日刊鶴のひとこえ

この鶴のひとこえは、「めっかった群馬」に携わる面々が、日刊(を目指す気持ち)で記事を更新致します。担当者は堀澤、岡安、すーさん、坂口、ぬくいです。この5人が月替わりで担当しています。令和6年度は4月(ぬ)5月(岡)6月(す)7月(堀)8月(坂)9月(ぬ)10月(岡)11月(す)12月(堀)1月(坂)2月(ぬ)3月(岡)の順です。

5026声 手拭い使い

2022年02月11日

本日、金メダルを獲った平野歩夢選手は、手拭いを首に巻いてスノーボードをしている。手拭い使いだ。わたしも手拭い使いなので、親近感がわく。

 

わたしは、もう二十年以上ハンカチは持っていない。呑んで帰るとき、少し肌寒いな、なんて感じるとマフラーのように首に巻いたりしている。なので、その温かさも知っている。小雨のとき頭に冠れば、傘とまではいかなくても、帽子の代わりくらいにはなる。

 

あるときは、呑みすぎてしまった人の顔を拭くために持たせたこともある。その人は手拭いて口を押さえながら、数人に抱えられ、タクシーに押し込められて消えて行った。

 

また、あるときは、手を怪我をした人の止血のために使ったこともある。その人は、手に手拭いを巻かれた状態で救急車で運ばれて行った

 

酔っぱらいの件も、怪我した人の件も、それだけで、「ひとこえ」に書けるくらいの強烈な思い出だが、そのどちらにも手拭いが色を添えてくれている。

 

近ごろは、嬉しいことに、お土産としてどこでも売っているようになった。前述ようなことがなければ、手元からなくなることもないので、コレクションは結構充実してきている。

もうハンカチに戻ることはないだろう。

一生、手拭い使いだ。

5025声 シンキチビールとナチュールと羊羹

2022年02月10日

本日は高崎も雪だった。警報級との報道だったが、この辺りの積雪はほとんどなさそうだ。NHKでは、「転ぶときはお尻から」などのテロップが流れている。スリップしているトラックの映像も繰り返されている。山梨などは結構降っているようだ。雪が積もっている地域の方は、注意していただきたい。

 

そんな雪の中、わが家にシンキチ醸造所から、定期便の2月分のビールが届いた。(宅配業者の方、ご苦労さまです。)

 

今回の4本は、やよいベリー、ばかたれIPA、高崎ブロンドラガー、そやし。
「そやし」は、なんと2年以上熟成しているという。気になるけど、とっておこう。ということで、高崎ブロンドラガーをいただくことにした。
小麦を使ったゴールデンラガー。2カ月以上発酵させたという。まさに、ラガーだ。

 

京都伏見の伊藤軒の六方焼とあわせてみたら、なかなかいける。わたしは、甘いものをビールやワインに合わせるのが好きである。これが、結構いけるのである。

 

今年の俳句ingでは、大福餅でシンキチのビールをいただいた。おかげで、よい俳句(と自分がおもっている)ができた。

 

お酒にあわせる甘いもので、おすすめは、ドライいちじくと羊羹(ようかん)だ。ドライフルーツはワイン全般にあうが、とくにいちじくは相性がいいとおもう。

 

甘い物とお酒の組み合わせに慣れてきたら羊羹をためしてみてほしい。なかでも小城羊羹のようなシャリ系の羊羹は、ナチュールやシンキチのビールと相性が良いとおもう。何をあわせて呑もうが、呑む人の自由なのだけれど、甘党かつ左党という人はおためしあれ。

 

5024声 見てきたような嘘と俳句

2022年02月09日

立川談志は、講釈師(講談師)になりたかったということを聞いたことがある。談志の桑名船(または鮫講釈)を聞くと、そんな気もする。「今日はむしゃくちゃするから」とかいいながら、桑名船をやって気を晴らすくらい、この落語が、講釈が好きだったようだ。そして、好きなだけあって、この落語の中で披露される談志の講釈は見事だ。

 

さて、その講釈師、今は講談師と呼ばれているが、(講談では、神田伯山の「畦倉重四郎」はおすすめですよ)「講釈師見てきたような嘘をつき」という言葉がある。講釈とはそういうものだ。見てきたような嘘とは、リアリティがあるといえる。

 

わたしは、俳句も同じなんじゃないかとおもっている。高浜虚子の客観写生というわかりにくい言葉もあるが、西田幾多郎のいう「純粋経験」のような、主観と客観が一体となったレベルでの経験を表現できると素晴らしい俳句になるのでは、というようなことを漠然と考えている。

 

夏井いつき先生も、選句にあたっては、「想定外のオリジナリティ」と「想定外のリアリティ」を大事にしていると述べている。

 

なんでこんなことを考えているのか。

 

今、結社に投句するための、選句をしているからである。自分の俳句なのに選句は難しい。少し作れるようになってくると、余計難しく感じる。

 

見てきたようなような嘘を、客観写生のように見せた俳句は、・・・この中には無さそうだ。

5023声 上弦の月

2022年02月08日

2月8日、本日は上弦の月だった。

西側半分が光っている半月だ。朝方は少し曇っていたが、すっかり晴れて、日の入りの頃には、良い月となった。

ところで、『鬼滅の刃』に出てくる鬼舞辻無惨(鬼の頭領)の従える鬼には、十二鬼月という精鋭部隊のようなものがある。その十二鬼月には上弦と下弦があって、上弦の方が強い。

実際の月の上弦と下弦の違いは、月齢によるものだから、上弦の方が強いとかよくわからないのだが、「上」と「下」のイメージからだろうか。

もし、わたしが鬼舞辻無惨なら、三十六歌仙にちなんで命名するかなぁ。

組織マネジメントとしても、恐怖による支配でよく千年も続いたなとおもったりして。

5022声 走れメロス

2022年02月07日

 

鶴のひとこえの執筆陣は、みな酒呑みである。
なので、よく酒の話が書かれている。
わたしも酒呑みの端くれとして、酒の話を書きたい。
しかし、自分のことを書いても面白くないので、今日は、太宰治のことを書いてみたい。

太宰は、酒呑みだった。
いまさら言うまでもないか。

「酒ぎらい」というエッセイのなかで、
「・・・そんなに呑みたくもないのに、ただ、台所から酒を追放したい気持ちから、がぶがぶ呑んで、呑みほしてしまう・・・」
だから、
「ふだんは家の内に一滴の酒も置かず、呑みたい時は、外へ出て思うぞんぶんに呑む、という習慣が、ついてしまったのである。」
などといっている。共感しかない。気をつけよう。

ところで「走れメロス」は、そんな酒呑みの太宰の実体験が、作品に昇華したものだ。
世にいう「熱海事件」、または「檀一雄置き去り事件」がそれだ。作品の中の太宰(メロス)は、友人のために走るが、実際の太宰は、檀を人質として置き去りにしながら、戻ってこなかった。探しに来た檀に見つかったとき、井伏鱒二師匠と将棋をしていた。
激怒したのは、檀一雄だ。メロスじゃなかった。
太宰は、血の気が失せて、オロオロと声も出なかった。
しかし、落ち着いたあと太宰は檀にこういう。
「待つ身が辛いかね、待たせる身が辛いかね」
なんだか、カッコいい。でも真似するのはやめようとおもう。幸せな結末が想像できない。
というわけで、太宰はただの酒呑みではなく、その体験を素晴らしい作品にしてしまう天才だということがわかったのだった。

5021声 鎌倉殿の13人

2022年02月06日

最近、週に2度は通う蕎麦屋に2枚の色紙が貼ってある。
西村雅彦と山本耕史の2枚だ。
経緯は不明だが、とにかくその2枚の色紙があるのである。色褪せた写真もそえられている。その色褪せた写真の中で微笑んでいる山本耕史が三浦義村役で出演しているのが、NHKの大河ドラマ『鎌倉殿の13人』。
三谷幸喜の脚本、源頼朝役が大泉洋ということもあり、随所で笑えるつくりとなっている。伊東とか三浦とか、地名に残っている人物が出てくるのも面白い。本日第5回まで終わった。しばらく楽しめそうである。

5020声 未来の教室

2022年02月05日

浅野大介さんの『教育DXで「未来の教室」をつくろう』を読んでいる。
ザブンで浅野さんにお会いしたとき、「今度発売になるのでよろしくお願いします」と言われていた本だ。
浅野さんは、経済産業省にいながら、教育DXを進めているという変わった人。
GIGAスクール構想は、コロナ禍の補正予算も加わり、一気に進んだ。
この本で紹介されている実証実験としての「未来の教室」はみんな違っていて、どれも魅力的だ。
このような「未来の教室」が早く普通になることを期待したい。
それには、学校も、教員も、保護者も、・・・も、・・も変わる必要がある。
環境は整っている。あとは変わる気があるかどうかだとおもう。

5019声 次世代に引き継ぐ

2022年02月04日

本日は、町内の山車保存会を新規に立ち上げるための打ち合わせがあった。
もう1年以上前から、断続的に打ち合わせをしている。コロナ禍ということもあり、タイミングをはかっていたが、この春にはなんとかしようということになった。
町内が抱えていた問題が、コロナ禍により顕在化し、いろいろがいっぺんに迫ってきたという感じだ。
町内にあった婦人会は解散した。育成会が行っていた廃品回収はなくなった。長寿会も高齢化により活動がままならないという。町内会にある様々な役員も担い手を探すのに一苦労らしい。
山車も町内も、きちんと次世代に引き継げるよう、今のメンバーでできることをやりたいとおもった。

5018声 まだ2年、もう2年

2022年02月03日

2月3日、本日は節分。

三日月が出ていた。
今年の2月は、旧暦の正月と重なっているので、今日の月は三日月だ。三日月はすぐに沈んでしまうので、見ることができると幸運があるとおもわれていたらしい。
さて、どんないいことがあるやら。

本日、高崎市では296人の新型コロナウイルス感染者が確認されたという。群馬県全体では、1194人、全国では10万人を超える勢いだ。

不要不急なことを自粛し、感染者数を気にして生活するようになって、およそ2年。
2年前の2月3日、ダイヤモンド・プリンセス号が横浜港に入港。まだ、2年だ。新型ウイルスには、まだ名前がついていなかった。
2年の間に、ワクチンが開発され、7割を超える人が接種したことをおもうとまだ2年と感じる。

しかし、もう2年という感覚もある。
もう2年、職場の飲み会はない。
旅行も、もう2年行けていない。
あれも、これも、と数えだすともう2年できていないことが並ぶ。

まだ2年、もう2年。

5017声 マジックアワー

2022年02月02日

今日のマジックアワーの空は、なんともいえない美しさだった。日が延びてきたので、帰宅するときに日の入り直後の空を眺めることができるようになったのだ。

夕日といえば、強制収容所の体験に基づいて書かれた、ヴィクトール・E・フランクル の『夜と霧』に、美しい夕日を皆で眺め、分かちあったことが描かれていた。
そこまで感動的な夕空だったわけではないが、それでもしみじみするには、十分な美しさだった。わずかでも美しいものを見ることの効用は侮れない。

幸い、冬の高崎は晴れる日が多い。
ここしばらくは、マジックアワーの空が楽しみだ。

5016声 民藝と俳句と太陽

2022年02月01日

令和4年も2月となりました。
本日から坂口です。
よろしくお願いします。

東京国立近代美術館で『柳宗悦没後60年記念展 民藝の100年』が開催中である。最初は混んでいるだろうから、空いてから行こうなどと考えていたら、まん防となってしまった。今なら空いているかもしれない。が、まん防と同じ2月13日までである。行けそうにない。ということで、カタログを取り寄せてしまった。

「民藝」は、1925年に柳が、河井寛次郎、濱田庄司とつくった新語だそうだ。

なんだか、俳句に似てるな、とおもった。正岡子規が俳諧革新運動で広めたのが「俳句」。

民藝も俳句も、自分の価値観を世に問うたものだ。そういう意味で似ているとおもったのだ。

『太陽の季節』で、太陽族を生み出した石原慎太郎が亡くなった。89歳。晩年の言動も、戦後派青年だとおもえば、納得。まさに太陽族として一生涯だった。

5015声 時間に追われない世界

2022年01月31日

あっと言う間にまた1ヶ月が終わる。仕事をしたのは1/12まで。それ以降は次の店に思いを巡らす。いろんな店にも行くことができ、たった3週間だがイメージが具体的になった。「今日何時までにこれを終わらせる」という締め切りありきの生活では気づけないことがある。かといって締め切りがなければ何もできず、すぐに立ち往生してしまうこともコロナ休業を何度も経験したことでよくわかった。時間に追い立ててもらう時間と、時間に追われない時間のどちらも必要だと思えるようになった。2つの時間は全く別の世界。これが2つあることで双方が連動する、という感覚を持てた。休みが必要なのはそういうところにもあるのだろう。ただ、わかってもこの2つの世界を行き来するのは難しい。

5014声 日曜朝のNHK

2022年01月30日

朝ホテルでテレビをつけたら積丹半島のホッケの産卵ドキュメンタリーを放送していた。雌のホッケが岩場に産み付けた卵を雄のホッケが外敵から守る。およそ2ヶ月の間、食事もせず見張り続けるのだと言う。30分もしないうちに番組は代わり徳島の小松島港で水先案内をする方のドキュメンタリー。72歳のベテラン水先案内人。国内外から来る大型船を安全に着港させるため湾内を先導する仕事の話。どちらもいい番組。朝から見入ってしまった。日曜日の朝はこんな番組をやっているのかと、そういえば土曜日にどこかに宿泊することなどない。

5013声 あめつち

2022年01月29日

六本木で器の注文をして器は一旦これで終了。そう自分に言い聞かせないときりがない。器と盛りつけを考えるいい機会になった。夜は祐天寺のあめつちへ。5年以上前に、多分ザブンを始めてすぐくらいの頃に何度か伺ったことがある。店主は女性で燗酒がメイン。肴は野菜が中心のきちんと仕込みをした日本料理。古家具に古い器。久しぶりに行って、好みの共通点が多いと思った。そういえば、竹鶴の純米を最初に飲ませてくれた店でもあった。この店から少なからず影響を受けているのである。居心地のよさはそれだけではない。店の方が真剣で快活であり、温かい。前に来たときはそこまでは言語化できなかった。来てよかった。

5012声 シャリ

2022年01月28日

器の整理が進んで、早く料理をしたくなってきた。久しぶりにご飯を炊いてシャリを合わせた。おいしい。群馬の感染者数が2日連続で千人超え。

5011声 赤はガメイ

2022年01月27日

冷蔵庫の整理。ばっちゃんから「この2ヶ月くらいでワイン200本くらい買ってませんか?」と言われた。まさかそんなに多くはないが整理できていなかった。赤はガメイが多い。白はいろいろ。ワインも器と同じく基準を持たないと整理できなくなる。試したいものとストックするものを分けることができた。赤に関しては寿司との相性を測るにはボディと果実味とタンニンが重要。酸はある程度高くても合うことが多い。ガメイは寿司に合う。赤はこれからも9割くらいガメイでいいなと思う。

5010声 身体が動かない時期

2022年01月26日

使わない器を整理していく。今日も器三昧。瓶詰めをして、寒くなかったのでジョギングをしたが、あまり他にやる気は起きない。一年で一番身体が動かない時期でもある。だからこそ動かしたほうがいい。群馬の一日の感染者数が1,000人に迫ってきた。

5009声 糠釉

2022年01月25日

注文した器が届いたと連絡があったので都内まで取りに行く。こうなると器依存症である。早く見たい。帰って他の器と並べると、あとどんな器が必要なのかもわかる。西持田窯の飯碗の迫力がすごい。粉引のような斑唐津のような白い釉薬の正体は米糠らしい。試行錯誤しながら糠を調合して今の釉薬になったと言う。素朴で力強く、垢抜けている。何より温かい。