日刊鶴のひとこえ

この鶴のひとこえは、「めっかった群馬」に携わる面々が、日刊(を目指す気持ち)で記事を更新致します。担当者は堀澤、岡安、すーさん、坂口、ぬくいです。この5人が月替わりで担当しています。令和6年度は4月(ぬ)5月(岡)6月(す)7月(堀)8月(坂)9月(ぬ)10月(岡)11月(す)12月(堀)1月(坂)2月(ぬ)3月(岡)の順です。

1787声 スイング

2012年11月27日

今日の昼ごろ、山奥の村である。
川べりの空き地の横に車を停めていると、
どこからともなく、一人二人とお年寄りがやって来た。
みな、長細いバッグを背負っている。

おじいさんおばあさん。
六人ほど空き地に集まって、バッグから棒のようなものを取り出す。
一人の腰の曲がったおばあさんが、ちょこちょこっと出てきて、
地面に玉を置く。
そして、一呼吸置いて棒をスイング。

どうやら、地元のゲートボール仲間らしい。
木の葉舞い散る空き地の風景に、溶け込んでいた。

【天候】
終日、冬日和。

1786声 風景を噛む

2012年11月26日

ローカル線のリズムは、つくづく、眠気を誘うものである。
乗車時間が二時間近くあるので、高崎駅の書店で、一冊分厚い文庫を購入した。
乗車して頁を開き、ほんの二、三頁を読み終えたところで、眠気に襲われ、
以降小一時間は記憶なし。
読んでいたのが句集だったので、物語に引き込まれなかったと言うこともあろうが、
それにしても、良く寝てしまった。
乗降率の高い路線よりも、一駅の区間の長いローカル線の方が快眠できる気がする。

ぼんやりとした商店で、ローカルな風景を眺める。
枯野に荒れた田圃、朽ちた看板と疎らな人家。
そんな蕭条たる景色を眺めていると、胸の奥が締め付けられるような思いがする。
そんな風景は、眺めるのではなく、噛み締める様に味わうものだと、感じた。

【天候】
日中、冷たい雨。
夜には回復。

1785声 チェックアウト

2012年11月25日

ビジネスホテルの殺風景な部屋での目覚めは、良い訳きゃない。
差し迫るチェックアウト時間にまくし立てられながら、シャワーを浴びると、
昨夜の酔いががぶり返して、血液の中で暴れだす。
ふらふらと風呂場から這い出て、取り合えず、血液が平穏を取り戻すのを待って、
身支度を済ませた。

ローカル線の街なので、電車の接続は悪い。
駅の時刻表を眺めつつ、どうしたのもかと悩んでいる私の隣には、
仲間内でも一番の飲んだくれである、Wがいる。
聞けば、昨晩さんざん飲んだ挙げ句にホテルに帰り、
それからまだ日本酒四合と缶麦酒一本飲んだらしい。
缶麦酒が350mか500mは、あえて訪ねなかった。

天気は小春日和であるし、この辺りはまだ紅葉も残っていると思い、
散策してみることに決めた。
昨晩の夜の顔だった街が、今度は朝の顔になっており、
いささかバツの悪い印象であるが、商店街を抜ければ渓谷がある。
入間川の清流が流れており、予想通り、冬紅葉が綺麗に日に透けていた。
川沿いを小一時間ばかりあるいて、ラーメンを啜って帰路に着いた。
Wは、その時点でまだ生麦酒を飲んでおり、聞けば、
家路に着くまでにも居酒屋で杯を空けて行ったらしい。

強靭な内臓。
それが無い為に、私などは毎回、酒との付き合いでは辛酸を舐めることになるが、
このWのように、それを持っているがために舐める辛酸と言うものもある。
更に重たくなった体と、更に軽くなった財布を携えて、
よろよろと高崎駅へと帰って来た。
駅を出るともう夕方の風が吹いており、帰りのバスの車窓風景には、
えびす講の終わった商店が、祭りの片付けに勤しんでいた。

【天候】
終日、冬日和。

1784声 片田舎の街

2012年11月24日

「日刊」、と謳いながら、ここ二日ばかり更新に穴を空けてしまった。
体調が芳しからぬことと、酔っ払っていたことが、原因である。
それでも、催促など来ぬので、別に良いと考えている。

軽く頭痛がする。
それより何より、全身倦怠感が甚だしい。
こりゃ熱があると思って、恐る恐る体温計を覗いてみると、36度。
全くの平熱で、きつねに化かされた思いであるが、依然として体はだるい。
この結果を動力にして、以前から約束していた旧友との酒席に出掛けた。

ローカル線に揺られること二時間近く。
埼玉県の片田舎の街の片隅で、飲んでいたのだが、予想に反して飲める。
風邪ならば、一口目の麦酒がうまく喉を通らぬのだが、これがするする入る。
結局、その街に泊まって散々、飲む羽目になってしまった。

【天候】
終日、冬日和。

1783声 風邪感覚

2012年11月23日

勤労感謝の日である。
毎年、この日はすきっと晴れる印象があったが、
今年は終日曇天である。

体調が芳しからぬこともあり、終日、机の前に座っていた。
性分に合わぬ為か、とても肩が凝った。
更に体調も悪化したような心地である。

風邪をひくと、髪の毛の伸びが早くなるような感覚に陥る。
感覚が鈍くなっているのか、はたまた、鋭くなっているのか。

【天候】
小雨交じりの曇天。

1782声 風邪心地

2012年11月22日

風邪が流行っているようで、かく言う私も風邪心地である。
今月締め切りである俳句賞の連作を、
そろそろまとめようと考えていたので、丁度、良い機会である。
風邪によって億劫なことを、すこしでも逆手に取らねば、
気が滅入ってゆく一方である。

【天候】
終日、冬日和。

1781声 朝の香

2012年11月21日

味噌汁と目刺しの香りよりも、
トーストと珈琲の香りの方が落ち着く。
冬の朝は、殊に。

【天候】
終日、冬晴れ。

1780声 電子媒体

2012年11月20日

アメリカから上陸した電子書籍端末、「キンドル・ペーパーホワイト」の販売が、
今日、日本各地の家電量販店で始まった。
アメリカではこのキンドルが、電子書籍の市場を開拓したので、
日本での注目度も高い様子である。

電子書籍が発売されたからと言って、紙媒体がすぐに無くなる訳ではない。
財布の中には、電子マネーと紙幣と小銭が共存しているように、
用途によって使い分けるようになるのではないか。
長期に家を離れる場合など、この電子書籍は随分便利そうである。

因みに、俳句の場合は、辞書は電子、歳時記は紙と言うパターンが多い様である。
句作する時は、歳時記の頁をぺらぺらと捲り、句会などで回って来た短冊に、
分からない字があると電子辞書で調べる。
他にも、吟行していて分からない花や鳥などがいると、電子辞書で調べるのである。
中には、スマートフォンで、句のメモを含め、これらの一切をこなす人もいる。
そんな最先端の利器を駆使して、旧かなづかいで文語体の句を作っている。

【天候】
北風強くも、冬晴れ。

1779声 一句の重み

2012年11月19日

「〇〇さんは若いわよ、だって戦後生まれでしょ」
こう言う会話が飛び交っているのは、私が参加している俳句会でのこと。
開戦の時には女学生だったと言うこの俳人の方は、
齢八十を越えても元気に各地の句会に参加しており、次々に佳句を作っている。
私よりも声が大きくて、私よりも食って飲む。
その一句は、重い。

【天候】
終日、冬晴れ。

1778声 倉渕吟行

2012年11月18日

協会群馬支部の句会に参加した。
場所は旧倉渕村の山奥である。
高崎駅からバスに揺られること、一時間弱。

吟行場所である森林公園へ着くと、木枯らしまた木枯らし。
蕭条と落葉が鳴いている園内を、30人弱で吟行した。
標高千メートルを超える場所なので、眺望は素晴らしい。
彼方には、筑波山まで見渡せる。
そう言う絶好のスポットなのだが、如何せん、寒い。
刺すような寒さに耐えられず、ポケットに手を突っこんだまま、
小一時間うずくまっていた。

誰からともなくワンカップが回って来て、それでどうにか寒さを凌いだ。
真っ白な句帖をポケットに入れたまま、またバスで句会場に移り食事。
暖かな室内をいいことに、先程の寒さなど忘れて、生ビールを飲んでいる。
暖かな場所で飲む冷えた麦酒は、夏場のそれを凌ぐ美味さがある。

当然、句会の方は惨敗だったが、気分良く帰ってこれた。
高崎へ着いてからも、はしご酒となり、俳句の事などを肴に一瓶二瓶。
みなご高齢だが、この元気はどこから来るのか。
俳句、の力なのだろうか。

【天候】
終日、木枯らし一号あるも、冬晴れ。

1777声 想像のこと

2012年11月17日

男性は、「もしも、こうだったら面白い」と言う。
女性は、「けっしてそんなはずは無い」と言う。
「笑い」の世界の演者において、圧倒的に男の比率が多い理由の一端が、
隠されているのではないかしら。

【天候】
曇りのち雨。

1777声 定食と俳句

2012年11月16日

今日の昼である。
大衆食堂の暖簾をくぐったのが、もう正午を大分過ぎていたので、
とても空腹だった。
その勢いで、日替わり定食のAセットなるメニューを注文してしまった。
内容は、醤油ラーメンとカツ丼のセット。

箸を割って、果敢に食して、食べ過ぎた。
やはり、中年男性の域に入っている自分には量が多すぎた。
それでも、なんとか食べた。
定食にメインの料理が二つあるのは、豪勢だがちと重たい。
五七五に季語を二つ入れて俳句を作ることも、また然り。

【天候】
終日、小春日和の冬晴れ。

1776声 横着の技

2012年11月15日

今日、定規に沿ってカッターで紙を切っていた。
いきなり逸れるが、子供時分から定規のことを「線引き」と呼んできたが、
これは方言なのだろうか。

それはともかく、スーッと上から下へ縦方向にカッターを入れる。
今度は、横方向にカッターを入れねばならない。
大方の人は紙を90度動かし、
また上から下へ縦方向にカッターを入れるだろう。
それが、無理なく安全にカッターを入れる方法であるから。
しかし、私は横着者なので、そのまま定規を横にして、
左から右へ横方向にカッターを入れた。
私のその、左腕の下を右腕がくぐる窮屈な格好を見た通りすがりの人に、
「器用ですねぇ」
と声をかけられた。
そこには、横着のなせる技と言うものがあるのだろうが、
けっして感心できる技ではない。

【天候】
終日、冬日和。

1775声 その秘密

2012年11月14日

不穏な空気が漂っている。
今し方、野田総理大臣が、今月16日に衆議院を解散する意向を表明した。
これによって、急転する政情。
それよりも、12月9日が投票日になるので、慌ただしい年末になりそうだと言う、
不安感の方が強い。

慌ただしい最中にあっても、凛とした冬の日差しに映える冬紅葉には、
はたと足を止めて見入ってしまう美しさがある。
その美しさの秘密に触れることの方が、私にとっては興味深い。

【天候】
終日、冬日和。

1774声 2タカ

2012年11月13日

バングラデシュのお金を、日本で造ることになったそうである。
バングラデシュには現在、8種類の貨幣があって、その中の一つの2タカ。
日本円で2円に相当する、この貨幣を、5億枚製造するとのこと。
その経緯は、造幣局が13日に国際入札において落札したと言うもの。
日本には偽造防止の技術があるので、その力を活かすことが出来るらしい。
確かに、現在の流通している最新の硬貨、特に500円など見ると硬貨側面の溝や、
表面の模様などとても精巧に出来ている。

巷に「電子マネー」が随分と普及してきて、以前よりも硬貨を使う機会も少なくなったが、
こう言う、硬貨製造などの仕事は、日本向きな気がする。
硬貨と言わず紙幣も沢山受注して、技術の力をどんどん輸出すれば面白い。
外国のお金を日本で造るなんて、ちとロマンがあるではないか。

【天候】
晴れのち曇り。

1773声 俳筋

2012年11月12日

最近、ちと鈍っている。
晩秋あたりから、急に夜が冷え込み、
外へ出るのが億劫になってしまった。

アスリートが練習を一日休むと、
その一日を取り返すのに倍以上の日数を要する。
そう言う話を聞いたことがあるが、私の場合はそんなに大袈裟ではない。
「俳句」、の話だからである。

夜の時間。
以前はよく外へ出て、夜風を感じたり、遠くの夜景などを眺めたりして、
散歩がてらに句を作っていた。
近隣から怪しまれることと、寒さが厳しくなってきたこともあり、
すっかり足が遠のいてしまった。

先のアスリートの話ではないが、日毎に脳内筋肉が鈍ってゆく。
と言うような観念に囚われ、なんだか、
俳句を考える力が弱まってしまったように感じている。
そんなことも無いのかも知れぬが、実際、近作は駄句ばかりな気がする。
年内で、すこしそれを取り戻そうかと、決意とまでは行かないが、そう思っている。

【天候】
曇りのち晴れ。

1772声 舞台

2012年11月11日

ミュージカルを観に行った。
歌って踊って、と言うやつである。

圧倒的でなければならぬ。
そして、絶対的なカリスマ性で魅せねばればならぬ。
演者が舞台で演じる、とはそう言うことだと感じた。

【天候】
曇りのち雨。

1771声 見わけ

2012年11月10日

現代は戦国時代らしい。
アイドルの、である。

SKE48、NMB48、HKT48、SDN48。
電化製品の品番ではなくて、全てアイドルユニットの名前である。
AKB48に端を発して誕生し、他にも様々なアイドルグループがしのぎを削っている。

アイドルグループのメンバーの顔と名前が、一致しなくなったら「親父」らしい。
私なども三十路を越して、その法則にしたがって、一致しない。
しかし、一致しないのはまだ序の口だと言うことが、最近分かって来た。
例えば、駅前のファストフード店で、街中のおしゃれなカフェで。
注文を取りに来る店員の女史と、テレビに映っているアイドルとの、見わけが。
どうにもつかぬのである。

【天候】
終日、秋晴れ。