日刊鶴のひとこえ

この鶴のひとこえは、「めっかった群馬」に携わる面々が、日刊(を目指す気持ち)で記事を更新致します。担当者は堀澤、岡安、すーさん、坂口、ぬくいです。この5人が月替わりで担当しています。令和8年度は4月(坂)5月(ぬ)6月(岡)7月(す)8月(堀)9月(坂)10月(ぬ)11月(岡)12月(す)1月(堀)2月(坂)3月(ぬ)の順です。

1689声 江戸のくらしの舟遊び

2012年08月18日

「この前の吟行は船で」
なんて話を、先日。
主に都内で句作している女流俳人に聞いてからずっと、
舟への憧れが頭から離れない。

「舟遊び」
と言うのは夏の季題で、なんだか漠然と、隅田川をゆく納涼船。
と言う江戸趣味を連想する。
芥川の随筆かな何かで読んだ記憶もあり、憧れの下地は出来ていたのである。
聞いた話もこの舟遊びで、俳句を始める前に、
浅草から台場まで水上バスに乗って、たいそう面白かった思い出がある。

思い立ったがなんとかで、行って来た、浅草へ。
浜離宮と浅草間に乗船したのだが、懸念していた混雑も無く、
快適な舟遊びができた。
冷房の効いた船内で地ビールなど飲みながら、句帖を広げる。
スカイツリーが何やら、橋の名前が何やら、
船内の観光アナウンスを聞きながら、ぼんやりと白波を見ていた。

ビル街の谷間を進んで行く舟遊び。
と言うのが、野趣には欠けているせいか、
下船して句帖を見ると、なんだか無機質な句ばかりになっていた。
それもまぁ、真実であろうと咀嚼して、炎天の浜離宮へ歩を進めた。

【天候】
朝より雷雨、のち、快晴。

1688声 夕方、夕立

2012年08月17日

東京は今夏一番の暑さになった、と言う。
観測した最高気温は35.7℃。
昨日の群馬県内が37℃を越えているので、「まだまだ」などと。
やはり群馬県に住んでいると、いささか(暑さに関しては)、
常軌を逸してしまうきらいがある。

夕方、すさまじい夕立があった。
雷が其処此処に落ちて、住んでいる町は一時停電になったほどである。
稲光が遠くにある間は、「なかなか幽玄な光景」と傍観出来るが、
いざ、自分の頭上へ来ると、小さく丸まってやり過ごしている。

雷の落ちてけぶりぬ草の中  鬼城

雷とは切っても切れぬ仲なのが上州人だが、
中でも特にこの句の作者の肝の据わった眼差しには恐れ入る。

【天候】
快晴だが、強烈な夕立あり。

1687声 秋めく

2012年08月16日

残暑。
たって、ここまでひどいのもない。
今日の群馬県館林市は最高気温、37.2℃を観測。

しかし、である。
それも盛夏のような持続力は無く、
夜には虫時雨が聞こえ、星が澄んで見える。
風はいささか「熱風」と言う心持がするが、
それでもぐっと秋めいてくる。
これで台風が一つくれば、
いよいよ今夏も終演を迎える。
この夏がどうであったか、まだ、整理がついていない。

【天候】
終日、快晴猛暑。

1686声 帰路、蝉しぐれ

2012年08月15日

昨日から取りかかっている俳句の鑑賞文にようやくけりをつけて、
いま、これを書いている。
俳句周辺の世界は古風な雰囲気が色濃く残っており、
この文章も指定の原稿用紙に手書きで書いた。
書き慣れぬため、原稿用紙を一枚二枚仕上げるに、
その倍も反故を出してしまった。

ボールペンで書いておれば、誤字脱字が多いし。
鉛筆で書いておれば、消しゴムで用紙を破ってしまうし。

そんなことで書き上がった原稿を碌にチェックもせず、
厄でも払うかの如く、封筒に押し込みポストへ直行した。
帰路、蝉しぐれ。
どの蝉も絞り出す様な鳴き方になっていた。
今日は8月15日。
この日の蝉の声だけは、記憶の中で残響することしきりである。

【天候】
終日、晴れ。

1685声 夕方の麦酒

2012年08月14日

まったくもって規律が乱れてしまっている。
生活の、である。

俳句の鑑賞文。
それもたった原稿用紙一枚程度のに苦戦してしまって、
思いの外、神経をすり減らしてしまった。
作っている方がよっぽど気持が軽い。

そんなこともあって、西日が射しこみはじめた頃、
近所(近所と言っても自転車で20分はかかる)の銭湯へ行き、
帰りにコンビニで缶麦酒を買った。

喉の奥からの突きあげるような渇望に耐えきれず、
コンビニのゴミ箱の前で一缶開けてしまった。
一気に飲んで、ふらふらと帰る。
途中、すれ違った色のくすんだ間抜けそうな犬に吠えられた。
そこからは一缶一缶空けるうち、緩やかに酔いが回って寝てしまった。

【天候】
終日、快晴。

1684声 アウトドアハイク

2012年08月13日

お盆の中日なので、ここ田舎町は静かである。
お墓より、近所の大型ショッピングセンターのほうが栄っている。

終日、ひきこもって句の整理と溜まっている本の頁を捲っていた。
昨日、榛名湖畔にはテントを出して、釣りしたりバーベキューをしたり。
ゆったりと夏の時間を過している人たちがいたが、思えば。

大人になって群馬に帰って来た当初は、そんな時間を過したい思いが強かった。
その為に車を買って、いざ、出掛けよう。
というところで、何故かどんどん野山から遠ざかって、いつの間にか、
じめじめした路地裏で溜飲をさげていると言う有り様になってしまった。
そして今は、俳句の為に野山へ出掛けている。

「山岳俳句」。
なんて言う分類をされている句もあるくらいなので、
そう言うアウトドアの最中で俳句を作ったら面白そうである。
寝袋のひとつも持っていないが、アウトドアへの憧れは今尚ある。

【天候】
終日、曇り。

1683声 夕菅句会二日目

2012年08月12日

隣がごそごそやりだしたのをきっかけに、まだ暗い中を起床した。
昨晩の酒はどうにかのこらずに済んだが、目が開かない。
時刻が午前四時半を過ぎたところなので、当然と言えば当然である。

身支度もそこそこに、沼の原へ移動。
朝霧の中の木道を進み、朝日が昇るまで夕菅を見ていた。
夕菅を撮りに、早朝から沢山のカメラマンたちが来ていたのには驚いた。
宿へ帰って句会。
朝食をとってから、下山して滝を見物。
それも二カ所の異なる滝を吟行した。

渋川市内で行った句会最後に、解散となった。
句会は10句出しで計7回。
最低70句は作っている計算になる。
今回、2日で100句を目指して臨んだが、それよりも少し欠けると思う。
そして、手元に残せるような句は、片手で足りるくらいである。
いや、丹念に見返せば、もっと少なくなる可能性も。
ともあれ、楽しかっただけに、そんな俳句のチマチマしたことなど忘れて、
いまはとてもすっきりしている。

【天候】
終日、雲多くも晴れ。

1683声 夕菅句会初日

2012年08月11日

下山してきた。
榛名山、からである。
近所なので、わざわざ出掛ける、と言う感覚も無いが、
県外の人など交え、何名かでゆくとまた新鮮な感覚がある。

恒例の俳句の合宿で、素竹さんたちと榛名湖へ行って来た。
行っている間は更新できなかったので、この回は行った日である。
夏の景色を想像してのだが、お盆の榛名湖はもうすっかり秋めいていた。
湖の水も澄んでおり、何艘も浮かぶ釣船が湖面に寂しげな影を落としてる。

吟行して句会。
その繰り返しで一日が終わる。
霧の中へ浮かぶ夕菅で随分作ったが、結局、手元に残せそうな句は出来なかった。
夕方から雨になり、急遽、題詠で句会をしてから、半ば泥酔しつつ早々に就寝した。

【天候】
曇りのち雨。

1682声 お盆セット

2012年08月10日

本格的にはじまっているお盆の潮流に流されつつ、帰宅できた。
帰宅した私も明日から、僅かながらのお盆休みである。

今日、スーパーへ寄ったら「お盆セット」なる小さなバスケットが、
店頭に販売されていた。
内容物を見ると、胡瓜、茄子に線香など。
つまりは、お盆のお供え物と墓参りのセットである。

なんだか、ハンバーガーチェーン店のセットを買うように、お盆セットを買う世代。
と言うのが、継がれていけば面白い。
文化の浸透と言うのは、つくづく、面白い。

【天候】
終日、快晴

1681声 盆の風光

2012年08月09日

すでに、巷では俄かに盆休がはじまっているらしく、平素とは異なる流れ。
例えば、道路では県外ナンバーが多いとか、
町中では、昼間から犬の散歩をしている人が目に付く。
など、夏休みと言う感が色濃くなってきている。

郷里ですみ暮らしているので、特に里帰りする必要はないが、
この時期の郷里は、そう言う世間の喧騒を別として、どこか違う。
「どこ」と言うところが模糊としていて説明しづらいのだが、
山の風光がそこはかとなく、違うのである。

市内の古い家々の軒先では、はや、
「精霊馬」(胡瓜とか茄子に割り箸をさして作った、あの和風フィギュア)
や迎え盆の提灯などが灯っている。
先祖の霊魂が来ていると言えば、そんな気がしないでもない。
山の麓にあるこの町だからこそ、その風光の機微が顕著なのかもしない。

【天候】
終日、快晴。

1680声 気になる音

2012年08月08日

なんだか、立秋も過ぎて、夜風にコオロギの声などまざってくると、
無性に本が読むみたくなって来る。
平素読んでいはいるのだが、本腰を入れて。
例えば、上中下巻あるような時代小説などの世界に没入したくなる。

そのデンで、手始めに上下巻からなる司馬遼太郎の幕末ものを読み始めた。
司馬遼太郎はあらかた読んだが、この「花神」だけは落としていた。
当然面白く、寝食を忘れ、とまではいかないが、寝る時間を大幅に削ることになる。

最近、読んでいて、気になる。
裏の田圃をゆくバイクの音が、である。
今年は俄かに流行しているのか何なのか、いわゆる暴走族のような音が、
夜半、頻繁に聞こえる。
家の裏は、戦時中に飛行場があったとかなんとかで、広大な田圃である。
そう言う場所だから、閑静な闇夜に改造マフラーの爆音がよく響く。
それが過ぎると、ほんのりと虫の音がもどってくる。

【天候】
終日、快晴。

1679声 夜の秋の犬

2012年08月07日

立秋である。
暦の上では、今年も秋になった。

夜。
いつもの如く家の裏を散歩していると、道の向こう。
闇の中から、何やらチカチカしたものが近づいて来る。
気にしつつも、夜道なのでごく自然に「それ」とすれ違った。
すれ違ってから、おもむろに振り返り、まじまじと確認した。

犬。
なのである。
おじさんが散歩している小型犬なのだが、顔がチカチカしている。
よく見ると、顔の下についている首輪がチカチカしているのである。
そう言う電飾付き首輪が巷に売っているのか、はたまた、飼い主が開発したのか。
闇の中で照らされる犬の顔は、なんだか、滑稽に見えた。

犬と飼い主は、明るい往来の方へ消えて行った。
目の前の空き地とも休耕田でもつかぬところで、
伸びっぱなしの夏の草が、かさかさと揺れていた。

【天候】
終日、快晴。
夜風は涼し。

1678声 一縷の夜風

2012年08月06日

夕方に通り雨があったおかげて、涼しくなった。
月は卵の黄身のごとく、どろりとした印象だが、周りの星が涼しい。

8月6日の今夜は、日本人にとっては常の夜ならぬ日である。
テレビを消して、しばし黙祷。
ちろろろろっと、網戸から吹きこむ、一縷の夜風に虫の声。
もう、コオロギが鳴きはじめた。

【天候】
朝より、快晴。
三時頃から四時過ぎまで、小雨。

1677声 あの音頭

2012年08月05日

勤め人の「日報」の如く、一日の報告のような事はやりたくないのだが、
折からの炎天で、もう思考回路が焼き付いてしまっている。
それなので、報告めいてしまう懸念と、連日のビール疲れをひしひしと感じつつ、
書きたい事を書きたいだけ。

ちろちろっと、高崎祭りを見物してから、長野県の小諸を目指した。
目的は「高濱虚子記念館」である。
小諸は軽井沢の先だし、高崎市より少しは涼しいのであるまいか。
そう言う淡い期待は、佐久のインターを下りて直ぐ、打ち砕かれた。
風が滞留しており、むしろこちらよりも暑いような印象である。
昔読んだ藤村の、あれは「千曲川のスケッチ」だかなにかの印象だと、
涼しげな風が吹き亘っている印象があったが、この猛暑は自分の思い違いか、
昨今の異常気象の影響であろうか。

ひとしきり記念館と隣にある虚子庵を見学し、そのまま、
懐古園をちらりと見て、そそくさと帰ってきた。
連日の祭り疲れもあって、足腰が筋肉痛である。
ともあれ、一昨日に行った桐生八木節まつりりの、あの「音頭」が、
言えば、あの全日本八木節競演大会の出場者の「音頭」が、耳から離れない。
堀澤さんは今年もまた、八木節を体感して、比喩ではなく、泣いていた。
丁度、いま、八木節まつり最終日の最後の音頭を踊り狂っているところであろう。
本町五丁目交差点に屹立している櫓を取り囲んで、祭半纏から湯気をあげて、
無心になって、ただもうその身を、八木節音頭に委ねて。

【天候】
終日、快晴。

1676声 沼田の夕風

2012年08月04日

汗を拭いつつ、炎天のだらだら坂を上がっていた。
駅前からバスに乗ればよかったものを、
市街地まで通じているこの坂をのぼって行こうと思ったのは、やはり。
坂の上から聞こえてくる祭囃子の興奮が、足を動かしめたのであろう。

アロハシャツの背中がびっしょりなった頃、
やっと坂の上にある沼田市街へ着いた。
うろ覚えの記憶を手繰りつつ、吉澤さんの居を目指した。
旧市街と言うのは街の様相を憶えやすいので、見覚えのある看板や商店を伝って、
迷わず到着できた。
すでに、仲間でひしめきあっている座敷に通して頂き、まずは乾杯。
目の前の往来を流れてゆく、祭半纏の若衆や、
雄大な山車を見物しつつの一杯は最高であった。
何より、沼田は夕風が心地好い。

【天候】
終日、快晴。

1675声 祭りの季節

2012年08月03日

祭りの季節である。
住んでいる高崎市も、この土日は、「高崎まつり」で賑わっている。
明日の日曜日には花火があるので、烏川沿いは毎年のこと、
大勢の人出があるのであろう。
ここ数年、夕立に降られることが多かったが、
今年はなんだか大丈夫そうな気がする。

桐生では八木節まつり、沼田では沼田まつりと、
今年の高崎まつりは時期が重なっている。
自分も、高崎からは抜け出して、
この二つの祭りの中に紛れ込んでいると思う。
八木節の音頭がはや、耳の奥で聞こえる言うな気がする。

【天候】
終日、雲多くも晴れ。

1674声 駄目だけれど

2012年08月02日

ここ数日は、晴天なので空がすっきりと夕焼けている。
そんな光景を眺めつつ、
先月号の俳句の雑誌に送った一句を思い浮かべていた。

うつくしと思ふさびしき夕焼かな

勿論、駄目である。
何が、と言うのは言わずもがな、形容詞まみれである。
駄目だけれども、ともかく、今日も夕焼けである。

【天候】
終日、晴天。

1673声 月の水輪

2012年08月01日

夕方になると、どっと疲れが出てしまって、
夕涼みのつもりで本など読み出すと、たちまち睡魔にからめ捕られてしまう。

起きてひとっ風呂浴びて、月夜をほっつき歩きに出掛けた。
青田が並ぶ中に、一枚、水を張っただけの田圃があった。
月光に照らされる水面には、ぱちり、ぱちりと、水の輪が広がっては消えている。
輪の正体は、あめんぼの足跡、である。

闇の中、姿は見えぬが水の輪が月光を反射させてゆくので、それと分かる。
その光景を何とか一句にすべく、しばらく見ていたが、どうにも掴み切れなかった。
明るい場所へ帰って来ると、腕や足には無数の赤い丸。
気付かぬ間に、盛大に蚊に喰われてしまった。

【天候】
終日、酷暑。