青い山の裏には、もくもくと湧き上がる夏の雲。
強い日差しと、突然の夕立。
今日は、もう梅雨が明けてしまったかのような、天気であった。
夕方には、大きな西日が青田を照らしていた。
青田に映っている茜色の空。
入っては出て行く雲。
仄かなる夜風の香りに誘われて、自転車を漕ぎ出した。
自転車を停めたのは、高崎市内の銭湯。
まだ明るい内の風呂てぇのは、とても贅沢な気分になれるので、
好きな時間帯。
朝湯も好きだが、県内では、前橋市の一軒でしかやっていないので、
年に何度も入れない。
それなので、まだ、身上を潰さずに済んでいるのかも知れない。
湯船に浸かって一息。
夏期間の銭湯は、早い時間が空いている気がする。
あまり早く入っても、寝るまでに汗をかいてしまうからだろうか。
私などは、銭湯に入っても、寝る前にシャワーを浴びる事がしばしば。
と言うか、頻繁にあるので、その点は効率が悪い。
しかし、夕方の入浴が好きなのだから仕方ない。
誰も居ない浴室。
湯船で足を伸ばしていると、女湯からはずんで来る声。
主はどうやら、おばちゃん二人らしい。
「そうよねぇ、ほら、いるじゃない」
「えっ、だれが」
「ほら、この前来た、あの外人さんの」
「あっ、レディーガガよね」
まさか、おばちゃん同士の会話から、
世界をときめかせているポップアイコンの名前が出て来るとは。
ここは、アメリカのニューヨークでなく、高崎市の入浴する場所である。
しかも、「レイディーガガ」と、若干発音がネイティブっぽい。
なんだか、そこはかとない敗北感を覚えつつ、瓶牛乳を飲んで帰路に着いた。
歌えないけど、鼻歌を奏でながら、すっかり日の落ちた山へと漕いで行った。
【天候】
朝は雨なるも直ぐに上がり、梅雨晴れ。
高崎市周辺、昼に一時雨降るも、豪雨と言ったほどでなし。
終日、真夏日。