日刊鶴のひとこえ

この鶴のひとこえは、「めっかった群馬」に携わる面々が、日刊(を目指す気持ち)で記事を更新致します。担当者は堀澤、岡安、すーさん、坂口、ぬくいです。この5人が月替わりで担当しています。令和6年度は4月(ぬ)5月(岡)6月(す)7月(堀)8月(坂)9月(ぬ)10月(岡)11月(す)12月(堀)1月(坂)2月(ぬ)3月(岡)の順です。

1957声 食事

2013年07月31日

同じメニューを注文する癖がある。
ここ最近は、昼にもりそばを食べている。
注文してから運ばれてくるまでの時間。
箸を割ってから食べ終わるまでの時間。
席を立ってから会計を済ませるまでの時間。
同じ店で同じメニューを食べていると、
食事における各作業の大体の所要時間が分かっているので、
毎日、安心して暖簾がくぐれる。
しかし、毎日おなじもりそばを食べているのだが、
満腹になるときとそうでない時がある。
これは、その日の蕎麦の分量によるのか、
はたまた自分の食欲によるのか。
容易には分からぬ。
【天候】
終日、曇り。

1956声 打水

2013年07月30日

露地のアスファルトの上に、さきほど打ったと思しき水の跡がある。
幾筋もきれいに弧を描いて、ほぼ均等に打たれている。
水の香りを乗せた涼しい風。
揺れている暖簾は、江戸から続くような老舗のものである。
【天候】
終日、曇り。

1955声 滋味

2013年07月29日

ほぼ毎日、満員電車に揺られて東京湾を見ているせいか、
昨日までいた榛名湖のあの静かな湖畔が、
殊にかけがえのないものに思えてくる。
歳を経て、茗荷の苦味や地酒の滋味がわかるように。
最近わかってきた湖と霧の妙味にも、たまらないものがある。
【天候】
朝より強い雨、のち曇り。

1954声 上達

2013年07月28日

七月最終末の榛名湖は夏休みの最初の週末とあって、
遊山客や林間学校の子供たちなどで賑わっていた。
今回の目的であった夕菅も、朝に晩にたっぷりと見ることができた。
特に、朝の花野に咲く夕菅には清澄で瑞々しい美しさを見た。
涼風の吹く湖畔は避暑には最適で、今回は句会の数をこなすことよりも、
のんびりすることに重きをおく合宿となった。
二日目の今日は、伊香保から渋川市内へ下り、
沢に寺に、車で各地を移動しながらの吟行となった。
いつもはこの合宿の期間で一人百句を目指すのだが、
今回は七十句程度と、いくらか余裕があった。
数はこなすが、私自身、俳句の上達など求めていない。
葉擦れの音が木々を抜ける風に乗るように、
感じた自然を五七五の調べに乗せることができたら、うれしい。
と言うのは、ややキザな言い回しだが、実際、俳句を始めた頃から、
小手先だけは上手くなっているが、上達はしていない思いがするのである。
【天候】
雲が多くややむし暑い一日。
激しく夕立のち涼夜。

1953声 湖畔

2013年07月27日

ここ数年、四季には定期的に榛名湖へ俳句を作りに来ているせいか、
どうも湖が好きになってしまった。
湖の風光が好きだが、釣り糸を垂らしたりボートを漕いだり。
ましてや、湖畔でバーベキューなどしたいとも思わない。
湖畔の宿の部屋から、茶でも啜りながら湖を眺めているのが良い。
山の天気は変わりやすく、湖畔でレジャーに興じている人たちは、
しばしばそれに翻弄させられている。
まことに根性が悪いが、悠々とそれを眺めているのがまた、一興なのである。
【天候】
榛名湖は長袖の人もちらほら、曇りのち激しい夕立。

1952声 夕菅

2013年07月26日

恒例となっている俳句の合宿の為、
その前日である今夜、実家に帰る予定である。
いま、桜長屋(私の住み暮らしているところ)を出発する前にこれを書いている。
吟行場所はいつものことながら、榛名湖となっている。
丁度、夕菅の咲く時期。
今年はそれが目当てなので、湖畔に咲くこの幽玄な花をできることならゆったりと観たい。
それが出来るかどうか、危ぶんでいるのは、俳句の合宿なので兎も角、
句を作らねばならないからである。
缶麦酒と言う宿敵の誘惑に、盛夏のこの時期、持ち堪えられるかどうか。
真冬の雪上ですら、着いてすぐ缶麦酒を開けていたというのに。
【天候】
終日、炎天。

1951声 麦麦

2013年07月25日

昼は蕎麦で夜は麦酒。
この頃、この繰り返しでもう何日米を口にしていないことか。
おかげでまんまと夏風邪になり、それが長引いている。
今年の夏風邪は喉にくる様で、もう一週間もガラガラ声である。
明日は、郷里に帰るので、新鮮な空気を吸えばいくらか良くなるだろうか。
いや、それよりも夏の群馬である。
暑さの方にやられてしまわないか、心配になってきた。
【天候】
終日、降ったり止んだり。

1950声 十円

2013年07月24日

昼に立ち食いそばをすすっていた。
込み合っている店内の床を、つつつっとごきぶりが駆けてきて、
はす向かいの机の脚の陰に入った。
一呼吸おいて、中年サラリーマンが同じようにつつつっと、小走りで来た。
そして、机の脇まで来ると、おもむろに腰をかがめた。
なんと、そのごきぶりをつまんで、
左手に持っていた財布の小銭入れに入れてしまった。
何のことはない、私は十円玉とごきぶりを見間違えたのである。
そうとでも思わねば、残りのそばをすすれり得なかった。
【天候】
曇りのち午後から小雨。

1949声 葛飾

2013年07月23日

都内では夕立があった。
その影響で、開催予定であった葛飾花火大会が中止になってしまった。
観に行こうかと思っていたので、残念である。
夕方の駅にいた浴衣姿の人たちは、さぞや残念な思いをしたことであろう。
花火大会中止の報を、私はツイッターで知った。
中止で明日以降に順延はなし。
つまり、今年は無し。
この潔さも、江戸っ子気質と言うものであろうか。
例え中止でも、江戸っ子の心は、もう次に動いている。
今週末には隅田川花火大会、その翌週は江戸川花火大会。
都内では夜空の休む暇がないくらいに、花火が上がるのだから。
【天候】
朝より曇り、夕立あり。

1948声 蓮華

2013年07月22日

すし詰めの満員電車内である。
びびびび、と振動を感じて、ポケットからもぞもぞスマートフォンを取り出した。
確認すると、知人からのメールであった。
そこには、数人の俳人の一句が書かれてあった。
文面を読むと、先日開催された句会のものであるらしい。
その句会は以前から案内をもらっていて、昨年まで私も参加していた句会であった。

前橋市田口町の蓮池での吟行句会。
今年は参加できなかったが、いま、記されている句を読むと、
去年の蓮池に降っていた薄い朝日や風のきらめきまで、ありありと想像できる。
改めて、短詩形の力と言うか、俳句の魔力を感じた。
スマートフォンを胸ポケットにしまって、ゆっくりとまた目を閉じた。
【天候】
終日、雲多くも晴れ。

1947声 一面

2013年07月21日

昨日、選挙の応援演説に総理大臣が来るてぇんで、
秋葉原駅前がごったがえしていた。
総武線に乗り換えるため、駅舎の窓からちろりと覗いただけだが、
夕暮れのネオンに照らし出された人だかりは、一面、若者ばかりだった。
そんなことを思い出しつつ、参議院議員選挙開票日の今宵、
自民党大勝の選挙速報をテレビで見ている。
明日の朝刊の一面がたやすく想像できるので、感慨は特にない。
【天候】
終日、雲多くも快晴。

1946声 鰻重

2013年07月20日

来週月曜日の土用の日が待ち切れず、
土曜日の今日、はや鰻を食べてしまった。
国産鰻が高価なご時世のいま。
ちょっとしたところで食べたら、千円札三枚は飛んでしまう。
それでも、タレの香ばしい匂い漂う店内で、
瓶ビールを飲みながら鰻重を待つ心持てぇのは、なんとも。
そこに時折、南部鉄の風鈴なんか鳴っていたら、最高である。
【天候】
終日、雲多くも晴れ。

1945声 乗合

2013年07月19日

京橋を抜けて、ふらふら東京駅の八重洲口まで歩いた。
夕方の駅前には、ずらりと長距離バスが横付けされていて、
列島各地の行き先を付けたバスに、大きな荷を抱えた人たちが乗り込んでいた。
缶麦酒でも飲みながら、一晩バスに揺られて旅するのもいいな、
などとのんきなことを考えていたら、目がとまった。
大きなキャリーケースを抱えた、妙齢の女性集団。
一見して旅行者と分かるような、高揚感がその話し声やいでたちから醸しでている。
その後ろに、はちきれんばかりの薄汚れているリュックを背負った、お爺さん。
一人でバスに乗り込む背中に、そこはかとない哀愁が漂っていた。
それぞれが、今日のこのバスに、乗り合わせた。
【天候】
終日、雲多くも晴れ。

1944声 壇上

2013年07月18日

選挙が近い。
今週末に迫った参議院選挙のため、
街頭演説や選挙カーを見かける機会が増えてきた。
先日も、新宿駅前にて街頭演説をしている候補者がいた。
厳密に言えば、街頭演説ではなく、街頭踊りなのである。
その候補者、蜜柑箱くらいの壇上にあがり、
小型スピーカーから流れる音楽に、乗っているのかいないのか。
一見、太極拳の動作で踊っていた。
ひたすらにそのスローな踊りに没頭しているようだった。
あたりには人垣こそできていなかったが、足を止める人がちらほらおり、
中には、スマートフォンで撮影している人もいた。
幕末に流行した「ええじゃないか」騒動が頭の片隅に思い起こされた。
【天候】
曇りのち夜半に一時雨。

1943声 子猫

2013年07月17日

私が家を出てから、両親が子猫を飼いだした。
先日、二月ぶりに帰省したら、随分と体が大きなっていた。
子猫の時分は覚束なかった足取りが、今ではもう地を躍動している。
人間を全く怖がらぬこの猫は、人が来れば足に纏わりついて遊んでいた。
私のことを覚えているのかいないのか、体を持ち上げて見つめてみても、
ごろごろ言っているばかりで、一向に分からない。
群馬の今年の夏は子猫にも堪えるらしく、
だらりと体を横たえて日がな寝ているようだった。
思えば、この猫にとっては、生れてはじめての夏なのである。
【天候】
終日、愚図つく、曇りのち本降りの雨。

1942声 進歩

2013年07月16日

創業は江戸時代。
てな老舗が都内にはいくつもある。
その大半がもちろん、その時分から大幅に味を変えず、
ずっと人気を維持し続けている。
そう考えると、進歩なんてものは取るに足らぬものだと思えてくる。
【天候】
終日、晴れ。

1941声 入日

2013年07月15日

空がすかっと青く晴れ渡った日は、夕焼けが綺麗だろうと思う。
都内のビル街などにいると、入日を見る機会が少ない。
榛名山の影に滲む、あの赤紫色の入日のことを、
新橋の居酒屋の片隅で、一寸考えていた。
【天候】
終日、雲多くも晴れ。

1940声 喝采

2013年07月14日

粛々と式は執り行われ、盛況と喝采のうちに披露宴は無事終了した。
式を撮影していたカメラマンが偶然にも同級生だったり、
数年来会っていない友人と出会ったり、何だか不思議な縁の力を感じた日だった。

丁度、会場のある太田市では夏祭りの最中で、
駅を降りたら派手にやっていた。
そして、伊勢崎市内でも七夕祭りと言うことで、
電車の中は浴衣を着た若者でごったがえしていた。
若者の服装を眺めていて感じた。
東毛地区というのは、これまた独特の文化の匂いがあって、
それがファッションに表れている。
派手、と言ってしまえば舌っ足らず過ぎるが、浴衣や甚平を見ても、
目の覚めるような色ばかりである。

式が終わり夜店の通りを抜け、喧騒の街中を太田駅へと歩いていると、
懐かしい音頭が聞こえてきた。
前方のステージ上で演じられていたのは、まさしく八木節であった。
この「国定忠治」の音頭には、高揚感と安心感が秘められていて、
一寸、一口では語りきれぬ複雑な妙味がある。

【天候】

終日、曇り一時雨。