日刊鶴のひとこえ

この鶴のひとこえは、「めっかった群馬」に携わる面々が、日刊(を目指す気持ち)で記事を更新致します。担当者は堀澤、岡安、すーさん、坂口、ぬくいです。この5人が月替わりで担当しています。令和6年度は4月(ぬ)5月(岡)6月(す)7月(堀)8月(坂)9月(ぬ)10月(岡)11月(す)12月(堀)1月(坂)2月(ぬ)3月(岡)の順です。

1586声 GとW 其の四

2012年05月06日

どこから酔っていてどこから醒めているのか。
境目がおぼろなゴールデンウィークも、今日で最終日。
先程、高崎駅から帰宅したのだが、
高崎のみならず新潟方面から首都圏へ向かう新幹線は、満席。
むしろ普通列車の方に、空席の望みがあると言う、連休的異例状況だった。

今年のゴールデンウィークは、天候も不安定で事故や災害なども多く。
などと、まとめに入っているが、私のゴールデンウィークの顛末などは兎も角。
いま、西へ傾いた日が滲んで、赤城山を照らしている。
雲はどことなく夏の光を帯びており、連休中の雨によって、草木も新緑の色を濃くしている。
そこはかとなく漂っている初夏の気配には、なんだか活力を感じる。
明日もまた、晴れたらいいなと思う。

【天候】
終日、雲多くも晴れ。

1585声 GとW 其の三

2012年05月05日

予想通り、東照宮の拝観は長い行列。
それでも、並んでいれば拝観は出来る。
三猿や眠り猫、そして本堂を参拝して東照宮を出る。
老若男女ではあるが、やはり、年配の方の観光客が多かったようである。

下山して来て、道向こうの大谷川に架かる「神橋」と言う、ひとつの観光スポットがある。
通行料300円を払うか否か、考えているところに、ひとつの句碑が目に入った。
近づいて、風雪にただれた岩肌の文字を読むと、なんと「蕪村」の号ではないか。

二荒や紅葉が中の朱の橋

その場でネット検索して見ると、蕪村29歳の作らしい。
風光明媚な土地だけに、日光周辺を詠んだ句は、沢山残されている。
では、一句。
などと、とてもこの人並みにもみくちゃになった東照宮を、詠める気がしない。
観光客は観光客らしく、近くの土産屋で観光地価格の地麦酒を買ってみた。

【天候】
終日、曇りがちながらも晴れ。

1584声 GとW 其の二

2012年05月04日

旅行の予定やら何やら、きっちりと計画を立てるのは苦手ではないが、
あまり得意ではない。
よって、関東に住む人間が小旅行に手頃な観光地。
その何番目かには必ず上がる、「日光」へ行く。
そう決めたのは、もうゴールデンウィークが、
指折り数えるくらいに差し迫った頃だった。

日光へは高校生時分に一度、観光に訪れた事がある。
しかし、万年金欠の学生旅行。
名物のゆば料理も食べずに、食事と言えばもっぱら駅前の食堂で、
カレーやラーメン。
東照宮の参道で、拝観料が払えず、境内をひとめぐりして帰って来ると言う有り様で、
大人になったら、是非ともリベンジしたいと誓っていた。
その念願を果たす為、今回は「いざ」と言う訳である。

【天候】
午前中雨、午後より徐々に回復。

1583声 GとW 其の一

2012年05月03日

いま、ゴールデンウィークの最終日にこれを書いている。
小旅行から帰宅して、税金の督促状やら、
俳句関連の郵便物を仕分けしながら、夕暮を迎えようとしている。

そして、更新に穴を開けてしまった分をこれから書けば、
私の今回の小旅行の行程は、全て完了と言うことになる。
さて、さて。

【天候】
終日、豪雨。

1582声 浮き足

2012年05月02日

今日を節目として、私も一応、連休と言う状態に入る。
上毛かるたで言うところの、「世の塵洗う四万温泉」ではないが、
塵を洗い落として休日に望むべく、いまから銭湯に行こうとしている。

今年のゴールデンウィークは出だしから大きな交通事故が続いている。
その一つは、群馬県の、住んでいる人間からすれば、
すぐそこの高速道で起こった事故である。
ほんのすこし、すこしだけでいいから、浮足立った心を落ち着けて、
過すべきだと感じている。
さて、風呂、風呂。

【天候】
終日、雨

1581声 本がない

2012年05月01日

酔っぱらって、大抵、物をなくす。
翌朝起きて気付く場合もあるし、大部時間を経てから、「そう言えば」と言う場合もある。
つい先ごろ、桜の咲いていた時分などは、ほぼ毎週、花見句会に出掛けていた。
酒が入っての句会なので、まず、物が良く無くなること。
ペンの一二本ならば悔恨の念も抑えられるのだが、
俳句帖や俳句ノートを酒場に置いて来てしまった時には、二三日悔んでいた。

そして先日、東京へ句会に出掛けた際、行きの電車で読む為、
自分には珍しく駅の書店で新刊の文庫本を一冊買った。
奮発してグリーン席へ座り、「さて」、と言うところで、
いささかこの日の句会に出す句が不安になってきて、句帖を見返した。
句をボツにしたり、推敲を加えたりしている間に上野駅へ到着し、
結局、買った本は読まずじまいになってしまった。
しかし、これで帰りの車内の楽しみが残ったと、意気揚々として山手線へ乗り換えた。

はしご酒が祟ってこの日には帰れず、翌日、ぐったりとして高崎行きの列車へ乗っていた。
疲労感の中にも、私にはまだ楽しみがひとつ温存されているのだと言う、安心感めいたものがあった。
列車が発車して、缶コーヒーを開けて、さて、とバッグの中から本を取り出す。
取り出す、はずがない、のである。
どこをどうひっくり返しても、あの新刊で買った文庫本がない。
朧な記憶を引っ張り出すと、どうやら昨夜のあの得体の知れぬカプセルホテルでなくしたらしい。
寝る前に本を読む習慣があるので、まず、間違いないだろう。
悔しさを噛み殺して、不貞寝を決め込んだ。
翌朝起きて、憂さを晴らすべく浅草の寄席を観てから、帰路に就いた。
終点の高崎駅へ着く頃には、一口しか口をつけていない缶コーヒーが、すっかり冷めていた。

【天候】
曇りのち雨

1580声 振替休日

2012年04月30日

酔眼朦朧としつつ、上野駅の電光掲示板を見上げていた。
何分見ていても、やはり、電光掲示板には行き先と時刻が表示されず、
ただの黒い板になっているばかりだった。
つまりは、もう今日の上野以北へ行く電車の運行が、終了しているのである。
それでも、殊更、悔恨の念が湧いてこない。
むしろ、酔いも手伝って、心の隅にこの状況を楽しんでいる気持が芽生えていることを実感していた。
それは、明日が昭和の日の振替休日である事と、先程の句会の二次会、
三次会以降の酒席が楽しかった事。
そして、改札の向こうから吹きこんで来る、この心地好い春風に起因する。

一縷の希望を辿って上野まで来てしまった事は、いささか分が悪かったが、
この千鳥足ではむしろそれが良かったのかもしれない。
都心の繁華街で、田舎者の私が一夜を乗り切れる運を持ち合わせているかどうか、
不安なところである。
どうにかこうにか、どぎついネオンのサウナだかカプセルホテルだか、
ひとまず館内で寝れそうな施設のフロントらしきところに辿り着き、財布を開いた。
風呂に入ると、大分、先程の不安な気持ちも解消され、そのまま、
館内の地べたの一角に設置されている簡易ソファーに横になった。

そして翌日、つまりこれを書いているいま、高崎市の自宅に戻っているので、
ひとまず、無事に帰って来れたようである。

【天候】
終日、曇り。

1579声 鶯の朝

2012年04月29日

朝、ゆっくりと鶯の声を聞いていられる。
生活の中で、こう言う時間が必要だとしみじみ感じるが、
ゆっくりもしていられない。

今日は句会へ参加する為、東京へ行く用事がある。
大分、久しぶりの参加となるので、いささか懐かしくもある。
この句会は学校の教室で開催されているので、
春の学校と言うのも、学業に縁遠くなった人間としてみれば、一興である。

翌日も休みなので、なんだか帰ってくるのが勿体ないような気がする。
全ては、句会のあとの二次会のあとの、赤提灯において、
独り瓶麦酒と向き合った時に決まる。

【天候】
朝から好天

1578声 定員オーバー

2012年04月28日

どうにも、パソコン関連の調子が悪い。
パソコン本体からは慢性的に異音止まぬし、インターネットへの接続もおぼつかない。
インターネットへの接続は、格安のプロバイダーと契約しているせいもあって、
いまみたいなゴールデンウィークなどは、殊に接続状況がおぼつかない。
素人判断で、皆が一斉にアクセスしているので、
契約している格安の回線などは、真っ先に定員オーバーのような状況になるのだと思う。
今日は駄目そうなので、明日の朝、またやらねばならぬ。

溜めていた三日分を書き終え、これから明日のぶんを書く。
朝でかける予定があるので、今夜中に仕上げる必要がある。
それと同時に、明日に必要な俳句の整理をして、電車の時刻を調べなくてはならぬ。
さてまずは、目の前にある缶麦酒を飲み干すことから、はじめようと思う。

【天候】
終日、よく晴れて夏日

1577声 サクラマス

2012年04月27日

昨日である。
春先に一度訪れていた店からほのじ氏あてに、
待ちに待った連絡が入ったとのことで、知人を誘い、その店へ出掛けた。

何を待っていたか。
それは、「サクラマス」と言う魚なのである。
ごく簡単に説明を加えると、この魚。
元は渓流魚である山女魚なのだが、その中に数匹、海へ行くものがいる。
そして、海で暮らして数年後、また地元の川へ桜の咲く時期に遡上してくるものが、
サクラマスと呼ばれている。

体調もさることながら、容貌も随分と立派になって帰ってくる。
そして勿論、たんと海の旨みも蓄えているので、逸品として扱われているのである。
その魚を刺身で、またにぎりで、食べさせてくれるのがこの店のマスターであり、プロ釣師の主人。
良い年したおっさん連中であるが、「きゃーきゃー」言いながらこのサクラマスと日本酒を堪能した。
美味しい物に出会うと、「人生も捨てたものでない」と思える。

【天候】
曇り時折微弱なる雨

1576声 初蛙

2012年04月26日

4月26日。
この日は定例の句会の為、夜、素竹邸へ出掛けた。
朧や春風あたりで句を作ろうと、夜景色の見える家の裏手を歩いていた。
あの朧夜特有の、音が吸い込まれてゆくような、静けさ。
それを未だに上手く五七五では表現し得ていないのだが、
あの朧の中にいる心地好さを体感していると、心が安らいでくる。

しばらく吟行していると雨が降り出してきたので、
外にいた他のメンバーと慌てて家の中へ退散した。
締め切り時間も迫っていたので、句を整理していると、雨につられて一匹の蛙が鳴き始めた。
季語で言うところの「初蛙」である。
蛙の句をさっと忍び込ませて、いざ句会。
私の不出来な句を笑うように、庭先の闇から時折、蛙の笑い声が上がった。

【天候】
終日、断続的な小雨

1575声 残花

2012年04月25日

「大丈夫か」だとか、「また鼻を折って入院でも…」。
なんてメールが届いており、申し訳ない心持でいま、パソコンに向かっている。
ここ数日、この「鶴のひとこえ」の更新に穴を開けてしまったので、
心配してお便りを下さったのである。

日々の生活がおぼろげな具合なので、
時折、こう言う事態に陥る事がある。
そして、そのツケを払うべくいまから記憶を遡りつつ、書こうと思う。
差し当たり、自分は無事で鼻も大丈夫。
そして、この4月25日は、やはり俳句を作っていた。
前橋、高崎市街地の桜は、まだ「葉桜」と言うには早く、
梢に幾輪かの「残花」が確認できた。

【天候】
終日、曇り

1574声 冷たいワイン 後編

2012年04月24日

では、引き続き。

大衆酒場で忙しく働くおばちゃんのぶっきらぼうと、居酒屋チェーンでかったるそうに働く、
バイトの姉ちゃんのぶっきらぼう。
このレストランの店員の所作から滲み出る冷たいぶっきらぼうは、そのどちらとも違う。
前者のぶっきらぼうは、干渉のないところが、むしろ客側にとってもありがたいくらいであるのに対し、
後者のぶっきらぼうは、こちらの心に干渉して来る。
つまり、不快感を感じるのである。

ひとしきり飲み終えて、店を出た。
無論、食事の味がどうのこうのと言う問題ではなく、後味がとても悪い。
会計時、レジでの冷たい対応が脳裏から離れなかった。
「飲み直そうか」
と言いかけ、行きつけの大衆酒場の名前を出そうと友人へ顔を向けた。
しかし、そこには意外にも満足そうな友人の顔。
少しさぐりを入れると、実際に満足しているような口ぶりだった。
人それぞれ趣向が違うものだと思い、そのまま店の前で別れ、
先程言いかけて名前を押しこんだ酒場へ、ふらふらと足を向けた。

【天候】
昨日と一転して、夏日。

1573声 冷たいワイン 前編

2012年04月23日

週末からことに冷え込んでいて、月曜日の今、
部屋にいるのだが、セーターを着ている。
それほど寒いと、飲んでいる麦酒の味もなんだか精彩が欠けており、
後味が悪い。

後味の悪さで思い出したのだが、確か一月位前。
四月からの新生活を機に、故郷の高崎市を離れ、
東京で暮らすと言う男の友人と、ちょっとした送別を兼ねて飲んだ。
友人の趣向で、イタリアンレストランなる店に行った。
そうは言っても、郊外の小さなパスタ店と言った風の店舗で、
敷居はそれほど高くない。
店内の雰囲気も良いのだが、よれよれのシャツと破れ掛かったジーンズ。
と言う自分の格好が、何だかその雰囲気から浮いている様に感じた。

まず麦酒を注文したのだが、ピルスナーグラスでもない何だかやけに細長く、
小賢しい印象のグラスでやってきた。
一口で飲みほし、直ぐさま、いささか観念しつつ手頃なワインボトルを注文した。
ワインが運ばれて来て、その店員に先程の小賢しいグラスは下げてもらったのだが、
この女店員がグラスよりも更に小賢しい印象であった。
鼻が高く整ったその顔立ちには、日本人放れした美しさがあるのだが、
その瞳の奥には、ぶっきらぼうな冷たさが感じられる。
ここがこう、と言う目立った行動ではなく、その所作ひとつひとつから滲み出る。
と言った風の、何だか侮蔑の色合いを持った印象である。

何だか、くどくどと長くなってしまったので、続きはまた明日に。

【天候】
終日、小雨。

1572声 千本桜

2012年04月22日

赤城南面千本桜を観に行って来た。
朝から小雨模様の曇天で、花冷えしているせいか、
道路は割と空いていた。
それでも、桜並木のある公園へ車を停める際には、長い車列を免れなかった。

千本桜と形容される桜並木の横は、芝桜やトイレなどがある公園になっていて、
ブルーシートを出して、花見をしている人もちらほらいた。
土地柄、車でしか交通手段が無い事と、この花冷えの天気によって、
いささか寂しい人出に見えた。

桜並木の下には、びっしりと屋台と人がひしめいていて、活気があった。
うどんやもつ煮など、あたたかいものが特に売れており、かき氷の屋台には、
店主さえいなかった。
アスファルトの中の桜よりも、山の土に生きる桜の方が、
なんだか気持好さそうに咲いているように見えた。

【天候】
朝は曇り、午後より小雨。

1571声 花冷え

2012年04月21日

花冷え。
よりも、いささか深刻な寒さに包まれていた。
東北の方は、やっと桜が開花し始めたとの報道を目にしたので、
今年は長く桜を楽しめるかもしれない。

群馬県でも山間部ではこれから、いよいよ山桜のはなやぎ。
赤城山の千本桜は、この週末で満開になっているらしい。
いつも、風の噂にその美しさを聞いている。
そう言えば、赤城山と榛名山。
その両方の麓に住んでいるのに、満開の千本桜を見た事が無い。
明日あたり、行ってみようか。
渋滞による大混雑を思うと、いつも足が遠のいてしまうが、
心は花に引き寄せられてしまう。
そのせめぎ合いと、明日の朝、花の魔法にかけられているか、どうか。

【天候】
終日、曇天。

1570声 春の夜風

2012年04月20日

夜。
少し時間があったので、近所を散歩した。
どんよりと朧の中に月があって、
雨こそ降っていないが、風が濡れていた。
田圃の真っ暗闇を歩いてゆくと、
次第に、次第に、肺が潤ってくる感覚。

【天候】
終日、薄曇り。

1569声 金の髪

2012年04月19日

今日の昼過ぎ。
高崎市街地から国道17号線と交差する、十字路の信号で停車していた。
その先には烏川を渡る「君が代橋」が架かっており、
向こうに見える観音山まで眺望が開けている。

自転車を二人乗りしながら、女子高生が交差点を渡った。
まだ昼の時間なので、授業をサボって遊びに行くのかと、
赤信号からぼんやりと彼女たちに目を移した。
何だか楽しそうに、笑いながらふらふらと自転車を漕いで行く。
荷台に乗っている娘の髪の毛は、ロングの金髪であった。
ゆるゆると風にそよいで光っている様に、「風光る」と言う、
まさにそんな印象を受けた。

気付くと、信号は青になっていて、
前の車との車間距離が随分と空いてしまった。
急いで発進。
振り向けば、彼女たちはもう橋の中腹を渡っていて、
どんどん小さくなっていった。

【天候】
終日、快晴。