日刊鶴のひとこえ

この鶴のひとこえは、「めっかった群馬」に携わる面々が、日刊(を目指す気持ち)で記事を更新致します。担当者は堀澤、岡安、すーさん、坂口、ぬくいです。この5人が月替わりで担当しています。令和8年度は4月(坂)5月(ぬ)6月(岡)7月(す)8月(堀)9月(坂)10月(ぬ)11月(岡)12月(す)1月(堀)2月(坂)3月(ぬ)の順です。

1170声 ろうばいの郷

2011年03月15日

丁度、一月前のこと。
松井田町の「ろうばいの郷」を車で通ると、満開を迎えていた。
妙義山を背に置き、早春の日差しを一輪に集めている、ろうばいの木々。
車を停め、そぞろ歩けば、風に漂う、やわらかな香り。
その明媚なる景色に、そこはかとなく、心が安らいだ。

ろうばいはろうばいでも、心安らげない方の「ろうばい」が、
現在、郷では咲き乱れている。
東日本大震災(東北地方太平洋沖地震) の影響を受け、
巷の量販店では、所謂「買占め」が目立っている。
つまり、コンビニやスーパーで、米、パン、飲料水などを、
買い物かごに山積みにして買って行く人たちが、多くみられるのである。
報道などを見て、不安に駆られた消費者の心理状況が、色濃く出ている。
これによって、現状、生活必需品は、品薄状態と言える。

昼に、弁当を持って、スーパーのレジに並んでいた。
私の前に会計している、おばちゃん。
何やらインスタント食品を、仰山かごに詰め込んでいる。
その中に、1Lの牛乳パックが3つ。
「育ち盛りの子供が何人いるんだよ」
などと、思わず、心の中でつっこみを入れてしまった。

小学校の時分。
隣のクラスの給食が、何らかの事故で無くなったとする。
それを知ったら、当然、自分のクラスの給食を分けてあげる。
そう言う風に、育ってきた。
隣のクラスの友達が、もし、お腹が減っていたら。
昼休み、一緒に遊ぶ元気が出ないではないか。

おばちゃんは、ガサゴソと忙しげに、商品をビニール袋に詰め込んでいる。
全て詰め終え、両手にビニール袋を持つと、
BOXティッシュが持ち切れない。
一寸、考えを巡らす。
結局、買い物かごに袋を入れ、BOXティッシュをその上に乗せ、
かごごと持って行ってしまった。

【天候】
日中、穏やかな晴れ。
夕方より雲多く、夜半にかけて下り坂。
依然として、花粉大量飛散。

1169声 心の光

2011年03月14日

依然として、体感できる程の余震が断続的に起こっている。
計画的停電の時間帯。
その開始時刻の情報が錯綜しており、各方面で影響が出ている。
例えば巷では、営業時間を繰り上げて閉店する商店が、多数見られた。
結局、群馬県においては停電が見送りとなった。
この状況。
被災地の現状を思うと、決して、「よかった」などと、安易に安堵出来ない。

報道では、今なお続く、「福島第一原子力発電所」の緊迫した状況が、
伝えられている。
そして、死者不明者の数が更新される度、
アナウンサーがその数を読みあげる度に、
胸に暗雲が立ち込める如く、息苦しい心持になる。

それでも、俳句を詠んでいる。
それが私の日課、だからである。
この、日刊「鶴のひとこえ」とて、例外ではない。
特に被害が大きかった、東北地方には、偉大な俳人の方が多数いる。
俳人のみならず、様々な、文芸愛好者、また表現者の方々が、いる。
文芸は光である。
どんな困難な状況であれ、そこから生まれた文芸作品は、
俳人たちの詠んだ一句は、必ず、心と光りあう。

【天候】
終日、快晴。
4月上旬の暖かな陽気。
花粉の飛散量、甚だ多し。

1168声 節約してみる

2011年03月13日

震災の影響が色濃く出ている。
群馬県高崎市における、私の生活環境周辺に、である。

今朝、悪化する自身の花粉症諸症状に耐えかねて、
開店時間にドラッグストアに駆け込んだ。
点鼻薬、マスク、等を購入し、店を辞した。
駐車場、車へ荷物を運ぶ人たち、その買い物の荷物の多いこと。
みんな、大家族の家庭を持っている筈もなく、おそらく、買いだめであろう。

私も少し不安になり、ドラッグストアに併設されている、スーパーへ寄った。
商品の不足は感じられなかったが、食パンと米などは、売り切れであった。
カップ麺や飲料水、缶詰など、長期保存できる食料が売れている様で、
商品の在庫も豊富であった。
やはり、パンと米の不足が目立った。

そして、スーパーを出ると、駐車場の脇にガソリンスタンドがあるのだが、
もう、長蛇の列。
「ガソリン不足」と言う情報を聞いて、直ぐに駆けつけたのであろう。
丁度そこへ、伊勢崎の知人から電話。
「目下の状況下、ガソリンの給油が出来ず、電車で来る」
と言う旨だった。
その連絡を受け、私も、今日会う予定の場所へ、
自家用車でなく、自転車や公共交通機関で行こうと思った。

いま、危険に直面している人たち。
そして、被災地で救援活動にあたっている人たち。
その人たちの、助になることを、考える。
その人たちを、助けようとしている人たちの、
助になるような事でもよい。
いま、ひとつ思い付いたこと。
これを書いたら、パソコンをシャットダウンする。
まずは、節電。
いろんなものを、少し節約する。
ってことだって、ひとつの助け、であろう。

【天候】
終日、穏やかな快晴。
日差しも麗らかで、春めく。

1167声 助け合うこと

2011年03月12日

電話が繋がらない。
と言う事もあったが、種々の事情を鑑みて、
昨夜は見送って、今朝、受話器を取った。
繋がって、話した。
無事、であった。
電話先の相手は、仙台市に住む私の親戚、である。

一晩、家の中に居て、外へは出ていないと言う。
なので、地震や津波による被害など、外の状況は把握していないが、
兎も角、家屋内は、激しく損傷しているらしい。
水や食料の確保に苦慮しているが、さしあたり、
生命の危険はないと言う。
高齢であり、持病もあるので、いささか心配だが、
仙台市の現状では、そのまま、家に居た方がよい。
と、本人も言っていた。

困っている人を、助ける。
自分の生活の範囲で、自分の手の届く範囲で。
お互いが助け合えば、きっと、大丈夫。
そう言う教育を、受けて来たではないか、私たちは。

【天候】
終日、雲一つない、快晴。

1166声 地震について

2011年03月11日

3月11日午後18時に、高崎市の自宅で書いている。
今日の午後、東北地方太平洋沖で、大地震が発生した。
現在も、断続的な余震が続いており、各地の被害状況も拡大している。
各報道を見るに、交通機関の麻痺、建造物の倒壊、停電や火災など、
様々な災害が確認されている。
読者諸氏。
貴方自身、そして貴方の周りの人の、安全確保を、優先されたし。

地震の時分。
私は高崎市街地に居たのだが、路上に避難している、
幼子を連れたお母さんが目に止まった。
小さな子がいる家庭は、今晩、特に注意した方がよいだろう。
この文章を読んだら、まずは、焦らず。
また、今、揺れている模様。

【天候】
終日、風強くも、雲の無い快晴。

1165声 病室の窓の桜

2011年03月10日

群馬県の小中学校では、およそ今週から来週にかけて、
卒業式が行われている。
高校生は3月の第1週で、卒業式を終えている学校が多いので、
この時期の平日、街で頻繁に見かける。
この卒業式を終えれば、彼らには「春休み」と言う、
モラトリアム成分の濃い、休暇がまっている。

就職の決まっている、高校生や大学生などは、
入社先から早期研修に駆り出される事もあろう。
進学する学生らにも、入学先から、
宿題が課せられているやも知れぬ。
それらをかいくぐって、是非、一人旅にでも出掛けるのがよかろう。
と言う事を、入社も、入学も、遠い昔の思い出になってしまった、
一社会人として、切に思う。

私の春休み。
あれは、中学から高校に進学する、時分。
その期間を、病院で過ごした事がある。
病気、で入院していたのではなく、怪我で、入院していた。
中学3年生時分の冬、校庭の鉄棒でしくじって、
ちと、ややこしい骨折をやってしまった。
即日、入院して、骨を固定するボルトを埋め込んだ。
春になって骨折も治り、そのボルトを除去する為の、
手術入院、なのである。

在学中であった1度目の入院は、クラスメートや友人、先生などが、
連日病室に来て、落ち着く暇が無い。
卒業後の春休み、2度目となる入院は、お見舞いに来る者もめっきり減り、
落ち着いて入院できた。
入院中に、病院の近所の蕎麦屋に行って、ざるそばなどたぐっているのだから、
相当、自由に行動していた。
思えば当時の私、一人旅でもしている様な感覚だったのかも知れぬ。

退院の日の朝。
起床して、病室のベットから窓のカーテンを開けたら、景色。
朝日を浴びている、駐車場の桜の樹々。
空を走る枝の所々に、綻んでいる蕾を発見した。
しみじみと、これからの高校生活の事を思った。

【天候】
終日、風雲多くも、穏やかな快晴。

1164声 春になったら低級酒

2011年03月09日

晩酌の時、私が嗜んでいる酒は、巷で低級酒と言われてる。
その低級酒を、更に低級なものにした。
懐具合に起因すると言う事もあるが、最大の動機は、おぼろげ、だから。
もちろん、味が、である。

花粉症の悪化。
これが、味をおぼろげにしている、元凶。
晩酌に飲んでいる酒は、もっぱら麦酒だが、
鼻水垂れ流し状態では、味がよく判別できない。
つまりは、いつもより、美味くないのである。
それならば、と、発泡酒ないしは、所謂、第三の麦酒を飲む事にした。

水洟を啜りながら、麦酒を飲む。
と言うのも、なんだか、情けない。
そう言う、情けない状況に陥っている為に、
書いている文章構成までおぼろげになっている。
それも、花粉症のこの時期は、致し方なし。
と自分に言い聞かせてつつ、おぼろげな麦酒らしきものを、一杯。

【天候】
終日、風強くも快晴。
山は霞み、日を追う毎に、春めいてくる。

1163声 駅からどう行く

2011年03月08日

先日、第16回の俳句ing参加受付を締め切り、
現在、改めて、当日の吟行予定を精査している。
今回の吟行目的地は、高崎市の箕郷梅林。
榛名山の麓に広がる、壮大な梅林で一句。
と言う趣向なのだが、それを実現する為には、難関がある。
それは、二次交通、なのである。

二次交通とは、駅や空港などから、目的地まで行く、
路線バスや乗り合いタクシーなどの、二種目の交通手段。
一般的に、群馬県は、この二次交通に弱い県と言われている。
一家に一台ならず、一人に一台と言う、自家用車の保有率を鑑みれば、
当然の結果と言える。
有名な温泉地などでは、県内の二次交通を介さず、
首都圏から直接、送迎バスを運行させている。
と言うのも、顕著な例のひとつであろう。

どうであろうか。
この二次交通の整備を、兎も角もう、しっかりと進め、利用促進を試みる。
そして、群馬県に住んでいる人の自家用車保有率を、下げる。
そうすれば、首都圏から人が来て、県内の人は外へ出なくなる。
こんな模糊とした素人考えに至るのは、私が、酒飲み。
と言う事も少しはあるが、今少し、県内の公共交通機関を、
利用したい気持があるから。

そう言えば、以前。
東京で開かれた「銭湯ナイト」と言うイベントで、本を売らせて頂いた時、
東京の方に、こんな質問をよく受けた。
「群馬県で、駅から歩いて行ける銭湯ってどこですか」
それもそうであろう。
東京在住であれば、あまり自家用車を必要としない。
私が紹介したい銭湯は数多あれど、どれもみな、駅からちと遠い。
「駅からは、バスで行った方が良いですよ」
と、答えざるを得なかった。
「じゃあ、バスで行きます」
と、あっさり。
二次交通の利用に積極的なのがまた、都会人の特徴である。

【天候】
終日、やや雲多くも晴れ。
風強く、昨日の雨の所為もあって、花粉が大量に飛散。

1162声 鏡の顔

2011年03月07日

昨日は、埼玉県は熊谷市の銭湯へ行って来た。
熊谷の市街地には、現在、伝統銭湯が3軒残っている。
列挙すれば、「見晴湯」、「朝日湯」、「桜湯」、である。
その中、定休日の1軒を抜かした、2軒へはしご湯。

夕暮から黄昏時に訪問したのだが、2軒とも盛況であった。
特に、JR熊谷駅より、およそ徒歩3分と言う、
好立地に居を構える、桜湯。
夕方になると、入口の前の歩道に、
自転車が折り重なるように連なっている。
群馬県内では、前橋市の「重兵衛湯」で、その様な光景が見られる。

2軒とも、ペンキ絵を有する、素晴らしい銭湯だった。
客足の途切れる間が無かったので、
写真撮影などを番台へ申し出る事もなく、帰路に着いた。
そして、家へ帰ってから、とどめの入浴。
短時間で都合、3回入浴した事になるが、体は至って健康。
の筈もなく、乾燥肌が、更に乾燥して、カサカサになってしまった。
おまけに、体温の調節機能が馬鹿になったしまったのか、
今日一日、体温調節がうまく出来ず、甚だしい、倦怠感であった。

黄昏時に、知らない街で知らない人と、湯船に浸かっている時間。
たくましい湯気がたちこめる、浴室。
仄明るい蛍光灯の下。
結露した鏡を手でこすると現れる、自らの、顔。
「大丈夫か、俺」
一寸、弱気に感傷。

【天候】
朝から雨。
山間部では、雪からやがて霙。
夕方には降り止み、冷え込み甚だ強し。

1161声 沿線風景

2011年03月06日

二日酔い。
ではないのだが、アルコール分解の果てに辿り着く虚脱感、
を色濃く感じている。

昨夜は、送別会だった。
春と言うのは、出会いと別れの季節。
やはり私の周りでも、昨日、ひとつの別れがあった。
新たな門出を迎える当人は、前橋市在住のY氏。
新天地となるのは、東京都。
転勤や就職などではなく、入学。
つまり、Y氏は4月から学生になる。

「40歳からの再スタート」
なんて、言っていらしたが、柔軟なY氏ならばきっと、
東京の水にも直ぐに馴染めるだろう。
春からの、新一年生を、郷里に逼塞している私などは、
羨望の眼差しで見送った。

社会生活を営む人の人生に、路線図があるならば、
その路線図は、年齢ともに、小さくなって行く。
あるいは、小さくなった様に、大半の人が感じているだろう。
だからこそ、なるべく、乗り換えは少なく、座席に座ったまま、
現在の列車に乗車していたい。
その中、席を立った一人の精悍な若者。
それが、Y氏である。

Y氏は途中下車して、別な路線へ乗り換えた。
もちろん、入手困難な乗車券をしっかりと、握りしめている。
今からY氏が乗車する列車の車窓には、
素晴らしい沿線風景が広がっている。
缶麦酒片手の私は、そう願っている。

【天候】
終日、穏やかな快晴。

1160声 自筆原稿にもえそめ

2011年03月05日

今朝の朝刊。
ひとつの記事に、目が止まった。
なんでも、米国オハイオ州在住の男性が、
萩原朔太郎の自筆原稿を、前橋市に寄贈。
と言う事らしい。

寄贈主はおよそ50年前に、留学生として日本に滞在した時に、
この原稿を入手したと言う。
留学生時代に、「月に吠える」の翻訳を手掛けており、
前橋市にも訪れていた事があると言うから、縁が深かったのであろう。

私も前橋文学館で、展示されている自筆原稿を見学したのとがあるが、
なるほど、紙面に掲載されている原稿と、字体が酷似している。
達筆ではないが、神経質そうに、文字を刻みこんでいる。
今回の寄贈原稿は、「月に吠える」冒頭の詩である、
「地面の底の病気の顔」の、前半部分10行ほど。
自筆原稿の原稿では、朔太郎の推敲の跡が確認でき、とても興味深い。

それは、「萌えそめ」の、「萌」と言う字を平仮名の「も」に直したり、
「あはれふかく見え」の、「見」と言う文字を、やはり平仮名に直したりしている。
確かに、ほんの「一文字」で、随分と詩の輪郭と言うのは変わる。
俳句や川柳などの短詩では、尚更、だと感じる事が多い。

朔太郎が悶々と原稿を推敲している時分から、
「僕は一躍して詩壇の花形役者になつてしまつた。」
と言うところまで、そう長い道のりはない。
それを思うと、今回の原稿は、やはり、とても興味深いもの、と思う。

【天候】
終日、穏やかな快晴の一日。 

1159声 3月の平日の昼間

2011年03月04日

昼間、である。
郊外の幹線道路を何気なく運転していると、
視線が釘付けになった。
そこは、カラオケ店。
店舗入口脇の駐車場に、夥しい数の自転車が連なっている。

その自転車の大半。
後輪の泥除けに、鑑札シールが貼ってあるので、
学生の自転車だと言うのが一目瞭然。
3月の平日の昼間。
群れをなして街にいる学生。
と言えば、十中八九、卒業生だろう。

卒業の解放感。
級友と別れる寂しさや、新生活への期待。
様々な感情が交錯し、兎も角もう、馬鹿騒ぎをしているのだろう。
一寸、羨ましく思いつつ、進んで行く車は、いやが上にも、
私を現実世界へと運ぶ。
すると、前方。
随分と安全運転の車が、一台、二台。
よく見れば、路上教習中の車、である。
3月の平日の昼間。
路上教習中の車と言えば、十中八九、卒業生。
だと、これは言い切れないかも知れないが、おそらく間違いない。

桜が咲く頃には、彼らは新しい生活を始めるのだろう。
郷里の群馬県に残る者、そこから離れてゆく者。
このY字路を、進む時。
どちらの路でも、大丈夫。
必ず、桜は咲いているのだから。

【天候】
終日、雲多くも晴れ。
やや風強く、朝晩特に冷える。

1158声 雛喫茶

2011年03月03日

今日は雛祭り。
っても、女兄弟や子供を持たない私にとっては、
縁の薄い行事である。
その薄い縁が、過去に一度だけ、結ばれた。
遡る事、2、3年前。
高崎市の雛祭りを、取材に行った事があった。
新町地区で毎年行われている、「新町ひな祭り」、である。

この雛祭りは、町おこしの一環として、新町商工会が始めた。
行在所公園を拠点とし、商店街の店舗や、街中の各商店に、
雛飾りを展示し、来客をもてなそうと言うもの。
例えば、肉屋さんのショーウインドー。
秤の横に、艶やかな雛飾り。
和菓子屋の入口に、三人官女と五人囃子。
電気屋さんの店内には、掃除機の横に、豪奢な段飾りの雛人形。
など、街中のあらゆる場所、それは得てして市井の何気ない場所に、
かくも壮麗なお雛様がいらっしゃるのである。

この取材の時ばかりは、雛人形がある生活と言うのも、
良いものだな、と、感じた。
それは、男の私よりも、女性の方が感慨深いのだろう。
取材の休憩で立ち寄った、一軒の古い喫茶店。
午後三時の店内は、珈琲の香りと駘蕩とした空気が漂っている。
斜向かいの席には、80がらみの御婆ちゃんがひとり。
珈琲とアップルパイを食べながら、カウンターに飾ってある、
雛飾りを見つめている。

伝統を継ぐ事。
それは、大切な事、だと、その時強く感じた。
人の良さそうなマスターが、ブレンド珈琲を運んで来た。

【天候】
終日、雲多くも晴れ。
気温は一桁で、寒い日が続く。

1157声 点眼依存症

2011年03月02日

もう、途中から回数さえ、数えるのを止めてしまった。
そしてまた、こぼれ落ちる、泪。
泪を流しているのは、別に、寂しい訳ではない。
悲しい事もないし、嬉し事も無い。
もう、四六時中、目薬。
投与しまくっている、のである。

雨の降った翌日は、花粉の飛散量が多い。
と言う花粉情報は知っていたが、今は、まだ3月初旬。
油断していたら、今日。
一挙に、来た。

雨の降った翌日で、晴れて風の強い。
と言う、花粉飛散にとってはまたとない好条件なので無理もないが、
我が花粉症の諸症状が、一挙に噴出した。
特に、目。
目が、眼球が、目の球が、痒くて痒くて、たまらない。
慌てて薬局へ駆けこんで、一番安価な目薬を購入して、すぐに投与。
それが癖になって、終日、眼球が目薬に溺れている始末。

眼球を取り出して、シャワーで洗えたら、どんなに気持ち好いだろう。
などと思いつつ、また、点眼依存症の禁断症状が、忍び寄っている。
今月は、第16回俳句ing箕郷梅林などの山へ行く予定があるが、
甚だ不安である。
不安と言うか、もう、恐怖とさえ思う。
そしてまた、点眼。

【天候】
終日、風強くも、快晴。
風吹いて寒く、花粉の飛散も多い。

1156声 胸を張って背中を丸める

2011年03月01日

雨のまま、今日から3月。
年度末って事で、世間が何かと慌ただしい季節。
個人的には誕生日月なので、またひとつ年を重ねるのかと、
感慨深い月である。
私など、もうこの年になれば、誕生日など嬉しむべき日でなく、
忌むべき日である。

「若年寄」だとか、「老成している」。
はたまた、「爺臭い」などと、知人から言われている。
それは、若い時分から、私の趣味嗜好が、
「銭湯」や「俳句」などに拘泥している事に、起因している。

自分が「若い」と言う立ち位置で、それらの対象と接してきたが、
これから先、「そんなに若くもない」と言う立ち位置に移行してゆく。
もっとも、それはごくゆっくりとであるが。
そして、その立ち位置で接する、銭湯や俳句、友人知人、未だ見ぬ人たち。
それら数多との関わりの中での、自分、と言う奴に、少々興味が有る。

「まだ若い」と、胸を張るのか。
「もう若くない」と、背中を丸めるのか。

恋猫の恋する猫で押し通す (永田耕衣)

と言う手もあるな。

【天候】
朝より曇天。
昼から夕方にかけて、一時雨。

1154声 異文化交湯

2011年02月27日

「潔く入れ」
語気の荒い言葉が、飛んできた。
その言葉に背中を押される様に、浴槽に片足突っ込んでいた兄弟。
決死の思いで、浴槽の中へ、体を埋めて行く。

それは、私が先程、高崎の銭湯で見た光景。
親父に連れられて銭湯へ来た、兄弟である。
大人なら兎も角、銭湯のあの熱い湯船に浸かる際、
子供は随分と大変であろう。
最近、大人でも躊躇しつつ浸かってゆく御仁を、多く見かける。
そこへ来て、この頑固な親父さんは、それを許さない。
子供には、ちと酷だと思ったが、反面、古風な教育方針だと、関心した。
それは、この家族が、日本人でなく、
中東系の外国人だったから、尚更、である。

一般的に、銭湯へ来る外国人はマナーが悪い。
なんて、言われているが、一概にそんな事も無い、と感じている。
私も、群馬県内各地の伝統銭湯へ入浴しているが、
湯客に、少なからず外国人の方を見掛けた。
そこではむしろ、日本人のマナーが疑わしい局面に、
出遭う事の方が多かった。

外国人における、「マナーが悪い」。
と言うのは、異文化である銭湯文化を、知らない者であろう。
日本人における、「マナーが悪い」。
と言うのは、銭湯文化を知りつつも、それにあえて準じない者、だと思う。
どちらが性質悪いかと選べば、後者を挙ざるを得ない。
私が今日見た外国人の様に、日本人よりも日本人らしく銭湯に入り、
そこで、子供の教育までする、筋の通った外国人だっている。
と言う事は、銭湯マナーの周知徹底が出来れば、外国人の潜在顧客を、
大いに呼び込める、のである。
巷の銭湯で、異文化交湯が見られる日が、もうそこまで来ている。

【天候】
終日、穏やかな快晴。
風も弱く、暖かな気候。
銭湯の瓶牛乳、平均110円。

1153声 つぶやき日和

2011年02月26日

春一番明日はたぶん良く冷ゆる

と、別に俳句にする事もない。
のだが、その言い伝えに反する事なく、今日は寒さが舞い戻って来た。
仕舞いかけたストーブを引っ張り出し、部屋に逼塞している。
100円ショップで購入した、民謡特集のCDが、軽快なBGMを奏でている。
そこに、一本の電話。

着信の相手は、ほのじ氏であった。
なんでも、「ツイッターが、用意してある」と言う旨。
遂に、自らにもツイッターの波が押し寄せて来た、と言う感慨、少々。
「でそれは、パソコンからやるものですか、それとも、携帯電話」
なんて、質問をしているくらい、高度情報化社会から取り残されてしまった、私。
回答は、無論。
「両方だよ」

なんだか、遡る事、4、5年前は、ほのじ氏に対し、
「ブログてぇものが、あるんですがね、御存じですか」
なんて、大威張りで言っていた記憶がある。
今度は、逆の立場になってしまった。

「じゃあ、つぶやいてくれ」
という言葉を残して、通話は終った。
窓の外は、霞みがかった淡く碧い、春の空。
本日、つぶやき日和。

【天候】
終日、快晴。
風強く、冴え返る。

1152声 まさかの春

2011年02月25日

今日は、東京に春一番が吹いた。
さて、いよいよ、春本番である。
とは、言えず、明日からまた冴え返るらしい。
三寒四温とは、まったく思わせぶりな気候である。

現在時刻は午前零時。
今、我家に轟々と吹きつけているこの強い風も、
春一番と言う事になるのであろう。
昼に吹く風と、夜に吹く風。
同じ春一番でも、随分と様相が異なる。

それは、「春」と言う季節全体に言えるのではなかろうか。
春昼、春日、春風。
に対して、
春宵、朧月、宵霞。
後者の方が、明らかに、ミステリアスな印象を醸し出している。
この季節を敏感に感じ取った顕著な例が、猫。
この時期、野良猫も飼い猫も、年頃となった近所の猫と言う猫は、
恋猫となって夜を徘徊する。
そして、どこからともなく、奇妙な鳴き声が聞こえてくる。

その鳴き声。
昼間、芝生上で寝転んでいた、我家によく来る、
あの可愛らしい三毛猫のものだとは、けっして、思わぬようにしている。
しかしながら、まさか、の春、である。

【天候】
終日、晴れ。
春一番が吹き、伊勢崎市では最高気温22℃以上を観測。