日刊鶴のひとこえ

この鶴のひとこえは、「めっかった群馬」に携わる面々が、日刊(を目指す気持ち)で記事を更新致します。担当者は堀澤、岡安、すーさん、坂口、ぬくいです。この5人が月替わりで担当しています。令和6年度は4月(ぬ)5月(岡)6月(す)7月(堀)8月(坂)9月(ぬ)10月(岡)11月(す)12月(堀)1月(坂)2月(ぬ)3月(岡)の順です。

2237声 山椒の味

2014年05月08日

先日、映画『月とキャベツ』の舞台となった分校がある

中之条町栃窪という場所のとある家に、バーベキューに呼んでもらった。

中之条町民ならおなじみの中央食堂のホルモンや、旬のウドも美味しかったが、

一番美味しかったのは、摘みたての山椒の葉のかき揚げだった。

衣の中身は山椒の葉のみ。味噌をちょっと加えるのがコツらしい。

 

満腹になった後は、斜面を登って山椒の若木を掘りに行った。

小さなトゲがちくりと刺さりつつ、案外根が長いのねと呟きつつ、

嬉しいおすそ分けをいただいた。庭に植えた。葉も身も食べたい。

 

いいかげんな食事を繰り返していると、翌日何を食べたのかも覚えていない時がある。

ピリッとした山椒の味は、味覚、を意識させてくれる。

年をとるにつれ、好きになっていく味。

2236声 遊び方

2014年05月07日

群馬県内で知らない人もいないと思うが、
富岡製糸場が世界遺産に登録される見通しになった。
大型連休中の人出は例年の3倍だったと言う。
テレビのニュースでは、近くの飲食店が
盆と正月が一緒に来たような大繁盛ぶりを見せていた。
今年は山登りやバーベキューなど、
実に大型連休的な過ごし方をしたが、
ここ数年は、ここが稼ぎ時とばかりに
働きまくっていたように思う。
遊ぶことと働くこと、
どちらがしっくりくるかと考えた時に
後者の方が充実感があったと思ってしまう僕は、
働き者なのではなく、
ほんとうの遊び方を知らないだけなんだと思う。

2235声 サザエさん症候群

2014年05月06日

的な言葉があるかなと思い検索したらあった。

Wikipediaによると

『日曜日の夕方、「サザエさん」を見た後、
翌日からまた通学・仕事をしなければならない
という現実に直面して憂鬱になり、
体調不良や倦怠感を訴える症状の俗称である。』
とある。

 
大型連休も今日でおしまい。
山に登ったりバーベキューをしたりと、
今年はそれらしいことをしたので、
明日からどう気持ちを切り替えていくか考えていて、
ふと、こどもの頃のサザエさんを思い出した。

 
学校が好きではなかった。
「ほーらほーらみんなのーこえがーすーるー」
という箇所になると、心の底がひゅっと冷える気がしていた。
それは僕一人ではなかったらしい。

 
サザエさんの終わりの歌は、最後サザエさんが小さな家に
入っていくところで終わっていた。
休み終わりの寂しさを感じると同時に、
その最後を見て「我が家」というものをなんとなく意識していた気がする。
帰る家がある、一家団欒がある、ということ。
今、各家庭から「お茶の間」が消えたと言われている。
家族みんなで「サザエさん」を見る一家は、希少価値モノなのだろう。

 
大人になっても気持ちの切り替えなんてできない。
仕事が始まって、それなりに体が馴染むのを見届けるしかない。
サザエさん症候群にもめげずにね、
みなさん、元気出していきましょう。

————————————————————————–
抜井より追記
連休中にメッセージを頂いた方々、ありがとうございました。

2234声 嵩山

2014年05月05日

「5月5日のこどもの日には、山に登るものだ。」
全国共通行事だと思っていたこどもの頃。
というのも、僕が住む中之条町の人たちは、この日に
嵩山(たけやま)という地元の山に登ることが
今なお習慣化されている。

 
知人に誘われ、何年かぶりに登った。
その昔この山に城があり、攻められ命を落とした
者たちを供養するために様々な顔かたちの
観音像が掘られ、それがあちこちに点在している。
どこからともなく桜の花びらが落ちてきた。
山頂付近では赤い皐月の花が咲き誇っていた。
急いで駆け降りるこどもたちを見て、
あの頃は観音像も花も、何も見えてなかったんだな、
と思い、一緒に登った子に

対人関係に疲れるまで、花を愛でる気持ちがわからなかった。

と言うと、ははっ、と笑われた。

あと5年もすれば、観音様を拝む姿も様になるかもしれない。

 

よく聞くように登山を人生に例えるならば、
わりといい場所まで登ってしまったようだ。

2233声 ヒッチハイカー

2014年05月04日

中之条の街角でも、今の時期若者が「高崎」などと書かれたスケッチブックを掲げていて、

おっ!と思うことがある。

そういう事はしたこともないし、乗せたこともないのだが、

勇気があるなぁと思いつつ、決まりきった旅行とは違う楽しさがあるんだろうなぁと思う。

 

もうずいぶん前の話。

隣町へかかる橋の手前で、やや年のいった女性が、信号待ちの車の窓を一台一台叩く。

窓を開けると「隣町の病院まで載せてくれませんか?」と言う。困惑しつつも乗せた。

ある日を境に、ちょうどいい時間帯の路線バスが走らなくなり、車も乗れずあてもないので、

朝行き来する車を止めて乗せてもらっているのだという。色々にくたびれたような女性だった。

「それは大変ですね」と言いつつも、正直「やっかいだな」と思う自分がいる。

 

その後も信号待ちの際に何度か窓を叩いて歩く女性を見たが、

彼女が車に乗る場面を見ることはなかった。

僕は信号機のタイミングで通り過ぎるのがほとんどだったが、

2回ほどタイミングが合い、一度は乗せて、一度は無視した。

 

ほとんどの人は善良であると思う。

朝、ふいに車の窓が叩かれ、ふいに善意が試される。

通り過ぎる人を責めることなどできない。

昨年の冬あたりからか、その女性をまったく見なくなった。

送る車が見つかったのか、違うのか、どうなったのかはわからない。

その場所を通るたび、心がちょっとざわつく。

2232声 こどもの国

2014年05月03日

なかなかの快晴が続くゴールデンウィーク。

この時期になると、太田市にあるテーマパーク

「こどもの国」を思い出す。

というのは、一昨年まで毎年のようにこの時期

イベント出店に出向き、アイスを売っていたから。

5月5日は、モノレールなどの乗り物が無料となる。

朝から晩まで親子連れの大洪水。

幸せそうな親子、喧嘩している親子

悪趣味だけど、親子観察は楽しい。

当時は、ノンアルコールビールがよく売れた。

なぜなら、こどもの国はこどもの王国なので、

大人のためのビールなんてものは、売っていないのだ。

2231声 遅咲きの桜

2014年05月02日

中之条町六合地区は、「日本で最も美しい村連合」にも加盟している歴史と自然のある山村。

今月後半、「日本映画大学」の映画製作を学ぶ学生がこの地区に住み込み、

地元の職人や農家を被写体としたドキュメンタリーを制作する。その橋渡し役で六合を回った。

 

六合入山地区は、「弘前よりも桜の開花が遅い」と言われており、

なるほど山桃と桜がまさに見頃だった。

空の青と、新緑の緑と、花のさくら色のコントラストは、見るだけで幸せになる。

この大型連休は、先の「野反湖」含め、ぜひとも行楽におすすめしたい。

 

遅咲きの桜。

僕も12年前はその「日本映画大学(当時は日本映画学校)」の生徒だったのだが、

卒業制作という自作映画の発表会のあと、学内のトイレで、

著名な映画評論家であり当時の校長であった佐藤忠男さんより。

「君は学生の時の作品はぱっとしなかったけど、いいものもってるから頑張りなさい」

と言われた。そういう時の言葉は、トイレであっても心にグサッと刺さる。嬉しかった。

今でも僕は、「遅咲きの桜になら、なれるかもしれない」と思い込んでいるふしがある。

 

大型連休中は、子供や若者と接する機会も多いはず。

そっとひとこと、優しい言葉をかけてみてはどうだろうか。

2230声 言葉

2014年05月01日

ひょんな縁から、長年続く「めっかった群馬」のこの「日刊鶴のひとこえ」のコーナーに
文章を書かせていただくこととなった。

(ぬ)の人こと、日本伝統俳句協会新人賞も受賞している抜井諒一さんと、
(ほ)の人こと、伝統食からクラフトビールまで食を網羅する堀澤宏之さんの、
間に入っての投稿である。僕で大丈夫なのだろうか・・・

このサイトを知ったのは数年前であるし、お二人とは親しくしているが、
気分的には外部の人間なので、「なんとなく新しい風」を入れるのが僕の役目と思っている。

 

外から見ると、この「日刊鶴のひとこえ」は、SNS最盛期において時代遅れに思える。
けれど、日刊でここまで続けてきたことは驚きであるし、関心を持たなければ僕も引き受けていない。

例えば、人気サイト「ほぼ日刊イトイ新聞」の糸井重里氏のコラムとの共通点である

「言葉のみ」

という事に、僕は感心をもっている。写真の添付もない。
「めんどくさいから」というのが立派な理由な気がするが、それはあの二人が
「言葉だけで何ができるか?」について地道に思考してきた過程、ととれなくもない。

 

お二人のファンには申し訳ないが、僕も時に「言葉」について考えつつ、
時に「書くことがないどうしよう!」といいかげんになりつつ、何本かに一本は
「読んでよかった」と思っていただけるものを書きたいと思っている。

初回ということもあり長く書いたわりに、自己紹介を何もしていない。
岡安賢一と言います。群馬県吾妻郡中之条町に住んでいます。
あとの事はいずれわかるでしょう。5月いっぱいは僕の言葉が続きます。

 

唯一心配なのは、僕はあの二人に比べて圧倒的に酒量が少ない。
のんべでなくても書いていいのか?「日刊鶴のひとこえ」。

2229声 新樹

2014年04月30日

さて、明日からこの日刊「鶴のひとこえ」は新体制に入ります。
新たに岡安氏が加入し、岡安、堀澤、抜井の三人が、
一月ごとに交代で担当いたします。
それでは、いささか長く走りすぎた抜井より、
中之条町の岡安氏へバトンタッチ。

では、しばらくしたら、また。

2228声 夕藤

2014年04月29日

近所のお寺では、藤棚が咲いていて、連日見物客で賑わっている。
夕風に吹かれる藤は、だんだん色の薄らいでゆく風情。

なんとも言えず、良い。

2227声 夕景

2014年04月28日

明日に公休である昭和の日を挟んでいるので、
平日の月曜日と言えど、それほど気持ちは沈んでいない。
巷ではもうゴールデンウィークだそうな。
最近は晴天続きなので、夕焼けが大きくて綺麗である。
夕焼けが夏の季語であることを、実感する。

2226声 浴場

2014年04月27日

劇場にてテルマエロマエⅡを鑑賞。
今回は前作以上に町の銭湯にポスターが貼ってあったので、
楽しみにしていた。
劇場には中高生と思しき若者が沢山いた。
銭湯になじみのない彼等も、きっとテルマエに、
つまりは町の銭湯に行ってみたくなるはずである。

2225声 鯉幟

2014年04月26日

近所の高台から町並みを見下ろすと、はためく鯉幟が見えた。
少子化と言えど、都市にはこんなに子供がいるではないかと思った。
鯉幟が見えることになると、こちらではそろそろ潮干狩りが賑わう。

2224声 本音

2014年04月25日

夜から句会。

酒が入る句会というのは、どうにも議論に熱が入り、

危うい流れになることがしばしばある。

酒が入ると本音が出る言うが、それはもう本音でないのだろうと思う。

途中で宅配ピザを注文したのだが、受付の女性は電話口で「はいく」のことを、

聞きなれないためか何度も聞き返していた。

2223声 純粋

2014年04月24日

先日、モルツの瓶麦酒を飲んでいて、しみじみと美味しいと感じた。

過去に様々な名品があったが、モルツほど純粋なピルスナーがあったであろうか。

辛口なドライ麦酒でも高級なホップを使用したプレミアム麦酒でもないが、

純粋であることこそ、麦酒のひとつの個性ではないかと思う。

市場において、また缶麦酒でじゃんじゃん売ってほしいと説に願っている。

2222声 螺旋

2014年04月23日

スーダラ節ではないが、ちょっと一杯のつもりで飲んでいても、

この頃は暖かくなってきた陽気のせいか、いつのまにやら、はしご酒している。

そういう時は、焼き鳥屋のある日本に生まれてよかったと、感じる。

それが、モルツの瓶麦酒がある店とくれば、はしごはさらに、

螺旋階段になってゆくのである。

2221声 5%

2014年04月22日

近頃、大手メーカーより度数の弱い麦酒が発売された。

3.5%である。

量販店で並んでいる麦酒の大方が、5%ないしは5.5%なので、

ずいぶんと差がある。

私などアルコールに弱いので、5%から1%増えた6%の麦酒を飲むだけで、

いささか重たいと感じる。

ともあれ、飲んでみた。

この次は、5%の麦酒を買おうと思った。

2220声 香気

2014年04月21日

朝から雨。

月曜日の雨と言うのは、格別、気分が沈む。

最近は部屋に花など飾っているのだが、

雨の日は一段と香る気がする。

若葉冷えと言える、一日。