日刊鶴のひとこえ

この鶴のひとこえは、「めっかった群馬」に携わる面々が、日刊(を目指す気持ち)で記事を更新致します。担当者は堀澤、岡安、すーさん、坂口、ぬくいです。この5人が月替わりで担当しています。令和6年度は4月(ぬ)5月(岡)6月(す)7月(堀)8月(坂)9月(ぬ)10月(岡)11月(す)12月(堀)1月(坂)2月(ぬ)3月(岡)の順です。

1712声 蠱惑エビス

2012年09月12日

まだ、あとひと月もある。
「琥珀エビス」発売までの期間が、である。

毎年、10月より数量限定でこの缶麦酒が全国に流通する。
思い出の中では、コンビニでおでんと一緒にこの缶麦酒を買っている景がある。
おでんにこの重厚な麦酒が合うんだまた、などと、想像しただけで喉が鳴ってしまう。

限られたビアバーなどでは、琥珀エビスの樽生なんてのも飲めるが、
田舎暮らしの身としては、ちょいと非日常的である。
やはり、コンビニでおでんと一緒に美味い麦酒を買えるのが、うれしい。
グラスの中に妖しく揺れるあの琥珀色は、どうにも蠱惑的で、いかん。

【天候】
終日、雲多くも快晴。

1711声 焦燥と駘蕩

2012年09月11日

遠くで雷が鳴っている。
虫の音を雨の音が消してしまった。

今週を出れば、敬老の日、彼岸ときて、秋分の日である。
俳人ならば、19日が子規忌なので、常ならぬ心持がしているであろう。
そして仲秋の名月がきて、いよいよ秋もたけてくる。
そんな事を考えつつ、夜毎、得体の知れぬ焦燥に駆られているが、
茫然としつつ日をおくっている。

欠して月ほめて居る隣かな  几董

蕪村に師事した、高井几董の句である。
「いやぁ、まことの名月」とかなんとか言う声の方へ視線を移すと、
隣に座って夜空を見上げているツレが、欠伸をしながら月を褒めていたんですよ。
と言う句である。
なんだか、円満な、酒でも入って陽気にお月見している印象を受ける。
こんな句に出会うと、すこし、救われような心持になる。
落語的な駘蕩とした空気が醸し出ている。
その「感」はやはり、江戸につながっているのだと思う。

【天候】
曇りのち雷雨。

1710声 夕日の大樹

2012年09月10日

鳴き疲れて翅が荒れてきたのか、窓の外から聞こえる虫の声が、
そこはかとなく、クリアな音色でなくなってきた。

空を覆っていた桐の葉も、そろそろ落葉の準備をはじめる時期である。
季題で言うところの「桐一葉」。
最近は雨が少なく、夕景が綺麗なので、今日はふと、牧水の歌を思い出した。

見てあれば一葉先づ落ちまた落ちぬ何おもふとや夕日の大樹

体言止めが効いていて、堂々としている。
この歌にもあるように、「大きな樹」と言うのは不思議な魅力がある。

【天候】
終日、雲多くも晴れ。

1709声 余韻

2012年09月09日

映画を観た。
館で、ではなくレンタルで借りたアメリカ映画を二本。

評判を知った時から観たいと思っていた「ノーカントリー」と、
「ドラゴンタトゥーの女」が面白ったことを思い出して、
同じフィンチャー監督の「ゾディアック」である。

美味い麦酒は飲んだ後に、ポップの爽やかな香りが鼻腔に残る。
いい映画も然り。
だから、余韻をエンドロールで味わう。
その点、映画館の方が余韻を味わうには良い環境だが、ひとつ。
待ったなし、てぇのが、つらい。
麦酒など調子良く飲んで観ていた日にゃ、大変である。
この二本目の「ゾディアック」は、本編が大雑把に言えば3時間近くある。
麦酒を飲みながら映画館で観ていた人は、さぞかし、酷い目にあったことであろう。

【天候】
終日、曇天。

1708声 秋の麦酒

2012年09月08日

夕方、近所の商店で買い込んだ安物の総菜を広げ、
冷蔵庫の隅に転がっていた古い缶麦酒で一杯やっている。
なんだか、やっていることが学生時分と変わらぬ気もするが、
夜風にあたりながら飲む麦酒も悪くない。

缶麦酒の一本は、ベトナムの333麦酒である。
先月だったか、俳句の仲間の方がベトナムへ旅行に行った際に、
買って来てくれた。
仲間内に、私が麦酒偏愛者だと言うことが植え込まれているので、
たまにこうやってお土産を頂ける。
すっきりしている、悪く言えば薄く感じるが、これは悪く言っているだけなので、
ゴクゴク飲むには良い。
ベトナムで一番のシェアを誇る麦酒である。

麒麟の秋味になれてしまったせいか、
秋には苦くて濃い麦酒が飲みたくなる。
しかしながら、この虫の音と麦酒のマリアージュはなかなかよろしい。

【天候】
朝より曇り、夕方、一時雨。

1707声 秋の反響

2012年09月06日

秋の夜である。
風物が澄んでいるので、宵の景色が綺麗に見える。
雲に映る紫色の夕焼け。
遠くに瞬いている潤んだ夜景。
虫の声も、立秋の頃からは代替わりしているようで、
よりしみじみとした音色になってきた。

部屋の隅に立てかけてあるギターを手にとって、
鳴らしてみると、そこはかとなく鳴りが良い。
アコースティクなので、音の違いはエレキギターより繊細に分かる。
秋の空気を吸った木が、弦の振動をよく反響させているのか、
はたまた、自分の感覚が鋭敏になっているのか。
弦はいつの間にか随分と錆びていたが、自分の腕よりはましなようである。

【天候】
快晴、夕方一時雨。

1706声 コスモスの駅

2012年09月05日

今夜は殊に蒸し暑い。
月光もなんだか濁っていて、虫の声も重たく感じる。
それと関係があるのだろうか、部屋の中に小さな羽虫がやけに多い。
特に、蛍光灯のあたりに狂い飛んでいる。

群馬県山間部にはもう秋の気配が濃く、路肩にコスモスなど揺れていた。
さる俳人の方に聞いたのだが、俳句大会などで選をしていると、
「コスモス」と「無人駅」を取り合わせた句が、毎回多く出て来るらしい。

この二つを織り交ぜた、現代の月並俳句の代表選手のような句を、
俳句初心の頃に作っていたことを思い出した。
ローカル線の夕暮の車窓風景に馴染み深い人間にとっては、
そんな凡句を作りたくなる心境が痛いほどよくわかる。

【天候】
終日、快晴。

1705声 日焼子

2012年09月04日

気候が爽やかになった為であろうか。
最近、殊に眠い。
終日、ぼんやりしながら過ごしている。

一番眠い頃が、正午から夕方くらいで、いま振り返っても、
記憶がとびとびになっている。
そんな中、午後三時を過ぎたころ、小学一年生であろう。
みな黄色い帽子を被っているので、それと分かる。
往来にぞろぞろと下校して行く姿を見た。

夏休み明け直後。
いくら子供と言えどみな大人しく、
いささか本調子ではないように見受けられた。
しかし、もれなく真っ黒に日焼けしているので、
なんだかすこし安心した。

【天候】
日中、晴れ、夕方に一時雨。

1704声 新涼の豆腐

2012年09月02日

残暑も一区切りついて、ようやく、涼しくなってきた。
単に「涼し」だと、夏の季語となる。

後藤夜半の句に、こんな句がある、

涼しやとおもひ涼しとおもひけり

真夏の往来を歩いていて、冷房の効いた室内に入った。
はたまた、風の通り抜けるトンネルに入った時など、
まず反射的に「あっ、涼しい」と思う、ポロっと独り言などもでる。
そして、体から暑さが逃げて行って改めて「あぁ、涼しい」と思う。

そう言う涼しさの季節から、秋の季語である「新涼」の季節になった。
こんどは前田普羅に、こんな句。

新涼や豆腐驚く唐辛子 

冷奴だと思う。
この冷奴は、とても美味しそうだといつも思っていた。
そして、新涼の時期になったら、ぜひ、実践してみようとも。

【天候】
終日、降ったり止んだり。

1703声 秋の虫籠

2012年09月01日

地元の商店で、買い物をしていた。
レジで小銭を勘定していると、ふと、幽かな音が耳に入って来た。
懐かしいその音色の方へ、吸い寄せられるように足を向けると、
隅の薄暗がり。
棚の一番下に置いてある虫籠の中から、聞こえる。

鈴虫、であった。
5匹位入っているのだろうか、値札には380円と書かれている。
他にも小さな入れ物があって、カブト虫やクワガタなぞ売っていた。
因みに、カブト虫が300円にクワガタが400円。
ノコリリクワガタの方が、一匹の値段が高いのである。

時刻を見ると夕方なので、鈴虫が丁度鳴き始める頃である。
しばし聴き入って、ゆらゆらと思い出に浸っていた。
鈴虫が好きだった祖母も、今月で一周忌である。

【天候】
朝に一時通り雨、その後は晴れ。

1702声 炭ラーメン

2012年08月31日

昨日、上野村まで出かけたついでに、南牧村で「炭ラーメン」を食べて来た。
炭ラーメンとは、食用微粉炭を練り込んで作った特製の麺を使用した、
村の名物とも言えるラーメンである。
したがって、麺は黒い。
白濁したスープの中から、箸でこの麺を摘み上げた瞬間。
初めての人は大抵、低く感嘆の声を漏らす。

この炭ラーメンのある南牧村は、群馬県内でも屈指の自然がある。
そう言う自然の中で食べるから、この炭ラーメンが活きるのだと感じた。
南牧村、そしてその奥の上野村まで行くと、高い秋の空でさえ随分と近く感じた。

【天候】
終日、快晴。

1701声 片方の靴

2012年08月30日

明日で8月も果てる。
のんべんだらりとひと夏を過してしまったが、
ふと、心の残りがあることに気がついた。
道端に落っこちている、薄汚れた片方の靴の如くに、
どうでもけれど、なんとなく気になる。

海、なのである。
その心残りは、海に行けなかったことに起因している。
毎年海を見に行っているわけでも、
マリンスポーツを趣味としている訳でもないが、
妙に海のあのきらめく波のうねりが、心にちらつく。

子供時分。
夏休み明けに久しぶりに友達と会うと、
夏休みにどこに旅行に行ったかが、話の糸口だった。
海なし県に住み暮らす人間にとって、夏休みに行く海は羨望の的であった。
あの自分の感覚が、まだ、心の隅に残っているのかもしれない。
連休明けの勤め人も、「どっか行ったの」と言うのが話の糸口になっているので、
大人から子供に伝染していった風習なのであろう。

【天候】
終日、快晴。

1700声 第1700声記念特別企画「鶴の手拭い恩返し」PartⅡ

2012年08月29日

この日刊「鶴のひとこえ」。
本日でめでたく、第1700声の節目を迎えました。
クレインダンスより、読者の方へ景品の手拭いをもって恩返しさせて頂きます。
まだまだ残暑厳しい折、手拭はとても重宝します。
手拭い一本あれば、道すがらに見つけた銭湯でひとっ風呂。
なんて楽しみもありますからね。

選りすぐった手拭いを、抽選で2名様に、
一品づつプレゼントさせて頂きます。
現世かつ公平な抽選をもって、当選を決定させて頂きます。
それでは、下記を参照したうえのご応募、お待ちしております。
そして、これからもひとつよろしくおねがいします。

■応募方法
送付先の「郵便番号」・「住所」・「氏名」を明記の上、
Topページにある【お問い合わせ】よりご応募下さい。

■応募締切
平成23年9月2日(日)

■当選発表
厳正な抽選のうえ、当選者には景品の発送をもってかえさせて頂きます。

■アンケート
日刊「鶴のひとこえ」に対して、ご意見ご感想をご記入下さい。
※後日掲載させて頂く場合がございます。(無くても可)

※お一人様、メール一通のご応募とさせて頂きます。
応募に際し、頂いた個人情報は、当企画の目的にそった景品送付等にのみ利用し、
他目的には利用しません。

【天候】
終日、雲多くも快晴。
今年初の鰯雲で、日ざしこそ強いが秋めいた空。

1699声 酒と麻酔

2012年08月28日

明日で1700声の節目を迎える。
それは明日書くので、今日は今日である。

どうにも、歯が痛い。
虫歯になっている、否。
なりかけているので、表面を削っておきます。
と言うのが、今春、歯科医院の診察台で聞いた話であった。
それから半年経った、現在。
つい先日の夏風邪の後遺症が、この弱っている歯に集中的に出ている。

ズキリズキリとした、痛みに耐えながら、人類と歯痛との戦いには悠久の歴史があるのだ。
などと、悠長に考えていた。
そんな考えに至るくらいなので、まだ深刻では無いのだろうが、歯の痛みがこんなにも、
生活全般における行動意欲を削ぐとは思わなかった。
痛みから逃れる為に、麦酒を余計に飲んでしまう。
酔ってうやむやにしてしてしまおうと言う魂胆だが、こう言う時に限って酔わない。

唐突に、ひとつ、思い出した。
学生時分、歯医医院で歯を抜く手術の際に、まず麻酔をかけた。
注射器で歯茎に「チューッ」と麻酔を入れたが、少し効きが浅かったので、
「もう一本お願いします」と、執刀主に頼んだ。
その時、「君、大人になったら酒が強いかもしれんぞ」とマスクの内からそう呟いて、
おもむろにもう一本打ってくれた。

大人も中年の域に差しかかった現在でも、たいして酒に強くなっていない。
酒に弱く麻酔強くと言うのは、随分と損な体質な気がする。

【天候】
終日、快晴。

1698声 録画装置購入記 後編

2012年08月27日

昨日の続き。

早速、大型電気量販店に行き、こそこそ録画装置のコーナーを物色していると、
ひとつ、機能は十分にして値段は安価なマシーンを一台発見した。
メーカー名は素人目からみても二流だと分かるが、
使用している自分のテレビもこのメーカーのものなので、問題ない。
むしろ、どうしても王道から逸れたものを選びたい自分の傾向に合っている。
片方の耳にイヤホンを付けている店員の方に、価格の理由を尋ねると、
「展示処分品」だと言う。
なるほど、マシーン前面の液晶部分から天板部分にかけて、大きなすり傷が目立つ。

これも何かの運命とか、「処分品」の悲哀とか、自分を納得させて購入する事にした。
ペットショップで動物を購入するようだが、そうでもしないと、
さみしい懐具合の踏ん切りがつかないのである。
帰宅し、早速テレビにこのマシーンをセットすると、ずいぶんと傷だらけな事に気がついた。
それもあの売り場で奮闘して来た勲章ではないかと、納得し頭を掻きながら、配線をつないだ。
小一時間もかけて配線を終え、汗を拭って電源を押した頃には、もう日曜日も終わりかけていた。
二度三度、リモコンの電源を押しても本体装置のランプがつかぬ。
要するに、リモコン内部に入れる単4電池2本が入っていなかったようである。

【天候】
終日、快晴。

1697声 録画装置購入記 前編

2012年08月26日

少しは風邪の症状も緩和してきたが、まだ、
この残暑の炎天下に立ち向かう勇気が湧かない。

家で大人しくしていようと、テレビなぞつけると、
日本テレビでは「24時間テレビ」の真っ只中。
学生時分、この24時間テレビのエンドロールは、
即ち、自分の夏休みのエンドロールでもあった。
あとに残った大量の宿題を一週間で終わらせ、
2学期の学校生活に帰らねばならぬと言う、寂寥感。
それは、日曜日のサザエさんの比でなく、
心に重くのしかかっていた思い出がある。

そんなことから、最近はめっきりテレビをつけなくなってしまったと言う思いに至り、
そもそもテレビ番組の録画装置が無いことがその要因として浮上し、
それならば、安価な録画装置など手に入れて見ようと言う考えに帰着した。
情報収集の為にインターネットで確認すると、HDレコーダーにBRレコーダーにDVDレコーダーに。
そしてともかく、大は小を…方式に、
それらが一体になっているものを購入するのが得策であろうと決めた。

長くなりましたので、続きはまた明日。

【天候】
終日、快晴。

1696声 蝉と扁桃腺

2012年08月25日

依然として、体調は芳しからず。
それでも、酒場へ出掛ける用事がある。
昨日の用事は反故にしたが、
今日はもうヤケクソ的になってきたので、出掛けようと思う。

若い時分。
少しの風邪でも、大いに飲んだ翌日はケロッと治っていた。
その幻想が未だ消え失せずに、頭の隅に滞留している。
これには幾度、痛い目にあわされたことか。
そして、いま、まさにそれを繰り返そうとしている。

夏風邪は厄介だと聞く。
窓の外で、喘ぐように秋の蝉が鳴いている。
その声が聞こえるたび、奥歯の辺りがズキズキと痛む。
おそらく、風邪に起因する歯痛かと思う。
こう言う時は、最初の一口の酒で、勝敗が決する。
その一口をクリアできれば、次の一杯、また一杯。
と、いつもの如く深みにはまってゆく。

さて、首尾よく酒を飲めたとして。
幻想はやはり幻想のまま終わるのだろうか。
それとも。

【天候】
終日、快晴。

1695声 夏風邪

2012年08月24日

今朝起床して、徐々に気がついた。
口腔の違和感に、である。
おまけに、倦怠感と扁桃腺の痛み。

どうやら、夏風邪をひいてしまったようである。
残暑疲れと相まって、遂に体調を崩してしまった。

体調が芳しくないと、これほどまでに堪えるのか。
と言うほど、残暑が辛い。
今日は、栄養ドリンクなど飲みつつ、安静に。
でも、麦酒は一缶くらい飲んで、寝ようと思う。

【天候】
終日、快晴。