテルの殺風景な部屋での目覚めは、良い訳きゃない。
差し迫るチェックアウト時間にまくし立てられながら、シャワーを浴びると、
昨夜の酔いががぶり返して、血液の中で暴れだす。
ふらふらと風呂場から這い出て、取り合えず、血液が平穏を取り戻すのを待って、
身支度を済ませた。
ローカル線の街なので、電車の接続は悪い。
駅の時刻表を眺めつつ、どうしたのもかと悩んでいる私の隣には、
仲間内でも一番の飲んだくれである、Wがいる。
聞けば、昨晩さんざん飲んだ挙げ句にホテルに帰り、
それからまだ日本酒四合と缶麦酒一本飲んだらしい。
缶麦酒が350mか500mは、あえて訪ねなかった。
天気は小春日和であるし、この辺りはまだ紅葉も残っていると思い、
散策してみることに決めた。
昨晩の夜の顔だった街が、今度は朝の顔になっており、
いささかバツの悪い印象であるが、商店街を抜ければ渓谷がある。
入間川の清流が流れており、予想通り、冬紅葉が綺麗に日に透けていた。
川沿いを小一時間ばかりあるいて、ラーメンを啜って帰路に着いた。
Wは、その時点でまだ生麦酒を飲んでおり、聞けば、
家路に着くまでにも居酒屋で杯を空けて行ったらしい。
強靭な内臓。
それが無い為に、私などは毎回、酒との付き合いでは辛酸を舐めることになるが、
このWのように、それを持っているがために舐める辛酸と言うものもある。
更に重たくなった体と、更に軽くなった財布を携えて、
よろよろと高崎駅へと帰って来た。
駅を出るともう夕方の風が吹いており、帰りのバスの車窓風景には、
えびす講の終わった商店が、祭りの片付けに勤しんでいた。
【天候】
終日、冬日和。