日刊鶴のひとこえ

この鶴のひとこえは、「めっかった群馬」に携わる面々が、日刊(を目指す気持ち)で記事を更新致します。担当者は堀澤、岡安、すーさん、坂口、ぬくいです。この5人が月替わりで担当しています。令和6年度は4月(ぬ)5月(岡)6月(す)7月(堀)8月(坂)9月(ぬ)10月(岡)11月(す)12月(堀)1月(坂)2月(ぬ)3月(岡)の順です。

4286声 いい店について

2020年01月18日

ケグ詰めとタンク洗浄をして、その後はずっと帳簿。一段落もしないが、腹が減ったのですずきに来た。すずきは手づくりの塩辛が食べられる。手づくりの塩辛を食べられる店が少なくなった。するめいかの値段が高いというのもあるかもしれないが、それだけが理由ではないだろう。高崎は新しい店がどんどんできる。新しい店の多くが、おいしいの基準がゆるい。そんなことは言われたくないに違いない。おそらくそれよりも問題なのは、いい店の基準がゆるいことである。いい店を説明するのは簡単ではない。いい店に共通するのは、すべてのメニューについておいしいかどうかに、ある一定以上の念を持って興味がある、ということである。料理だけでもだめ、飲み物だけでもだめ。その上、メニューだけでもいい店にはならない。人間そのものに対しても念を持って興味がないと、ただの気取っただけの店になってしまう。念を持って、というのは、人生を賭けて、ということである。飲食店を始める理由はいろいろだと思うが、いい店であるためには、飲食店でなきゃだめだった理由が何かあった、という前提がないとだめなのである。始めたときになかったら、あとから考えればいい。ところが、採算が先頭に立つと、念は削がれる。万人受けという体のいい店は増えるが、いい店は少なくなる。塩辛も手づくりではなくなる。

4285声 帳簿

2020年01月17日

朝から帳簿。ビールの帳簿には、仕込み簿、発酵簿、容器詰め簿、原料簿複数、残しビール受払簿、廃棄簿、出庫簿、とこれは仕込みやケグ詰め、出庫の度に付ける帳簿で、これにプラス酒税申告、製造方法申告、表示方法申告、廃棄申告を毎月税務署に申告する。ここまでやるのは、米が税金だった日本ではきっと酒はお金であり、ならば他の酒も=お金で、密造や隠し酒は脱税そのものだからとにかく徹底して取り締まらなければならない、という考え方が根底にあるのだと思う。この帳簿をすべて把握するまでに、3年かかった。

4284声 追いついてきた

2020年01月16日

11月にヨーロッパから戻った後ずっとビールの足りない状態が続いていたが、ようやく供給が追いついてきた。旅の前後を含めて1ヶ月の遅れを取り戻すのに2ヶ月半かかった。これを基準にすると、10日空けたらそれを取り戻すのにおよそ1ヶ月かかる計算になる。今後休みを取るとしても、最長の休みはこのくらいかなぁと思う。今日も朝からのんびり。ビールの発酵待ちの状態。来週税務署の検査があるからそれに向けて資料を整理していかなくてはならない。整理が苦手な自分にはいい機会だと思う。身体を休めながら。久しぶりにきゃらばん。坂口さん一押しのモカマタリ。深煎りだが透明感があって苦みが柔らかい。おいしい。

4283声 寝て過ごす

2020年01月15日

昨夜仕事が終わったのは11時過ぎだった。いつもよりお客さんはゆっくりして楽しんでいた。ガストでビールを1杯飲んで帰宅、お客さんに頂いたお土産の和菓子を食べて、1つでやめられずに2つ、3つ。朝思いの外早く起きられて、ごみ捨てにザブンへ。今日はリサイクルゴミの日。残った片付けをして、そのままガストへ。モーニング。昨夜来てからまだ6時間くらいしかたっていないからついさっきまでいた感覚。ガストばかり。そのまま仕事にかかれると思ったが家に戻り寝てしまう。起きて少し動いたが午後も寝て過ごす。疲れが取れるのに時間がかかる。

4282声 準備の多さ

2020年01月14日

今日は食中酒百席。17回目。朝から仕込みをして市場で仕入れ、実家へ土鍋を取りに。こなつは相変わらず小さいが元気そう。足が細くなったように見えるが、母によればまだ本棚の上にジャンプして乗れるらしい。人間でいえばもう80歳を越えているはず。たいしたものだ。高崎に戻って珈琲館でモーニング。今日の料理をさらう。菜の花チーズ和え、 ほっき貝と白菜の塩漬け、鰯の麹漬け、干柿バターと金柑、青大豆醤油漬け、銀杏味噌、練り菊芋、パプリカ胡麻和え、牛すじ赤ワイン煮、マッシュ里芋、白子の鹹豆漿、湯葉ヨーグルト。料理はビールと違い案件が多い。これから準備してザブンへ。

4281声 時差調整の日

2020年01月13日

昨夜飲みすぎてしまい起きられなかった。それでも7時前には仕込みを始めた。順調に終わって家に戻ってきて、今11時52分。そうか、こうすればザブンの日でも仕込みができる。ただ車で行くようなところまで仕入れには行けない。コーヒーを入れて休憩。今日はマカプのペルー。端正な旨みが日置桜に似ている。これから昼寝をする。しっかり寝る。今夜閉店まで笑顔で接客できるコンディションを目指して寝る。

4280声 早起き

2020年01月12日

だいたい6時前には起きるようにしている。今日も6時には仕事をしていた。そのほうが仕事がはかどる。夜は22時前には寝たい。22時以降は集中してやる仕事はできない。頭が働かない。18時くらいから集中力が切れてくる。なので酒を飲む。テレビも見ないしやることはない。10月にヨーロッパに行ったときから、暇なときは玉置浩二のユーチューブを見ている。それも最近飽きてきた。そうしたら20時にはもう寝るしかない。しかし20時に寝るのは早い。夜中に目が覚めてしまうのである。だから21時までは寝ないように努める。そして6時前には起きたい。

4279声 北寄貝

2020年01月11日

ホップを抜いてオリ下げ、酒を運ぶ、市場、ガスト、樽詰、タンク洗浄、料理仕込み、魚屋、料理仕込み。よく働いた。市場で大きな北寄貝を見つけた。一個600gはあるか。さばいたが身も大きく締まっていて甘みも強い。甘くて、ちゃんと海臭い。貝にはこの臭みがあるからいい。牡蠣なんかよりもよほどミルク感がある。発酵させたくて、麹にするか乳酸にするか考えたが、乳酸のほうが合うなと判断した。年末に仕込んだ白菜漬けに包丁舌北寄貝を一緒に漬け込んだ。北寄貝のマセレーションである。火曜日まで寝かせる。

4278声 古典酒場を

2020年01月10日

昨夜は21時に寝たのに今日は8時近くまで起きられなかった。飲み疲れ。旅疲れ。人それぞれ時によりその人によりペースが違うから、知らぬ間に違うペースを受け入れていて気づいたら疲れているということはきっとよくある。それにしてもよく飲んだ。初日の増山、煮りん、F、2日目の一平、宇ち多、二毛作、ブンカ堂。増山、一平、宇ち多は古典酒場。煮込みがメインの大衆酒屋。だが宇ち多は別格。料理は煮込み、串焼き、お新香しかない。酒も選ばれたものがいくつかあるだけ。何より店の佇まい、働いている方の所作振る舞い、年季、無駄のなさが、まるで小さな劇場にいるような気分になる。煮りん、二毛作、ブンカ堂は燗酒の店。とくに二毛作、ブンカ堂はハイブリッド。自然派ワインも置いている。いろんな店で飲むたびに、自分の店に生かせるところ、今高崎で店をやるなら、ということを考える。燗酒がメインなことは外せない。その上で手間のかかる料理を出すか、シンプルな料理を出すのか。客席数はどうなのか。焼酎は置くのか。大手のビールは置くのか。気持ちはどんどん、古典酒場に向かう。高崎にない店である。席数40席から50席。煮込みがメインで刺し身が食える。串焼きは悩むが串は刺さずにタレ焼きというのがあればいい。あっさりの煮込みと甘辛のタレ焼き。あとはお新香だけ。焼酎はホッピーのみ。日本酒は常温かお燗で定番は一つ。竹鶴純米。ほかに50種類くらいを別メニューで。ビールはアサヒスーパードライを瓶で。シンキチのビールをドラフトで1種類。ベーシックのみ。ワインはルミエール南野呂を1種類。煮込み300円、お新香200円、刺し身350〜650円、酒はすべて600円以下。店の名前も決まっている。いい店に出会うと、気持ちが早る。

4277声 吸収力

2020年01月09日

船橋からさらに電車に乗って1時間半の齊藤ぶどう園に行ってきた。詳しいことはフェイスブック食中酒百席とザブンのインスタグラムに書いた。ワインだけでなくあらゆる醸造の現場を見るたびに、大事なのは現場を見ることだと感じる。忙しくても行くべきである。逆にうちを見たいという方には、忙しくても見せてあげるべきだとも思った。今が最も行くべきかもしれないと思うのは、醸造についてわかる部分が多くなってきたから。話を聞いたときの吸収力が違う。おいしいビールが作りたい。この頃ますます思うのは、おいしいビールとして想像しているその味は、ビールよりも自然派ワインに近く、完全発酵の熱燗に近い。そっちに舵をきるときなんだと思う。

4276声 怖い思い

2020年01月08日

ばっちゃんと千葉へ。来週の食中酒百席で使うワイン醸造所を見学するため。遠いので船橋に一泊し、翌日そこから醸造所のある横芝へ向かう。船橋にはうちが日本酒を買っている酒屋があって、その酒屋が酒をおろしている飲食店もある。その店をはしごした。夕方の16時にもなると飲み屋が開いている。1つや2つではない。昼から飲んでいる人間がいる街なのである。3軒目で行った店のワインがおいしくて、結構飲んだ。一人で飲んでいるときよりも、誰かが一緒にいる方が飲んでしまう。夜中に、身体が熱くて目が覚める。一生懸命アルコールを分解しているのがわかる。頭が痛い。いつものことだが、このとき不安、恐怖心が強くなる。風邪を引いて熱が出た、というのならば、じっと耐えていればよくなるはずだと思える。けれどもこの飲みすぎたときの頭痛は、終わるから大丈夫とはなかなか思えない。同じ頭痛でも種類が違うのである。酒の麻薬的作用からくる不安反応なのだろうと思う。朝、身体の熱さも治まった。頭痛もずいぶん和らいでいる。よかった。あんなに怖い思いをしたのに、また飲むんだ。

4275声 ソーセージエッグ定食の食べ方

2020年01月07日

朝から樽詰、タンク洗浄、熱湯消毒とやる。やはり温度はあまり下がらなかった。起きてから4時間何も食べていないため腹が空いた。松屋へ。メニューはいつもソーセージエッグ定食で、ライスはミニサイズ。選べる小鉢は牛皿。他にもメニューはあるが、もうずっとこれ。ソーセージ、目玉焼き、焼き海苔、生野菜、白菜漬け、ミニ牛皿にご飯と味噌汁がついて380円。その上おいしい。まず生野菜にフレンチドレッシング、目玉焼きに醤油をかけ、焼き海苔を袋から出す。お盆の上は手前左にご飯、右に味噌汁、一段上がって真ん中に白菜漬け、お盆の奥の左にミニ牛皿、右側に一つ盛りで生野菜、ソーセージ、目玉焼きが乗っている。袋から出した焼き海苔は目玉焼きの脇に置くのが堀澤流。海苔の乗った小皿は小さくて醤油をつけにくいし、目玉焼きにかけた醤油を少しつけるくらいで十分だから。さて、食べる。いや、もう一つやることがある。皿の配置を変える。まずご飯をお盆の外に出す。ご飯があった手前左に味噌汁を、味噌汁のあった手前右側にソーセージと目玉焼きが乗った皿を移動、ミニ牛皿と白菜漬けはお盆の左奥に並べる。これで準備完了。何度も食べているが、毎回この瞬間が最高。食べる順番も決まっている。まず味噌汁を飲む。具は若芽と薄揚げ。はやる気持ちを抑えてゆっくりと。薄揚げをよく噛むとじわっと旨味が溢れ出す。今日もおいしい。味噌汁を飲みに松屋に来ていると言ってもいいくらいおいしい。味噌汁が飲み終わったら、お椀をお盆の外に出して、今度はソーセージの皿に取り掛かる。生野菜、目玉焼き、焼き海苔、ソーセージを行ったり来たり。時々白菜漬けに手を伸ばしたり。ソーセージの皿がほとんど食べ終わったところで、ようやくご飯をお盆の上に戻す。そうして残ったミニ牛皿と白菜漬けを食べながら、ご飯を食べる。ご飯は三口か四口食べておしまい。あー、今日もおいしかった。こんなことをやるのは、ご飯を少ししか食べないから。この順番で食べると、ご飯を少しですませられる。あとご飯を後半にすることで、血糖値の急激な上昇も防げる。ご飯を少ししか食べなくなってから、体温が上がった。ご飯を最後にしてから、心の落ち着きが増した。そうしたら、動けるようになった。

4274声 正月明け

2020年01月06日

樽詰をするつもりだったが温度が下がらないので明日に延期することにした。時間があるので車の免許の更新へ。今回は減点なしの優良講習。1時間足らずで終わった。朝から多くの方が免許更新に来ていたが、その中に私と同じ名字、ホリサワという方がいたのに驚いた。今まで47年生きてきて、親戚以外の堀澤さんに会ったのは初めてだと思う。帰って明後日の仕込みの準備をして少し横になって帳簿をして。日は暮れてしまった。一日が早い。今日はずっと手が冷たく、飲み過ぎだな。と思いながら、また、ビールを飲んでいる。身体が冷えていると、飯を食べに行くのも厳しくなる。松屋に行きたい。

4273声 人間とは

2020年01月05日

大晦日から飲みっぱなし。それでもまた今日も飲んでいる。帳簿つけの一日。整理が苦手のまま大人になってしまい、今頃苦手では通用しない状況になった。私はあまり整理に重きをおいていない。けれども整理は必要で、それをできないことはときに人間ではないかのごとく蔑まれ、また、整理ができたときの気持ちのよさも知っている。けれども整理なんてできるもんかと思っている。そして、必要なんだったら整理してやるぞとも思っている。やれ。やるが、大事なのは整理できないものに光を当ててあげることじゃないのですか?あなたが人間ならば。

4723声 熊谷詣で

2020年01月04日

ちょっと頭が痛くて遅めの起床。近年にない酒続きの正月。それでも夕方になればまた飲めてしまうのだから、体調がいいのである。ケグを洗って帳簿つけをして、夕方から千晶ちゃんと熊谷へ。おそらく以前料亭だった大座敷を、仕切りを取っ払ってテーブルを並べただけの空間で、焼いただけの蛤や海老、蟹などを食べる。量は多い。価格は安い。揚げ物などはなく、メニューもシンプル。冷凍の蟹でもおいしかったなぁ。それよりも、千晶ちゃんの蟹捌きが名人並で驚いた。その後アイリッシュパブでビールを飲んでヴァンプラスへ。何ヶ月ぶりかにマスターの口上を聞く。着眼点が多角的でやさしさにあふれていて、いつ聞いても見事。ワインがまた、やさしい。

4272声 恒例句会

2020年01月03日

恒例の俳句会。今年は葛飾区亀有へ。9時過ぎの電車に乗って昼前に亀有に到着。香取神社でお参りをして、今回は映画「男はつらいよ」を見るという行程である。私は先週の封切りに見てしまっていたため単独行動となった。好きすぎると何度も見られないのである。みんなを待っている間に、立石に移動。古典酒場の街、せんべろ天国で有名な場所である。正月3日では小さな店はほとんどやっていないが、少し歩いただけでもディープな街だというのがわかる。古いラーメン屋のような造りの居酒屋で一杯。お通しが紅白かまぼこだった。醤油と間違えてソースをかけてしまい、いきなり失敗。それでもおいしかった。映画を見終わった5人と合流して初句会。普段合わないから、近況報告を兼ねながら。子供ができたもの。結婚したもの。いろんなことがあっても皆それぞれに前を向いて生きている。元気でいてほしい、とだけ思う。2軒目はワインの店。結局またよく飲んだ。

初かまぼこ中国訛りのママの店

4271声 正月の空

2020年01月02日

元日から仕込みをして、昨夜はおせちを食べながら飲んだ。今年は辨天娘の生もと強力で。辨天娘がどんどんよくなっている。その後まきちゃんが合流してワインを飲み始め、結局またほぼできあがりの酔っ払いとなる。そのまま寝て朝。頭が痛い。元日2日と続けていい天気。真っ青な空と、二日酔い。

4270声 醸造報告会

2020年01月01日

新年の始まり。例年通りおせち仕事が恒例の大晦日だったが、昨日は加えて夕方から醸造報告会を行った。うちのビールを取り扱ってくれている店の方々をザブンに招き、忘年会を兼ねて。シンキチは2月で醸造開始丸3年を迎える。何をやってきたかが皮膚感覚にあるうちに、ここまでしてきたことを伝えておきたかった。はじめての事でどうなるかと思ったが、やってよかった。今までを踏まえ、今何を考えているかを伝えることができたと思う。日をまたいで坂口夫妻、倉林君と愛宕神社へ。初詣。私一人がほぼ泥酔の状態。