日刊鶴のひとこえ

この鶴のひとこえは、「めっかった群馬」に携わる面々が、日刊(を目指す気持ち)で記事を更新致します。担当者は堀澤、岡安、すーさん、坂口、ぬくいです。この5人が月替わりで担当しています。令和6年度は4月(ぬ)5月(岡)6月(す)7月(堀)8月(坂)9月(ぬ)10月(岡)11月(す)12月(堀)1月(坂)2月(ぬ)3月(岡)の順です。

1946声 鰻重

2013年07月20日

来週月曜日の土用の日が待ち切れず、
土曜日の今日、はや鰻を食べてしまった。
国産鰻が高価なご時世のいま。
ちょっとしたところで食べたら、千円札三枚は飛んでしまう。
それでも、タレの香ばしい匂い漂う店内で、
瓶ビールを飲みながら鰻重を待つ心持てぇのは、なんとも。
そこに時折、南部鉄の風鈴なんか鳴っていたら、最高である。
【天候】
終日、雲多くも晴れ。

1945声 乗合

2013年07月19日

京橋を抜けて、ふらふら東京駅の八重洲口まで歩いた。
夕方の駅前には、ずらりと長距離バスが横付けされていて、
列島各地の行き先を付けたバスに、大きな荷を抱えた人たちが乗り込んでいた。
缶麦酒でも飲みながら、一晩バスに揺られて旅するのもいいな、
などとのんきなことを考えていたら、目がとまった。
大きなキャリーケースを抱えた、妙齢の女性集団。
一見して旅行者と分かるような、高揚感がその話し声やいでたちから醸しでている。
その後ろに、はちきれんばかりの薄汚れているリュックを背負った、お爺さん。
一人でバスに乗り込む背中に、そこはかとない哀愁が漂っていた。
それぞれが、今日のこのバスに、乗り合わせた。
【天候】
終日、雲多くも晴れ。

1944声 壇上

2013年07月18日

選挙が近い。
今週末に迫った参議院選挙のため、
街頭演説や選挙カーを見かける機会が増えてきた。
先日も、新宿駅前にて街頭演説をしている候補者がいた。
厳密に言えば、街頭演説ではなく、街頭踊りなのである。
その候補者、蜜柑箱くらいの壇上にあがり、
小型スピーカーから流れる音楽に、乗っているのかいないのか。
一見、太極拳の動作で踊っていた。
ひたすらにそのスローな踊りに没頭しているようだった。
あたりには人垣こそできていなかったが、足を止める人がちらほらおり、
中には、スマートフォンで撮影している人もいた。
幕末に流行した「ええじゃないか」騒動が頭の片隅に思い起こされた。
【天候】
曇りのち夜半に一時雨。

1943声 子猫

2013年07月17日

私が家を出てから、両親が子猫を飼いだした。
先日、二月ぶりに帰省したら、随分と体が大きなっていた。
子猫の時分は覚束なかった足取りが、今ではもう地を躍動している。
人間を全く怖がらぬこの猫は、人が来れば足に纏わりついて遊んでいた。
私のことを覚えているのかいないのか、体を持ち上げて見つめてみても、
ごろごろ言っているばかりで、一向に分からない。
群馬の今年の夏は子猫にも堪えるらしく、
だらりと体を横たえて日がな寝ているようだった。
思えば、この猫にとっては、生れてはじめての夏なのである。
【天候】
終日、愚図つく、曇りのち本降りの雨。

1942声 進歩

2013年07月16日

創業は江戸時代。
てな老舗が都内にはいくつもある。
その大半がもちろん、その時分から大幅に味を変えず、
ずっと人気を維持し続けている。
そう考えると、進歩なんてものは取るに足らぬものだと思えてくる。
【天候】
終日、晴れ。

1941声 入日

2013年07月15日

空がすかっと青く晴れ渡った日は、夕焼けが綺麗だろうと思う。
都内のビル街などにいると、入日を見る機会が少ない。
榛名山の影に滲む、あの赤紫色の入日のことを、
新橋の居酒屋の片隅で、一寸考えていた。
【天候】
終日、雲多くも晴れ。

1940声 喝采

2013年07月14日

粛々と式は執り行われ、盛況と喝采のうちに披露宴は無事終了した。
式を撮影していたカメラマンが偶然にも同級生だったり、
数年来会っていない友人と出会ったり、何だか不思議な縁の力を感じた日だった。

丁度、会場のある太田市では夏祭りの最中で、
駅を降りたら派手にやっていた。
そして、伊勢崎市内でも七夕祭りと言うことで、
電車の中は浴衣を着た若者でごったがえしていた。
若者の服装を眺めていて感じた。
東毛地区というのは、これまた独特の文化の匂いがあって、
それがファッションに表れている。
派手、と言ってしまえば舌っ足らず過ぎるが、浴衣や甚平を見ても、
目の覚めるような色ばかりである。

式が終わり夜店の通りを抜け、喧騒の街中を太田駅へと歩いていると、
懐かしい音頭が聞こえてきた。
前方のステージ上で演じられていたのは、まさしく八木節であった。
この「国定忠治」の音頭には、高揚感と安心感が秘められていて、
一寸、一口では語りきれぬ複雑な妙味がある。

【天候】

終日、曇り一時雨。

1939声 蛙騒

2013年07月13日

改めて驚いたのは、暑さ。
そして、さざ波のように押し寄せてくる蛙の声であった。
実家のすぐ裏が見渡す限りの青田なので、
当然、今時期は蛙が猛烈である。
声はげこげこ凄まじく、窓にぴたぴた張り付くと言う大騒ぎっぷり。
風呂に浸かっているとき、いろいろな季節の音が網戸から聞こえてくる。
初夏の時期は、なぜかこの潮騒ならぬ蛙騒があると、心の奥が安らぐ。
【天候】
朝から曇り一時雨で、愚図つく。

1938声 案内

2013年07月12日

暑い。
これからもっと暑い群馬県へ行く。
そして明日はその群馬の中でもことさら暑い、
太田市へ行く予定がある。
同級生の結婚式なのだが、夏場の式はいささかつらい。
もう何年もあっていない友人なのだが、どういう訳か案内が届き、
どういう風が胸の中に吹いたか、行ってみようと思った。
「縁」というのは古ければ古いほど、味わい深いものである。
【天候】
終日、炎暑。

1937声 空蝉

2013年07月11日

今日の午後3時に、群馬県館林市で39.5度と言う気温が記録されたとのこと。
通り沿いのあの氷店は、さぞや繁盛したことだろう。
何年か前に食べたかき氷と、
吟行に訪れた際のうだるような館林の夏が思い出された。

4、5前のあの夏も以上な猛暑が連日続いていた。
館林市街を、わるのり俳句ingのメンバーで吟行していて、
俳句はともかく、行く先々の店で飲む麦酒が美味しかった。
日が沈んでからは、夜市が開催されていて、ブラジル料理とまた麦酒。
日盛りの「田山花袋旧居」の庭では、空蝉、つまり蝉の抜け殻が異常とも言える多さだった。
幹から枝から、果ては入口の看板にまで、夥しい数の空蝉がくっついていた。
猛烈なる蝉時雨の中でみたあの光景には、いささか虫唾が走った。
【天候】
終日、快晴の炎暑。

1936声 超越

2013年07月10日

連日の炎暑で、内臓器官各所の機能が著しく低下している。
食欲の減退もそのひとつ。
まず、米が食べたくない。
よって、どうしても麦酒に手がのびてしまう。
中世ドイツの修道院では、
麦酒は「飲むパン」と言われていたくらいなので、大丈夫。
などと、訳の分らぬ自己暗示をかけて、麦酒をあおる。

この麦酒だが、第三の麦酒や発泡酒なのではなく、
文字通りの「麦酒」を飲んでいる。
こっちへ来てさらに貧乏に拍車がかかっているのだが、
麦酒に関しては低級酒に落とすまいと、やせ我慢しているのである。
その何十円かの価格差を、美味しさが超越する。
そう言えば、明日11日から、
高崎発クラフトビールの樽生がおいしい立ち飲み屋「ざぶん」
が街中にオープンする。
クラフトビールの樽生がもっと、日本に群馬に高崎に、浸透するべきだと思う。
そして、クラフトビールの樽生を飲んだことが無い人は一度、飲むべきだと思う。
そうすればどう言うことか分かる。
美味しさが超越すると言うことが。
【天候】
終日、炎天。

1935声 並木

2013年07月09日

住んでいるアパ-トのすぐ脇に中学校がある。
このアパート自体が、中学校の一施設のような塩梅でもある。
中学校があるので、当然その正門からは桜並木がのびている。

「アパートに居ながらお花見ができます」
と言うのは、不動産屋の売り文句だったが、
アパートに居ながらお花見して何が面白いのだろうかと思う。

この桜並木。
桜の咲く時期は当然綺麗でいいのだが、それ以降が悩みどころである。
桜が終われば毛虫の大発生。
毛虫が終われば、のびすぎた枝が電線に触る。
剪定が済むころには、蝉の集中豪雨を受けることになる。

今朝、この桜並木に初蝉を聞いた。
まだ一匹だったが、元気に力強く鳴いていた。
並木道はおよそ100メートル。
あとひと月たったころの蝉時雨を思うと、いささか背筋が涼しくなる。
【天候】
終日、炎天。

1934声 泉質

2013年07月08日

昨日から引き続き、炎暑。
強烈なる夕立があったが、ここまで地面が温まっていると、
上がってからは蒸し暑くなる一方であった。

こちらに来てから、群馬県はやはり日帰り温泉施設が充実していたと、
しみじみ感じている。
少し足を延ばせば日帰り温泉施設があり、割と手ごろな値段で入浴できるだが、
海が近いせいなのか、湯が塩辛い。
その泉質にどうも馴染めず、現在は足が遠のいている。
郊外にもいくつか施設は点在しているのだが、値段、泉質ともに、
やはり群馬のそれと比較すると見劣りする。

そこへ来て銭湯の方は、群馬よりもやはり小回りが利いている。
その数と言い、質と言い、地方銭湯の郷愁こそないが、
値段に見合う仕事ぶりは感服に値する。
入浴剤の入った湯に、さらりと浸かる。
特にこれからの季節は、なかなか汗の引かぬ温泉より爽快で、
私はこの時期はぜひ銭湯をおすすめする訳なのである。
【天候】
終日炎天、夕立あり。

1933声 夕虹

2013年07月07日

猛烈なる暑さであった。
今年初の炎天で、列島各地では軒並み猛暑日を記録した。
千葉県西部では夕方にぱらりと通り雨があって、大きな虹が架かった。
河ひとつ隔てて架かる虹は壮大で、現れている間に、
何故か願いを託してしまうのは日本人としては習慣なのだろうか。
今日は、七夕。
数年ぶりに、七夕の前に梅雨が明けて、空に星が見えた。
【天候】
終日、晴天で炎暑。
夕方、通り雨。

1932声 蛍狩

2013年07月06日

蛍を見に行った。
場所は南内房である。
山道を車で進むのだが、群馬の峠道とは違い、高低差が無い分、
運転していると疲労感が少なく感じた。
七月前半という事で、平家蛍の最後の時期に滑り込めて、
乱舞、とまではいかないが、飛び交う蛍を見られた。
無論、私は暗闇の中で句帳に句を書き留めていたのだが、
明るい場所でよれよれの字を確認してみると、なんとも駄句ばかり。
先達によっておびただしく詠まれてきた蛍で、
「これは」と言う句を作るのは、針の穴を通すかの如く、至難の業である。
至難ではあるが、その日その場所で見た蛍の中には、
針の穴を通り抜けて行くやつもいる。
【天候】
梅雨明け宣言が出されたが、終日曇天。

1931声 寂寞

2013年07月05日

前橋中心市街地では、恒例の七夕祭りが昨日から始まったようである。
高校生時分。
この時期になると毎年、先生に七夕祭りにおける諸注意を、
口酸っぱく言い聞かされていた。
平日、しかも夏休み前のテスト時期と重なるこの行事は、
学生にとっては悪魔の誘いの如く危険である。
だからこそ、魅力的なのではあるが。
昼間のにぎやかな七夕祭りよりも、七日の夜。
人気のない商店街に、七夕飾りが揺れている、あの寂寞とした光景が思い出される。
近所や都内の各所でも七夕飾りを見かける。
四季の運行が感じられると、記憶を新鮮な状態にできる。

【天候】
終日、蒸し暑い曇天。

1930声 ぼら

2013年07月04日

近所の商店街の小売店で、夕餉のつまみを見繕っていた。
手っ取り早く刺身などと思って売り場を眺めていたら、
ひと際値段の安い魚を見つけた。
魚の名前を確認すると、「ぼら」と記載してあった。
ぼら、漢字で書くと「鯔」てぇのは、釣り人から不人気の魚と言う印象があったが、
切り身を見てみると、鮮やかな血合いにほのかに脂がさしていて、美味そうである。
美味そうではあるが、海なし県の山国育ちの身としては手が出せなかった。
コロッケを買って帰った。

【天候】
終日、曇天。
※再開に際してメールをくだっさった方に、感謝。

1929声 鈍感

2013年07月03日

これからまた、毎日これを書かねばならぬと考えると、
いささか気持がげんなりしないでもない。
二月半も書いていないので、再開するのに苦労するかと思ったが、
割とすんなりと書きだせた。
アスリートや音楽家は、一日練習を休んだだけで、
それを取り戻すのに倍以上の時間を要すると聞いたことがあるが、
私の場合はもうすこし人間が鈍感にできているらしい。

夜、麦酒を飲みながらほりさーさんの書くこの頁を読むのが、
ささやかなる楽しみであったが、その楽しみが泡の如くに消えてしまった。
わざとらしく麦酒を添えて、泡の比喩など使っているあたり、
どうやら、二月半で文章の腕は確実に鈍ってしまったようである。
あるいは、元から。

【天候】
曇ってはいるが、明るさを透かせる雲。
都内では夕方前に、一時ぱらりとあたたかな雨。